マーケティングオートメーション(Marketing Automation、MAツール)はたくさんの導入事例があります。デジタルマーケティングの実践やDX(デジタルトランスフォーメーション)実現のために必要なツールです。しかしMAツール導入に失敗している企業は意外にたくさんあります。MAツール活用と導入を成功させるために、MAツールのメリットとデメリット、そしてインサイドセールスとの関係性について解説します。MAツール導入の成功ポイントを一緒に考えてみましょう!
目次
マーケティングオートメーション(MA)のメリットとデメリットを理解しよう
マーケティングオートメーション(Marketing Automation 以下、MAツール)とは、ウェブサイトに訪れるユーザーの行動を把握し、適切なタイミングに効果的にアプローチできるWebツールです。MAツールは2010年ごろから日本で普及され、マルケト、パードット、パイプドビッツ、シャノン、SATORIなどが徐々にシェアと伸ばしていきました。これからのデジタルマーケティングを牽引し、BtoBの命とも言える新規リード獲得のために貢献するのがMAツールです。そこでもう一度、メリットとデメリットについて理解してみませんか?MAツールで手に入れることのできるメリットデメリットについて、機能や効果を中心にご紹介していきます。
MAツールのメリット
フォーム入力が柔軟に自由に設計・構築できる
リード獲得のためにメールアドレス等の個人情報フォームを設計・構築できます。コンバージョンした(以下、CV)ユーザーには、メールやSNSでアプローチができます。訪問したユーザーのファーストパーティCookie(クッキー)を獲得できるので、ウェブサイト内でユーザーを追跡(トラッキング)することで、行動が把握できます
シナリオに沿ったメールの自動配信ができる
毎月毎日、何百人から何万人も訪れるウェブサイトのユーザーに対し、最適なメールを個々に送ることができます。購買意欲が高まった行動を取るユーザーだけでなく、認知や気づきを促すために、適切なタイミングでナーチャリングメールを送ることができます。シナリオに沿ってツールが自動化してくれるので、とても楽です。
リード管理・ステージ管理機能
マーケティングチームのリード管理やステージ管理を、ダッシュボードやレポートで見やすくマネジメントすることができます。ウェブサイトからのリードは数が多いため、自動化されたリードのステージ管理はとても便利です。
トラッキング機能
製品・サービスの機能ページを見たり、導入サポート方法や価格ページを見ているユーザーは自社の製品・サービスに興味があるのかもしれません。ウェブサイトの閲覧情報などのユーザー行動を、的確に把握することができます。
MAツールのデメリット
Webマーケティングの専門的な知識を持つ人材やチームが必要である
ホームページや製品・サービスページ、ウェブサイトと連携し、MAツールは機能します。つまりWebマーケティングに精通した知識やスキルを持った人材が必要になります。中小企業にもMAツールの普及は徐々に広がっていますが、まだまだ大手・中堅企業を主体に導入が進められています。MAベンダーが中小企業に‘手取り足取り’の導入はしてくれないケースが多いので、MAツールとウェブサイトに特化した専門的なマーケティング組織が必要になります。
自社で培われてきたマーケティング手法が必要
ツールはなんでもそうですが、会社の風土や文化、ルールの上で利用してこそ、はじめて活用できます。MAツールも自社でこれまで醸成されてきたWebマーケティング手法がないと活用できません。つまり、これまでWebマーケティングを深めてこなかった企業が突然、MAツールを導入しても組織に合わないということです。ウェブサイトの新規リードを増やすために、GoogleアナリティクスやSearch Consoleのような無料Webツールを利用して、まずは自社のWebマーケティング手法を築きあげていきましょう。
このようなメリットとデメリットがMAツールにはあります。総括するとはMAツールと便利で効果的なツールですが、自社でWebマーケティングに関する手法や組織がないと活用はできないということです。ツールの機能や効果でみるとメリットがありそうですが、「手法」「組織」がないとMAツールが導入できないのあれば、デメリットの方が大きく見えます。では、MAツールを活用できていない具体的な事例とは、どんなケースがあるのでしょう?
