第3章 営業・マーケティングのやり方(新規開拓・実行編)

懇親会営業のやり方とは? 

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人から入る営業の新規開拓活動は7つある。その中で効果的な活動に懇親会営業がある。「呑みながら営業すること?」「夜の付き合い?」ではない。ビジネスマナーを守った、礼儀正しい懇親会営業について、ぜひ実行してみてほしい。ビジネススキルとして必要な力である。

人から入る新規開拓の重点活動「懇親会営業」とは?

チームが強くなる営業・マーケティングのやり方 第3章「新規開拓・実行編の最後の話になる。その最終話が「懇親会営業という耳慣れない活動とは何?」「呑み会と営業の話?」と思う人もいるだろう。まずは第2章の企画のやり方で「人から入る、新規開拓のためのプロモーション企画」を振り返ってみたい。

コロナの空いた、ビジネスで交流できる懇親会はほとんど中止になった。しかし、これからは懇親会の開催は完全復活する。その時に備えて、読んでみてほしい。

■「人から入る、新規開拓のための7つのプロモーション企画」

(1)新規ターゲットリスト

(2)既存顧客クロスセル・アップセルターゲットリスト、カスタマーサクセス

(3)業界団体活動

(4)懇親会営業

(5)パートナー営業

(6)役員人脈

(7)顧客からの紹介

この7つの新規開拓は営業部が考えるべき新規プロモーションだが、どれもまずターゲットリストを作成して営業個人がリストと向き合う時間をしっかり取ることが重要だ。ターゲット先が頭に入らないと新規顧客の攻め方もイメージできない。

ターゲット先を頭に入れることができたら、最もチームでしくみにしやすい新規開拓のやり方が、(3)業界団体活動と(5)パートナー営業に(4)懇親会営業を組み合わせたものだ。

加盟した業界団体やパートナーイベントの最後に立食パーティスタイルの懇親会がある。その懇親会で、参加者と名刺交換をして、交流から次の訪問につなげるやり方が懇親会営業である。

先にお断りしておくが、他の団体や会社が団体交流のために開催し、パートナー交流のために費用をかけて懇親会を開いてくれている場所に、営業目的にいくことは大変失礼な話である。懇親会営業のやり方を説明している私もそう思う。

しかし、よく知らない懇親会を狙って、名刺交換をやっている懇親会荒らしのような営業もいるが、それとは違う。業界団体やパートナーに招待されて関係構築もできている場所で、礼儀を守り交流をすることを懇親会営業と私は呼んでいる。招待を受けた懇親会が前提で、ルールと礼儀を守り新しい出会いを求めていってほしい。礼儀正しくマナーを守り実行する「懇親会営業」のやり方を今から説明したいと思う。

懇親会の交流の心がまえは?役職者同士しか参加できない?

まず懇親会はターゲット顧客の役職者が参加することが多い。それなりのポストに就いている経営者や部門長が参加するので、相手の質が高いことが特徴だ。「経営者が多いのであれば、こちらも経営者がいくべきでは?」という人がいるが、それはその通りだ。経営者同士の方が自然なので、懇親会営業には営業担当役員や営業部長に行ってもらう方がいい。

しかし、一般メンバーの名刺で格がない人や、役職のない営業でも参加してかまわないと私は思う。失礼ではないし、礼儀やルールを守っていれば、若い営業の方が爽やかで元気で、逆にいいぐらいだ。私はよく若手営業を連れて行く。ではどのように振舞えばいいのだろうか?   

まず心構えとして大事なことは懇親会で知らない人と名刺交換することを「苦手で恥ずかしい」「立ち回れないし、やりたくない」と感じないことだ。上司に行け!と言われているからイヤイヤ名刺交換にまわっています・・と思っている営業がいたら、その雰囲気がモロに出てしまうので行かない方がいい。自分の人生なのだから、新しい人と会えることを良いチャンスと思う心構えが大事だ。知らない会社の経営者と交流できる素晴らしい機会だと思い、前向きに参加しよう。それでは順番にやり方を説明していきたい。

懇親会営業のやり方① 準備

懇親会の前にセミナーをやっているスタイルがほとんどだ。もちろんセミナーに参加することは基本マナーだからまずはセミナー参加しよう。そこで仲のよい業界団体やパートナー会の運営者がいたら、主催側の参加者リストをこっそり見せてもらおう。個人情報なのでリストそのものをもらうことはできないが、そのリストには会社名・役職・氏名が書かれているはずだ。

ここで「自社ターゲットリストと向き合う」ことができているかどうかが勝敗を分ける。「ターゲット先のあの会社の役員がきている」を見つけるのだ。もし担当営業に紹介してもらえるようなら自然に名刺交換することができる。ここまでの準備をセミナー中にできればサイコーだが、リストはなかなか見せてもらえない。実際の懇親会で自分の動きで出会いを見つけられるようにするのがセオリーだ。   

その他の準備としては、複数メンバーで対応する場合はなるべく名刺交換をするテリトリーを決めよう。私は2名で行く場合は前の方のテーブルは私が担当し、後ろの方のテーブルは部下に担当させたりする。テリトリーを決める理由はなるべく名刺交換者が被らないようにして、多くの人と交流するためだ。会場のL字型で前後を決めたり、テーブルの右左の場合もある。そしてセミナーが終了する前か、終了したらすぐクロークにカバンを預けて、一番に会場に入るぐらい、早めに入場しよう。

懇親会営業のやり方② 開演前の交流

スタートダッシュして会場に入る理由は懇親会開宴前が、一番ゆっくり話せる時間だからだ。開場して、懇親会の挨拶が始まるまでは10分ぐらいはある。懇親会営業の入り方は大事だし、一人と名刺交換ができるとその後は自然と二人目にいける。「開園前の静かな時にお名刺交換よろしいですか?」と言うと、立食パーティー型の懇親会は交流することが目的でもあるので、積極的に自然と名刺交換をしてくれる。開演前に5名ぐらい名刺交換ができると、乾杯後の名刺交換も前向きに自分自身がノッてくる。

