初回訪問の新規営業をする時、「これをやろう!」ということよりも、「これはやってはいけない」から習得した方が良いと言われている。それはなぜだろう?「やってはいけない初回訪問」と題して、初回訪問でやってはいけない新規営業をたくさん紹介していきたいと思う^ |
目次
営業は「やってはいけないこと」から身につけていこう!
初回訪問に必要な準備がパターン化できて、短時間に初回訪問シナリオもできた。聞く項目、ヒアリング項目もアタマに入れた。 3つの距離と感覚もバッチリ理解できた。これで準備は万全だ。あとは初回訪問の1時間で自社製品・サービスの説明をしっかり行い、顧客の期待に応え、2回目訪問以降の提案フェーズに進められれば、初回訪問は合格だ。しかしこれは初回訪問の結果だ。良い結果を出すためには良い準備に加え、良いやり方が必要になってくる。ではどのようなやり方で1時間の初回訪問:新規営業を進めていけばいいのだろうか?
毎回、最後に登場する「本日のやってはいけない〇〇営業」でも伝えているが、営業は「やっていけないこと」の方が早く身につくと言われている。なぜかというと、やれ!と言われたことよりも、やってはいけない!の方がシンプルに自分の中に入ってきて、習得しやすいからだろう。それでは「やるべきこと」の前に、初回訪問中に「やってはいけないこと」を「新規営業マナー編」と「説明テクニック編」の2つに分けて、伝えていきたいと思う。
初回訪問でやってはいけないこと「新規営業:マナー編」
受付前には集合しない!
2名で訪問する場合(例:上司と部下)は、商談に入る前に初回訪問のシナリオ確認や事前情報を共有するべきだ。お互いの役割や進め方の事前確認をしないと、言っていることがバラバラになり、顧客のイメージが悪くなるからだ。そのために集合場所は顧客の受付前ではなく、訪問するビルの1階に集合した方がいい。なぜ1階がいいかと言うと、顧客の受付前のフロアにいると、受付の人に聞こえてしまうかもしれないし、廊下を歩いていた顧客に会って「〇〇さんですか?」と先に会議室と通されてしまい、シナリオ確認の会話ができないことがある。ビルの1階に10分前に待ち合わせして、2名で会話をしてから入ろう。
初回訪問前に、他の相談をしない!
ビル1階に10分前に待ち合わせした直前には、初回訪問以外の相談事や無駄話をしないようにしよう。ビルの1階でよく部下が上司に「午前中に行ってきた商談の件を話していいですか」と相談してくるケースがある。上司もすぐに相談にのってあげたいので聞いてあげていると、バタバタと初回訪問に入ってしまう。これではシナリオ確認どころではない。「今はこれからの商談に集中しよう。終わってから聞くよ」と伝え、まずは初回訪問のシナリオ確認をするべきだ。
松下幸之助氏は創業当時、電球を売り歩いていたときに、新規営業がうまくいかないことが多かった。「なぜさっきの商談はうまくいかなかったのだろう」と悩みながら次の商談に入ると、次もうまくいかないことがほとんどだったそうだ。うまくいかなかった直前の商談や昨日の商談のことはいったん忘れて、その商談に集中するようになるとうまくいくようになったとか。準備から商談直前までは松下幸之助氏の「その商談に集中しなはれ」の精神で初回訪問に臨もう。
パソコンを最初から開いて待たない!
全くの初対面の初回訪問なのに、商談ルームに通されたらいきなりパソコンを広げて座っている営業がいる。中には3人来て3人ともパソコンを広げている営業もいるし、電源まですでに借りている無礼者もいる。このような営業を私は「いきなりパソコン営業」と呼んでいる。すぐに話ができるように準備をしているとも言えるが、営業も緊張していてパソコンを開いていないと不安なのだと私は思う。
パソコンから資料を投影して説明をする場合や議事録を取る場合でも、まずはパソコンを閉じておいて、最初の5分はアイスブレイクで少し会話した後に、パソコンを開くことにしよう。顧客は安心して、説明を聞けるはずだ。
デスクトップが汚い営業は外に出すな!
