ビジネスで「風呂敷を広げる・畳む」という言葉があります。この意味や由来は何なのでしょう? また、大風呂敷や大ぼら吹きという言い方もありますが違いはどんなポイントなのでしょうか? そこで、風呂敷を広げる人と畳む人の実態や思考を整理してみると、5つの種類に分けられました。株主総会や経営説明会のプレゼン、新規顧客開拓や提案、契約交渉等のセールス・マーケティング、プロジェクトマネジメントで活用できる「風呂敷」について一緒に考えていきましょう。
目次
風呂敷を広げる意味と由来とは?大風呂敷との違い
風呂敷を広げるという言葉の意味は、実際よりも大げさに話すことです。例えばビジネスでは、アイデアや事業計画を壮大なスケールで話したり、製品・サービスの仕様を大きく広げ、導入事例をオーバーに言ったりするケースがそうです。
しかし、なぜ風呂敷なのでしょう? 広げるならば、サイフやカバンでもいいように思えます。
風呂敷を広げる由来には、江戸時代の商売人が関係しています。身なりが貧しく商売もうまくいっていないと信用されないのでお金が借りられません。そこで、立派で大きな風呂敷を作り、商売人や得意先に配ることで信用を得るようになりました。
そして、お金を借りられたため商売繁盛ができた!という話からきているそうです。つまり、先に風呂敷を広げてハッタリをかまして、ビジネスを成功させる手法と言えますね。
大風呂敷を広げるとは、このような例よりも更に大げさに話し、実現可能かどうか疑問に感じさせるほどのビジョンを説明することです。風呂敷を広げると大風呂敷を広げるとの違いは、大げさ具合の度合いによりますが、営業や経営者などの使用する立場にも関係してきます。
一方、風呂敷を畳むという言葉の意味は、広げたアイデアや事業計画、製品・サービスの仕様を具体化し、現実的な範囲で実行することを意味します。ビジネスシーンでは、大げさに話した人の後に、正確に着地させる人をイメージすれば理解しやすいと思います。
風呂敷を広げる人は、おおげさに言い過ぎる「ウソつき」のようなマイナスなイメージがある反面、事業や製品の可能性を最大限に引き出すプラスなイメージもあります。そこで、大きなビジョンを持ち、前向きに風呂敷を広げる人について詳しく考察してみましょう。
風呂敷を広げるの言い換え 大ぼら吹きの孫さんの活用例
風呂敷を広げるの言い換えは、大ぼら吹き(おおぼらふき)です。大ぼら吹きとは、大風呂敷を広げる人の拡大型と言えるでしょう。大ぼら吹きの代表格はソフトバンクグループの孫正義さんです。
孫さんは、ユニクロの柳井さん、ニデックの永守さんと合わせ、大ボラ吹き3兄弟と言われています。みなさん、大きなことをぶち上げるイメージがありますよね。
孫正義 大ボラ集・夢の大きさの例
- 朝礼で「売上を豆腐のように、1兆、2兆と数えられる会社になりたい」(創業時)
- 朝礼で「売上1兆円は必ず超えられる。通過点だ!」(まだ、売上が数百億の時に)
- 2004年の株主総会で「今度は利益を1兆、2兆で数えたい」
- 2006年に「10年以内にdocomoを超えたい」
- 「AIは○○年に人間を超える」
孫さんはこのような大ボラを吹き、宣言した‘夢の大きさ’をプレゼンし、現実に達成し続けてきました。孫さんは経営者ですので、売上・利益、製品・サービスの事業計画に対して、大ボラを吹きます。孫さんは「大ボラ吹きは、大きなビジョンを持っていることの裏返しです」と言います。
孫さんは大きな花火(メッセージ)をドーン!とぶち上げて、会社の事業計画達成に導いていくために、風呂敷を広げます。しかし、現実に達成できたものもあれば、言いっぱなしで未達成のものあります。風呂敷を畳んでいく取締役や担当部門の方は、相当大変な苦労をされているかもしれません。
孫さん例を見ると、大ボラ吹きも風呂敷を広げる人は、ビジネスでプラスに働いているケースが多いように感じます。ところが、マイナスに働いていることも現実にはあります。そこで、ビジネスで風呂敷を広げる人と風呂敷を畳む人を、会社の立場と役割を主にIT業界の例で整理していきます。
