第4章 営業・マーケティングのやり方(新規営業・訪問編)

営業が新規アポを取るための2つのコツとは? インサイドセールスの導入方法

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営業は新規アポを取り、顧客に訪問し、新しい見込みにしていきたい。しかし顧客の購買プロセスは自分で情報収集をし、学びを続けていく。ニーズはあり、製品・サービスに対し興味は持っているのだが、営業から話を聞くタイミングではないと思っている。そんな顧客に対しどのようにすれば会うことができるのだろうか?新規営業についてここから触れていきたい。

新規営業で会ってくれる顧客とはどんな状態なのか?メールの効果

 第三章ブログで最大ボリュームの新規開拓・実行編の営業・マーケティングのやり方が理解できたと思う。インバウンドマーケティングを中心に企画と新規プロモーションを実行したら、製品ページのセッション数やPVは大幅に向上するだけでなく、リードやMQL(マーケティング・クオリファイド・リード)も増えるはずだ。MQL=問合せはHOTな状態になっているので、営業に早く渡し商談に進んでいってもらいたい。
 しかし新規プロモーションがうまくいき始めるとMQLにならない大量のリードが滞留してくる。これを滞留リードと言う。滞留リードを細かく分析していくとたくさんのパターンが見えてくる。あと少しでスコアリングMQLにもなりそうな滞留リードもあるし、ショットメールか電話でうまくアプローチすれば会ってくれそうなリードもあるはずだ。やはり滞留リードには営業がアポを取り会ってみて、話をしてみることが一番だ。では営業が新規アポを取るには、どのようなコツがあるのだろうか?

営業が新規アポを取るためのコツ①:MA(マーケティング・オートメーション)が顧客の動きを把握してくれる

イベントに来たリード、セミナーに来場したリード、問合せが過去にあったリードを表計算ソフトでリスト管理している企業は多いと思う。しかしこれらは過去の状態を示したものあり、現在その顧客がどう動いているかわかるものではない。セミナー直後のアンケートを見てすぐにアポを取るのなら表計算ソフトの管理で問題ないが、時間が経ってしまった過去の来場リストに対しアプローチしてもアポは取れない。その理由はリードの顧客が現在、どのような検討状態にあるかわからないからだ。現在、顧客は検討しているのか、興味関心を持ってきて検討を再開したのか、このように検討状態が少しでもわかると営業・マーケティングメンバーは動きやすい。このような検討状況が把握できるツールがMA(マーケティング・オートメーション)だ。

■MAのマーケティングステージ サブスクライバー → リード →スコアリングMQL又は一発MQL

■顧客の購買プロセス 認知・気づき →学び・興味・関心 →比較・検討 →購買

 上記はMAのステージ管理と顧客の購買プロセスの例だ。MAのマーケティングステージではリードの状態に対しアポを狙っていく。MAのいいところはこのようなアポを狙うステージ管理だけでなく、対象のリード顧客が製品ページ内でどのようにふる舞っているのかがすぐにわかることだ。「ふる舞う」とはMAでは顧客別の詳細な情報(個人情報やペルソナなど)が見れるだけでなく、どのページをよく見ているのか、どんな資料をダウンロードしているのか、どのメールに反応しているのかがすぐにわかる。スコアリングに設定した各フォーム項目の重みだけでなく、製品ページ別の重みをつけることもできるので、スコア管理をするとわかりやすい。

 これらをマーケティングステージ別のリスト化することもできるし、狙いたい上位顧客をリスト化してターゲティングすることもできる。前述したがこの手法をABM(アカウント・ベース・ドマーケティング)と言う。顧客の過去の売上や企業データーベースと連携して最新の業績からランク付けして、行くべき先に適切なタイミングでアポイントを取るというコツだ。営業部門が狙ってほしい顧客へアプローチできる。(本ブログでの詳細なABMの説明は割愛する)

