「潜在ニーズを引き出す」というビジネスで高度な技術があります。誰でも身につけたいスキルですが、習得することはできるのでしょうか? そのためには潜在意識、潜在ニーズ、顕在ニーズの言葉の意味の違い、アプローチ方法を理解する必要がありそうです。そこで、様々な言葉の整理や定義をしながら、潜在ニーズを顕在ニーズに変える方法をご紹介いたします。具体的にイメージしていただくために企業向けの営業と顧客ニーズを中心にご説明していきたいと思います。どうも、最近の営業は顕在化に慣れてしまっているようです・・・? なぜ、なのでしょう。
目次
潜在ニーズと顕在ニーズの違いとは? 潜在意識とは?
ビジネスでの潜在ニーズと顕在ニーズの違いとはどんなものなのでしょう? 学術的な違いに触れるつもりはありませんが、まずビジネスにおけるニーズをしっかり定義しておく必要があります。営業でよく登場する顧客ニーズをテーマにして説明していきたいと思います。
顧客ニーズとは
顧客ニーズとは顧客が持っている欲求のことで、具体的には課題・要求・必要性の3つに分けられます。本記事の主旨から補足すると顧客ニーズは顕在ニーズに該当しますが、潜在ニーズの部分も入っていると言えます。顧客ニーズに興味のある内容は、本記事を読み終わった後に下記記事と図0をご覧ください。
参考記事 ニーズあります!って顧客ニーズをちゃんと説明できますか?
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顧客ニーズの中に「課題」が登場します。ビジネスにおける課題という言葉を間違って使用している営業が多いと感じますので、課題についても定義しておきます。すべてわかりやすくシンプルに言い切ってお伝えいたします。
問題とは?
顧客が現場や経営で今、困っていることです。現状と理想のギャップという言い方もありますが、顧客のハードルを上げ過ぎるので言わないようにしましょう。シンプルに「今、困っていることが問題」です。
問題点とは?
問題が整理され、原因とも言える部分がピックアップされた状態のことです。問題イコール問題点ではない点には注意しましょう。
課題とは?
問題や問題点を解決するための解決策が、ある程度整理された状態のことです。営業が最初の顧客訪問時に「課題を教えてください」という言い方には注意しましょう。なぜなら、顧客が課題の状態に整理できているケースは多いとは言えないからです。
ビジネスでの潜在ニーズと顕在ニーズの違いを説明するためには、「問題」「問題点」「課題」の3つの要素を理解する必要があります。その上で、ビジネスでの潜在ニーズと顕在ニーズの違いと潜在意識をご説明いたします。こちらもわかりやすくシンプルにお伝えいたします。図0をご覧いただくと「欲求」がわかりやすくなります。
潜在ニーズとは?
困っていることはあるが、顧客はハッキリとした欲求がない状態のこと。
顕在ニーズとは?
問題が表面化され、顧客の欲求がハッキリとされた状態。
潜在意識とは?
困っていることはあるが、顧客はそれすら気づかず自覚していない心の状態のこと。
潜在ニーズと顕在ニーズの違い、潜在意識との違いをまとめますとこのような状態と言えます。そして今、潜在化を顕在化に変えていくことに注目が集まっています。それはなぜなのでしょうか? 潜在ニーズと顕在ニーズは音も漢字も似ていて、話が入ってこない時がありますので、ここからは色を分けます。潜んでいるようなイメージの色で潜在、ハッキリしているイメージの色で顕在をご説明していきます。
潜在化を顕在化に変える営業
ビジネスでは顕在ニーズの顧客の問合せや商談が増えてくれればありがたいです。しかし、顧客主導で進んでいくケースが多いので競合先が増えたり、コスト勝負になったりします。
潜在化(潜在意識や潜在ニーズの状態)の顧客とは、企業向けではどのような事例なのでしょうか? 具体的にイメージしていただくために、潜在化の事例をいくつか挙げてみます。
潜在化の事例
- 数多くのマーケ施策を打ち、チームは忙しくしているが、受注にはつながらず営業やマーケがうまくいっていないように感じる。
- 管理部の残業が多い。●●業務に時間がかかっているように感じるが原因は特定できていない。
- 責任者として組織のコミュニケーションや情報共有ができて、効率化や生産性は向上させたいと常に思っている。
このような潜在化の事例は企業の中には数多くあります。潜在化の状態だが、なんだか困っている顧客に「そんなことができるの?」と、顕在ニーズへ気づかせるとビジネスチャンスをつかむだけでなく、営業側のメリットもあります。
そこでビジネスでは眠っている潜在意識を目覚めさせ、潜在ニーズを引き出し、気づかせる提案手法が求められています。「潜在化を顕在化に変える営業」を目指していってほしいのです。なぜなら、潜在化を顕在化に変えるメリットは次のようなポイントがあります。
- 新規開拓へのアプローチや新しいジャンル製品・サービスに向いている手法
- 「この業界や業務をよく知っているな」と営業や会社に信頼を持ってくれる
- 価格ではなく、価値で勝負しやすくなる
- 競合になりにくい
- すなわち、優位に商談を進めやすい