説明するパソコンのデスクトップが汚い営業はダメだ。汚いとはデスクトップにやたらファイル名を貼り付けていることを指す。こういう営業には必ず、顧客の会社名のファイル「〇〇製作所提案書」「〇〇商事見積」がデスクトップに多数存在する。以前、部下に注意すると「拡張モードでプロジェクタをつなげるの映りません」という営業がいたが、結局、拡張モードのつもりが複製モードになっていて、デスクトップが映ってしまっていたので、やめるように注意した。直接ノートパソコンの画面を見せてデモをする時もある。だからダメなのである。
また、メールが通知されたら右下のポップアップモードをオンにしていて、メール件名に顧客名が出ている営業もいる。 このような営業に対し顧客はどう思うだろう?「この営業と取引をしたら、うちの会社名もこのようにデスクトップに表示されるのか」と不安に感じるのだ。つまり初回訪問での期待に応えるどころか、セキュリティ面の信頼が急降下するのだ。内勤の人はいいが、顧客の接する機会の多い営業はデスクトップを綺麗にして、ポップアップはオフにして商談に臨むようにしよう。とにかくデスクトップが汚い営業は、外に出してはダメだ(笑)
初回訪問でやってはいけないこと「新規営業:説明編」
いきなり説明をしない!
名刺交換をしたらいきなり説明に入る営業がいる。このような営業を私は「いきなり説明営業」と呼んでいる。先述したが少し世間話や季節の会話でもしてブレイクスルーをしよう。初めて会う顧客は少しでも「親近感も作ってほしい」と思っているのだ。
そして「いきなり説明営業」の中には、最初に言葉だけで10分間も話すことがある。顧客は「聞く=聴覚」だけイメージすることは非常に疲れる。画像共有がないWeb会議でヘトヘトになることに近い。詳しい説明に入ってやっと資料が出てきても、言葉と資料が全く合致しておらずバラバラだったりする。初回訪問の目標である「顧客に想像(イメージ)してもらうこと」に最善を尽くさない新規営業の典型的なパターンだ。
まず顧客が初回訪問の説明を聞きたいと思った経緯や背景の確認をしてほしい。事前に考えてきた初回訪問のシナリオにAパターンやBパターンがある企業は情報整理をするための会話に徹しよう。最初の5分は顧客と親近感を作り、情報確認をする黄金の時間帯なのだ。
資料は先に配らない!
せっかくプロジェクタや画面を顧客からお借りできたのに「資料を先に配る営業」がいる。資料だけで説明する場合はOKだが、先に配ると相手もまだ緊張しているので、目は下に向き、前方の画面を見てくれない。まずは画面で説明して、後半の会話の時に資料を渡すべきだ。「資料はないの?」と顧客に言われたとしても自社の製品サービスをしっかり伝えることが目標だから「資料はご説明後にお渡しいたします」と堂々と言えばいい。資料配布を前にするか後にするで、伝わり方が全然違う。後で渡すことが初回訪問:新規営業のベストな進め方だと信じてほしい。
製品ページ(ホームページ)で説明しない!
せっかくプロジェクタや画面で説明できるのにいきなりインターネットに接続し、自社ホームページの「製品ページで説明する営業」がいる。これは初回訪問の期待値が一気に下がる。顧客は製品ページをしっかり見てくれている。製品ページやダウンロード資料ではもうイメージがつかないので、営業を呼んで話を聞きたいと思っているのだ。
ところが製品ページで説明されると「もうそれは見たぞ!」となり、完全に顧客の期待を裏切る展開になっている。製品ページに記載がなく、ダウンロード資料にもない、初回訪問:新規営業専用の製品・サービスの説明資料を顧客に届けよう。
初回訪問では出し惜しみをしない!
