第3章 営業・マーケティングのやり方(新規開拓・実行編)

マーケティングの展示会出展でたくさんのリードを取る方法

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新型コロナウィルスの屋内大規模イベントの参加者数が緩和され、展示会が再開されつつある。展示会出展は新規リード獲得に効果的であるが、出展すればリードは集まるというものではない。リードを獲得できる展示会出展についてまとめてみた。

マーケティングは展示会出展の目的をもう一度、見直してみよう

 Web中心の新規開拓プロモーションを中心に話してきたので、ここでリアルな新規開拓のやり方を話していこう。リアルな新規開拓でリードを増やすためには、新規のリードが確実にある場所に行けばいい。それが展示会だ。新型コロナウィルスとは一緒にうまく付き合う今、屋内大規模イベントが5千人としていた参加者数の上限を撤廃し、は50%まで制限が緩和された。ここから展示会開催も復活してくるので、営業・マーケティングのやり方 第2章のプロモーション企画で説明したように展示会出展の3つの目的に合わせて出展を決めてみてはどうだろうか。。

◆展示会出展の3つの目的

(1)全く新しい製品・サービスを認知してもらうために展示会出展をする

(2)新規リード数の年間目標をクリアするために展示会出展をする

(3)新しい出展タイトルと自社製品・サービスの狙いが合っているために展示会出展をする

 新製品か既存製品か、又は新規事業か、などいろんなパターンがあると思うが出展したい製品・サービスを決め、この3つの目的を絞り込むことは企画段階でしっかりやってほしい。そして前ブログでしたように、よいテーマに出会え、よい場所にタイミングよく申し込め、潮目が変わる瞬間もつかんでいる出展だとしよう。次は展示ブースの準備にいきたいところだがまだ早い。もうひとつしっかり決めておかなければならないことがある。それは出展のための具体的な目標だ。

展示会出展は「量か質か」 目標をしっかり定めてリードを取りにいく

展示会はほぼ3日間で数万人の来場客が訪れる。展示会運営会社が集客をしてくれるから、ほぼ新規顧客だ。必ず新規の人が来てくれるイベントは、なかなかないので魅力的だ。しかし来場者の多くが新規の人とはいっても、展示会テーマ全体のメッセージに興味があり来場されるので、自社製品・サービスにマッチするのかどうかはわからない。例えば、会計財務EXPOという展示会に、自社製品の経費精算クラウドを展示するとしよう。テーマからして経理部門や人事総務部門などの管理部門の人がたくさん来場しそうだ。ただ会計ソフトや人事給与ソフトに興味があり、経費精算クラウドには関心がない可能性もある。展示会テーマによって来場される人が大きなターゲットとして、自社製品・サービスにヒットするかもしれないと考えよう。

 展示会来場者を役職者別に見ると、一般社員が50%近く占めていて、管理職や部門長は20%ぐらいと言われている。経営者は更に少ないが、ブラッと大手企業の社長名刺をゲットできることもある。つまり名刺やリードの質は当日にならないとわからないということだ。

  展示ブースで人集めが苦手な会社は「質」で勝負することに徹して、来場してくれた顧客にしっかり説明やデモをして、次回のアポにつながる商談を増やせばいいと思う。その「質」のスタイルでいくと3日間では200枚~500枚ぐらいのリード獲得がせいぜいだ。「質だ!」という役員や社員が多いとだいたいこうなってしまう。

 私は先述した展示会出展の目的(1)(2)(3)のどれであれ、展示会の目標は「量」で運営をするべきだと考えている。3日間忙しい中で、質を求めている余裕はない。「量なくして質は無し」の原点に戻り、ひたすら名刺を集めていく運営チームと、ブース内でしっかり説明やデモを行う運営チームに分ければよいと思う。「量」の目標に徹し、名刺獲得は1000枚~30000枚ぐらいを目指して、当日運営の仕掛けを考えてみてほしい。目的と目標が定まれば、あとは当日運営重視で準備をしていけばいい。ここからは箇条書きで展示会運営のポイントを記載していきたいと思う。

たくさんのリードを取れる展示会運営のポイント① 施工・装飾ベンダーの決め方

 まずは展示ブースを作ってくれる施工・装飾ベンダーを選ばなければならない。良い提案でできる限り安いコストのベンダーを選びたいのは当然なので、競合させコンペで決めるベンダーは多いだろう。だが私はコンペで決めない方がいいと思っている。理由は都度、造作ベンダーが変わってしまうことは、自社イベントのやり方や製品・サービスを理解がお互い深まっていかないからだ。取りたいリード(名刺)の量が施工・装飾ベンダーのブースの作り方によって、不安定になることももうひとつの理由だ。展示会初デビューの企業はコンペで選んでいいと思うが、早く相性の良い提案と運営支援をしてくれるベンダーを探そう。

たくさんのリードを取れる展示会運営のポイント② ミニセミナーには実演販売士を使おう!

