第3章 営業・マーケティングのやり方(新規開拓・実行編)

マーケティングにスコアリング機能があれば、アプローチがしやすい

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マーケティングチームがナーチャリング(顧客を育成)していくためには、顧客の行動を見ていかなければならない。しかし手動で見ていくことは大変である。製品・サービスページに訪れる顧客の数、ページを見ている量は相当なボリュームだからだ。そこでスコアリングという手法がある。顧客を定点観測していけるスコアリング機能とはどういうものなのだろう?

スコアリング機能とは?

 検索上位にいた、ためになるブログを読んで、学べる資料をダウンロードした段階をコンバージョンと言い、リードを1件獲得できた状態だ(本ブログではリード顧客と呼ぶ)。リード顧客は一気に興味・関心から比較・検討にはいかない。現代のリード顧客はとても慎重だ。もっと様々な資料をダウンロードして学び、製品・サービスページをじっくり見て、見極めていく。このように長期戦になるリード顧客に対して、育成する手法にはナーチャリングメールがある、と前ブログで述べた。ナーチャリング(育成)するにあたり、リード顧客がどのように製品・サービスページ内で行動をしているか定点観察する必要がある。その手法がスコアリング機能だ。

 いきなり製品へ問合せをしてくるステージはMQL(マーケティング・クオリファイド・リード)だ。しかしなかなか一発でMQLになるリード顧客は少なく、多くの顧客はリードのステージのままで停滞している。そこでスコアリング機能を使い、スコアを集計してスコアが上位にきた顧客を自動的に知らせてくれたらどうだろう?動いている顧客の行動を集計して、活発に動いている顧客や責任者クラスの顧客などを通知してくれれば、ナーチャリングメールを送ったり、インサイドセールスで電話をしたりでき、アプローチの質が上がらないだろうか。

 スコアリング機能はMA(マーケティング・オートメーション)に標準搭載されている。スコアとは何かと言うと、先述したフォーム入力時のヒアリング項目を集計し、比較検討中かもしれない価格ページや導入サポートページを見ているリード顧客をトラックキングしてスコア化する。つまり資料ダウンロードした際のフォーム入力時のヒアリング項目と、製品・サービスページのトラッキングの集計結果だ。では具体的にどのようにスコアリング集計をしていくのだろうか?

スコアリングの具体例をご紹介

■スコアリングの具体例

➀フォーム入力時のヒアリング項目でスコアリングする場合

・人の役職でスコアする →経営者50点、部長30点、課長・マネージャー20点

・検討時期でスコアする →6ケ月以内100点、今期中50点

・予算化でスコアする →予算は取れている70点、予算を取る予定40点

・(その他) →検討状況の詳細内容、自社製品・サービスで高額なもの など

②製品ページのトラッキングでスコアする場合

・価格ページを見たらスコアする →30点

・(その他)このページを見たら、かなり検討が進んでいるかも?というページを決める。

例:導入を決めた顧客のインタビューページ →10点

③ペルソナで狙う部門をスコアリングする場合

◆例)情報システム部門よりも、ユーザー部門を狙いたい場合                          

・管理部門30点、          経理部門30点、人事部門30点、システム部門10点 など

④行動スコアをより細かく設定する場合                   

◆ランディングページに訪問のスコア 

・問い合わせページ          15点、デモ依頼ページ15点、トライアルページ15点

◆Webページに訪問のスコア                      

・事例ページ閲覧5点、機能ページ閲覧      5点、メルマガ経由          5点

 このようにフォーム項目やページに点数をつけスコアし、合計点が100点になったら、スコアリングMQLとしてメール通知をし、MAでステージをMQLに上げてしまう便利な自動化手法だ。スコアリングは営業・マーケティングメンバーや、インサイドセールスメンバーが細かくMAを見ていなくとも、スコアリングMQLになったら、フォロー電話やショットメール(個別のオファーメール)のアクションを起こせる。ルールを決めておけば運用は楽だ。リード顧客が見ている重要な製品ページや、顧客のヒアリング項目をMAが集計してくれ、ある一定のスコアになれば「アクションをしましょう」と知らせてくれるわけだ。毎月、数万、数十万セッションもあるサイトには、顧客の行動を自動化し集計してくれるスコアリングはとても便利なのだ。

マーケティングチームが陥る、スコアリングの落とし穴

 ただ、MAを導入した企業がよく陥るケースがある。点数が甘すぎるとスコアリングMQLだらけになってしまい、営業から「スコアリングMQLはいらない。MQLだけ欲しい」となるケースだ。そうなるとMAでフォーム入力している項目や、閲覧ページをトラッキングしている良さが出ない。

 よって点数は少し辛目ぐらいの方がスコアリングMQLにはちょうどよいとされている。このように一発で問合せや商談依頼をしてくれるMQLと、スコアリングMQLの2本立てでMQLを追っていく営業・マーケティングのやり方は非常に効率的だと思う。

 インサイドセールスやWebマーケティングのナーチャリング(育成)とは、リード顧客、つまり人をフォローすることだ。人をフォローする作業はインサイドセールスチームが一番マッチする。インサイドセールスがMAのトラッキング情報を細かく見て、メールや電話でアクションを起こす。MA機能のすべてのアクセス情報をくまなく見るのはなく、ターゲティング先の行動や来訪履歴が出るから、スコアリング情報と合わせてリード顧客の動きを把握する。MA&インサイドセールスチームがあれば効果的だし、見込み客のステージ管理も実行できる。

マーケティングにスコアリング機能があれば、アプローチがしやすい まとめ

 このようにナーチャリングメールや再来訪メールや、スコアリングを使いながらナーチャリング(育成)していく。そうしなければ今の時代、案件は創れないし、増えていかない。一発Web問合せのMQLだけを待つ時代ではなく、自社の製品サイト内で、どんな顧客がどのような行動をとっているのかを把握できるしくみを作り、適切なタイミングにリード顧客をフォローし、アプローチしていくべきだ。そんなスコアリングMQLを加えていく方が、間違いなくアプローチはしやすいし、案件が増えていく。これらを実現するためにはMA導入が必須となるが「MAはあった方がいい」と私が言っている理由が、皆さまに徐々にご解してもらえたら嬉しい。

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