第2章 営業・マーケティングのやり方(企画編)

営業・マーケティングの企画の軸は「インバウンドマーケティング」

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営業・マーケティングの企画の軸にはインバウンドマーケティングを据えることをオススメします。その理由はコストを抑えながら、リードや問合せを増やせるからです。ではどのように企画段階で考えていけばいいのでしょう?まずはインバウンドマーケティングについて詳しく説明していきます。

営業・マーケティングの企画の軸を決める「インバウンドマーケティング」

 前ブログのように企画の中心には営業部方針や営業施策を据え、計画段階では企画とプロモーションを考えていかなければならない。しかし企画には軸が必要だ。軸とは営業とマーケティングが売れるしくみを1年間に渡り、自然とまわしていけるものでなければならない。そこで案件を創るマーケティングでは、顧客の購買プロセスを中心に企画を考えていきたい。顧客が情報収集をして認知→興味・関心にいく購買プロセスの上流に対し、徹底的にコンテンツの提供でアプローチをしていくのだ。それは営業が活動を増やし現場に出ることが軸ではなく、展示会出展でもない。顧客に自社の製品・サービスをWebの世界で見つけてもらうことが軸になる。

 営業施策を実現するためには、営業部はWeb問合せが多い方がいいはずだ。Web問合せは目標の予算達成に必ず貢献する。Web問合せの質は高い方がいいが、営業・マーケティングはまずは量がないと質は高まらない。ところがWeb問合せがきた時点ではもう遅いという営業もいる。もっとリアルな上流営業をやってRFPが出る前に、RFPに自社の製品・サービスの仕様が入る活動をしなければならないと言う。それはそれでやればいい。とても良い新規開拓活動だ。しかしその活動だけではスケールできないので目標予算は達成できない。前ブログで示した入り口をたくさん持つことも重要だが、前章のツールの導入は必要か?で述べたことが大きなポイントだ。

 Webからの問合せを待つだけの時代と、顧客が欲しい情報を自ら探し、体験していく時代では、Web問合せ=リードやMQL(マーケティング・クオリファイド・リード)の数はケタが違うのだ。電話での引合いが減った今では、MQLから営業に入れれば、新規営業活動をする労力も少なくて済む。つまりシンプルに言えば、営業が新規見込みを探さなくても顧客から製品・サービス見つけてもらい、引合いを増やしていく手法、それがインバウンドマーケティングだ。(外国人観光客を増やすマーケティングもインバウンドマーケティングと呼ぶが、元祖はこちらだ)

インバウンドマーケティングと他の企画を比較

 企画の軸を決めたい!と言っても企業の業種・業態により様々だ。小売サービス業であれば、営業を現場で支援していける提案型の販売促進チームかもしれない。スタートアップ企業は展示会にひたすら出て名刺を集め、製品・サービスの認知を広げるやり方が軸になることもある。

ここで大きく3つの営業・マーケティングの企画とインバウンドマーケティングを比較してみたい。

■営業・マーケティングの企画(例)

1)展示会・・・新規名刺獲得のため集客不要はしなくて良いが、リードの質が悪く、コストが高い

2)セミナー・・・運営コストは安いが、集客に苦労する。テーマを考える企画力も必要とされる。

3)人から入る・・・いわゆる営業が新規活動すること。狙いたい人に会えるので質は高いが、できる営業が限定され、回数が少ないため、獲れるリードのボリュームには限界がある。

このように1)展示会、2)セミナー、3)人から入る(営業が新規活動)はそれぞれのメリット・デメリットは存在する。これらの企画は必ず必要なので、計画段階の企画立案時にはしっかり考えてほしい。しかし、軸に据えるのはやはりインバウンドマーケティングが良いのではないだろうか?

