第1章 営業・マーケティングのやり方(準備編)

マーケティング部の理想的なチームとは?その役割と作り方をご紹介

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理想的なマーケティング部についてまとめたてみました。マーケティングチームを企業の組織づくりから考えてみたブログは珍しいと思います。しかし理想的なチームなのに問題点も発覚・・? 組織からみたマーケティング部の作り方について考えましょう。

マーケティング部の理想的なチームとは? 

誰でもメージがしやすい営業よりも、まず案件を創るマーケティングについて整理してきた。このタイトルを見て、マーケティングチームのやり方に少し気づいた人がいるはずだ。もしくは、これから営業・マーケティングのやり方を細かく説明していくのに、もう答えがでたのか?と思う人もいるだろう。ここでの答えは「まずマーケティングの組織を作ってしまう」ということだ。日本人はハコ好きだ。建物も組織・チームもハコであり、ハコをつくればうまくいくと思っている人は多い。組織というハコをつくり、そこに人を配置し責任と権限を持たせれば、うまくいくのではないかと思うのは当然である。企業の組織づくりは後のブログで説明するとしても、理想的なマーケティングチームは、前ブログの案件を創るマーケティングで記載した(1)~(6)までをそれぞれチームにすることだと言われている。 

理想のマーケティング部 6つのチームの作り方とは

※今後はマーケティング部と記載するが、チームや課やグループ、呼び名や書き方は何でもOK。つまりマーケティング専任のチームのこと。

(1)宣伝をするチーム

➀案 広報・宣伝の機能のあるチーム。製品・サービスの広告、IRや企業情報発信の機能が同じ部にいる。歴史のある企業に多い組織である。

②案 コーポレートマーケティング(IRや企業情報)として、製品・サービスの取材に対応する女性の広報がいる(キラキラ広報という用語で呼ばれることもある)。製品・サービスの宣伝は他のマーケティング部に機能があるが、PR活動とも絡むので連携している。

(2)Webサイトをデザイン・制作し、運営するチーム

デジタルマーケティングやWebマーケティングとして、Web全般を担当する。Web広告や交通広告・テレビCMは製品サイトに流入してくることが多いので、Web広告も含め、宣伝する機能も持つことがある。Web作業と作成だけでなく、自社が狙うキーワードで自然検索で流入してくる顧客に対し、適切なコンテンツ(ブログやダウンロード資料)をオファーし、リードを獲得する役割も持っている。

(3)セミナーやイベント・展示会、コミュニティを企画し実行するチーム

イベントマーケティングとして、すべてのイベントの企画から集客・運営を担当する。しかしイベントの中でも展示会運営はたくさんの人が必要なため、イベントマーケティング運営専属のマーティング部はあまり見たことがない。企画・準備・集客はイベントマーケティングチーム、当日運営は営業部や事業部と協力している。コミュニケーションマーケティングチームと呼ぶケースもある。(5)でも同じ。

(4)製品サイトでコンバージョンした顧客や、セミナー・イベントで集めた顧客をメールや電話でフォローするチーム

インサイドセールスとして、コンバージョンした潜在顧客(サブスクライバー)のリードを電話・メールで顕在顧客に変え、MQLを増やすことで、アポを取り営業にSQL(セールスクオリファイドリード)として渡すまでを担当する。この時点はまだ商談であり、案件ではない。新規

顧客はアポイントが取れるまでインサイドセールスが担当する。内勤営業型である。

(5)販売パートナーと開発パートナーにアライアンス活動を提供するチーム

既存パートナーとの販売や開発に関する接点を担当するだけでなく、新規販売・開発パートナー発掘や、協業パートナー(連携やOEM供給など)のアライアンスを担当する。

(6)製品企画や製品開発をマーケティング視点で実行していくチーム 

プロダクトマーケティングとして製品のことを詳しく知っている開発者が、顧客の開発担当に情報を発信していくことを担当する。マーケティングセンスのある技術者であれば、エバンジェリストとして、製品サイトやパートナーに露出していく。製品企画と製品開発で売れる製品を開発していく機能を持つこともあるが、製品企画と製品開発が同じチームにいないケースの企業が多いのではないかと感じる。そうなると製品企画を中心にマーケティングをするため、製品を企画してくための情報収集、市場調査やブランディングを担当する。

このように案件を創るマーケティングでやるべきことを整理すると、理想的なマーケティング組織のイメージができてくる。マーケティング部の作り方を組織図にすると図1のようになる。

