第4章 営業・マーケティングのやり方(新規営業・訪問編)

営業の初訪問 商談編

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前ブログで営業の初訪問の準備やヒアリング項目について整理してきた。さあいよいよ営業の初訪問、商談に行くぞ!と思っている皆さんに「商談の距離と感覚」の話を伝えておきたい。商談には3つの距離と感覚があると言われている。この3つの距離と感覚をアタマに入れるか入れないかで、初訪問の戦い方が全く変わってくると言ってもいい。「やってはいけない〇〇営業」と題して、初訪問のNG営業についても解説する^^

営業 初訪問(商談編)3つの距離 ➀公共距離

 顧客は15名から30名以上集まるようなちょっとしたミニセミナーぐらいの商談イメージだ。初訪問では少ないケースだが、私はけっこうある。ホールのような会場に初回から40名も集まったのが最高記録だ。その顧客は弊社製品・サービスに期待値が高く、最初からみんなで聞いて考えてみよう!という顧客の狙いで集まっていただいた。しかしどちらかというと大型プレゼンやセミナーで体験することの方が多い距離だろう。公共距離をまとめると顧客との距離は遠く、説明資料はプロジェクターに投影、声はマイク、たくさんの視点が説明している営業に注がれている。

営業 初訪問(商談編)3つの距離 ②社会距離

 顧客は6名から12名ぐらいで、ちょっと大きな会議室に集まって説明を聞いているイメージだ。製品・サービスのジャンルによってはこれぐらいの人が初訪問から集まることはよくあるし、最終プレゼンでは鉄板のシーンだ。社会距離をまとめると顧客との距離は近いわけではなくやや遠く、説明資料はプロジェクターか液晶画面に投影、声は地声で話している。前方に座って話している営業、又は立って説明している営業を顧客は見ている。

営業 初訪問(商談編)3つの距離 ③私的距離

 顧客は1名から5名ぐらいは商談机に座っていて、ビジネス商談をしているイメージだ。よくある商談ケースだと言えよう。顧客との距離は机越しであり、説明資料は資料か液晶画面か紙、声は目の前なのですぐに届く。営業が1名、顧客が1・2名ぐらいで話している初訪問シーンは皆さんもよくあるパターンだろう。友人同士や恋人同士で話す時の距離もこのような私的距離だと言われている。
 3つ距離はみなさんも聞いたことがあるはずだ。これら➀公共距離、②社会距離、③私的距離に、さらに3つの感覚を加え、初訪問について整理していきたいと思う。

営業 初訪問(商談編) 3つの感覚

(1)視覚・・目で見て感じる感覚

(2)聴覚・・耳で聞き感じる感覚

(3)触覚・・身体が触れた時に感じる感覚

 3つの感覚は誰でも知っていると思うが、この3つの感覚は人間の記憶に深く関係がある。この3つの感覚を一度に重複して体験するほど、記憶に刻まれる可能性が高いと言われているのだ。例えばインサイドセールスが電話で話した内容を、顧客が記憶する時は聴覚だけを使っている。会っていないので視覚は使っていない。初訪問時に、③私的距離で営業が説明していれば、視覚と聴覚で記憶をしているわけだ。この視覚と聴覚で記憶するケースがビジネスシーンでは最も多いだろう。だがここに触覚が入ると人間は一番記憶に残ると言われている。つまり3つの感覚:視覚+聴覚+視覚が最強だというのだ。ということは初訪問中に顧客と身体が触れないといけない。友人同士や恋人同士ならまだしも、ビジネスシーンで触覚を使うことはできないだろう・・と思っている人は自然な発想だが、触覚を使えるシーンはある。握手をしながら「今後ともよろしくお願いします」と言えば、3つの感覚がすべて揃っていないだろうか。しかし初訪問から日本人はなかなか握手をしない。日本での握手は商談成約時や懇親会の別れ際ぐらいだ。

