第3章 営業・マーケティングのやり方(新規開拓・実行編)

マーケティングに活用する、ナーチャリングメールの具体例とは?

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狙うキーワードのブログを顧客が見てくれて、学べるダウンロード資料のフォーム入力を工夫し、顧客がコンバージョンをしてくれた。しかし、このようなリード顧客に対し、いきなり電話や製品・サービスを紹介するメールを送ってはいけない。じっくりと長期戦を前提に顧客に育成(ナーチャリング)していかなければならないのだ。ではどのようにナーチャンリングメールを活用していけばいいだろう?

MQL(マーケティング・クオリファイド・リード)にするための有効的なナーチャリングメールとは?

 ダウンロード資料に対してコンバージョンをして顧客の情報が取れ、リードが獲得できた。リード顧客の購買プロセスはまだ認知・気づきの段階で、やっと学びに入ったぐらいだ。ここから学び・興味・関心→比較検討に一気に持っていきたい。では営業に電話をさせよう!と思ってはいけない。顧客も個人情報を入力した限りは何か連絡があるかもしれないと思っているが、いきなり売り込み系の電話がかかってくると嫌がられる。顧客の認知・気づきの購買ステージの立場から考えれば、当たり前だ。

 そこで学びの資料を手に入れた顧客に対して、次に行うアクションはメールのアプローチが適切だ。では営業かマーケティングにメールを送らせよう!と思ってもいけない。その理由は学びの段階での資料ダウンロードの数は営業やマーケティングメンバーが手動で対応できるような量ではない。学びの資料は数百~数千のダウンロード件数にあっという間に増えていく。そしてもうひとつの理由は、まだたった一度のコンバージョンに対して、人海戦術で対応していくべきではないということだ。効率的ではないし、もう少し見極めが必要であろう。

マーケティングのためのナーチャリングメールには、ルールやシナリオが必要

 ではどのようにしてナーチャリングメールを送ればいいのだろう?まずコンバージョンしたリード顧客になぜメールを送るのか?を整理したい。ペルソナの設計通りの顧客の購買プロセスの状態で顧客情報が取れた。認知・気づきや、学びの状態になったのであれば、自社製品・サービスに興味・関心を持つ状態に、顧客のステージを上げていきたい。つまり顧客の購買プロセスを我々が育成していくのだ。このように顧客を育成していく作業をナーチャリングと呼ぶ。

 ナーチャリングは後述するインサイドセールスで、メールと電話を組み合わせて実行していくと効果的な場合もある。しかしまだ電話は早く、メールのナーチャリングが有効的だ。ではどんなメールを送れば、顧客は関心を示してくれるだろう?簡単に言うと学びの状態から徐々に製品・サービスに興味・関心を持ってもらえるような、ゆったりとしたナーチャリングメールを、しつこくない程度に送ってみよう。期間は1ケ月~2ケ月ぐらいかけて、案内メール文や送信ルールを決めて送るのがよい。

 そしてこの作業はコンバージョンした数百から数千の件数に対応していく必要がある。だから人海戦術ではとても無理というわけだ。このようなナーチャリングメールはMA(マーケティング・オートメーション)を導入すれば標準機能で簡単にできる。メールの期間設定やルール、シナリオを細かく組めることは、1対1かつ大量のパターンで送る作業には効率的だ。CTAとナーチャリングメールはMAが最も効果を出してくれる機能なので、ぜひ検討してみてほしい。手動で行う場合はかなりの労力になるので、覚悟が必要だ(笑)手動メールの場合は個別対応ではなく、一斉のメール対応(メルマガ等)になってしまうだろう。

ナーチャリングメールの具体例をご紹介

ではどのようなメール文や送信ルールでナーチャリングメールを送り、興味・関心→比較・検討に育成していけばいいのか、経費精算の例で、流れを具体例で説明していきたいと思う。

