Cookie(クッキー)

Cookie(クッキー)がなくなる日のマーケティングとは?マーケティング・オートメーション(MA)には影響があるの? Vol.6

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Cookie(クッキー)が終了、廃止に向かっています。CookieにはファーストパーティCookieとサードパーティCookieがありますが、MA(マーケティング・オートメーション)には影響があるのでしょうか? Cookie(クッキー)とMAの関係について解説していきたいと思います。

Cookie(クッキー)が終了?廃止に?基本を解説

Cookieとは、Webサイトを見たときにみなさんのパソコンやスマホに少しデータを保存します。そして分析等に役立てたりしますが、一番の目的はみなさんを特定するためのものです(以下、ユーザー)。Cookieで個人情報は特定されませんのでご安心ください。あくまで「うちのWebサイトに来た人」という程度の情報です。「えっ?Webサイトを見ただけで特定されるの?」と思うかもしれませんね。詳しく解説していきますが、まず2種類のCookieがあることを理解しましょう。

1stパーティクッキー(以下、ファーストパーティCookie)→単一のWebサイトでしか使えない
つまり、ファーストパーティクッキーは複数のドメインを横断した使用はできません。
3stパーティクッキー(以下、サードパーティCookie)→複数のWebサイトで使える
サードパーティクッキーは複数のドメインを横断した使用ができます。(サブドメインも含む)

単一のWebサイトでしか使えないファーストパーティCookieは、例えばGoogle関連サービスをユーザーが利用すると、ログインを保持してくれたり、以前見た記事を教えてくれたりします。単一のWebサイトでしか使えないファーストパーティCookieの便利な機能として利用できるのですが、単一のWebサイト内でユーザーの追跡(トラッキング)ができます。

サードパーティCookieは、ユーザーのCookie情報が複数のWebサイトを横断して使用ができるため、ユーザーがWebサイトを見た閲覧履歴として、追跡型広告にトラッキングされてしまいます。みなさんも追跡型Web広告が何度も表示されることはないでしょうか? あれです(笑)。あれが、サードパーティCookieの問題となっており、プライバシー保護の観点から、サードパーティCookieが廃止に向かっています。

Cookieが終了する決定打になったのは、Google社がChrome(クローム)ブラウザのサードパーティCookieのサポートを2022年から終了すると発表したことです。アップル社のiphoneは、iosアプリの追跡許可を個人で判断できる機能を追加したことからも、サードパーティCookieは確実になくなっていきます(ファーストパーティCookieのサポートは継続すると発表されています。

グーグルがCookieを廃止する理由

グーグル(以下、Google)は2020年1月、約65%のシェアで普及しているGoogle製ブラウザ:Chrome(以下、クローム)の、サードパーティクッキー(以下、Cookie)のサポートを「2年以内」に終了する計画を発表しました。2022年に入って段階的に使えなくしていくという内容です。

この背景には2つの大きな動きがあります。EUではGDPR(General Data Protection Regulation:EU一般データ保護規則)が施行され、違反した場合、多額の制裁金が課せられる ことになりました。また米国カリフォルニア州ではCCPA(California Consumer Privacy Act:カリフォルニア州消費者プライバシー法)が施行 されました。欧州や米国で一気に「プライバシー保護」が広がっていったのです。

GDPR もCCPA もCookieを第三者提供する場合には、「提供先が個人データとして取得することについて、本人の同意が得られている」というCookie規制があります。同意を得たウェブサイト内のCookie利用であれば問題ありませんが、「本人の同意が得られている」という証拠は、複数のウェブサイトをまたがって利用しているサードパーティCookieの場合では証明できないでしょう。

EUはGAFA(Google社、Amazon社、Facebook社、アップル社の略)のプラットフォーマーに対し、巨大IT寡占が強まる恐れを警戒しています。、このようなEU規制の強まりへの、Googleの対応もあるとだと私は感じます。「GAFAよ、ユーザーの知らないところで勝手にデータを収集してはいけないよ」という風潮がり、EU規制が動き始めているのです。

しかし、GoogleがCookieを廃止する一番の理由は、GDPR やCCPA対応ではなく、純粋に「サードパーティクッキーはプライバシーの観点から問題がある」というポリシーにそっているのでしょう。自分の行動が知らず知らずのうちに追跡されているWeb広告はプライバシーを侵害している、と言いたいのだと思います。Googleはとてもフェアでクリーンな会社ですね。