■営業・マーケティングの企画の軸

4)インバウンドマーケティング・・顧客が検索入力したキーワードに、自社の製品・サービスページを上位表示させ、リードを獲得する。自社の製品・サービスにつながる、狙うキーワードにつながるため、下記のメリットがある。

①ニーズのある新規が集まる
キーワード設計をしっかり構築すると、自社製品・サービスに近い、課題解決したい新規の顧客が、キーワード検索をして集まってくる。

②自動化できる
製品ページにCTA等の仕掛けを作れば、自動的にリードが集まる。リード獲得後のメールを自動化することで顧客を育成でき、新規開拓活動をスケールできる。

③コストが安い
展示会出展やセミナー運営よりもリアルな会場費や設営費がかからないので、コストは圧倒的に安い。ブログやダウンロード資料を自社で運営できるので、コストは安く抑えられる。

 私は企画の軸にインバウンドマーケティングを据えることをオススメする。その理由は営業の新規開拓効率が上がり、初回訪問や提案営業に時間を割ける。そして営業部とマーケティング部が横断して取り組めるだけでなく、チームが連携して成果を出せるしくみだからだ。またアウトバウンドマーケティングやWeb広告を軸に据えたマーケティングよりも、インバウンドマーケティングの方がかける費用が圧倒的に安い。マーケティング費用の効率性が高いのだ。顧客の自然検索から自社の製品・サービスの見込みにつなげるキーワードを上位表示させ、CTAを使い、コンバージョンさせる。その後は顧客に有益なコンテンツを提供し、購買プロセスの認知から興味・関心へつなげていく。

インバウンドマーケティングは、MAのナーチャリングメール機能で顧客を育成できる

 このようにリードからMQLに育成していくコンテンツを提供するやり方をナーチャリングと呼ぶ。顧客へ自動的にメールを送り継続育成をするためのやり方が、ナーチャリングメールだ。MA(マーケティング・オートメーション)があればコンバージョンした顧客に数週間に渡り、決められたシナリオとフローによるメールを送り、MQL・見込み顧客へ持っていく育成手法だ。詳しいやり方は第3章:営業・マーケティングのやり方(新規実行編)で述べるが、このナーチャリングメールは自然検索だけで流入した顧客だけに送るものではないことが、インバウンドマーケティングを軸に据えるもうひとつの理由だ。つまり名刺を獲得したリアルの顧客にもナーチャリングメールは送れるのだ。

 企画にはイベント企画も必要だ。自社セミナーや自社フォーラムの開催や、展示会への出展がイベント企画だ。こちらは詳しくは第2章後半以降で述べるが、セミナーや展示会で獲得した名刺に対し、ナーチャリングメールのフローを走らせることで、MQLに育成させていくことができる。営業が新規名刺交換した名刺も同じフローに乗せることもできる。イベントはアウトバウンドマーケティングであり、正確にはインバウンドマーケティングではない。ナーチャリングメールはMAの機能なのでどんなMAでも実装されている。ここで皆さんに伝えたい一番のポイントはインバウンドマーケティングで構築されている顧客に有益なコンテンツを提供していくしくみは、イベントで獲得した名刺情報、つまりリアルの顧客にも使うべきということだ。入口は自然検索とリアルで違っても、前ブログのAISUASの顧客の動向で述べたようにいきなり顧客は行動には移らない。顧客は時間をかけて利用イメージを持ち、購入を検討できるまでの情報収集をするのだ。このナーチャリングメールで自動化をしておくことは、営業部とマーケティング部の生産性を高めることができるので、更なる企画やプロモーションを考え、実行していく時間を創り出すことができる。

営業・マーケティングの企画:インバウンドマーケティングが目標達成のカギになる

 顧客が検索入力したキーワードに、自社の製品・サービスページを上位表示させると、自社の製品・サービスにつながってくる。リードを取るためのコンテンツや、上位表示させるためのやり方は後述するが、リードや問合せが増えるまでの流れはこのようになる。

■インバウンドマーケティングの効果が出るまでの流れ

1.リード・問合せが増えていく
  ↑ ※2と3をしばらく繰り返していく

2.セッション数が増える (セッション数とはユーザーがページに訪れた数)
  ↑

3.自然検索で上位にいく (オーガニックとも言う)
  ↑ 

4.ブログが効果的

 具体的に1~4を実践していく情報やブログの書き方は、第三章で詳しく説明していきたい。インバウンドマーケティングを企画とプロモーションの軸に据えると、必ず目標予算達成のための大きな土台になる。顧客に自社製品・サービスを見つけてもらうしくみをぜひ構築してほしい。「目標達成のためには問合せは多い方がよい」これを実現する手法がインバウンドマーケティングなのだ。

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