初回訪問‘前’に次のアクションを自分で決めこんでいる営業は意外と多い。「今日は基本説明だけで終わらせて、デモは次回に」とか「詳しい価格説明は2回目で」という、初回訪問ですべてを伝えない営業のことだ。次に持っていくものがないので、すべてを出したくないのだろう。顧客は限られている時間で、競合企業との比較もしたいはずなのに、これではスピード感がない。
もうひとつ意識しなければいけないのは「顧客はたくさんの価値を感じて決めたい!」と思っていることだ。これは今の時代に営業が超えていかなければならないステップなのである。例えば初回訪問で良い製品だと感じた。2回目のヒアリングでもしっかりと問題点を聞いてくれた、提案も素晴らしい、価格も値引きをしてくれてお値打ち感もあった、など受注するまでにやることは、いくらでもある。
顧客は決定するまでにたくさんの確認をして、たくさんの価値を感じたいのだ。1時間でできる限り、製品・サービスのたくさんの価値を伝えることに徹底して、2回目以降の商談もたくさんの価値を積み重ねる作業をしてほしい。
見積書と提案書を自分から出しますと言わない!
初回訪問後の次のアクションで更に間違っている営業がいる。初回訪問終了間際に、顧客と合意できる次のアクションがなかったため、顧客に頼まれてもいないのに「次回は提案書を作ってきます」「見積を持ってきます」とムダな作業を請け負う営業のことだ。顧客はもらえるなら「じゃあお願いします」と言うかもしれないが、まだ見積のタイミングではないだろう。製品・サービスの概算費用は初回訪問で伝えるが、特に見積書は顧客が見積をしてほしい!というまで出さなくていい。
前述したようにまずは製品・サービスの価値を顧客に伝えることが重要であり、見積書や提案書は最後だ。私はこのような営業を「見積だします&提案書つくります営業」と呼んでいる。こんな営業に限って、決まらない見積を一生懸命作っている(泣)。次のアクションは営業が顧客視点で考え、顧客と合意した内容にしていこう。
初回訪問では「課題」と言わない!
初回訪問でやってはいけないことの最後が、初回訪問では「御社の課題は何ですか?」と「課題」と言わないことだ。課題とは現状の業務やシステムの問題点などが、キッチリと整理された状態のことだ。いきなり「御社の課題は?」と聞くと、顧客は「それを整理してくれるのがプロの御社ではないの?」となり、マイナスイメージになる。
初回訪問では「御社の課題」とは言わず、「御社の問題点は何ですか」と聞いた方がいい。初回訪問と2回目訪問以降で、いくつかの問題点を理解し整理できてきてから「御社の課題は!」と口にしよう。そして皆さんの製品・サービスで課題解決できればサイコーだ!
まとめ
初回訪問でやってはいけないこと「新規営業:マナー編」「新規営業:説明編」を説明したが、私が新規営業をする時や、営業を受ける時に、このようなケースは多いと感じている。やってはいけないことは、スパッとやめられるのでぜひ実践してほしい。次のブログではいよいよ初回訪問でやるべきことを2回に分けて説明していきたい。様々なテクニックを組織の標準化や自分流にアレンジして習得していこう!
本日の「やってはいけない〇〇営業」
営業はやるべきことよりも、やってはいけないことの方が早く身につくと言われている。〇〇営業と称するので、こんな営業にはならないように気をつけてほしい。今回はテーマがテーマだけに、かなり多い・・(泣)
「いきなりパソコン営業」 →初回訪問の部屋に入ったら、いきなりパソコンを広げて待っている営業のこと。複数名いるとサイバー攻撃でも仕掛けてくるつもりか?と感じる。
「デスクトップが汚い営業」→ 昭和の営業が初めてパソコンを覚えた時のように、デスクトップの位置でファイル管理をしている営業のこと。営業のマル秘情報オンパレートのファイル名が並んでおり、顧客を不安に感じさせる。
「いきなり説明営業」→世間話もアイスブレイクも何もなく、顧客に初回訪問の経緯も聞かず、いきない説明を始める営業のこと。言葉と資料も合っていないことが多い。
「見積だします&提案書つくります営業」→正しい次のアクションを顧客と合意できないため、次は提案書か見積書を作ることしか、切り出せない営業のこと。自分から「提案書にしましょうか?」と言うことが多く、顧客からは依頼されたことがほとんどない。
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