「潜在化を顕在化に変える営業」にはこのようなメリットがあるのです。しかし、最近では顕在ニーズへの対応だけを行い、ドップリと顕在ニーズに慣れてしまった「顕在化営業」が増えています。それはなぜなのでしょうか? その背景には、役割分担や効率重視で導入が進んでいるマーケティングや営業の分業やインバウンドマーケ施策が影響していたのです。
顕在化に慣れてしまった営業の背景
顕在化に慣れてしまった営業、すなわち顕在化営業が増えています。その背景や理由には、大きく2つあると言えます。
マーケティング・インサイドセールス・営業のプロセスが分業化しているため
図1をご覧ください。最近のマーケティングと営業はマーケティングチームで施策を実行し、インサイドセールスが電話やメールでフォローし、営業が育成された状態の商談に向かっていくプロセスが分業化されています。もちろん、分業化は良いところが多いので各企業が取り組んでいるのですが、顕在ニーズの商談が増えるため営業がその状態に慣れきってしまいます。
顕在ニーズがハッキリしていない顧客は「リードの質が悪い」とインサイドセールスに戻したり、営業自ら潜在ニーズを引き出し気づかせる行動を取ったりしなくなります。
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インバウンド型のマーケティング施策が増えたため
図2をご覧ください。インバウンド型のマーケティング施策とは、顧客がウェブサイトで製品・サービスを見つけ、自ら資料をダウンロードしてくれたり、問合せをしてくれたりする施策のことです。その反対はアウトバウンド型のマーケティングでセミナーや展示会出展等が施策です。
インバウンド型のマーケティング施策の問合せが増えると顧客が顧客ニーズ、すなわち課題・欲求・必要性を顕在化させているので、その部分に対して「できる・できません」の対応をしていく営業スタイルになりがちです。潜在ニーズを引き出すことよりも、顧客が整理したニーズに対する課題解決をする営業スタイルになります。
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インバウンドマーケティングの詳しい内容は本記事を読んだあとに、下記記事をご覧ください。
参考記事 インバウンドマーケティング 認知される最強施策を事例で解説
このようなマーケティング・営業プロセスの分業化や、インバウンド型マーケティング施策には良いところがあるため、数多くの企業が導入をしています。質が良く足の速いリード、すなわち顕在ニーズの商談が増える一方で、営業が潜在ニーズを引き出せない、気づかせられないという状態になっているのです。
ではどのようにして、潜在ニーズを顕在ニーズに変えていけばいいのでしょう? 本記事ではビジネス向けの解決方法をご紹介していきますが、個人向けのテレビ通販でひとつわかりやすい事例があるのでご紹介いたします。
事例 ジャパネットと販売士のテレビ通販の違い
テレビ通販で有名なジャパネットは誰でも見たことがあるでしょう。掃除機や大型テレビ、おせち料理等をわかりやすくお得感を伝え、安く販売しています。日本最大のテレビ通販の素晴らしい説明と仕組みづくりだと感じています。
掃除機や大型テレビは誰でも知っていて、利用したことも購入したこともある製品・商品と言えるでしょう。「そろそろ入れ替えたいな」という顕在的な想いを持っているかもしれませんし、「今のものが古いから欲しいな」と思ったケースもあるはずです。
つまり、ジャパネットでは必ず体験がある製品・商品を上手に説明し、最新版を安く提供するスタイルを徹底しています。潜在意識ではなく、モノの存在を知っている顕在意識からアプローチしているのです。
一方、テレビ通販で販売士が説明している製品は潜在意識へアプローチしています。販売士とは店頭で家電製品や日用品をプレゼンして即決させ、売っている販売のプロです。「こんなことができるの?」「こんな商品があるんだ!」と思わせる潜在意識へのプレゼンが得意です。
みなさんにイメージしてもらうために、フレーバーストーンという焦げ付かないフライパンを、テレビ通販で説明しているケースを紹介します。フライパンはすぐに表面が焦げ付いて、お手入れが大変で早い段階で使えなくなることが主婦のみなさんのお困りごとです。
焦げ付かないフライパンという宣伝から購入しても、結局数ケ月で焦げが取れなくなるケースがあり、諦めている主婦のみなさんも少なくないでしょう。
フレーバーストーンは「焦げ付くし、お手入れが大変だし、半ば諦めている」という主婦の状態をすべて解決できるプレゼンをテレビ通販で行います。つまり、困っているけど解決策は知らないという潜在ニーズを顕在ニーズに変えるためのアプローチをします。
主婦が困っていることをすべて解決するプレゼンを行いながら、製品・商品をわかりやすく説明していきます。「諦めていたけど、これなら解決できるかも!」という気づきを与え、購買意欲を引き出しているのです。
ジャパネットも販売士どちらも「たしかに解決したい問題だな」「導入する価値があるな」と思わせるアプローチは似ています。しかし、ジャパネットは顕在層へ価値(最新版、お得感等)をお知らせするモデルなのに対し、販売士は潜在層への課題解決策と価値を提案するモデルと言えるでしょう。
このような販売士の個人向け潜在ニーズを顕在ニーズに変える手法を、ビジネス向けでもできる方法はないのでしょうか?
