BtoBで顧客単価や案件単価を上げるにはどんな方法があるのでしょうか。顧客単価だけでなく、案件単価、客単価、商品単価、SaaS単価といろんな種類がありますが、これらの単価の意味には違いはあるのでしょうか。そこで案件型のBtoB企業が顧客単価を上げる方法をご紹介していきます。顧客単価を上げる奇策はありませんが基本的な正攻法のやり方と、ひとつだけある 単価アップの秘策をご説明いたします。
顧客単価とは? いろんな単価の違いや種類を整理
今回は「BtoBで顧客単価と案件単価を上げる方法」というタイトルにしてみました。タイトルの通り、案件型のBtoB企業が顧客単価を上げる方法をご紹介しようと思いましたが、いろんなビジネスモデルの様々な単価の種類があることがわかってきました。
リピート型BtoB企業(ビジネス向け)もあったり、BtoCの小売・EC・飲食の企業(コンシューマー/消費者向け)もあったりします。最近ではBtoBでもBtoCでもクラウド・SaaS・サブスク型で月額課金していく企業も増えています。
調べていくといろんな単価の種類がありましたので、それぞれのビジネスモデルで呼ばれる単価の意味について整理してみました。
顧客単価とは? 【主にBtoB】
顧客が一度の購買で買ってくれる単価のこと。BtoBであれば、顧客が1回の商談で購入してくれる単価とも言える。
案件単価とは? 【主にBtoB】
顧客が一度の案件で買ってくれる単価のこと。BtoBであれば、顧客が製品・サービス・ソリューションを案件単位で購入してくれる単価とも言える。
客単価とは? 【主にBtoC】
客が一度の購買で使ってくれる単価のこと。BtoCであれば、客が1回の飲食で使ってくれる単価とも言える。
商品単価とは? 【主にBtoC】
客が一度の購買で使ってくれる商品の単価のこと。BtoCであれば、客が1回の小売で購入してくれる商品の単価とも言える。
SaaS単価とは? 【主にBtoB】
顧客が一度のSaaS利用(クラウドやサブスク)で買ってくれる月額単価(又は契約期間で割った単価)のこと。BtoBであれば、顧客が1回の商談で購入してくれるSaaSの単価とも言える。
顧客生涯価値(LTV)の平均購買単価とは? 【主にBtoC】
顧客で購買頻度が毎月だったとして、継続契約期間が2年だとすると購買金額を24回で割った平均の購買単価のこと。BtoCであれば、健康食品販売のECの顧客が1回の平均購買の単価とも言える。
このように「単価」と言っても様々な単価の種類があることが見えてきました。本記事では案件型のBtoB企業が顧客単価を上げる方法、つまりBtoBで顧客単価と案件単価をイコールと考え、顧客単価と表記し、単価を上げていく方法をご紹介していきます。
案件型のBtoB企業が顧客単価を上げる方法
案件型のBtoB企業が顧客単価を上げるには、どのような方法があるのでしょうか?顧客単価が上がるということは、企業の売上が向上します。どんな企業でも顧客単価の向上は目指したいものです。しかし、顧客単価を上げる方法に奇策はありません。なぜなら、単価の価値は顧客が決めるため、奇をてらうような手法で単価アップにつなげることは不可能だからです。
例えば100万円のA製品と150万円のB製品では、「いくらなんでもB製品の150万円は高すぎる」と顧客が判断すれば、単価の価値の高い方はA製品になります。
また1,000万円のA製品・サービスと1,500万円のB製品・サービスでは「安い方がいいけれど、B製品・サービスの機能や内容は評価できる」と顧客が判断すれば、単価の価値の差はありません。このように単価の価値は最終的には顧客がするので、顧客単価を向上させる奇策はないのです。
BtoBで顧客単価を上げる方法に奇策がないとすると、企業努力の価格設定と営業が製品価値を伝えていく正攻法しかありません。ビジネスの売上金額算出の基本は「単価×数量」です。数量が増えれば売上は向上しますが、このモデル定期的に購入される小売業や卸売業のような、単価の安いリピート型のBtoBモデルになります。
つまり、案件型のBtoB企業は「1つの案件」を追っていくため、数量を増やすことはできません。よって数量ではなく、顧客単価を増やしていくしか売上を向上させる方法はないのです。
製品・サービス・ソリューションを販売する案件型のBtoB企業が、顧客単価を上げる方法にはどのようなやり方があるのでしょうか?