ブログタイトル 「経費精算のやり方が組織で効率化できた5つのポイントとは?」

 ↓

ポップアップCTAから「経理のプロが教えるチームで経費精算をするため入門ガイド」

コンバージョンし資料をダウンロードした。

 ↓2日後のナーチャリングメール

DAY1 タイトル「ルールと仕組みづくりで経費精算を効率化する手法」 

本文****、製品・サービスの紹介にいかず、まだ経費精算の効率化のための学びについて紹介する

→推奨資料は学び系のダウンロード資料 「第2弾〇〇***」

 ↓4日後のナーチャリングメール

DAY2 タイトル「経費精算システムの導入効果事例 10選」 

本文**** 具体的に製品・サービスを事例と機能で紹介する

→推奨資料は製品系のダウンロード資料 タイトル「経費精算システム〇〇基本ガイドブック」

 ↓7日後のナーチャリングメール

DAY3 タイトル「経費精算システム〇〇の万全のサポート体制とデモのご紹介」 

本文**** もっと深堀りして製品・サービスを事例と機能で紹介する

→推奨資料は製品系のダウンロード資料 タイトル「経費精算システム〇〇基本ガイドブック」

 +デモ依頼のご紹介

 ↓30日後

DAY4タイトル「経費精算システム〇〇基本ガイドとデモのご紹介」 

→顧客は忘れているかもしれないので、最後の一押しをダウンロードから1ケ月後に送る 

 ナーチャリングメールを総括すると「集めたリードに対してじっくり時間をかけて育成していき、意識の潜在化を顕在化にする」という手法でアプローチするということだ。このようなナーチャリングメールを送ると学びの顧客はどう反応するだろう?「経理部が経費精算業務に追われていて残業時間短縮のためのアイデアはないかと思い、検索エンジンで探し始めたが、こんな手法や事例があるのか?ITツールを導入すると一気に解決できるのか?」と思うかもしれない。このような状況になれば、意識の潜在化を顕在化できているかもしれない。そうなれば、デモの依頼をくれるかもしれないし、営業が電話をしてもよいタイミングになっているとも言える。

 余談だがナーチャリングメールを送るときの送信者名は女性がいい。男だと何か売り込まれるようなイメージもあるし、顧客からのメール返信も少ない。実際に女性がフォロー電話をするのもいいし、メール返信があってから、新しいアクションが生まれやすいのは、女性の名前がいい。ウソだと思うなら、一度男性と女性の場合のナーチャリングメールを試してほしい。マーケティング部のメンバーにはやはり女性が必要だと思う。理由はメール文でも電話対応でも、イベント対応でも、女性には「華」があるからだ。

ナーチャリングメールは長期戦になることを前提に自動化する

 ナーチャリングメールはコンバージョン後、1ケ月間で一気に育成するケースだけではない。もっと長期戦になることの方が圧倒的に多い。認知・気づきから入ってきた顧客は特に長期戦だ。例えば、顧客の意識は顕在化してもいろんなベンダーに半年以上話を聞いていろいろと考える。そして予算取りをして正式検討開始までは1年後、導入決定は2年後、稼働は3年後というようなケースもある。では1年以上かけてナーチャリング(育成)するにはどうすればいいだろう? このような長期戦に対し、自動化するやり方をご紹介しよう。

 簡単に自動化できるのが、再来訪メール通知機能だ。DAY4(1ケ月後)までナーチャリングメールを送ったが顧客からの反応はなく、他の製品ページを見た形跡もない。フォロー電話をしても出ない。このような顧客はよくあるケースだが、しかしどこかで必ず、何かの確認のためにもう一度、製品ページに戻ってくる。いろんなベンダーに話を聞いている状況で「そういえばあの経費精算ブログの会社も、もう一度見てみよう」と機能ページを見にくるかもしれない。予算取りの時期になっていて「あの経費精算ブログの会社の価格も調べてみたい」と価格ページを見にくるかもしれない。その時に顧客が製品ページを見にきたことを知らせてくれるのが、再来訪メール通知だ。コンバージョンしているからアカウント情報とクッキーで、顧客を特定できるので、再度製品ページに来たことがわかる。 

 ここでタイミングよく電話をしたら顧客も驚くだろうし、電話に出てくれるかもしれない。みなさんにも良いタイミングで電話をしてきたベンダーはあるはずだ。実は、再来訪通知のようなMA機能を使っているのだ。

 顧客を特定するMA機能は他にもある。ドメイン(弊社ならrashic.co.jp)を登録しておけば、様々なオファーができるのだ。例えば、直販先かパートナー先か、で提供するCTAやナーチャリングメールを変えることができる。パートナーは正式に代理店契約をしているため、ドメインを登録しておけば、提供するダウンロード資料をパ-トナー向けにできる。逆に競合先のドメインを登録しておけば、資料ダウンロードもさせないこともできる。

 ナーチャリングメールはルールやシナリオを考え、長期戦を前提にじっくりと顧客を育成していけるように設計していこう。MAがあれば自動化できるので、真のナーチャリングメールで運用できる。MAがなければ手動で頑張るか、メルマガのような一斉メールで対応することになるのだが、これはナーチャリングメールとは言えないだろう。顧客とベンダー、1対1でメール育成できるやり方を実現できれば、ナーチャリングメールの理想形である。

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