マーケティングオートメーション(Marketing Automation、MAツール)は多くの企業や会社に導入されてきました。デジタルマーケティング実践のためにはとても便利なツールです。しかしMAツールが活用できておらず、「超高級フォーム入力&メール配信ツール」になっている導入事例は少なくありません。そうならないためのMAツールの導入方法について解説していきます。
目次
マーケティングオートメーション(MA)とは?できることをわかりやすく解説
マーケティングオートメーション(Marketing Automation 以下、MAツール)とは、ウェブサイトに訪れるユーザーに対して、効果的にアプローチできるツールです。2010年ごろに日本で本格的導入が開始され、当時はエロクワ、マルケト、パードットが徐々にシェアと獲得していきました。デジタルマーケティングを実践し、ビジネスを支えるマーケティングツールとして定着したMAツールですが、いまさらながら、どんなことができるのでしょうか?MAツールで実現できる主な機能をご紹介していきます。
★フォーム入力機能
ウェブサイトに訪れたユーザーに対し、リード獲得をするためには個人情報を取得しなければなりません。リード獲得のために会社名やメールアドレスなどの個人情報を入力してもらうフォームを設計し、入力してもらうことがフォーム入力機能です。フォーム入力をすることをマーケティング用語では、コンバージョンする(以下、CV)と言います。主なMAツールの入口はここから始まります。CVしたユーザーからメールアドレスを獲得できるため、メールやSNSなどでアプローチができます。そしてユーザーのファーストパーティCookie(クッキー)が獲得できるので、単一のWebサイト内でユーザーの追跡(トラッキング)ができるのです。
★シナリオづくり・自動メール配信機能
ウェブサイトに訪れたユーザーのリード獲得が一度できれば、様々なメール配信ができます。メルマガやセミナー/ウェビナー集客メールなどの手動で配信するならば、普通のメール配信ツールでできます。しかし毎月、何万人も訪れるウェブサイトのユーザー個人個人にあったメール配信を手動で行うことは不可能です。そこでMAツールでは、ファーストパーティCookie(クッキー)獲得とメールアドレスから、それぞれのユーザーに最適なメールを送ることができ、ナーチャリングメールで育成・フォローができます。つまり購買意欲が高まったユーザーを、ウェブサイトの行動から把握し、自動的にメールを送ることができるのです。このようなマーケティングアプローチを自動化できるのは便利ですね。
★リード管理・ステージ管理機能
営業に渡す前のマーケティングの進捗管理を、リード・ステージ管理と言います。マーケティング担当者は営業のように直接ユーザーに接触できないので、主観で進捗管理することはできません。そこでMAツールではCV後をリード、あるページを複数見たらスコアリングMQL(マーケティングクオリファイドリード)、問合せフォーム入力があったらMQLと定義し、ステージ管理をすることができます。ダッシュボード機能では、BIレポートのようなイメージで、わかりやすくマーケティングステージが見えます。
★トラッキング機能
MAツールは最近では「トラッキング機能」とは言いません。「ウェブサイトに訪れたユーザー
とのつながり」「顧客との関係構築強化」「閲覧情報を最適なタイミングでフォローできる」と表現しています。トラッキング機能と言うと‘追跡型広告’のような悪いイメージがあるため、あえて言わないのでしょうが、これは完全に「トラッキングする機能」です(笑)。CV後、製品・サービスの機能ページを見たり、導入サポート方法や価格ページを見ていれば、顧客の購買意欲が高まっているかもしれません。毎日、何百人も見ているユーザーのウェブサイトでの行動を把握することができ、適切なタイミングでアクシションが行えるのです。
このようにMAツールはWebマーケティングを強化するために、うまく活用すると非常に便利はツールなのです。しかし、多くのMAツール導入企業はうまく活用できていません。活用できていないどころか「超高級メール配信ツール」になっていると言います・・(泣)。それはなぜなのでしょう?