 だが握手以外で初訪問から触覚を使えるシーンはある。どうするかというと、顧客の肩やヒジを少し触るのだ。初訪問終了後、会議室を出て談笑しながら廊下を歩いている時、一番良いタイミングはエレベーター前まで見送ってくれた時だ。「では次回ご訪問時の時は上司の〇〇さんのご同席をお願いしますね」とか「次回は〇〇部の皆さんを集めてくださいね」と次回の重要アクションを話し、顧客の肩やヒジをポンと触る。もちろん目も合わせしっかりした声で伝える。そうすれば3つの感覚がすべて揃い、記憶に残りやすいというわけだ。

人間は記憶に深く刻まれれば、行動に移す。上司の人を同席させてくれるかもしれないし、〇〇部の皆さんを集めてくれるかもしれない。ベタベタとかガッチリと触っては失礼だから、「お願いしますね。ポン!」という感じでぜひやってみてほしい。この営業のやり方を触覚営業と言う。触覚営業は記憶に残るだけでなく、仲良くなれる時間が短縮できる。自分の想いも相手に伝わりやすく、初訪問の強力な武器になる。顧客が異性の場合でも、この程度ならビジネスシーンでは私は問題ないと思っている。

 ③の私的距離で話せる初訪問は、1時間の内、後半になると顧客も営業も身近な感覚になりにやすい。理由は近い距離で話しているからであり、だから触覚営業が使いやすい。ところが強力な武器である触覚営業が使えない距離がある。それは➀公共距離と②社会距離の時だ。理由は遠い距離で1時間話しているので、親近感がわきにくいからだだろう。私的距離に顧客が近づく機会があっても、営業は突然エレベーター前で「お願いしますね。ポン!」とはいきにくい。だが➀公共距離と②社会距離は提案・プレゼン時に多い距離なので、その前の初訪問で③私的距離で触覚営業を使ってみよう。このように3つの距離と3つの感覚はすべての商談時に使えるわけではないので、組み合わせのポイントを紹介しておきたい。

3つの距離と3つの感覚を商談に組み合わせる

上記図を見て、下記3つの組み合わせをイメージして商談に臨んで欲しい。

➀公共距離+視覚と聴覚・・大型会場にたくさんの人がいる公共距離は、視覚と聴覚を超えたプレゼンテーションスキルが必要になる。たくさんの人に対し自社の製品・サービスを魅せる、聴かせる、プレゼン資料もわかりやすい、という公共距離のセオリーを身につけよう。

②社会距離+視覚と聴覚・・中型の会議室に10名ぐらい集まっていて、ここでも社会距離のプレゼンスキルが必要になる。顧客との距離は少しあるが。公共距離に比べればそこまで大きな部屋ではないので、一人一人に伝えていくプレゼンが可能だ。特定の人に語り掛けたり、みなさんの質問に回答したりして関係を構築しよう。

③私的距離+3つの感覚:視覚と聴覚と触覚・・商談机越しに1対1で話せる距離だ。製品・サービス説明の前に、季節の話や世間話などのアイスブレイク(雑談)もできる。距離が近いので親近感がお互いわきやすい距離だ。帰り道に触覚営業を実践して、顧客との関係をもっと近づけてほしい。

これで3つの距離と3つの感覚が整理できたと思う。このテクニックは社内会議や上司や部下とのコミュニケーションでも使える。まず社内で3つの距離と3つの感覚や、触覚営業を試してみてから、商談で実践してみてはどうだろうか?社内なら失敗しても大丈夫だ(笑)営業の初訪問、商談を成功させるための「距離」と「感覚」のテクニックはぜひ習得してみよう。

本日の「やってはいけない〇〇営業」 

※営業はやるべきことよりも、やってはいけないことの方が早く身につくと言われている。〇〇営業と称し、こんな営業にはならないように気をつけてほしい。

「いつでも陸軍営業」 →公共距離や社会距離の商談であろうと、常に私的距離の戦い方しかできない営業のこと。接近戦にはめっぽう強いが、上空から商談が見えないので、大型商談に弱い。

「いつでも空軍営業」 →私的距離の商談なのに、公共距離や社会距離と同じようなプレゼンスタイルの説明しかできない営業のこと。地上に降りれないため、自分の説明が終わったら帰りたがる。

「やりすぎ触覚営業」 →社内外、男女問わず、コミュニケーションのためにベタベタ触り過ぎる営業のこと。こんな営業は絶対売れないし、出禁かクビ!(笑) これはNGだ!

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