ABM(アカウントベーストマーケティング)が新しい局面を迎えています。アカウント営業とインバウンドマーケティングが連携することで、強力な新しいABMを実践できると言うのです。その新しいABMに必要なツールとシステム、サービスとはどんなものが必要なのでしょう?以前、ABM構築に失敗したみなさんに、今度こそABMが成功できる方法とその意味を解説していきます。
目次
インバウンドマーケティングで今度こそABMを成功できる!その意味とは?
ABM(アカウントベーストマーケティング)とは2016年ごろに日本でスタートしたBtoBマーケティング手法です。ABMと似た手法にアカウント営業があります。しかし、ABMとアカウント営業のやり方は違います。まずABMには企業データベースリストが必要になると言われていました。しかし必ずしも企業データベースリストが必要ではありません。「昔のABM」はアカウント営業とリストがとても重要だったのですが、その違いや詳しい解説については、最下部の関連記事をご覧ください。
「昔のABM」と言いましたが、ついに「新しいABM」が登場しました。アカウント営業チームとマーケティングチームのとの連携はこれまで通り必要ですが、新しいABMは強力に進化しています。最も進化しているポイントは「インバウンドマーケティングとABM」を組み合わせるところです。 アカウント営業チームが作成した、アカウント企業別+人のターゲットリストに、インバウンドマーケティングでリード獲得できた新規アカウントをターゲットリストにどんどん追加していきます。オーガニック検索してくる見込み顧客は、ほとんどが新規アカウントです。そのインバウンドマーケティングの特性を活かし、ターゲットであるアカウント企業リストに新規アカウントを増やしていけるのです。
ABMのターゲット企業は大手企業のため、どうしても意思決定者が多くなります。例えばなかなか会えなかった生産技術部門の責任者が資料ダウンロードをして、アカウント企業リストに追加されるかもしれません。新しい意思決定者やキーマンがインバウンドマーケティングにより、ターゲットであるアカウント企業リストにどんどん増えていくことで、アカウント営業が活性化していくのです。この部分が新しいABMを成功に導ける、本当の意味なのです。
このようにABMにインバウンドマーケティングを組み合わせる手法が、新しいABMとして注目されています。そこで図1にあるように新しいABMを実行するためには、様々なツールやサービスが必要になります。なぜなら新しいABMはツールやサービスで自動化する部分を増やさないと、しくみをまわしていけないからです。それでは新しいABMを実行するための様々なツールとサービスをご紹介いたします。
※インバウンドマーケティングに必要なツールはHubspot(MA機能を含む)やWordPressになります。これらのツールをベースにインバウンドマーケティング対応のウェブサイトや製品・サービスページを作らなければなりません。右記の「インバウンドマーケティング」に記事がありますので、ご覧ください。本記事ではインバウンドマーケティング対応後に、ABMを構築するためのツールとサービスをご紹介します。
ABM実践に必要なツール1)MA(マーケティング・オートメーション)
ABMではICP(アイデアル・カスタマー・プロファイルの略)というやり方で理想的な企業像をアカウント営業チームと協力して選定します。最優先のアカウント企業リストからターゲット1社~3社を狙う場合や、ICPで選定されたTier1(ティアワン)の数十社を狙う場合の2種類があります。そしてすでにハウスリストにある個人を選定し、インバウンドマーケティングから、ターゲットペルソナ(個人)をリストに入れていくのです。このリストをABMリストと呼びます。
リストづくりだけであればEXCELでできますが、ABMリストはどんどん変化していきます。そこでMAを活用してリストの新規アカウントを管理していくのです。MA(マーケティング・オートメーション)はフォーム入力の機能が特徴です。フォーム入力の際にターゲティング企業のドメインや企業名で、ABMリストに入れるべき新規アカウントを判断し、自動的にリストを更新していきます。
そしてフォーム入力の際には「役職」や「ビジネス関与・立場」を入力してもらいます。その時にABMリストのターゲットペルソナで増やしていきたい役職や立場と一致させるのです。例えば、情報システム部長や管理部長は把握していたとしても、各地方に分散している工場長は把握できていないケースがあります。工場別には生産技術部長や設計部長もたくさんいます。生産管理システムを提案したいアカウント営業であれば、本社のキーマンだけでなく、これら工場の意思決定者にアプローチしなければなりません。 インバウンドマーケティングのABMを組み合わせると、新しいキーマンを発見できるかもしれないのです。