そしてGoogleのメッセージは「安全なブラウザ(ブラウジング)にするため、Chromeでサードパーティクッキーは使えないようにする」と言っている反面、「サードパーティ以外のCookie(主にファーストパーティクッキーのこと)は、安全に健全なWeb広告を維持できると考えるため、継続利用できる」とも言っています。そしてサードパーティクッキーにかわる広告事業者への新しい機能は現在開発中である、と発表しています。サードパーティクッキーの問題とは、具体的にはどんな内容になるのでしょう?みなさんも体験したことのある、「嫌われる、あの行為」です。

Third party Cookie(サードパーティクッキー)はなぜ嫌われるのか

サードパーティクッキーはあくまでも匿名の情報とはいえ、プライバシーの観点から問題視されているポイントとは、具体的にどんなケースなのでしょう。サードパーティクッキーはウェブサイトを横断してのトラッキングが可能と説明しましたが、みなさんもパソコンやスマホのブラウザを見ている時にこんなことはなかったでしょうか?

【プライバシーの観点から問題視されている例1】

関西に行きたいな、と思い旅行予約サイトを東京で閲覧後、大阪に仕事で出張したとします。その時に全く別のウェブサイトを見ていると、以前見ていた関西への旅行のバナー広告が表示された。位置情報をONにしていたため、位置情報に反応してバナー広告が表示されていたのです。

【プライバシーの観点から問題視されている例2】

初めて訪れる健康ビジネスサイトに、以前、興味があって検索した健康ビジネスの商品と同一の商品の広告が、表示されていました。 「なんで?」と思ったことはないでしょうか。

【プライバシーの観点から問題視されている例3】

初めて訪れるECサイトで洋服の買い物をしていたら、「この商品を買った人はこんな商品も買っています」というレコメンド機能はとても便利です(サードパーティクッキーを使っていない)。このレコメンド機能ではなく、「これはあなたにオススメです」という、自分がよく別サイトで見ていた洋服がたくさん表示されていました。「気持ち悪いなー」と感じませんか?

【プライバシーの観点から大問題になった例】

ユーザーの意図しない第三者による利用で、ユーザーの不利益やプライバシーの侵害にあたって大問題になったケースが2019年にあります。某就職情報サイトを利用し就職活動をしていた学生がいました。様々な企業にエントリーし内定までたどりつくわけですが、学生は複数内定をもらっても1社しか選べません。企業は内定を出した以上、うちに来てくれるのか確定させたいわけです。そこで内定を出している採用企業が知りたい‘内定辞退率’を、Cookie情報をAIで分析し、内定を出している採用企業に販売していました。学生本人の同意は得られていませんでした。

【もっと簡単にプライバシーの観点から問題視されているCookieとは?】

みなさんの身近にある一番のケースは、自分は求めていないのに、何度も同じWeb広告が表示されてイヤだと感じるでしょう。Cookieを利用して、Web広告がユーザーを追っかけすぎているのです。

信用できるウェブサイトのCookieを受け入れ、先述したログイン保持や閲覧履歴などの情報を提供してくれるのであれば、ウェブサイト運営者もユーザーにもお互いメリットがあるのがCookieの良さなのです。

ところが前述例のようなCookieの使い方は、プライバシーの観点からネガティブにとらえられ、イヤがられてしまうのです。だからCookieは最近、嫌われているのです。ならば「サードパーティCookieを削除し、有効にしない、にしまえばいい!」とブラウザ設定でCookie排除をするユーザーがいます。すると前述したCookieの便利な機能が使えなくなってしまうことがあります。そしてCookie設定をまた戻すしかない・・、余計に嫌われる原因になりますよね^^ このようにサードパーティCookieを排除しようとすると、意図しない結果を招くことあるのでご注意ください。

Cookieはあくまでも匿名の情報なので、個人が特定されるということではありませんのでご安心ください。Cookieはブラウザが自動で発行し保存するので、知らないうちに広告会社等の第三者に、自分の行動、つまり利用情報を提供しているかもしれないということは知っておくべきです。

このようにサードパーティCookieの問題はネット広告に大きな影響を与えています。サードパーティCookie に頼るDSP広告、リターゲティング広告・リマーケティングは生き残りをかけた対応が必要でしょう。

しかし、ネット広告も気になりますが、MA(マーケティング・オートメーション)とCookie終了問題との関係はあるのでしょうか?今、みなさんが使っているMAです^^ 

マーケティング・オートメーション(MA)はCookie規制が影響するの?

Cookie(クッキー)規制の影響はMA(マーケティング・オートメーション)には影響はあるのでしょうか?

