様々な便利な機能をまとめていく製品や商品はこれまで数多くのヒットを生み出してきています。つまり、統合型のハードやソフトウェアは売れるビジネスモデルの基本と言われてきました。しかし、これからも統合されるモノは売れていくのでしょうか? そこで、今後のビジネスモデルを考察しながら、統合型でまとめると売れた製品:最強の3選をご紹介していきます。歴史上、最もヒットした統合型ハード・ソフトはこれです! ぜひ、新しいビジネスチャンスを考えながら、ご覧ください。
※本記事は会社の統合や合併ではなく、ビジネス向け製品・商品の統合を中心にご紹介していきます。
目次
統合とは?ビジネスシーンの意味は大きい
統合とは複数のモノや要素が組み合わされて、目的やメリットのためにまとまることを指します。製品や商品で言うとユーザーのメリットである機能を統合するということです。
例えば、コンシューマ向けの古い時代だと洗濯と脱水機能が一緒になった洗濯機や、冷蔵と冷凍機能がまとまった冷蔵庫などが統合された製品や商品です。バラバラになっていた機能がひとつになって、使いやすくなる統合は便利ですよね。
ビジネスシーンで利用する統合型の製品は、ユーザーのメリットから考えていくことが大切です。まずは統合型製品・商品のメリットを整理してみましょう。
統合型製品のメリット
統合型製品、つまり複数のモノや機能がひとつになる製品のメリットにはどのようなものがあるでしょう? ビジネスシーンで利用するハード(機器・機械等)とソフト(ソフトウェア・アプリ等)の基本的なポイントを整理してみます。
一体化・連携
複数のハードがひとつに統合されると省スペースにつながり、オフィスの場所が有効に利用できるメリットがあります。そして、複数のハードが一体化になり、機能が連携するとユーザーも使いやすく便利になります。
一元化・連携
複数のソフトがひとつに統合されると、各ソフトウェア・アプリの機能が連携され、データの一元化が可能になるメリットがあります。ソフトが連携されると二重入力が減り、ミスが減少します。そして、データが一元化されると経営管理の情報がリアルタイムに活用できます。
コスト削減
複数のモノや機能がひとつになれば、基本的に製品のコストは下がります。ハードやソフトのコストが減るパターンは様々ですが、歴史的に見ても統合型製品はコスト削減からアプローチするケースが多いです。ユーザーは安く購入できるメリットがある統合型のハード・ソフトは大歓迎と言えるのではないでしょうか。
統合型製品のメリットにはこのようなポイントがあります。ユーザーはコスト削減につながり、製品が一体化・一元化・連携することでユーザーの利便性が上がります。そして、新しい体験が生まれることが統合型の最大のメリットと言えるのではないでしょうか?
では次に、これまでに最もヒットしたと言われている3つの統合型ハード・ソフトをご紹介していきます。
歴史上、最もヒットした3つの統合型ハード・ソフト
ビジネスシーンで一体化・一元化・連携されコスト削減につながり、ユーザーの利便性を上げ、新しいユーザー体験を生んだ3つの統合型ハード・ソフトをご紹介します。この30年間のビジネス向け統合型ハード・ソフトでは、間違いなく次の製品が3強と言えるのではないでしょうか?
統合型製品のユーザー側のメリット、統合する目的などをイメージしながらご覧いただければ幸いです。そして、これからの新しいビジネスモデルのアイデアにつなげてもらえると嬉しいです。
複合機
複合機とはコピー機単体から事務業務のための様々な機能が追加され、1台に統合されたハード機器のことです。数多くの機能が集約されているので、MFP(Multi Function Printer)と呼ばれています。では、どんな機能や要素が統合されているのでしょうか? 時代によって3世代の統合をしながら進化してきています。統合その1からその3の段階別にご紹介していきます。
統合その1 -1990年代前半
- コピー(白黒)
- FAX
統合その2 -1990年代後半
- コピー(白黒)
- FAX
- スキャナー
- プリンター(白黒)
統合その3 -2000年代
- コピー(カラー)
- FAX
- スキャナー
- プリンター(カラー)
複合機はコピー機単体から3世代に分けて統合を繰り返し、進化してきました。特にコピーとプリンター機能が搭載された統合その2、「白黒印刷」から「カラー印刷」に変革してきた統合その3のモデルはユーザーの支持を集めました。
白黒コピー機が普及し単体モデルでは将来性がなくなってきたときに、白黒複合機とカラー複合機で2回「神風が吹いた」と業界では言われています。
統合型製品のメリットである一体化による省スペースと、大きく4つの機能を集約させコスト削減を実現した見事なヒット作であると言えます。しかし、紙文化の削減からコピーを取らない、FAXや印刷物も減ってきているため、今では時代遅れの統合製品になりつつあります。
ERP (統合型基幹システム)
ERPとはEnterprise Resource Planningの略で、企業における様々な業務を統合管理することで業務効率を向上し、経営資源(ヒト・モノ・カネ・情報)を一元管理できるシステムです。代表的な製品にはSAPがあります。日本国内だけでなく世界中の拠点のデータを一元管理できるグローバル化も可能です。
同じような統合システムでTeams(チームス又はチームズ)という製品があります。マイクロソフトの製品でWord(文書)、Excel(表計算)、Outlook(メール)とTeams(チャットやリモート会議)を統合し、クラウドで一元管理できるSaaSです。
Teamsもヒットした統合型製品ですが、ERPの統合されている範囲にはかなわないでしょう。それぐらいERPに統合されている業務システムの範囲は深く、広いのです。どのような業務システムを統合しているのでしょうか?