マーケティングオートメーションが超高級フォーム入力&メール配信ツールになってしまう理由
マーケティングオートメーションが超高級フォーム入力ツールになり、超高級メール配信ツールになってしまう?とはどういうことなのでしょう。MAツールはクラウドサービスで提供しているケースがほとんどで、月額利用料は数万円から数十万円かかります。例えば、月額15万円を支払うITシステムには、経営者は大きな導入効果を期待するはずです。ところが、MAツールの良さを発揮できておらず、活用できていない企業がほとんどなのです。
一部のMA製品を除いて、ほとんどのMAツールが「CV後、つまりリード獲得ができてから」威力を発揮します。ウェブサイトのフォーム入力機能は、ほとんどのMAツール導入企業で活用できているでしょう。ここから始まらないとMAツールは動かないからです。ところが「CV前、新規リード獲得するため」の機能がないため、CVができず、リードが増えないのです。
ウェブサイトへの流入を増やすためのSEO対策やインバウンドマーケティングの機能は、一部のMA製品を除いて、MAツールは持っていません。何度も言いますが「リード獲得できて‘から’」威力を発揮するのがMAツールだからです。一般的なMAツールで新規集客はできないのです。
リードが増えないと、ウェブサイトへのセッション数も高まらないためトラッキング機能は使えません。つまりリード管理・ステージ管理機能をするほどのリードが集まりません。エクセル管理で十分なレベルかもしれません。ペルソナやカスタマージャーニーをベースにシナリオを作った自動メール配信数も増えないでしょう。そうなると、MAツールのマーケティング担当者は、MAツールを使ってショットメールを多用します。現在保有しているリードに対して、ウェブサイトへの誘導案内メール、セミナー/ウェビナー集客メール、ひどい場合だと月イチのメルマガだけに ‘手動配信’でMAツールを利用するのです。
「フォーム入力」と「手動メール配信」だけに毎月15万円を払っているようでは、会社が求める導入効果には、ほど遠い状態です。このような状態になってしまうMAツールを弊社では「超高級フォーム入力&メール配信ツール」と呼んでいるのです(泣)。
「新規リードが増えないから」超高級フォーム入力&メール配信ツールになってしまうことは、弊社ブログでも解説している‘インバウンドマーケティング’を強化しながら、MAツールを活用すれば解決できます。しかし新規集客や新規リードを獲得しているのに、超高級フォーム入力&メール配信ツールと化している会社があります。新規リードを獲得できているのに、MAツールの機能の良さを活かせていない事例とは?それはどういうことなのでしょうか?
超高級フォーム入力&メール配信ツールにならない導入方法とは?
新規リードを獲得できているのに、超高級フォーム入力&メール配信ツールになっている理由は何なのでしょうか?それはMAツールの機能の問題ではありません。導入方法やマーケティング組織の体制にあるのです。
例えば新規リードが獲得できていて、シナリオが作られた自動化メールを効果的に配信されていたとします。顧客もウェブサイトへ何度も訪れていてくれて、ユーザーの閲覧情報もトラッキングできていてとしましょう。ところが新規リードは増えていて、ユーザーのウェブサイトの行動も把握できていても、誰も見ていなかったとしたらどうでしょう?営業・マーケティングチームが誰も見ていないということです。
営業は良いリードだけにアプローチをしたがります。MQLや問合せになったり、アポが取れたら動き出します。営業に「最適なタイミングでフォローして」とMAツールの権限を渡していても、営業は見ないものです。マーケティング担当はMAツールの運用や施策は実行しますが、ユーザーへのアプローチはしません。
つまりMAツール良さを活かせていない原因は、ユーザーの閲覧情報を最適なタイミングでフォローできる‘人’がいないケースが理由なのです。フォローする人がいないということは、マーケティングチームの組織体制が整っていないと言えます。MAツールは非常に便利なツールですが、誰も見ず、誰もユーザーに対してアクションを起こさないと、無用の長物です。超高級フォーム入力&メール配信ツールになってしまうわけです。
ではMAツールを活用するための導入方法はどうすればいいのでしょうか。その解決策は「閲覧情報を最適なタイミングでフォローできる体制」を作ることです。その’体制‘や‘人’のヒントはインサイドセールスです。インサイドセールスの体制があって、はじめてMAツールが活用できるとも言えます。次回ブログで、マーケティングオートメーションとインサイドセールスの成功の関係性を詳しく説明していきたいと思います。