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風呂敷を広げる人と畳む人 立場、仕事、役割、風呂敷例で分けられる
ビジネスで風呂敷を広げる人を私はIT業界で35年間、何度も見てきました。そこでわかったことは、風呂敷を広げる人には5つの種類があります。経営者や営業やSE(システムエンジニア)の立場、仕事、役割、風呂敷例に分けてまとめてみましょう。
立場 | 仕事 | 役 割 | 風呂敷例 |
経営者 | 売る・作る・管理する | 事業や組織を成長させる権限と責任を果たす | 会社のビジョン、中長期経営計画(売上や時価総額)、製品・システムのロードマップ (組織づくり、資金調達) |
営業 | 売る | 製品やシステムを拡販する責任を果たす | 製品やシステムの機能・仕様・未来像、導入効果 |
SE | 作る | プロジェクトを成功させる責任を果たす | 仕様・コスト・納期・品質 |
※本記事では製品やシステムを設計・開発させることをプロジェクトと呼びます
仕事とは「売る・作る・管理する」の3つに分けられると言われています。つまり、製品やシステムを販売し、製品やシステムを開発し、会社を総務・人事・経理面から管理するという仕事です。
部長や課長の立場にも中間管理職として「売る・作る・管理する」の仕事はあります。今回の風呂敷を広げる人の種類の例では、経営者と担当者(営業とSE:システムエンジニア)の立場で整理してみます。
社長・取締役である経営者の仕事は「売る・作る・管理する」になります。大きな視点で組織づくりをして、M&Aや出資を募る等の資金調達も経営者の仕事には含まれます。
営業の仕事は「売る」、SEの仕事は「作る」です。営業は事業の予算計画に沿って販売しなければなりませんし、SEは計画通りにシステム開発をして、プロジェクトを成功させることが仕事です。
このような仕事から、経営者、営業、SEには風呂敷を広げる人と畳む人の種類は、5つに分けられます。
5つの風呂敷を広げる人と畳む人
1.経営者 畳める可能性がある風呂敷を広げる
2.営業・SE 畳むことができる風呂敷を広げる
3.経営者 畳める可能性がない風呂敷を広げる
4.営業・SE 畳むことができない風呂敷を広げる
5.経営者、営業・SE 風呂敷を広げず、畳みすぎる
ややこしい言い方になっていますので、ひとつずつ詳しく説明していきます。
1.「畳める可能性がある風呂敷を広げている」経営者は、リーダーとして事業と組織を牽引し、社員と共に畳んでいくので計画を達成できる可能性が高まります。そして、会社のビジョン、中長期経営計画、製品・システムのロードマップ等の大きな目標・高い数字に対し、組織でチャレンジします。社員は達成感と仕事のやりがいを感じ、顧客や投資家から評価されます。
2.「畳むことができる風呂敷を広げる」営業・SEは、顧客に対し責任を持ってプロジェクトを牽引し、製品・システムの仕様を一緒に協力して畳んでいくので成功の可能性が高まります。
営業は製品やシステムの機能・仕様・未来像、導入効果等を、畳める範囲で風呂敷を広げます。SEは設計・開発の機能や仕様の風呂敷を広げつつも、コスト・納期・品質が畳めるようにプロジェクトを進めていきます。プロジェクトメンバーは達成感と仕事のやりがいを感じ、プロジェクトが成功するので顧客は満足してくれます。
3.「畳める可能性がない風呂敷を広げている」経営者は、リーダーとして事業と組織を牽引せず、言いっぱなしであとは社員に畳ませるので計画を達成できる可能性が少なくなります。大きな目標や高い数字にも根拠がなく大げさに言っているだけですので、組織がチャレンジしません。社員は「また、社長が風呂敷を広げているよ・・」と思い、仕事のやりがいも感じず、顧客や投資家から信用されません。
