第4章 営業・マーケティングのやり方(新規営業・訪問編)

営業の初訪問のヒアリング項目はこれだ!質問方法やヒアリングシートの作り方・テンプレートをご紹介

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営業の初訪問で聞かなければならない、ヒアリング項目とはどんな内容なのだろう。2回目の具体的な商談時ではなく、初めて会う初訪問で聞くべきことを2つに分けると、スラスラ聞けるようになる。「やってはいけない〇〇営業」と題して、初訪問のNG営業についても解説する^^

聞く標準化でヒアリング力を向上させよう

 顧客に「聞く」というスキルは非常に重要だ。トップセールスほど大事なポイントをうまく聞きながら商談を進めている。初訪問で「ある部分」について聞かないと商談の見極めができないし、提案フェーズに進めるべき判断のために聞いているのだろう。けれど駅前の路上や店頭で会うアンケートマンのように一方的にヒアリングしているわけでない。トップセールスこそ、初訪問から自然とスムーズに顧客へ聞けているのだ。ぜひこのテクニックを皆さんに身につけてほしいし、できれば組織で標準化をしたい。ところが営業に「顧客に聞こう!顧客を知ろう!」と指示するとマシンガンのように一方的に聞く営業が多い。ヒアリングシートたる紙を出して、1個ずつチェック方式で聞き書いていく営業もいる。その時点で顧客は「この営業は私の期待を超えようとしてくれていないな」と判断するだろう。もう初訪問はこの時点で失敗だ。このようにならないために聞く標準化を企業内でまず構築してほしい。聞く標準化は初訪問レベルまでなら組織で実現できる。 そうすると上司が部下に「これは聞いてきたか?」「いえ、そこまでには聞いていません」が撲滅され、チームで初訪問後の見極めレベルが高くなる。

ヒアリング力を高めるためにはまず初訪問で聞くスキルについて、2つのヒアリング項目のポイントを説明したい。商談中にこの2点を意識するだけで自然とスムーズに聞けるようになるだろう。※IT業界の例でお話いたします)

初訪問のヒアリング項目と書き方 ➀提案をするために聞く

~業務、既存システム、課題、やり方などを聞く~
 まず初訪問後、2回目以降に進捗するのであれば次回からは具体的に提案をしていくはずだ。顧客から提案依頼書(以下、RFP)が出ているのであれば現状課題や要件について詳しく書かれているだろう。だが多くはそのような資料は顧客から出てこない。だから今後提案をしていくために現状の業務内容について聞き、IT業界であれば既存システムの内容や現状の問題点などの聞くヒアリング項目を決めておけば、書きやすい。具体的な提案フェーズに進めば、2回目以降にもっと詳しく聞ける場が設けられるので、初訪問のヒアリング項目に集中し、聞いていこう。「提案をするために、まずは最低限、この項目を聞こう!」の発想で、聞く内容を初訪問レベルで標準化してみよう。

初訪問のヒアリング項目と書き方 ②案件を進めていくために聞く

~顧客内の人のコト、顧客内の予算取り、検討状況など~
 自社製品・サービスを提案していくための内容は聞けたとしよう。今度は案件を進めていくために顧客内の様々な情報を聞かなければならない。一番聞きたいことは顧客内の人のコト、つまりキーマンや決裁者、決済ルートや決済手法についてだ。 だがこれも初訪問から「御社の稟議の方法は・・?」や「最終決済者は誰ですか」とは聞けない。ここでも初訪問で聞けるレベルに徹し、案件を進めていくために聞く項目を決めてほしい。初対面の人でも話してくれる内容にするべきだ。「検討時期」「担当者の組織の役割」「来期に関すること」のヒアリング項目は最低限、聞いて書いておきたい。