結論から言います、ほとんど影響はないと言えます。その理由とはMA(マーケティング・オートメーション:以下、MA)はファーストパーティCookieを使用しているからです。 ファーストパーティCookieは単一のWebサイトでしか使えないですし、ファーストパーティCookieの機能を使い、単一のWebサイト内でユーザーの追跡(トラッキング)をおこなっております。欲しいダウンロード資料があって、個人情報をフォーム入力して、ダウンロードしたことはないですか?
その時に個人情報の取り扱い規約の中に、Cookieを利用に関する説明があり、ユーザーは同意しています。そしてファーストパーティCookieをユーザーのパソコンやスマホに付与し、ユーザーを特定しているのです。MAはどのページを見たか、いつ訪れたかをトラッキングし、マーケティングに役立てているのです。

「たまたま資料が欲しかっただけなのに、そんな追跡がされているの・・」と心配されるユーザーがるかもしれません。例えばこのホームページや製品・サービスページはMAを使用していない、とか、このWebサイトはMAを利用している、ということは一般の方が見てもわかりません。トラッキングされているのは少し気持ち悪い感じがしますよね。ただ、個人情報の取り扱いに同意していますし、その「Webサイトだけ」でトラッキングされているので、理解できる部分もあります。

しかしプライバシーの観点から問題視されているのはサードパーティCookieです。ユーザーがWebサイトを訪れて「より良いサービス提供のためにクッキーを利用していますので、同意をお願いします」というバナーが出て、Cookie利用を同意しているケースです。前述したフォーム入力後の個人情報の取り扱いに同意している、サードパーティCookie利用はまだ紳士的です。

問題なのはユーザーに同意もせず、Webサイトを閲覧しただけのサードパーティCookieを利用しているケースです。同意無しのサードパーティCookieを販売している会社もあります。そのようなサードパーティCookieは、複数のWebサイトを横断して使用ができるため、ユーザーに何度も追跡型広告が出てしまいます。このようなトラッキングが、サードパーティCookieの問題となっており、プライバシー保護の観点から廃止に向かっているのです。

いずれにしましても、2022年以降はサードパーティCookieがなくなっていくので、このような追跡型広告は減っていきます。ファーストパーティCookieは残りますので、単一のWebサイト内でユーザーをトラッキングするMAに大きな影響はないということです。

ところがWebサイト内では、サードパーティCookieを使って広告分析やWeb分析をするケースがあります。その場合は同意したサードパーティCookieを健全に使用するWebサイトやMAはあります。マルケト社がCookieポリシーを提示しています。非常にわかりやすく、素晴らしい取組みだと思います。ファーストパーティCookieとサードパーティCookieの利用方法や規定がよく理解できますので、参考にしてみてください。
参照元URL https://jp.marketo.com/legal/cookies.html

Googleリスティング広告のCookieの影響は? リタゲ広告は?

広告とは、製品・サービスの認知やイメージを上げるために宣伝活動、ブランドを築き上げていくマーケティングの重要な役割を担っています。広告の種類には大きく2種類あります。

マス広告・・テレビCM、交通広告、新聞雑誌
ネット広告・・メディアやプラットフォーマーに掲載するWeb広告 

ネット広告を中心に説明していきますが、まずGoogleの「GDN(Google Display Network)」(Googleの検索サービスを除く、Google関連サイト、YouTube、食べログ等)というアドネットワーク広告サービスがあります。ディスプレイ広告を提供するサービスですが、こちらはCookieの影響はほぼありません。

本ブログでは、Googleの検索サービスで提供されているリスティング広告(検索連動型広告)とCookie(クッキー)の影響について説明していきます。まず結論から言いますが、Googleリスティング広告(検索連動型)はCookieの影響は、ほぼありません。その理由はGoogleリスティング広告(検索連動型)がGoogle保有のファーストパーティCookieを使用しているからです。

例えば「マーケティング・オートメーション」(検索クエリとも言います)とGoogleにキーワード入力し、自然検索(オーガニック検索)します。するとみなさんにもお馴染みのGoogle広告が、‘広告’ と画面の上や右側に表示されます。これがリスティング広告(検索連動型)です。その‘広告’の下には純粋に「マーケティング・オートメーション」のキーワード入力に対し、Googleが検索順位をつけた記事が掲載されています。過去の検索クエリも含め、ユーザーが利用するクッキーはGoogleの所有物であるファーストパーティCookieです。前述した「ファーストパーティCookieは単一のWebサイトでしか使えない」ため、サードパーティクッキーは付与されず、追跡型広告はきません。ファーストパーティCookieとは、この例であればGoogleのサイトにユーザーが訪れた時にしか使わないため、Cookieの便利な機能(ログイン保持や過去閲覧ページを教えてくれる)が使え、ユーザーは健全なCookie利用ができるというわけです。ファーストパーティCookieは便利ですし、安心できますよね。