MAツールを活用できない典型的な事例
マーケティングオートメーションが超高級メール配信ツールに成り下がってしまうケースが多い、と前ブログで記載しています。ぜひ下記URLより一度、読んでみてください。それぐらいMAツールを活用するのはハードルが高いと言えます。
しかしWebマーケティング手法をある程度は知っていて、マーケティングチームの風土・文化に根付いていても、MAツールを活用できないケースがあります。それはなぜでしょうか?
新規ユーザーはウェブサイトへ何度も訪れていて、ユーザーの閲覧情報が把握できていたとします。ところがその新規ユーザーのウェブサイトの行動を、誰も見ていないとしていたら、どうでしょう?営業・マーケティングチームが誰も見ていないのです・・。いくらツールで見える化ができても、誰も見ていなければ、無用の長物です。仮に見ていても誰も動いていなくても、同じです。「見える化できた後、どうするか?」は、IT活用やDX(デジタルトランスフォーメーション)の大きなテーマなのです。
そこでMAツールを誰が見るのか?をハッキリと決めなければなりません。ところがMAツール導入で失敗する一番の事例は「‘営業’がMAを見てフォローするルール」を作るケースです。このケースはMA導入失敗に向けて‘まっしぐら’のパターンです。営業は良いリードだけにアプローチをしたがります。膨大な量のウェブサイトに訪れたユーザーに対し、営業が最適なタイミングでフォローできるわけがありません。ほとんどの新規リード「ほったかし」にして、問合せのような質のよいリードだけに対応するのがオチでしょう。それはMAツールを見て動いているとは言えません。
つまりMAツールを活用できていない理由は、閲覧情報を最適なタイミングでフォローできる‘人’がいないケースが多いのです。人がいないということは、営業・マーケティングチームの組織体制が整っていないわけです。MAツールで見える化ができたのに、誰も見ず、誰もユーザーに対してアクションを起こさないと、ツールは活用できません。そこで「MAツールを見て、動く」専門チームが必要になります。MAツールを活用して成功している大半の事例が「インサイドセールスチーム」を持っているのです。
インサイドセールスチームがMAツール活用を成功に導く
MAツールを活用するための解決策は「閲覧情報を最適なタイミングでフォローできる体制」を作ることです。その’体制‘や‘人’がインサイドセールスチームです。インサイドセールスの体制があって、はじめてMAツールが活用できるとも言えます。図1の「目指すべきマーケティングチームのしくみ作り」にあるように「手法」「組織」「ツール」の3つがうまくまわって、はじめてマーケティングのしくみ作りができるのです。
インサイドセールスとは新規営業のために、顧客に電話でアプローチする内勤営業のことです。電話でアプローチする先はいろんなパターンがありますが、最も多いケースはウェブサイトに訪れたユーザーに対して電話をします。当然、MAツールを見て、最適なタイミングでインサイドセールスがアプローチします。MAツールを見なければ、できない仕事とも言えます。ウェブサイトの有益な情報をしっかり見て、動いてくれる役割と責任を持っている専任チームなのです。
営業はすぐに「アポ獲得」を欲しがりますが、インサイドセールスはアポ獲得を優先目的にしません。マーケティングオートメーションを活用し成功させているインサイドセールス事例は、インサイドセールス作業の順番が決まっているのです。それは、いきなりアポ合意ではなく、1.情報提供 →2.情報収集 →3.関係構築 →4.アポ合意で、新規ユーザーにアプローチしていくのです。これなら、電話をかけてこられるユーザーも話してくれやすいですよね。
このようにマーケティングオートメーション導入を成功させている事例とその関係性とは、インサイドセールスチームが存在することなのです。マーケティングチームはウェブサイト制作やマーケティング施策の実行で忙しくしています。営業も商談や案件対応で多忙を極めています。MAツール活用のためには、取得できた有益な情報に対し「見て、動く」専門のチームと人が必要なのです。MAツールを検討する際に、まだ営業・マーケティング組織にないのであれば、インサイドセールス構築をまず検討しましょう。それはMAツール活用と成功への一番の近道なのです。