 このように➀提案をするために聞く、②案件を進めていくために聞く、2つのヒアリング項目をゴチャまぜにして聞いている営業が意外に多い。思いつきで聞いている感じで、「初訪問ではここまでは聞いておこう」という意識が感じられない。私が部下と初訪問を同行していて「初訪問の前半は、提案をするために聞いているな」「後半は案件を進めるために聞いているな」と感じている時こそ自然に聞けており、初訪問の聞く標準化を実践できている。➀提案をするために聞く、②案件を進めていくために聞く、の2つのポイントを意識するだけで、自然にスムーズに聞けるようになる。

 この2つのヒアリング項目を整理した後は、聞く項目をヒアリングシートとして組織で作成してほしい。ヒアリングシートを作成することは非常に良い取り組みだ。だがなかなかできている企業は少ないと思う。このヒアリングシートを初訪問編と提案編に分けられれば、更に素晴らしいが、提案編ヒアリングシートの標準化は、提案書作成のために聞く経験値が必要なので難しいだろう。本ブログでは初訪問のヒアリングシートの標準化について紹介をさせていただきたい。

 
営業は書き方よりも、ヒアリングシートの項目を覚えなければならない。せっかく初訪問の聞く標準化ができても、紙のヒアリングシートを商談机の上に出して聞きながら書いていては、顧客は警戒して話してくれない。そんなに多くの項目数にはならないので、初訪問で聞く項目なら営業は覚えられる。皆さんの業種・業態でヒアリングシート項目は変わってくるが、IT業界の聞く標準化にも共通する点もあると思うので参考にしてほしい。

具体的な質問 ➀提案をするために聞く

・大きな視点で聞いていってほしい。細かく質問してはダメだ。製品・サービスを紹介した初訪問の後半30分の会話で聞いていけば、聞きやすいと思う。

・例えば、検討している業務範囲やシステム範囲、既存システムの状況、抱えている大きな問題点と目指したい姿、提案ベンダー(皆さん)に期待することがヒアリング項目になるだろう。

・多すぎても聞けないのでこんなところではないだろうか。この中で絶対に質問しなければならないことは、「検討するの範囲」についてだ。これが分かれば皆さんの製品・サービスで課題解決できるか?のシナリオが描きやすい。

・BANT(B=予算、A=決裁者、N=ニーズ、T=タイミング)では、 N=ニーズに関して、細かく細かくならないように聞いてみよう。

具体的な質問 ②案件を進めていくために聞く

・①提案をするために聞く項目では、皆さんの製品・サービスの提案のために必要なことを質問しているので、初めて会った人でも話してくれやすい。しかし②案件を進めていくために聞く項目では顧客内のデリケートな情報を聞くことになる。根ほり葉折り細かく聞く状態にならないように注意しなければならない。ひとつだけ必ず聞けるのは、「だいたいの検討時期はいつごろですか?」は話してくれるだろう。

・担当者の組織の役割も質問してほしい。 「〇〇さんの部署は、製品・サービスの選定を統括されているのですか?利用する業務部門は□□ですか?」と利用対象となる業務部門と、今回の検討を統括する部門の役割を確認しよう。例えば「営業企画部が製品・サービスの選定を統括し、営業部100名が利用する」と答えてくれれば、営業企画部が決裁部門になるはずだ。担当役員がホームページに載っているかもしれない。その人が最終責任者であり、今後会うべき人だ。

・期末が近いならば来期の予算取りの進め方や、予算期限を聞いても失礼ではない。初訪問に営業を呼んだということは来期の予算取りの作業に入る確率は高い。顧客が営業に見積作成の協力をして欲しいなら、答えてくれるだろう。このように「検討時期」「担当者の組織の役割」「期末が近い場合は来期の予算取り情報」は初対面でも話してくれるはずだ。

