マーケティング部には会社のよって様々なカタチがあります。しかし、少しだけマーケティングの在り方について考えてもらうための5つの事例があります。マーケティング部の立ち上げ方について考えてみましょう。
目次
マーケティング部の立ち上げ方を考えてほしい、5つの事例とは?
前ブログの6つの理想のマーケティング部に、いきなり到達することは難しいが、最終的な目標として忘れないでほしい。大事なことは皆さんの会社に必要な機能から、マーケティングを始めてほしいことだ。そして6つのマーケティングチームの機能は縦割りになりすぎないことも注意しなければならない。メンバーは仕事を兼任し、部門横断することはある。仕事の兼任がなく、横断しない方がおかしいぐらいだ。縦だけで完結せず、横に連携するシーンもたくさん登場してくるので、現在の組織のリソースやスキル状況によって、皆さんの会社にBESTなマーケティング部の在り方を考え、組織を作っていってほしい。案件を創るためのマーケティング部を築きあげるとはそういうことだ。しかし、各会社には様々なマーケティング部のパターンがある。5つの会社のパターンを事例に、マーケティング部の立ち上げ方を考えていきたいと思う。
(1)マーケティング部がない会社
「理由があってマーケティング部がない」という会社がある。理由があってマーケティング部がない会社は営業だけでやっていける自信があるからか、マーケティング部が不要であるのか、何か確固たる理由があるのかもしれないから、これはOKだと思う。「マーケティング部を作りたいが、マーケティングができる人材がいない」、このパターンも仕方がないと思う。リソースのないということはマーケティングに限らず、会社は当然あることだ。しかし、顧客が情報を持ち、顧客の買い方が変わってきた今、顧客が問合せをしてきた時点で、顧客の購買プロセスは後半戦に突入していると言われている。そこから営業部、営業メンバーだけで巻き返すことは大変である。つまり顧客の購買プロセスの前半戦に対応するためにマーケティングがあると言える。ぜひ、マーケティング部がない会社は、現代の顧客の購買プロセスに対応するために一度、検討をしてほしい。
(2)営業にマーケティングを兼任させている会社
問題なのは「マーケティングは営業に兼任させています」という会社だ。兼任はまだいいのだが、マーケティング部専任のメンバーはゼロのパターンである。これはタチが悪い。前ブログで述べたようにマーケティングの活動や作業はヤマのようにある。営業も昨今は、新規開拓と提案だけに専念できる環境になく、顧客がたくさん情報を持っているので、具体的な要望への対応や、細々した雑用に追われている。今どき、そんな忙しい営業がマーケティングの活動や作業を兼任できるわけがない。これは早急にやめさせてほしい。顧客の買い方が変わった今、売り方も変えなければならないのだ。だから、営業・マーケティングのやり方も変えていかなければならないことは、本ブログの最大のメッセージだと言ってもいい。マーケティングを兼任している営業がいれば、すぐにその任を解いてほしい。マーケティング部を作り、マーケティング部がコントロールするオペレーションにして、その中で営業に一緒に企画や運営を協力してもらう組織に変えるべきだ。
(3)Webサイトの改修担当がマーケティング担当と思っている会社
次のパターンは「Webサイトの簡単なメンテができるメンバーが1名いて、そのメンバーがマーケティングを担当しています(大きなWebサイトの改修作業は外注が担当)」というパターンだ。こんな会社もよくあると感じている。中小企業に多いイメージがあるが、人がいないのなら仕方がないだろう。
しかしそのWebサイト担当者に現代のマーケティングを完遂することはできない。コーポレートページや製品ページは、内製の方が迅速に対応できるので絶対にいい。しかし、ホームページの改修作業は意外に多い。最新情報の更新や新機能や導入事例のアップ、自社セミナーの企画から申込ページの作成など、次から次へと仕事が沸いてくる。そしてブログページ更新作業は多く、最優先事項だ。理由は更新性の高いサイトが検索エンジンの自然検索上位に表示されるため、ブログページを頻繁に更新する必要があるのだ。このようにたくさんやることがあるWebサイト担当者が、顧客に向けたマーケティング施策を素早く実現することはできないだろう。スピード感を出すためにも、できればマーケティング施策を考え実行できるメンバーをもう1名か2名程度、増やしてほしい。

(4)営業が必要以上にマーケティングに関与してくる会社
