営業マネジメント

PDCAサイクルは古い?時代遅れ?新しく代わる手法をご紹介

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PDCA

PDCAサイクルという言葉があります。「PDCAは古いし、時代遅れだよ」という言葉も耳にしますが、本当にそうなのでしょうか? 「PDCAをまわす」に対して、新しく代わる手法としてOODA やPDRというものも登場しているようです。そこで、PDCAとOODA ・PDRの違いをご説明しながら、組織で目標を達成するためのフレームワークや方法論をわかりやすく図でご紹介していきたいと思います。

本記事では、みなさんにわかりやすくイメージしていただくため、営業組織やマーケティングチームのPDCAを例にご説明していきます。

PDCAとは?わかりやすく紹介

PDCAとはPlan計画→Do実行→Check評価→Action改善の略で、PDCAはアルファベットの頭文字から名づけられています。PDCAをわかりやすく言うと、企業内の様々な業務をまわすための手法やフレームワークであり、仕組みづくりの基礎と言えます。

営業であれば、PDCAで実践するべき主な内容は以下の通りです。

  • Plan(計画) 営業方針、ターゲットリスト、活動計画、受注計画等を立案し作成
  • Do(実行)  営業活動を実行する、自らが感じて行動する
  • Check(評価) 営業会議でチェックする、レビューする、振り返る
  • Action(改善) どのように改善して、次のPDCAにつなげていくか決める

PDCAサイクルとは? PDCAをまわすとの違い

PDCAサイクルとは、業務をまわすための仕組みの周期です。周期とは、営業を例にすれば、目標を達成するための営業活動の週間予定、月間や年間の予算管理等を期間のことです。営業の周期、つまり営業の目標を達成するため週間・月間・年間等のサイクルにPDCAを使います。
 
PDCAをまわすという言葉もありますが、PDCAサイクルを略して、PDCAをまわすという言い方が定着しています。‘PDCAサイクル‘と‘PDCAをまわす‘の違いは、さほど大きな意味はありません。PDCAサイクルやPDCAをまわすという言い方はどちらでも伝わりますし、「PDCAをまわそう!」という言葉の方が一般的だと思います。

PDCAは古いかもしれないが時代遅れではなく、良いビジネスの取り組み

PDCAで大事なのは、営業の目標を達成するために週間・月間・年間等のサイクルを合わせ、PDCAをうまく活用する意識を持つことです。計画→実行→評価→改善を個人で繰り返していけば、営業の目標に近づいていきます。

PDCAは組織の仕組みにも重要な方法です。仕組みとは、組織の役割と責任をツールとルールに落とし込んで、目的を達成するため回し続けられるシステムのことです。システムとはITやDXの意味合いよりも、様々なやり方を活用して組織全体が自然と毎週・毎月まわっていくことです。つまり、目標を達成するためにPDCAを活用し、組織でシステムを回し続けることも、仕組みの中の手法のひとつと言えます。

仕組みづくりについての詳しい内容は下記記事をご覧ください。

仕組みづくりとは?ビジネス活用の意味を理解して実践しよう

PDCAは昔からある古い手法かもしれませんが、決して時代遅れではありません。なぜなら、PDCAはP(計画)から始まるところが営業に合っていますし、D(実行)が重要な営業の活動の振返りに向いているからです。一番なじみもあるので営業組織やマーケティングチームには良い手法だと思います。

または、工程やタスク等のやり方がある業務やプロジェクト管理にPDCAは向いていると言えます。ビジネスを成功に導く、良い取り組みができるのがPDCAのメリットなのです。

しかし、一般的にはPDCAは古く、時代遅れと言われています。その背景にはPDCAに変わる新しいフレームワークが登場してることが深く関係します。

OODAとPDCAの違い PDRも登場!変わっていくフレームワーク

PDCAに代わる業務をまわすための新しいフレームワークに、OODAが登場しています。OODAとはどんなもので、PDCAとの違いは何なのでしょう?