・BANTで言うと、B=予算、A=決裁者(組織の役割から決裁者を想像する)T=タイミングに関して、細かくならないように聞いてみよう。

初訪問で聞いていいこと、聞いてはいけないことの違い

 逆に初訪問で聞いてはいけないことも話しておこう。一番ダメな例は「競合先はどこですか?」「他にどこに声をかけていますか?」という競合情報に関する質問だ。これは本当に聞いてはいけない。初めて会った顧客は「なんでいきなりそんなことを教えてなければならないのか」と思い、嫌な気持ちになるに決まっている。競合先に関する内容は関係構築ができてから聞こう。できれば仲良くなって信頼してもらってから、「御社と2社で迷っている」と相談を受けるぐらいになってほしい。もし皆さんが、初訪問時点から競合先がわからないと戦えないならば、皆さんの製品・サービスが弱いということだ。競合先を知っておくのは必要だが、もっと後で関係構築ができてから聞くクセをつけよう。細かな予算金額やお金に関する内容もまだ細かく聞かない方がいいだろう。競合先とお金まわりについては初訪問で聞くことはNGだ。

ヒアリング項目とヒアリングシートの作り方とテンプレート 

 このように初訪問で聞く2つのポイントを意識して、聞くためのヒアリング項目を整理しヒアリングシートを作っていこう。聞く標準化ができれば上司が部下に「これは聞いてきたか?」「いえ、そこまでには聞いていません」が撲滅される。私は思う。「そこまでは聞いていない営業」が悪いのではなく、「これは聞いてきたか?」という「これ」を組織で決めていない上司が悪い。標準化が進む営業チームは必ず強くなる。そのために上司が中心となり、チームでヒアリングシートを作成し、初訪問をする営業は聞く項目を覚えよう。体に染みつかせるぐらいまで覚えなければ、商談を見極め、前進させられない。

 聞くことを2つに分ける(①提案をするため ②案件を進めていくため)がわかったところで、いよいよついに初訪問に向かうぞ!と思っているみなさん、まだもうひとつ伝えておきたいことがある。このテクニックを身につけていれば、初訪問の皆さんへの印象は必ず上がる。下記のテンプレートはプロジェクト管理ツールで聞くこと①と②のテンプレートだ。どんなテンプレートやフォーマットでも良いが、気をつけなければならないのはExcel(エクセル)で10~20個ぐらいのたくさんのヒアリング項目は作ってはいけない。初回訪問ではそんなにたくさん聞けないからだ。下記①太字のように「必ず3つは聞こう!」というようにチームで話し合って決めてみよう。

「やってはいけないヒアリング営業」 

※営業はやるべきことよりも、やってはいけないことの方が早く身につくと言われている。〇〇営業と称し、こんな営業にはならないように気をつけてほしい。

「マシンガンヒアリング営業」 

→ヒアリングシートたるものを出して、顧客に尋問のごとく一方的に聞いて帰る営業のこと。マーケティングのヒアリング項目によく見られる。

「いきなり競合先営業」

→初訪問から「競合先はどこですか?」と聞き、「それは答えられません」と顧客に嫌な顔をされる営業のこと。

初訪問 新規営業はヒアリング力から成功する

「初訪問はうまくいかせたい」「貴重な新規営業だから、商談化したい!」
そう思うことは営業であれば当然だ。だが、思うだけでは成功しない。

営業個人で習得し、マネージャーは組織でうまくいかせるための方法がある。

■初訪問 新規営業を成功させる方法

・初訪問はどのような状態が成功なのだろう?

・70%の顧客が初訪問前に考えていることとは?

・60%の顧客が新規営業を受ける前にやっていることがある

・平等に期待している顧客にやるべきことは、ひとつ

・初訪問までの準備をパターン化したい営業個人とマネージャーへ贈る手法

・やってはいけない初訪問から学ぼう!これはダメ!

・初訪問で聞くべきヒアリング項目を教えます。初訪問で聞いてはいけないことも(笑)

・初訪問から、顧客の仲良くなれるテクニック「3つの距離」

このような初訪問のポイントが本を購入せずとも、習得できる方法があります。
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