4.畳むことができない風呂敷を広げる営業・SEは、製品・システムの機能や仕様を理解しておらず、まとめる知見がないため、風呂敷を広げるケースが多く見受けられます。要は「知らないことに対して、風呂敷を広げる」ので結局、顧客からクレームを受けます。
営業・SEでは畳めないため、上司やプロジェクトマネージャーが畳みにいきますが「できないことをできる」と言っているような風呂敷なので、畳むことはできず、失敗プロジェクトになります。プロジェクトのコスト・納期がオーバーし、品質も悪くなり、プロジェクトメンバーは疲弊し、顧客には大迷惑をかけます。
このように畳むことができない風呂敷を広げすぎると、 非現実的な目標設定や仕様になり、チームのモチベーションが低下したり、社内リソースの無駄遣いを招いたりする可能性が高まります。そして、社員や顧客・投資家の信頼を失い、うまくいかなくなるのです。
5.風呂敷を広げず、畳みすぎる人もいます。新しいアイデアや事業が全く生まれない経営者や、少し工夫すればできそうなことも「できません」と言う営業・SEです。風呂敷を広げず、最初から畳みすぎる人は堅実かもしれませんが、無難すぎて広がらないのが大きな問題点です。結局、顧客に選ばれず、競合他社との差別化も難しくなる可能性があります。
風呂敷を広げる人と畳む人の5つの種類の中で、ビジネスではどれがいいの?ということを総括します。風呂敷を広げる人と畳む人では1と2を意識・実行していきましょう。そして、5は改善していきましょう。
〇 1.経営者 畳める可能性がある風呂敷を広げる
〇 2.営業・SE 畳むことができる風呂敷を広げる
✖ 5.風呂敷を広げず、畳みすぎる人
風呂敷を広げることは、株主総会や経営説明会のプレゼン、新規顧客開拓や提案、契約交渉等のセールス・マーケティング、プロジェクトマネジメントで活用できます。畳める風呂敷の種類を数多く持って、実行していくのが、重要なポイントではないでしょうか。
まとめ
「風呂敷を広げる人と畳む人の種類 ビジネスでどれがいいの?」と題して、ご紹介してまいりました。風呂敷を広げる意味と由来、大風呂敷との違いがご理解いただけたと思います、
大ボラ吹きの孫正義さんからも、風呂敷を広げる方と畳み方が参考になりました。そして、風呂敷を広げる人と畳む人の5つの種類から整理してみると、「畳める可能性があり、畳むことができる風呂敷を広げる」が大事なポイントでした。
風呂敷を広げる人とたたむ人の思考は、事業の成長と経営計画、製品・サービス・システムを良く魅せるために風呂敷を広げ、約束を守るために畳む意識が高いと言えます。社員がやりがいを感じ満足され、顧客や投資家に評価される風呂敷を使っていきましょう。
おまけ 血液型からみる風呂敷を広げる人と畳む人 得意と不得意
全く科学的な根拠はないことを、今から書きますのでご了承ください。読みたい方だけご覧いただければ幸いです。
私が35年間ビジネスシーンで感じた血液型からみる風呂敷を広げる人と畳む人の傾向です。社内メンバーであれば、上司や部下、同僚をイメージして確認できるかもしれませんので、参考にしてみてください。私は、意外に当たっていると思っています・・。
風呂敷を広げることが得意な人
B型 男性
風呂敷を畳むことが得意な人
A型 男性・女性
風呂敷を広げることが不得意な人
O型 男性
風呂敷を畳むことが不得意な人
B型 男性
風呂敷を広げるのも畳むのもバランスのいい人 又は どちらも中途半端な人
O型 男性と女性
この中で私が多いと思っているのは、「風呂敷を広げることが得意な人=B型 男性」ですね。私の経験上、いろいろと振り回されました・・(泣) しかし、偉業も成し遂げるケースもあり、不思議な人です。ちなみに私は、O型男性です(笑)
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