製品・サービス・ソリューションの機能や内容を強化する
製品の機能強化し・サービスの内容を更に充実させ、製品・サービスを複数組み合わせたソリューションの連携価値を高め、顧客単価を上げる
IT企業のシステム開発であれば、開発者の単価を上げる
採用費や外注費の高騰から人件費は上がってきているので、開発者の単価を上げてもらう
各コスト上昇の背景から、値上げを説明し見積もりをする
為替変動や原材料費・光熱費の高騰を受け、各種コストが上昇していることを説明し、見積もりに反映させる
製品・サービスの市場を活性化させ、売り手市場にしていく
市場そのものが人気市場であり、製品・サービスが売れているので、顧客単価が自然の上がっていっても顧客も納得する
案件型で数量を増やしづらいのならば、このようなBtoB企業努力の価格設定と、営業がしっかり顧客に伝えていくしか方法はありません。顧客単価を上げるのに奇策はなく、地道にコツコツとやっていくしかないですね。
しかし、案件型のBtoBモデルだからこそできる、顧客単価を上げる秘策がひとつだけあります。ここまで読んでいただいたみなさんに、ご紹介いたします。
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単価アップの秘策はひとつだけある
★案件型のBtoBモデルだからこそできる、顧客単価アップの秘策がひとつだけあります。この単価アップの秘策はリピート型BtoBモデルや小売・飲食・ECのBtoCモデルではできません。なぜなら、案件型のBtoBモデルだけは、顧客に提案ができるからです。
提案とは案を提ずることです。「案を出すならリピート型BtoB企業や小売・飲食・ECのBtoC企業でもできますよ」という声が聞こえてきそうです。たしかに接客モデルでも数量で稼ぐモデルでも、案を出すことはあります。
しかし、案件型のBtoB企業の提案レベルの深さは、このような企業とはまるで違います。デモやヒアリングを繰り返して、提案書やプレゼンを行うIT企業の提案や、図面設計やパース図作成・積算見積を行う建設業、試作機を作り完成メーカーに試作提案を繰り返す部品企業など、案を提ずる提案レベルが深く、時間もかかるのです、
その繰り返される提案の中で、提案の価値を顧客に認めてもらう方法こそが、単価アップの秘策です。つまり、「顧客単価を上げる前に、提案の価値を先に認めてもらう」ということです。
「仕入原価向上から顧客単価が上がってしまいます」のやり方は、前述した案件型のBtoB企業が顧客単価を上げる方法でしたが、この秘策は全くの逆です。提案している製品・サービス・ソリューション、ビル・マンション・建物の物件などの価値を先に認めてもらい、顧客が認めている価値に合わせた単価や金額で提示するやり方です。
顧客が提案の価値を認めてくれているのならば、「単価が上がります」「値上げします」と伝えなくてもいいかもしれません。大きな案件型提案になると競合他社が必ずいますので、金額の比較になります。競合他社よりも提示金額が高くとも、単価アップされた提案の価値が顧客に認められれば、顧客単価は結果的に上がっているわけです。
案件型のBtoB企業しかできない顧客単価を上げる方法ですが、ぜひ「単価アップの前に、まず顧客に価値を届ける」という提案手法を実践してみてください。
まとめ
「BtoBで顧客単価と案件単価を上げる方法 奇策はないが秘策あり」と題して、ご紹介してまいりました。顧客単価には顧客単価、案件単価、客単価、商品単価、SaaS単価といろんな種類があり、単価の意味や違いがありました。
案件型のBtoB企業が顧客単価を上げる方法には奇策はなく、BtoB企業努力の価格設定と、営業がしっかりと製品価値を顧客に伝えていくしか方法はありませんでした。顧客単価を上げるには、地道にコツコツとやっていくしかないのが基本です。
しかし、案件化BtoBだからこそできる単価アップの秘策はひとつだけありました。「単価アップの前に、価値を届ける」という提案手法を、みなさんもぜひ実践してみましょう。営業の発想を「価格があって、製品価値を説明する」から、「ソリューションとしての価値を伝え、そして価格を提案する」に変えてみてはどうでしょうか。
‘提案の価値を顧客に認めてもらってこそ、顧客単価の価値も決まる’ この言葉を忘れないでください。
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