マーケティング部を営業と兼任させている会社、マーケティング部はWebサイトを改修するメンバーが担当している会社のパターンを紹介してきたが、この逆のパターンの会社もある。営業が必要以上にマーケティングに関与してくる会社だ。営業が本来の営業の仕事をせず、社内でマーケティング施策の準備ばかりをやることを認めている会社のことだ。営業がWeb広告の運用をして、ランディングページを作成して、ホワイトペーパーの種類を増やすための制作をしている。顧客に電話営業をするわけでもなく、ひたすら社内で作業をして、顧客から検討したいので来てほしいと連絡をもらったら、やっと訪問しているような営業は、皆さんのまわりにもいないだろうか?これはマーケティング活動に寄りかかるしか新規開拓のやり方がわからない営業である。このように顧客との接点を、自分自身で新規でつくれない営業は意外に多い。新規開拓のやり方は第3章のブログで述べるが、営業だけの責任ではなく、組織でやり方を教えない上司も悪い。Webからの案件はマーケティング部が創るから、営業はそれ以外の新規営業活動を個人するように、プロセスの設計や作業分担を組織が決めるべきなのだ。
(5)しっかりしたマーケティング部があるが、営業部との連携の悪さが目立つ大手企業
大手企業のマーケティング部は図1(前ブログ参照:理想的なマーケティング部)のような立派なマーケティング部がすでに存在し、実行できている会社は多いだろう。しかしこのパターンでよくある問題点は、マーケティング部と営業部の間で、分業の定義や役割分担ができていないことだ。まず営業部側はマーケティング部が何をやっているのか知らないケースが多いことに驚かされる。「何かやっているようだが、良く知らない」「製品ページのメンテナンスをしているだけ」「展示会に出ていて名刺を集めて喜んでいる」「受注に早くつながるような商談をもらっているわけでない」。このようにマーケティング部に対する冷ややかなコメントをする営業部は、大手企業には少なくない。つまり、予算達成のためにマーケティング部が助けてくれるという信頼関係が営業部とないのだ。営業は自身の売上数字のために直接やってくれる行為は評価するが、草の根運動のような間接的なマーケティング活動は評価しない。マーケティング部から来るリードの中でも、案件につながった超HOTリードぐらいしか覚えていないことはないだろうか。
マーケティング部が組織の中で縦割りすぎて、営業部との関係構築や情報発信を怠っていることも原因かもしれない。大手企業のマーケティング部は先述した案件を創るためのマーケティングや図1(前ブログ参照:理想的なマーケティング部)のマーケティング組織の中で、最新のマーケティング活動をしっかり実行している。しかし営業との一体感や連携面で溝があるため、うまくいっていないのではないだろうか。マーケティング部と営業部は人も仕事も多すぎることで、それぞれの役割をこなすので精一杯なのだろう。この連携の悪さは惜しい。ぜひ一緒に解決先を考えていきたいと思う。
まとめ
・マーケティング部がない会社
・マーケティングを営業に兼務させている会社
・Webサイトの改修担当がマーケティング担当と思っている会社
・営業がマーケティングに寄りかかってきて新規営業活動をしていない会社
・しっかりしたマーケティング部があるが、営業部との連携の悪さが目立つ大手企業
このようにマーケティング部の在り方を考えて欲しい5つの会社を事例にし説明してきた。どれもマーケティング部としての課題は山積みであり、「このままではいけない」と「会社を良い方向に変えたい」と思っているビジネスリーダーの皆さんはぜひ組織を再設計し、やり方の改善を進めてほしい。そう信じている。
一方で、問題意識がなく企業のマーケティング部の在り方を考えない会社は衰退していくだろう。検索エンジンのアルゴリズムの進化、増え続けるモバイルの活用、SNSの効果、顧客の情報収集や買い方など、どんどん変化してきている。そのように常に変化する顧客に対し、営業だけで自社製品・サービスの露出を増やし、選ばれるための対応をしていくことには限界があるのだ。むしろすでに営業だけの仕事ではないとも言える。だからマーケティング部が必要なのだと感じている。会社が衰退せず、発展していくためのマーケティング部の在り方を、ビジネスリーダーだけでなく、組織の責任者、経営者にも、一番考えてほしいと思う。
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