潜在ニーズを顕在ニーズに変える方法はある
潜在ニーズを顕在ニーズに変える営業には数多くのメリットがありました。ではどのように実践すればいいのでしょう?
アウトバウンドマーケティングのセミナーや展示会出展、または営業が自ら動く紹介営業は、顧客が顕在ニーズになっていないケースが多いので、潜在ニーズを顕在ニーズに変える力が求められます。新規開拓時や新しいジャンルの製品・サービスには必要なスキルと言えます。
そして、分業化やインバウンド型マーケティング施策で問い合わせがきた顕在化の商談は、これはこれで質も良いのでしっかり対応していかなければなりません。つまり、課題解決型で営業をしていきます。
しかし、顕在ニーズの商談にも潜在ニーズを引き出すシーンはあります。なぜなら、顧客の欲求(課題・要求・必要性)がハッキリしていなかったり、漏れていたりするからです。それが顕在ニーズの中に存在する潜在ニーズであり、引き出すのが営業の役割と言えます。
顕在課題を解決することと、潜在課題を引き出すことは、どちらも提案営業です。ここで一度整理してみます。
どちらも提案営業だが、「課題解決営業」と「価値提案営業」 に分けられる
- 顕在課題の解決方法 「課題解決営業」→顕在化している顧客ニーズにしっかりと課題解決策を提案できる営業のこと
- 潜在課題を引き出す方法 「価値提案営業」 →顧客ニーズ=欲求を引き出し、気づかせる営業のこと
顕在課題を解決してくれる「課題解決営業」はわかりやすく、もうみなさんも実践されていると思います。しかし、潜在ニーズを引き出す「価値提案営業」にはどのような方法や手法でなれるのでしょうか?
「潜在ニーズを引き出すための価値を提案できる営業」は、ひと言でやり方を伝えることはできません。これは正直なところ、経験とスキルが必要です。圧倒的な業界と業務ノウハウ、製品・サービスのスキルが求められます。
実現するためには営業は日々の勉強と、実際の案件の提案から習得していくしかありません。営業スキルの中でも最も時間のかかるジャンルが「潜在ニーズを引き出す営業」と言えます。それぐらい現状の問題点を把握(As-Is)し、潜在ニーズを引き出し、 理想の状態・あるべき姿(To-be)へ顧客を導いていく「価値を提案できる営業」は難しいのです。
しかし、「潜在ニーズを引き出すための価値を提案できる営業」を半分に割ってみると近づける方法があります。「価値を提案できる営業」への道のりは大変長い習得時間がかかりますが、「潜在ニーズを引き出すために」まずやるべきことは、短い時間で習得できます。その方法は「顧客の声を聴く」というスキルです。
潜在ニーズを引き出すためにやるべきこと
潜在ニーズを引き出すための第一歩、その方法とは「顧客の声を聴く」というスキルを身につけることです。
社員だけのプロジェクトチームで、先輩営業の経験の声を集め、内製で聴くスキルを構築していくこともできるでしょう。社内でヒアリングシートを作ったり、聴く標準化をはかったりしてみることも方法のひとつです。
しかし、聴くためのノウハウがなかったり、何よりも時間がかかったりします。そこで、外部に依頼して「潜在ニーズを引き出すための聴くスキル」をスピード習得してみてはいかがでしょうか?
「聴ける営業になろう!」潜在ニーズを引き出す営業研修
弊社ラシックマーケティングに「聴ける営業になろう!」という営業研修メニューがあります。顧客の声を聴く環境づくりや聴くテクニックを半日程度で教えてくれて、潜在意識を引き出せるスキルを習得することができます。
MEDDPICCフレームワークを実践する営業研修
MEDDPICC(メディピック)というフレームワークを使って、複雑化する企業の意思決定プロセスに対応するための手法が広がっています。大型案件や潜在ニーズを引き出す商談に向いているMEDDPICCを実践しマネジメントで活用できます。
ぜひ、下記資料をダウンロードいただき、詳しい内容をご覧ください。
まとめ
「潜在ニーズを顕在ニーズに変える!潜在意識を引き出そう」と題して、ご紹介してまいりました。潜在ニーズと顕在ニーズと潜在意識の違いや、顕在化に慣れてしまった営業の背景がご理解いただけたと思います。
個人向けの事例に上げたジャパネットと販売士のテレビ通販の違いで、「誰でも知ってわかりやすい製品や商品は顕在ニーズへ」、「まだ存在を知らない製品や商品は潜在ニーズへ」アプローチする基本的なスタイルが存在していました。
企業向けの潜在ニーズを顕在ニーズに変える方法に、魔法の飛び道具はありませんでした。しかし、価値提案型の営業になれば、顧客ニーズを引き出すことができます。潜在化を顕在化に変える営業を目指すためには、まず「聴くスキル」を身につけてみてはいかがでしょうか?
特に今の若い世代の営業には大切な技術だと思っています。「顧客の声を聴いて、潜在意識を感化する。そして、潜在ニーズを引き出す」、ぜひ、実践できるようになりましょう!




