第4章 営業・マーケティングのやり方(新規営業・訪問編)

初営業でやるべきこと 新規活動「後半の会話」

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初営業の新規活動でやるべきこととは、どんな内容なのだろう?顧客が期待している初訪問を2つに分け、次に後半30分の会話について、お話していきたい。前半の説明はうまく伝わったとしよう。2回目の訪問に進めるかどうかは、質問を受けながら更に説明していく、後半の会話に成否がかかっていると言っても過言ではない。「やってはいけない〇〇営業」と題して、初訪問のNG営業についても解説する^^

初営業でやるべきこと 後半「会話」 1)「会話」が初訪問の見せ場である

 顧客は30分の説明でに想像(イメージ)してもらう」そして30分の製品・サービス説明後、残り30分でやることは「会話」だ。会話とは一般的には質疑応答や質問回答・QAのことだが、本ブログでは会話と表現させていただく。会話とは顧客の質問を受けながら「できます」「できません」の回答をしていくだけのことではない。質問に対し「こうすればできますよ」「他の顧客はこんなふうに使っていますよ」「他の顧客はこのように改善をしてますよ」と、事例を交えて答えていくやり方を私は「会話」と呼んでいる。皆さんの製品・サービスが抜群の実績があり、その業種や業務の課題解決策なら、なんでも知っていますよ!という雰囲気で、会話をしていくのだ。もちろんウソではなく、本当の導入実績を話すわけだが、「さすがこの分野のプロだな」と顧客に思ってもらうためには、30分間の会話でしか生まれないと私は思っている。30分間の会話の盛り上がりが初訪問の成功のカギを握っていると言えるだろう。

 「質問が出なかったら最初の30分で商談が終わってしまうから不安だ・・」と思っているような営業はそこまでの説明が悪かったのが、よほど自社の製品・サービスに魅力がないのだろう。製品ページから気づき・認知を感じ、興味・関心を示して、営業訪問を依頼してきた顧客に質問がないわけがない。タップリと質疑応答・QAの時間を取って、会話から製品・サービスの価値を増やしていってほしい。新規顧客は説明から更に理解を深め、会話からたくさんの価値を感じたいのだ。

初営業でやるべきこと 後半「会話」 2)会話では「〇」「△」「×」をまず整理して回答する

 会話をするスキルは、前半の説明スキル以上に高い技術が必要になる。会話のスキルを標準化しようとするとその範囲は広い。これはかなり広い。その理由は質問回答・QA集のようなマニュアルだけでは該当しない、顧客固有の問題点に関する質問が出てくるからだ。自社製品・サービスの機能の内容も深く把握しておかなければ、正しい回答はできない。しかし難しいと言っていたら初訪問のポイントを握る会話は成功させられない。ではどうすればいいだろうか。

 自社製品・サービスの機能を熟知することが前提だが、顧客の質問に対して、答える直前に「〇」「△」「×」をまず整理して回答することを薦めたい。頭の中で整理してから答えるのだが、「〇」「△」「×」が自分で把握してから会話が始まるとスムーズに進められる。顧客の質問に対し自社製品・サービスの機能で実現できれば「〇」だ。自信を持って回答しよう。

 若干できないが運用面で工夫すれば可能は「△」だ。加えて運用が現実的には可能かどうかの補足説明を添えてほしい。「そんな運用はできない」と顧客が思うと「×」になってしまうからだ。そしてできない場合は「×」だ。そこでいきなり「できません!」とは言わないでほしい。実際はできないのだが、「こうすればできなくはないです」という△の回答は1発でいいので打ってほしい。営業が「できません」と最初に言うと会話は終了してしまい、価値を積み重ねることはできないからだ。

 つまり「この質問は×だ。できない」と思っても、△の回答から会話にしてみてほしい。 会話を成功させるためには、組織でQA表や会話トーク集を作ることも重要だが、営業同行(OJT)の実践から習得することがオススメだ。先輩社員や上司と同行し、会話の修正を繰り返しながら営業自身が改善し、新規の会話スキルを実装してもらいたい。