このようなターゲットペルソナをMAで設計し、フォーム入力後に自動的にリスト化します。MAはフォーム入力後、つまりコンバージョンした新規アカウントをトラッキングすることは得意です。いつサイトに訪れて、どのページを見たかはABMリストごとに把握できるため、インサイドセールスがアクションを起こしやすいのです。それでは次にABM実践に必要なサービスとして、インサイドセールスをご紹介します。
ABM実践に必要なサービス2)インサイドセールス
インサイドセールスはみなさんの営業・マーケティングチームの機能にすでに備わっていると思います。コンバージョンしリード獲得できた見込み顧客に対し、電話でアプローチします。すぐにアポ獲得をしようとせず、まずは情報提供や情報収集から始めていくインサイドセールスが最近のトレンドです。
しかしABMリストへ対応するインサイドセールスは、アカウント営業が作成したアカウントプランやICPで選別されたターゲット企業のことをしっかり把握しておかなければなりません。 ABMリスト以外でインバウンドマーケティングから獲得したリードは、インサイドセールスの統一シナリオや統一トークでかまいませんが、ABMリストの新規アカウントはそうはいきません。
企業情報やビジネスの方向性の理解だけでなく、アカウント営業とABMリストに登場してくる担当者との関係性も頭に入れて、電話で話さなければなりません。インバウンドマーケティングで獲得できたABMの新規リードは、オーガニック検索から、たまたま自社のウェブサイトに訪れただけです。ABMリストの企業には、みなさんの会社との関係性をインサイドセールスが話せるようにしておきましょう。
そしてABMリストとインサイドセールスのトークの質向上で、アポが獲得でき、アカウント営業に渡せたとします。その後はアカウント営業の出番ですが、初回訪問後のABMリストの新規アカウントとの状況をチーム全体で把握できなければなりません。そこでABM を実践するために必要なツールがSFAです!
ABM実践に必要なツール3)SFA ※セールスオートメーション
SFA(Sales Force Automationの略)はみなさんご存じの通り、商談管理機能や案件管理機能を持っている営業にはなくてはならないツールです。インバウンドマーケティングからMAと連携しABMリストに入り、インサイドセールスがABMシナリオやトークからアポ獲得した後は、アカウント営業の対応になります。ここから営業は確度管理を行い、受注に向かって活動をしていき、SFAで管理をしていきます。ABM実践にSFAが必要な最大の理由は、初回訪問後のステータスで「フォロー」や「中断」となり、ABMリストに戻ってくるケースが多いからです。
オーガニック検索で資料をダウンロードし、インサイドセールスが電話してアポが取れたからといっていきなり受注にどんどん向かっていくほど甘くはありません。ABMリストのターゲティングは大手企業が多いので、長期戦になります。よって「フォロー」や「中断」となり、ABMリストに戻ってくることを想定してシナリオを組むのです。戻ってきたABMリストの新規アカウントはアカウントプランに沿って、ウェビナーや新しいダウンロード資料をオファーしていきます。つまり営業のアプローチ結果を、インサイドセールスチームやマーケティングチーム全体で共有するためにSFAは必要不可欠なのです。「大手企業の新規開拓は長期視点で活動していく」ABMならではの考え方と言えるでしょう。
まとめ
このような新しいABMが注目されています。「ABM × インバウンドマーケティング ×インサイドセールス」の組み合わせであり、実践するためにMAツールとSFAツールが必要です。
大手企業をターゲットにしているみなさまで、新規開拓やもっと取引量を拡大させていきたい方には、この新しいABMはアカウント営業に成功をもたらす、素晴らしい組み合わせになります。
しかし「昔のABM」でやろうとすると、企業データベースからターゲッティングされたリストに、電話営業がひたすら電話する非効率な方法に戻ってしまいます。それではアカウント営業スタイルの新規営業活動はうまくいきません。このような意味から新しいABMの取組みへ関心が高まっているのです。
まずはインバウンドマーケティングを構築した上で、新しいABM手法をまわしていけるアカウント営業手法を作っていきましょう。そうすることが今度こそABMが成功できる方法なのです。