第3章 営業・マーケティングのやり方(新規開拓・実行編)

マーケティングのWeb広告は顧客との接触時間を増やすために使おう

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顧客が検索して、製品・サービスを見つけてもらうインバウンドマーケティングについて説明してきたが、マーケティングは顧客との接触時間を増やすことを考えていかなければならない。その代表的な手法がWeb広告だ。どのようにWeb広告を活用すればいいのだろう?インバウンドマーケティングとWeb広告の組み合わせを中心に、広告について考えてみた。

マーケティングは顧客との接触時間を増やすために、様々な手法を組み合わせよう

 コンテンツを設計し作成して、ブログやダウンロード資料を提供するための仕掛けを工夫した。ナーチャリングで育成を実践し、案件も徐々に増えてきたとしよう。ここまでの流れは新規開拓の流れの基本であり、インバウンドマーケティングの骨格とも言える。これらの営業・マーケティングのやり方だけでも十分に案件を創ることはできる。

 インバウンドマーケティングは「顧客が問題を解決するために、まず検索する」という自然な行動に対応していて、コストを抑えることのできる手法だ。だがインバウンドマーケティングには、ひとつだけ弱点がある。それは顧客が検索してくれないと何も始まらないことだ。潜在意識から検索をして認知・気づき、そして学びに向かっていくことはごく自然な流れだ。しかし問題意識がなく、気づきがなければ人は動かない。つまり潜在意識を刺激してあげる手法もあった方が、よりインバウンドマーケティングが機能し、案件を創りやすいのだ。

 そのために必要なことは顧客との接触時間を増やすことだ。Webの世界もリアルの世界も顧客との接触時間は多い方がいい。ではどうやって接触時間を増やせばいいのか?ここで広告が必要になってくる。しかし、やみくもに広告を出せばよいというわけではなく、いろんな手法と組み合わせる必要がある。ここまで説明してきたインバウンドマーケティングと組み合わせると相性の良いWeb広告を紹介していきたいと思う。

顧客との接触時間を増やすWeb広告 ➀リスティング広告

 検索エンジンの検索キーワードと連携した広告がリスティング広告である。インバウンドマーケティングは狙いたいキーワードに対しブログを中心に検索順位を上げていけるので、リスティング広告は基本的にはなくてもリードは取れる。しかし、すべてのキーワードを上位表示することはできない。それは競合先が力を入れて検索上位を狙っている「ビックワード」(検索ボリュームが非常に多いキーワード)」が存在するからだ。

 例えば、「経費精算 クラウド」、「経費精算 ツール」はビックワードなので、なかなか上位表示を取ることはできない。だが検索ボリュームが多いということは、顧客はこのキーワードで探しているということだ。しかも「クラウドやツール」はより具体的な解決策に近いキーワード検索であり、顧客は「比較検討」に入っている確率は高く、MQL(マーケティング・クオリファイド・リード=問合せ)になりやすい。つまりインバウンドマーケティングの自然検索で上位にいけていない場合であれば、狙いたい「ビックワードだけ」にリスティングに広告費を投入し、Web広告でカバーしてもらうというやり方があるのだ。顧客との接触時間を増やすことができるだけでなく、MQLから受注までの即効性の高いキーワードであれば、Web広告費を使うことはとてもよいやり方だと言えよう。

 だがリスティング広告費にはカネがかかる。MA(マーケティング・オートメーション)を導入しても月額10万から20万ぐらいで導入できるが、リスティングは月額20~30万以上は最低かけないと効果が出づらい。リスティング広告1本で、リードを取る会社は月額200万以上かけている。

 製品・サービスの特性や価格によっても成果が変わってくる。単価の安い製品・サービスはリスティング広告に合っているかもしれないが、単価の高い製品・サービスは費用対効果が厳しいと言われている。だから「リスティング広告はコストがかかるから、インバウンドマーケティングをやる」とも言えるわけだ。予算がたくさんある企業は、インバウンドマーケティング+弱いキーワードをリスティング広告で補えばよい。

 もうひとつ、会社名でリスティング広告を出している企業がある。「会社名で検索するということは、すでに認知されているのだから、わざわざリスティング広告費を出してまでやらなくても・・」と思うことは当然だ。だがこのWeb広告は会社のブランディング要素が強い。リスティング広告を会社名で出しておくと、誘導したいページにランディングさせることがメリットなのだ。PRしたい会社のキャンペーンページや、採用ページに誘導し、そのページのURLを顧客に踏ませて(押させて)クッキーと取り、リマインド広告を出すことができる。いずれにせよ、広告費の予算がしっかりある会社の手法と言えよう。