マーケティング組織図

マーケティング部の役割 理想的なのに問題点とは

とても理想的なマーケティング部である。しかしここまで組織を作るといったい何人のマーケティング部メンバーが必要になるのか?10人?20人?いや、そもそも社内にこんなスキルを持ったメンバーを集められない、中途採用も苦労しているし・・・といったような問題が出てくることは想像できる。もしこのような理想的なマーケティング部に近いところまで組織が完成している企業はもうこの本を読まなくていいかもしれない。

これは理想のマーケティング部であって、ここまで完璧に完成されているマーケティング部は大手BtoC向けのメーカーや、資金調達ができて上場を目指しているスタートアップ企業ぐらいではないだろうか。本ブログのターゲットであるBtoBマーケティングを目指している企業ではこれほどの理想的な組織は厳しい。この理想的なのマーケティングチームのメンバーは営業的な感覚やセンスも必要である。しかし現状はHTMLを理解し、WordPressを操ってホームページを作成できる人がいる程度であり、営業部の営業をマーケティング部にまわせる層の厚さがあるわけでもない。

前ブログに、案件を創るマーケティング活動の作業を定義し、それを組織にする・ハコを作るやり方がありますよ!と言った私が悪かった(泣)。マーケティング部は歴史が浅く、どんな大手企業でもマーケティングに精通した人材は豊富ではないはずだ。組織というハコは大事だが、マーケティング部はハコ優先で進めてはいけない。まず大事なことは自社の製品・サービスをどうやって売っていくか、そのためには案件を創るマーケティングを実行していく当初の目的に立ち戻り、必要なマーケティング作業を優先的に決めていくことだ。ホームページや製品ページはあるがデジタルマーケティングはまだまだできていなければ、そこから手をつけるべきだ。イベントマーケティングが自社の製品・サービスに有効的であれば、展示会に徹底的に出るための専任をつくろう。そしてマーケティングチームのリソースは自社社員だけではなく、協力会社・外注・ベンダーと費用をかけてアウトソーシングすることもできる。

理想的なマーケティング部へ 現実的な作り方

私がマーケティング部を作った時は、(2)のデジタルマーケティングから手をつけた。製品・サービスページが古くリニューアルすることがきっかけであったが、一番やりたかったのはインバウンドマーケティングだったからだ。インバウンドマーケティングとは、自社の製品・サービスで狙うキーワードを、検索エンジンの自然検索で上位に表示させ、Web問合せ(MQL)を増やすという手法だ。その他のマーケティングには目もくれず、インバウンドマーケティングを実行していくための人と予算を集めた。それが会社に合っているマーケティングだったからであり、横断的に早く効果が出せると感じたからだ。

しかしマーケティング部を作るなら少し欲もでる。優先順位の2番目はイベントマーケティングだった。自社セミナーやフォーラム運営、外部展示会出展には人が必要だ。まだ実績のないマーケティング部にいきなり5人!10人!とは異動させられない。そこで企画・準備はマーケティング部で行うが、運営は事業部の営業の手を借りることにした。協力会社がブース造作の支援もしてくれるので責任者私+社員2名+協力会社という小所帯でスタートした。その後、大きな成果を出すことになるがそれは後のブログで説明することとしたい。

6つの理想のマーケティングチームはそれぞれ独立する必要はない。ほとんどの企業が兼任兼務のチームとなることが現実的だろう。人や予算事情はあるが、まずは案件を創るために、やらなければならないマーケティング活動や作業と見つめ合うことで、本当の理想のマーケティング組織が見えてくるはずだ。

そして、このマーケティング部に営業部や事業部のメンバーが必ず協力してくれるよう意識することも、組織設計時に忘れてはならない。営業部・マーケティング部が連携しなければ成功はないからだ。6つの理想のマーケティング部に、いきなり到達することは難しいが、最終的な目標として忘れないでほしい。大事なことは皆さんの会社に必要な機能から、マーケティングづくりを始めてほしいことだ。そして6つのマーケティングチームの機能は縦割りになりすぎないことも注意しなければならない。メンバーは仕事を兼任し部門横断することも当然ある。いろんな仕事を兼任せず、横断しない方がおかしいぐらいだ。縦だけで完結せず、横に連携するシーンもたくさん登場してくるので、現在の組織のリソースやスキル状況・役割によって、皆さんの会社にBESTなマーケティング部の在り方を考え、組織を作っていってほしい。案件を創るためのマーケティング部を築きあげるとはそういうことだ。