ERPに統合されている業務システム
- 販売・購買
- 在庫・物流
- 債権・債務
- 会計・資産管理・連結決算
- 人事・給与
- 生産管理・製造
- ワークフロー(申請・承認)
企業には数多くの業務があります。これまではそれぞれの業務別にシステムを構築しておりマスターやデータがバラバラになり、スピーディに情報が集まらない状況でした。基幹業務システム管理が大変であることが企業の大きな問題でした。
ERPは統合型製品のメリットである一元化と連携を実現しコストダウンにつながっているだけでなく、経営資源(ヒト・モノ・カネ・情報)をリアルタイムに一元管理できるようしました。このようにERPに統合されている業務システムは非常に多く、業務範囲も深いのです。
また、企業の拠点をグローバルに統合できるシステムであるポイントも大きなメリットです。エリアの情報の一元化と連携が、迅速なグローバル対応を実現できるのです。ERPが統合型製品で大ヒットしたポイントと言えますね。
スマホ
歴史上、最もヒットした統合型製品はダントツでスマホです。なぜなら、個人が生活をするための機能を利用シーンに合わせて統合しているからです。しかも、その数は多く、利用範囲も幅広く柔軟に統合されています。
スマホに統合された機能の数は一体どれほどの数があるのでしょう? もともとは1995年ごろに登場した携帯電話、つまり外出先から電話ができる機能から始まりましたが、時代と共に革新されてきたのがスマホです。
携帯電話にメールやインターネット、写真撮影ができるカメラ機能がついていたころは、まだスマートフォンとは呼ばれておらず、正式には2010年前後からスマートフォン=スマホと呼ばれています。本記事では携帯電話と呼ばれていたころから統合された機能を整理していきます。
パソコンでできること、つまりメール、インターネット、SNSなどのソフトウェアの機能はパソコンにまとめますので、統合されたハードを主体に考えていきます。
スマホに統合されている機能(ハード主体)
- 電話
- パソコン(メール・インターネット・SNSを含む)
- カメラ(専用のデジタルカメラ)
- テレビ(昔は地デジを搭載していたが、現在はYouTube)
- 音楽プレーヤー(iPodやウォークマンがアプリのミュージック機能に統合された)
- ゲーム機
- スキャナー(QRコード、キャッシュレス決済)
このようにハードを主体に考えるスマホは電話、パソコン、カメラ、テレビ、音楽プレーヤー、ゲーム機、スキャナーの7つの機能が統合されています。しかも、個人の生活に密着した機能がスマホに集約されているので、スマホの統合は歴史上、最もヒットした統合型製品と言えるのではないでしょうか?
もっとスマホに統合された機能を分解していくと奥深さがあります。例えば、電車やバスの乗るための乗車賃や定期も統合されていますし、クレジットカード機能もキャッシュレス決済に含まれていると言えます。
また、ライト、鏡、健康測定器のようなハード機能も統合されており、スマホの統合されている機能を数えればきりがありません。もちろんハードが統合されているだけでなく、スマホはすべてアプリを中心に統合をされています。これだけスマホの統合型の威力は凄いということですね!
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まとめ
「統合型ハード・ソフトのビジネスモデル最強3選!まとめると売れるの?」と題して、ご紹介してまいりました。ユーザーが利用する機能を統合すると様々なメリットがありました。もう一度、さいごに総括します。
【総括 統合するメリット】
- コスト削減できる
- 一体化・一元化・連携することで利便性の向上
- ユーザーの新しい体験が生まれる
機能を統合することは売れるチャンスにつながります。しかし、なんでも統合すれば売れるというわけではありません。ユーザーのメリットになるモノや要素を組み合わせて、目的を達成できる統合を目指していきましょう。それがマーケティングの基本であり、ユーザーの新しい体験を生み、ヒット商品につながっていくのではないでしょうか?
統合することはビジネスチャンスの基本です。しかし、最強の統合製品スマホは「ハード機能を統合した最後のヒット商品」になるかもしれません。なぜなら、すでに物珍しいハードが減ってきており、ハードが売れにくい時代になっています。
これからはソフトウェアが統合され、更なる統合型製品・サービスが増えていく時代になります。SaaSが当たり前になり、生成AIも搭載されたソフトウェアの統合でビジネスチャンスをつかんでいきましょう。これからの新しい統合モデルのマーケティングを考える時期にきているかもしれません。