顧客との接触時間を増やすWeb広告 ②SNS広告 

 BtoBのSNS広告はFacebook広告(以下、FB広告)が、顧客と接触する時間を増やすことに有効な手段と言える。リスティング広告に比べて安く、BtoB向けであることが特長だ。新規広告とリマインド広告の2種類に分けて使えることもよい。FB広告の新規広告であればインプレッション型の課金(クリック型ではなく、表示されたら課金される)であり、業種や地域、年齢や役職などFBプロフィールに記載されている内容をベースにターゲティングができる。

 リマインド広告は自社の製品ページにインバウンドマーケティングで訪れ、コンバージョンした顧客に対し、クッキーが取得できるので、狙いたい顧客と接触する時間を増やすことが安価にできる。新規広告とリマインド広告の狙いやボリュームによるが、月額10万円前後をかければ、成果は出やすいのではないだろうか。

 FB広告と比べ、リスティング広告は質が高いと言われている。検索エンジンに検索キーワードを入れ、問題意識があり何とかしたい!と、解決策を探している顧客と連動するキーワードで広告を張っているからだ。一方でFB広告は、質は下がる。友人や取引先のFacebookを見ている時に現れるWeb広告であり、問題意識を持って見ているわけではない。TVや新聞でたまたま広告を見つけたようなものだ。しかもFBに飽き、FB疲れであまりFBを見なくなった人は少なくはない。友達がいいね!を押した広告は「友達が推薦してくれた良いコンテンツ」と思う人もいるかもしれないが、そうは感じない人が増えてきていることも事実だ。FB広告は新規広告よりもリマインド広告で使い、顧客との接触時間を増やすことが効果的ではないだろうか。

顧客との接触時間を増やすWeb広告 ③ランディングページ(以下、LP)が必要になる

 リスティング広告にしろ、FB広告にしろ、広告のバナーボタンを押すと、LPに遷移し、LPで製品・サービスの良さを伝えることになる。LPで良さが伝わったら、自社の製品・サービスページで資料をダウンロードしたり、セミナー集客ページにきて、コンバージョンする流れになる。つまり、コンバージョンするかどうかは、LPの伝え方で大きく変わるということだ。バそれだけWeb広告のバナーを押した後の、ランディングページの重要性は高いのだ。

 「3秒で心をつかむLP」をキャッチとしてLP制作をするベンダーもいたし、LP制作はそれなりに時間がかかるので、AIを使ってLP制作をしてくれたベンダーもいた。LPのクリエイティブはコンバージョンするために非常に重要な要素であり、コストも時間もかかるということだ。クリエイティブの重要性は、Webもリアルも広告全般に関係してくる。ここで言いたいことは、Web広告を出すならば、バナーやLPのクリエイティブのことも慎重に考えないといけないということだ。社内でやるにしても外注に出しても、インバウンドマーケティングのブログやダウンロード資料のコンテンツづくりと同じように、コストも時間も知恵も必要になる。ランディングページやバナーの制作は、プロの制作会社に相談して、プロのクリエイティブの力を借りてみよう。

顧客との接触時間を増やすWeb広告 ④交通広告 その他

・交通広告(駅ディスプレイ)・・コストがかかり効果測定は大変だが、全くリーチできない新規顧客に出会える。こちらはLP以上に動画のクリエイティブ制作費用や手間がかかるが、会社や製品のブランディングに向いていると言える。

・交通広告(タクシー広告)・・駅ディスプレイと同じメリット・デメリットがあるが、最近注目されている。東京都であればタクシー台数は11,000台以上、750万人が毎月利用、平均18分乗車、エグゼクティブが多く30%はヘビーリピートユーザーと言う。月額数百万後半とクリエイティブ制作費と合わせると軽く数千万はかかるが、表示単価は@数円と安く、ビジネスユーザーの質がよいため、効果は高いと言われている。質の高い新規顧客との接触時間が持てるのかもしれない。(コロナで外出が減った2020年の効果は低い?)

・コストをかけられるのであれば、テレビCMの効果は大きい。またカタログやノベルティづくりや、インフルエンサーを使ったBtoC向けSNS広告、広報とメディアとうまくリレーションさせて、企業や製品ブランディングにつなげるPRなど、まだまだ新規開拓のための広告はたくさんある。

マーケティングのWeb広告は顧客との接触時間を増やすために使おう まとめ

 営業・マーケティングのやり方 第三章は新規開拓・実行編として、案件を創るための新規開拓のやり方と、案件の増やし方、コンテンツづくりやコンテンツ提供の仕掛け、ナーチャリング手法などを中心に説明してきた。インバウンドマーケティングと各プロモーションを組み合わせるとまだまだやり方はいくらでもある。インバウンドマーケティングのやり方は詳しく説明してきたので、ここから第三章は新規開拓・実行編はプロモーションの軸、展示会やセミナー、人から入る新規開拓のやり方について説明をしていきたい。

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