リスティング広告(検索連動型)で自社Webサイトのページまで誘導できたユーザーは、リスティング広告(検索連動型)の第一の役割を果たしているため、これでOKです。そしてその後、ユーザーに資料ダウンロードするためのフォーム入力をしてもらい、新規リードが獲得できればコンバージョン獲得であり、リスティング広告の効果が出せるわけです。

しかし、フォーム入力後にサードパーティCookieを付与し、1to1の追跡型広告でトラッキングをしていくことは、今後できなくなります。 リターゲティング広告(以下、リタゲ広告)やリマーケティングと呼ばれ、本ブログVol.2で説明しましたDSP広告を使ったりするケースです。

リスティング広告(検索連動型)で自社ページへの流入を増やし、コンバージョンを取ることをゴールとするマーケティングは問題ありません。しかし、そこで獲得できたCookieをリタゲ広告に利用している会社には影響があります。自分の意志で資料ダウンロードしたとはいえ、「追跡型広告」でしつこくWeb広告がでることは、私はリマインドにならず、良い印象を与えているとは思いません。リスティング広告の本来の役割だけとなり、ちょうどいいのかもしれませんね^^

広告は自社の製品・サービスを知ってもらう手法として、なくてはならないプロモーションです。リスティング広告(検索連動型)は、ユーザーが問題点をキーワード入力すると、Googleで入札されたキーワードに連動し広告が上位に表示される、効率的なWeb広告です。追跡型広告よりも、質の高いリードが獲得できます。

しかし、Googleのリスティング広告(検索連動型)の上位表示に頼らず、自社の力で上位表示させることができれば、広告費をかけなくて済みます。「‘広告’ボタンを押すと、また追跡され何かあるのでは?」と思うユーザーはいるため、最近では自然検索で上位表示されているページから見る人も増えています。「自社の力で上位表示させる手法」を昔はSEO対策と言いましたが、今はインバウンドマーケティングと呼びます。自社で上位表示させ、自社でリードを獲得していけるのです。

Cookieがなくなる日のマーケティングとは?自社でリード取っていく時代へ 

MA(マーケティング・オートメーション)はファーストパーティCookieを健全に使用して、ユーザーの行動を把握しアプローチしていきます。しかし、MAは「新規リードになる前」の支援はしてくれません。あくまで新規リードを獲得した後、前述したフォーム入力をしたユーザーをトラッキングすることで、ユーザーの行動を教えてくれます。リード獲得後のユーザーにナーチャリングメールなどの育成・フォローをします。MAを導入するだけでは、新規リードは増えないのです。普通のMAはこのような「リード獲得後のトラッキングやナーチャリング」を支援くれるツールです。

MAの種類にHubspot(ハブスポット)があります。Hubspot(ハブスポット)はMAの中でも「新規リードに貢献してくれるMA」です。トラッキングやナーチャリング機能だけでなく、Web制作機能やCMSを持っているので、ホームページをHubspot(ハブスポット)上に実装できます(以下、ホームページと呼ばず、製品ページ)。つまり製品ページとMAがシームレスに連動して、新規リード獲得のために動いてくれるのです。

「新規リードを獲得できるしくみ」はMAだけを導入しても実現できません。Cookieがなくなるタイミングで、「自社でリードを取っていく時代」の、鐘の音がなっているように私は感じます。Hubspot(ハブスポット)を使えば、よりスピードアップして実現できますが、使わなくとも、自社で新規リード獲得を実現できる方法があります。それが「インバウンドマーケティング」なのです。

【Cookieが関係してくる主なマーケティング手法】
DSP広告(ターゲティング広告)
Googleリスティング広告
Facebook広告、Instagram広告
リターゲティング広告(リタゲ広告)
MA(マーケティング・オートメーション)
インバウンドマーケティング

次号の最終回、Vol.7ではCookieがなくなっても、新規リードが獲得できる手法:インバウンドマーケティングについて解説いたします。

※本記事のCookieとは、主にサードパーティCookieを指します。

※Webサイトにより「より良いサービス提供のためにクッキーを利用しています。同意をお願いします・・」と事前にユーザーの同意を得て、Cookie(クッキー)を利用している企業があります。本記事では「事前同意型利用」「同意なし型利用」「Cookieを利用していない」Webサイトは大別せず、一般論としてCookie利用の今後について解説していますので、ご了承ください。

※本記事は2021年5月7日の情報を基に作成しています。Cookie(クッキー)に関する詳しいお問い合わせは、各サービスベンダーのサイトからお問い合わせいただき、ご確認ください。

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