懇親会営業のやり方③ 乾杯後の交流

乾杯前も後も名刺交換ではどんな話をすればいいのだろう。お互いの名刺の表裏を見ながら3分程度の会話をしていくわけだが「〇〇様の会社はどんなお仕事をしているのですか?」と先に聞いてあげるのがスムーズに会話が始まる。自分から先に会社の紹介をしてもかまわない。

懇親会営業の目的として大事なことは「もう一度、この人に会いたい」と記憶してもらうこと、この1点に尽きると言ってもいい。自社の製品・サービスを覚えてもらって、また詳しく聞いてみたいな!と思ってもらってもいいし、共通の知っている人や会社で盛り上げるのもいいだろう。

自社ターゲットリスト先の役員と出会えれば、超ラッキーだ!いつもの2倍テンションを上げて、自社の良いところを説明してほしい。そして「またお電話かメールをしますのでぜひお会いください」と確約できれば、懇親会営業の1ミッションは達成だ。具体的なアポは、後日メールで取ればいい。

素晴らしい役職者がたくさん参加しているので、そんな人を発見したい。しかし何百人も参加しているのでなかなか見つけることは困難だ。そんな時は名札がわりに胸元にセットしている名刺を判断していこう。文字は細かいが慣れてくると、ロゴや名刺を目視しながら選別できるようになれる。会話も自然とできるようになり、短い時間での盛り上げ方もわかってくるようになる。

場数を踏めば、懇親会でよく会う取引先の人から、知っている人を会場で紹介してくれることも増える。何事も実行を繰り返していけば経験値になるのだ。もう一度言うが、心構えで大事なポイントは「自分のために新しい人と出会える喜び」を感じ、楽しむことだ。イヤイヤやっていては、懇親会営業は長続きしないので、早くやめた方がいい。

懇親会営業のやり方④ 懇親会営業でやっていいこと、いけないこと

一人で寂しそうにしている人がいれば、名刺交換がしやすい。しかし大物感のある役職者のほとんどは2名以上で話をしている。2名で話している人には名刺交換をお願いしてはいけないか?というとそんなことはないと思う。会話がすごく盛り上がっている時はダメだが、タイミングを見て「お名刺交換よろしいですか?」と3人で話すことはマナー違反ではない。 

懇親会営業に慣れるまで、よく同じ人に2度目の名刺交換をしようとしてしまう。自分自身が慣れていないので初めてのつもりで名刺交換をお願いしたら「さっき名刺交換しましたよ!」とイヤそうに言われる。これはやってはいけないが、慣れるまではけっこうやってしまう(泣)

また、ステージで演奏や踊りが始まることがある。このようなイベントが始まったら音声や音楽が大きな音になり、交流しにくくなるので、名刺交換は中止し、美味しいご飯を食べるための休憩に当てたらいい。交流中はドリンクとお皿に軽く料理も持って、名刺交換に回っている方が自然でよい。手ぶらで名刺入れだけも持ち、目をギラギラさせながらウロウロしている人はすぐに雰囲気で「怪しい営業か?」と察知されてしまうので、気を付けてほしい。

チームが強くなる営業・マーケティングのやり方 第3章「新規開拓活動・実行編」 総括

このように懇親会営業は「量」を上げるよりも「質」を上げられる新規開拓活動だ。私は業界団体やパートナーに招待いただき、こちらから申し込んで自然な懇親会をリスト化するように言っている。つまり周年で懇親会営業のスケジュールが決めているのだ。もちろん新しい懇親会の情報収集も怠らないので、懇親会営業のリストはどんどん増えていく。

人から入る7つの新規開拓活動は、営業のきっかけ・入口を増やすためと前ブログで記載した。営業に「テレアポ」「飛び込み」「エレベータ前で待ち伏せ」をやらせているような組織はまだある。時代にマッチしない古い新規開拓のやり方をいまだにやらせている営業上司がいたら、ぜひやめてほしい。若い営業がかわいそうだし、もっと確立の高い新規開拓活動にチャレンジさせてほしい。

インバウンドマーケティングのMQL(マーケティング・クオリファイド・リード)を取るやり方を説明したが、MQLだけで予算達成ができればサイコーだ。

しかし営業部年間の予算達成はそう簡単ではない。前章で話したように、案件を創るマーケティングはマーケティング部だけに任せず営業部も新規開拓のためのプロモーションを考え、実行しなければ予算達成はできない。前章で話した「ワシの話」のように、足腰が弱くなり、活動力が低下しないよう、ここ一番の追い込みの時に動けるように営業部も活動も頑張って欲しい。

営業・マーケティングの新規開拓のやり方や、案件(リード・MQL・商談)の増やし方、コンテンツづくりのやり方を説明してきた。何度も言うが、営業活動で最も効率が悪いのが新規開拓活動だ。この活動の効率化は永遠の課題であり、100%の解はない。

その新規開拓活動を大きくサポートしてくれるのがマーケティング部のインバウンドマーケティングであり、説明してきたプロモーションの数々だ。この新規開拓活動をマーケティング部が支援してくれるのは予算達成をするためにも非常に有難い支援活動だ。

だからマーケティング活動が重視されており、本著のタイトルでもある「チームが強くなるため」の営業・マーケティングのやり方を標準化したいと思っている。 新規開拓活動が実行できるようになったら、いよいよ初回訪問にステージを移していきたい。初回訪問を増やすにはどうすればいいか、リアルな商談のやり方を次の第4章で学んでいこう。

営業マーケティング7つのやり方
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