 展示会出展の目標は量を取ることだが、質も追いたいと考えることは自然だ。ブースの広さにもよるが、デモブースは奥にはしっかり作り、メイン通路側にはミニセミナーを必ず作ろう。ミニセミナーの講演者が社員にいない・・という企業は出来る限り、内製で上手な講演者を育ててほしい。それでもいないなら外注することで割り切ればいい。ミニセミナーの講演者はコンパニオンにはしないことをオススメする。ミニセミナーへの集客に強く、セミナー後に展示ブースの導線にうまくつなげてくれる講演者は、実演販売士が絶対にいい。

 実演販売士はスーパーや百貨店の店頭で化粧品や包丁を売っている人だが、それはもう昔の話だ。最近では家電量販店でデジタル家電やIT機器を売り、IT業界のソフトウァアや製造業向けの工作機械など、なんでも展示会で実演をしてくれる。実演販売士の経験から、どんな製品でも魅力的に伝えてくれるのだ。ミニセミナー会場前に人を集める力もあるし、最後まで聞かせる飽きさせないテクニックも持っている。専門用語を抑えて、わかりやすく説明し、デモブースまでの誘導をクロージングしてくれる。もちろん実演販売士なら誰でもいいわけではない。他のブースでプレゼンをしている実演販売士を見定めることができるので、良い実演販売士には声をかけてみよう。

たくさんのリードを取れる展示会運営のポイント③ コンパニオンは定番化しよう

 量でいくと決めたなら展示ブースにコンパニオンが必要だ。通りかかった人やミニセミナーで立ち止まって聞いてくれている人にノベルティを渡し、バーコードで名刺情報を読み取る作業を専任でやってもらうためだ。コンパニオンを3日間・4名確保したら、ずっと3日立っているわけはない。休憩が入るので4名ではなく3名でまわすようになるので、配置したい人数と休憩ローテーションは意識してほしい。展示会コンパニオンは2名ぐらいの同じ人を定番して、毎回まわすことが理想である。展示ブース装飾ベンダーとコンパニオンはセットで定番化していこう。

たくさんのリードを取れる展示会運営のポイント④ ためになるノベルティとは?

 ノベルティはもちろんあった方がいい。しかしボールペンやオフィス雑貨のようなつまらないノベルティはやめよう。単価が高いノベルティはもっと無駄だ。モノでリード数だけを集めようとしているマーケティングチームは考え直してほしい。もうそんな時代ではない。

 でもノベルティはどうすればいいのだろう?展示会のテーマに興味を持ってきているのだから、そのテーマに沿った学べる小冊子が、私の経験値では一番名刺が獲得できる。「小冊子とはいえ、本なんかなかなか作れませんよ」という声が聞こえてきそうだ。ならばコンテンツづくりで学べる資料を作ったのだから、その内容を本にすればどうだろうか?つまらない雑貨ノベルティよりもよっぽど安いし、名刺と交換で受け取ってくれる確立は高い。

 だが単純にリード獲得するなら私の知り合いで良い例がある。いつも展示ブースの位置を入口付近にして、カッコいい手持ち袋の中に自社製品の資料を入れてひたすら配り、3日間で3万枚の名刺を獲得しているのだ。会場に入った瞬間にカバンがわりに袋がもらえれば、無意識に手に取ってくれ、展示会場内を歩いて自社製品の宣伝にもなる。ちなみにこの企業の営業数名は、徹底的にバーコードを中腰で読み取り、件数が多すぎて最終日に腰を痛めたそうだ(笑)。つまらないノベルティで名刺はもう集まらない。テーマに沿った、ためになるノベルティを準備しよう。

たくさんのリードを取れる展示会運営のポイント⑤ メンバーのモチベーションを高める方法

 全般の仕掛けとしてはその他にもたくさんある。展示ブースのパネルを印刷会社で用意するが、LEDの光るパネルにした方が伝えやすさが全く違う。購入しても安いのでオススメしたい。また3日間のブース対応はけっこうキツイのだが、運営メンバーのモチベーションや指揮を高める方法がある。営業・マーケティングチームのメンバーや、コンパニオンに弁当を用意するのだ。そして打ち上げはコンパニオンにも必ず参加してもらうことを条件とするこの2点で運営メンバーが元気にイキイキと頑張ることができるのなら、安いものだ。

 メンバーの配置はマーケティング部だけでは運営は厳しいと思うので、営業にも来てもらおう。ただし営業が3日間ドップリ入らなければならないローテーションはやめた方がいい。営業にはリアルな顧客がついているため、翌週に仕事がたまり過ぎるからだ。展示会フォローどころではなくなるし、展示会のことをキライになるかもしれない。3日間のうち1日かせいぜい2日までの展示ブース対応になるようにしてあげた方がメンバーのモチベーションは高まる。

マーケティング 展示会出展でたくさんのリードのフォローのやり方

 展示会出展でたくさんのリードを取る方法はまだまだ細かな手法はある。自社運営で何度も試行錯誤すれば、自社に合ったやり方が必ず見つかるはずだ。そして取れた名刺は、展示ブースでデモや商談ができた質の高いものは営業がすぐに訪問する。その他の名刺はインバウンドマーケティングに投入する。展示会用のナーチャンリグメールのシナリオを作り、育成していこう。フォローアップセミナーも用意して、展示会のテーマに続きで、自社製品につながるような内容で開催してほしい。

展示会運営後の目指すべきフォロー

(1)営業が直接訪問できる商談

(2)展示会フォロー用のナーチャリングメール

(3)フォローアップセミナーへ誘導する

の3本立てでフォローを実行してほしい。一番ダメなアクションは展示ブースに来場してくれた人に、いきなり翌週に電話することだ。考えてもみてほしい。1社だけでなく、来場者は何十社、何百社にも接触しているのだ。展示会翌週にいきなりたくさんから電話がかかってきても出たくないし、まずその会社のことを覚えていない。「自社のことは覚えてくれていないから、電話はしない」を前提に、この3本立ての実行をやってほしい。

 展示会は目的をしっかり定めて、まずは量から取って質も上げていくことを心掛けてほしい。リードの量を取るための当日運営を重視してすべての仕掛けを考え、シュミレーションをしながら準備をしていこう。展示会は費用がかかるが、華やかな場所で当日運営は楽しい。営業・マーケティングチームが3日間一体になれるチャンスなので、展示会出展はチームを強くするために活用する効果もあるのだ。

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