初営業でやるべきこと 後半「会話」 3)かぶせる営業になっては、会話はできない

 やってはいけない初回訪問で説明するべきだが、新規の会話の中で「かぶせる営業」がいる。顧客が言っていることに対し、同じことをかぶせて言っているだけの営業のことだ。

 例えば顧客が「SFA(営業支援システム)の機能は良いけど、営業が入力してくれるか心配だなあ」と言っていたとする。自社の製品・サービスのクラウド機能面よりも営業に入力させるための事例ややり方について回答しないといけないのに「そうですよね、営業はなかなか入力しないですよね。でもクラウドになればできます。慣れもありますけど」と相手に合わせてかぶせて言っているような営業だ。

 「クラウドになれば入力します」とか「慣れたらできます」という回答も「この業界のプロ」とは顧客は感じてくれないだろう。顧客の質問に対し「△には△」「×には×」と同じ回答を繰り返している例であり、前進していないどころか、後退している。これでは盛り上がる会話になっておらず「この営業じゃダメだな=製品・サービスもダメだ」となってしまいがちだ。顧客の言っていることに「Yes=かぶせる」だけでなく、商談を前進させるための会話を重視していこう。

初営業でやるべきこと 後半「会話」 4)大きく包み込みながら、聞く

 会話が盛り上がれば、顧客に感じてもらう価値も増え「この製品・サービスなら効果がありそうだな」と思ってくれて初訪問の終盤を迎えているだろう。会話で意識する最後のポイントは、このような状態の顧客を大きく包み込みながら「課題解決を実現できそうですよ」というムードを維持しつつ、「聞く」に入っていくことだ。標準化した聞く項目を思い出し、①提案のために聞く、②案件を進めていくために聞く、の2つに分けて、会話を継続しながら質問していってほしい。(前ブログ:営業の初訪問 ヒアリング項目編を参照)

 また初訪問の準備をパターン化で標準化した「聞く項目」は実践的にまとめていく必要がある。例えば商談がボトムアップの場合、トップダウンの場合、部門別編、課題解決編などたくさんのパターンがある。営業部でノウハウを集めながら聞く項目のレベルを磨いていく「聞く標準化委員会」を立ち上げてみてもいいだろう。

まとめ

 初営業でやるべきことは前半の説明では顧客に想像(イメージ)してもらい、後半の会話で盛り上げることだ。顧客の質問に「できます」「できません」を答えていくことが会話ではない。質問に対し、まず「〇△×」を瞬時に整理し、できることは「〇」、微妙なこと「△も」、できないこと「×」も、できません!と答えずに、肯定的に会話していこう。顧客を大きく包み込みながら会話することで、営業から聞きたいことも自然に聞けるはずだ。

 初営業を「説明」と「会話」に分けて進め、説明で価値を感じてもらった顧客に、最後に会話で盛り上げ、そして聞くという流れで説明してきた。まだ初訪問はこれで終わりでない。次回は初訪問の次、2回目以降の訪問につなげるためのスキル:次のアクションについてお話していきしたい。次回ブログのタイトルは「御礼メールは送るな!」 衝撃的なタイトルだ(笑)

本日の「やってはいけない〇〇営業」

※営業はやるべきことよりも、やってはいけないことの方が早く身につくと言われている。〇〇営業と称し、こんな営業にはならないように気をつけてほしい。

「質問の時間を与えない営業」 → 1時間のうち50分間も延々と製品・サービス説明を行い、顧客に質問の時間を与えない営業のこと。たくさん聞きたいことがある顧客がやっと質問を始めたら、次の会議室予約の人が来て終了。顧客を消化不良にさせることが多い。

「かぶせる営業」 → 顧客の考えに対して同じ意見を言うだけでなく、実現が難しい質問に対しても代案を出せず、とにかくトークをかぶせてくる営業のこと。営業はうまくいかないことが多く、その都度、立ち向かっていかなければならないが、かぶせる営業は、かぶせるだけなので困難にめっぽう弱い。

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