 MAが導入されておらず、営業だけでリード顧客がどんな状態かを把握するならば、メールや電話又は訪問をして確認するしかない(リード顧客と表現するがリードと同じ意味)。MAはインバウンドマーケティングが実現できることがメリットであるが、もうひとつのメリットは1日数千から数万人が製品ページに訪れる顧客の動きをMAが記憶しておいてくれることだ。

 この顧客の動きを人的な作業で把握することはほぼ不可能だ。無償で使用できるGA(Google Analytisc)を使ったとしても、前述したようにページの把握はできるが顧客別のアクセス状況は把握できない。HOTリードの顧客が毎日価格ページを見ていたり、導入のためのサポートページを見ていたら、検討が進捗しているかもしれないことをMAは教えてくれる。しばらく製品ページに来訪していない「顧客セグメントAランク」の人が6ケ月ぶりに来訪したら、営業・マーケティングチームに通知がくる設定ができる。  興味・関心度合がかなり進捗していて、比較検討に完全に入っているリード顧客はアポが取りやすいステージだ。つまり過去の行動履歴も含め、現在の状態をMAがトラッキングしてくれているので、ショットメールや電話でアプローチすれば会ってくれやすいだろう。このように顧客の検討状況をMAで把握し、適切なタイミングでメールや電話をすることが、アポを取る一つ目のコツだ。

営業が新規アポを取るためのコツ② 徐々にアポにつなげていく育成方法「ナーチャリング」

 しかしこのような状態になっているリード顧客ばかりを待っていてもHOTリードは増えない。興味・関心はあるが資料ダウンロードから学んでいるだけの、もう一歩踏み込めない状態の滞留リードの顧客はたくさんいる。そんなリード顧客にはこちらからメールや電話で疑問点を教えてあげなければならない。滞留リードの顧客に対し個別のアクションを実行し、育成してあげる必要があるのだ。

 例えば「ルールと仕組みづくりで経費精算を効率化した事例」を資料ダウンロードしてくれたリード顧客に対し、「資料には記載できない他の事例顧客のルールをご紹介したいのですが、今週お電話を差し上げてもよろしいですか?」とショットメールをしたとしよう。もしショットメールに対し返信がなくとも、電話をすれば出てくれるかもしれない。

 電話がつながれば、他の事例顧客のルールを紹介し、少し現状の課題を聞いて「またこのような情報をご提供しますね」と言って電話を切る。決してすぐにアポを取ろうとせず、売り込みはせず情報提供をする。顧客とは関係構築を醸成し、顧客に経費精算ツールに興味関心を持ってもらうための育成活動に徹する。このような情報提供や情報収集活動を繰り返して、徐々にアポにつなげていく育成方法をナーチャリングと言う。

 ナーチャリングは長期視点で時間はかかるが、顧客との関係構築を作れ、アポの取りやすい活動だ。ナーチャリングをアポ取りの二つ目のやり方として実践してみよう。顧客の状態をMAで把握してメールや電話でアポを取るコツと合わせ、これら2つの手法を持ち、滞留するリードに対して適切にアプローチしていくべきだろう。

営業が新規アポを取るためには、インサイドセールスの導入なのか?

 しかしこのアポを取るための2つの手法は誰がやるのがベストなのか?リアルな商談対応に忙しい営業がこんな作業ができるのか?たくさんのプロモーションをまわしているマーケティングメンバーにこんな時間があるのか?この問題はどんな企業にも存在する。

 「時間があれば営業が対応しよう」というルールにしている営業部は実行しないだろう。理由は忙しい営業がMAを見て電話をしたり、メールをする時間がないからだ。そうするとMQLになるまで待っている状況は変わらず、滞留するリードを育成したり掘り起こしたりすることはできない。ではどのようにナーチャリングを実行すればいいのだろうか? ここでインサイドセールスの登場だ。次回のブログでインサイドセールスについて詳しく述べたいと思う。

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