OODA

  • Observe(観察)
  • Orient(状況判断)
  • Decide(意思決定)
  • Act(行動)

ジョン・ボイド氏というアメリカの航空戦術家が考えた手法で、戦闘機同士の対決の勝率を高めるために登場しました。PDCAのDo(実行)が営業には大切です。なぜなら、営業活動や行動を増やし、‘実行’をしないと結果に結びつきにくいからです。

OODAの特徴は「Aが行動」になっている点です。組織が定めている営業活動と自ら感じて動く行動は違います。「活動と行動の違い」の詳しい内容は下記記事をご覧ください。

営業活動とは? 活動と行動は大きく違います!その意味と基本を解説

自ら感じて自然と動く「Act(行動)」がさいごにポイントになっているのが、OODAの手法の強みです。そして、「Act(行動)」の結果により、Observe(観察)に戻り、調査したり改善したりして決めた内容を行動に移します。

現在のビジネスシーンでは、小さなチームでチームリーダーとメンバーでスピード感を持って取り組んでいくケースが増えています。迅速な行動を求められ、営業チームや外部環境の変化が激しい生成AI・ベンチャー開発のような取り組みに向いていると言えます。

PDCAとOODAの違いは以上の通りですが、PDRという新しいフレームワークも登場しています。PDCAの簡易版「PDC」にも似た名称ですが、PDRとはどんなものなのでしょう?

PDR

  • Preparation(準備)
  • Do(実行)
  • Review(評価)

PDRの特徴はPDCAのCheck(評価)とAction(改善)が、Review(評価)にまとめられている点です。そして、もうひとつのポイントがPはPlan(計画)ではなく、Preparation(準備)だということです。

つまり、計画に時間をかけすぎず素早く実行に移し、個人と組織でReview(評価)し、小さく速く業務にまわしていくという狙いがあります。最近では「レビュー(Review)をしてください」という言葉がビジネスシーンで一般的になっており、「確認と評価をしてください」「振り返る時間をください」という意味でよく使われています。

ここで一度、OODAとPDRの良いところをまとめてみます。

【PDRとOODA 総括】

  • OODAもPDRもスピード感を持って、目的を達成するための動くことを重視している
  • OODAは活動ではなく、Act(行動)が大事なポイントであるところが良い
  • PDRはCheck(評価)とAction(改善)をしないチームや個人を防ぎ、Review(評価)=レビューを実践し増やしていくところが良い

みなさんの業務やプロジェクトに合う新しいフレームワークとして、OODAもPDRを取り入れてみてはいかがでしょうか? 「行動する」「レビューする」というポイントを設けるところは、素晴らしい考え方だと思います。

CとAばかりを確認しているあなたへ

OODAやPDRのように時代に応じて変わっていくフレームワークが登場していますが、やはり組織でよく使われている手法はPDCAです。営業組織やマーケティングチームに対し、PDCAの良い部分はPlan(計画)とDo(実行)です。

なぜなら、営業組織やマーケティングチームは年間の売上予算を達成するために長期にわたって動くので、Plan(計画)をしっかりと立てなければならないからです。営業であれば営業方針、活動計画、受注計画等の長期間の計画を立案します。中期経営計画(3年)と合わせて、1年目、2年目、3年目と計画を立てる営業組織もあるように長期視点で計画をしていきます。

マーケティングチームもプロモーション施策の計画を1年分、立てていきます。展示会やイベントの予約が必要なケースであれば、2年越しで計画することもあります。つまり、Webマーケティングや広告施策、セミナー立案、展示会出展等を長期視点で細かく計画していくのです。

営業組織とマーケティングチームにはPlan(計画)は大切な作業であり、Plan(計画)に沿ってDo(実行)していくことが更に大事なポイントになります。

しかし最近、Check(評価)とAction(改善)ばかりをしている営業組織やマーケティングチームをよく見かけます。主に営業・マーケティングの管理職やマネージャーだけでなく、営業組織やマーケティングチームのまわりにいる管理部門や企画部門がCとAばかりを確認しているのです。

先日はマーケティングチームの担当役員(CMO)がCheck(評価)とAction(改善)ばかりをやっていました。「なぜ、できないのだ?」「もっとこうした方がいい」「次は●●施策をやりたいから、準備して」という感じでした。

部下のマーケティングメンバーは私に対して「うちのマーケティングチームにはPlan(計画)がないのです・・。Plan(計画)を出してほしいです」と嘆いていました。従って、Plan(計画)のないDo(実行)が続き、残業だらけでチームは疲弊していきました。

営業組織でも「なぜ、うちの営業はダメなんだ」「他の会社はこうしているらしい」「だから、競合負けするのだ」と、多数のCheck(評価)と責任感のないAction(改善)を会議で浴びせていました。この営業組織もPlan(計画)のないDo(実行)が続くので、受注数字はいっこうに回復してきませんでした。

このように、PDCAをまわすどころか、CとAばかりを確認しいる営業組織やマーケティングチームは意外に少なくありません。Check(評価)とAction(改善)はほどほどにして、営業・マーケティングチームにはPlan(計画)とDo(実行)が重要であることを再認識しましょう。

Plan(計画)とDo(実行)をしっかりやって、その後、振り返り、レビューをして改善していくのがPDCAをうまく回している組織と言えるでしょう。

PDCAに代わるものを図でご紹介 PDCA+H Howが大事

PDCAが営業組織やマーケティングの代表的なフレームワークであり、目標を達成するための仕組みづくりに有効だと思います。PDCAに代わるものとして、OODAやPDRも登場していきました。ビジネスのスピード感は上がってきているので、展開の速いプロジェクトや業務にはOODAやPDRは有効だと感じています。

OODAやPDRのやり方が組織に浸透している企業は、更なる活用を追求していけば良いでしょう。なぜなら、OODA のAct(行動)、PDRのReview(評価)=レビューは良い考え方だからです。

しかし、日本人にはPDCAという言葉やり方が浸透していますし、営業・マーケティングにもPDCAが合っています。私はPDCAをまわすという手法がわかりやすく、最も目標を達成するための近道ではないか? と感じています。

私は数多くの営業組織やマーケティングチームを見てきていますが、OODAやPDR、PDCAにもない言葉で不足していることが、ひとつあります。それは「How(どのように)」です。

OODAの意思決定、PDRのレビュー、PDCAのアクションの中に「How(どのように)」は出てくるかもしれませんが、どれもハッキリと「How(どのように)」という言葉は登場していません。

「レビューや改善後はどのように(How)実行するの?」というように「How」が抜けて、計画に戻っていく営業メンバーやマーケティングメンバーを何度も見てきました。

「How(どのように)」 ※を次のアタマにつけて読んでください。

  • 営業の計画を見直すのか?
  • 営業は実行や活動をするのか?
  • マネージャーはレビューやチェックをして、指示を出すのか?

私は日本の営業組織・マーケティングチームにPDCAに代わるものはないと考えています。しかし、PDCAに代わるものとして「How(どのように)」を加える、PDCA+Hを提唱しています。「How」という言葉を個人も組織ももっと口にすることが大事ではないでしょうか?

PDCAに代わるものとして、PDCA+Hを図でご紹介しています。みなさんの営業組織・マーケティングチームに「How(どのように)が大事」ということを認識いただき、次の図1をご覧いただきながら、一度、議論いただければ嬉しいです。

PDCA-H

まとめ

「PDCAサイクルは古い?時代遅れ?新しく代わるものをご紹介」と題して、ご紹介してまいりました。PDCAサイクルには日本企業が昔から取り組んでおり、標準言語として理解しやすいものです。従って、古いやり方で時代遅れかもしれませんが、計画重視の業務や工程やタスクが存在するプロジェクトにはPDCAサイクルは向いていると言えます。

そして、OODA やPDRという新しいフレームワークも登場しています。 OODAは活動ではなく、Act(行動)が大事なポイントであるところが良いです。PDRはCheck(評価)とAction(改善)をしない組織を撲滅するために、Review(評価)=レビューを実践するところが
素晴らしい考え方だと思います。

PDCAに代わるものは、私はないと感じています。しかし、図1でご紹介したようにPDCA+H 「How(どのように)」を営業組織やマーケティングチームのマネージャーやメンバーで議論することが大切です。H=Howを標準言語としてチームで活用し、目標を達成するための手法として使っていただければと思います。

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