提案営業

提案の意味とは? 「提案する」と「提案書を作る」は違う

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更新日:2024年7月18日

顧客から「提案してほしい」と言われたら、すぐに提案書を作ることに向かう営業がいます。提案書を作る提案もあるが、提案書を作らない提案もあることを理解すると、営業のやり方が大きく変わってきます。では提案とはどのようにすればいいのでしょう? 顧客志向で提案の意味や内容について、考えてみましょう。

提案とは?どういう意味なのだろう

例えば、このような提案のケースを紹介したいと思います。初回訪問で顧客に製品・サービスの魅力を伝えられ、次回以降は顧客から「具体的に提案してほしい」「やり方は御社に任せる」と言われたとしましょう。初回訪問は成功し、商談化から案件化に進捗できた状態です。では、提案フェーズに進めていくためには何が必要でしょうか? そもそも提案のゴールは何でしょう? そして、提案とは何なのか? を考えてみたいと思います。

みなさんの業種・業態や企業ごとにスタイルは違いますが、どんな企業でもどんな営業でも共通の提案スタイルがあります。共有な部分とは提案とは顧客に対し「案を提ずる」ということです。顧客の現状の問題点を聞き、課題整理し、製品・サービス導入後のメリットを伝え、あるべき姿を描いてあげる作業です。AsIs(現状の改善すべき姿)を整理し、ToBe(あるべき姿)を示します。そのための具体的な案を提ずるのが提案です。 英語で言う提案は、suggestionです。 

提案するソリューションは、ひとつではない

提示した案が自社の製品・サービスにピッタリはまればサイコーです。しかし、顧客の課題を解決してくれるもの=ソリューションは自社の製品・サービスとは限りません。

例えば、製品・サービス導入の前に課題を整理し、あるべき姿を作りと今後の進め方を示してもらうためのコンサルティングサービスかもしれません。もしかすると課題解決できる製品・サービスに投資する以前に、顧客で取り組めることがあり、社内改善チームで1年間活動する方法がソリューションかもしれません。

営業は当然、自社の製品・サービスがソリューションになれば一番いいでしょう。しかし、「案を提ずる」とは顧客のAsIsの状態によって、ベストなソリューションが変わってくるということを営業は忘れないでほしいです。提案するソリューションはひとつではないですし、顧客の課題解決の状態によって変わってくるのです。

「提案する」と「提案書を作る」は違う

では、顧客への提案は自社の製品・サービスがベストだったとしましょう。費用対効果も導入メリットも顧客はその製品・サービスの提案手法に期待しています。その時に、提案はどのように進めていけばいいでしょうか?提案をするためには提案手法がいくつかありますので、ご紹介いたします。

まず、顧客の現状をヒアリングして、製品・サービスのデモで解決策を伝えていく方法は提案の代表的な手法です(IT業界ではソフトウェアを見せながら紹介していくことをデモと言います)。プロダクト(自社製品・サービス関連)を持っている企業は、プロダクトをデモで見せていく提案手法は正攻法だと思います。デモでプロダクトの良さを見せながら、顧客の問題点ややりたいことを確認していくのです。これも立派に案を提ずる、提案です。

AsIsを聞いて、ToBeを描いてあげ、しっかり提案書を作り提出することも提案手法です。カタログだけで何度が打ち合わせを重ねていくのも提案手法です。提案手法は顧客が満足し提案にOKを出してくれば、どんなやり方でもいいのです。

それが「具体的な提案をしてほしい」という顧客の要望に応えられているのなら、デモやカタログ説明でも立派な提案手法です。ところが「提案してほしい」と顧客に言われると、すぐに分厚い提案書を作り提出しなければならないと思う営業がいます。提案すると提案書を作るはイコールではないのです。

粗く言いますと、顧客が提案に満足してくれれば、提案手法は何でもいいということです。競合先が100ページの提案書を提出し、私の会社が何の提案書も提出せず、デモと打ち合わせだけで受注したケースがあります。理由は数回の打ち合わせの中で、課題について具体的な解決策を提案をしたことが評価されたからです。

ただし、最低限のマナーとして、顧客の課題整理をしたサマリーや提案のポイントを簡単にまとめた資料に加え、製品・サービスの特長を紹介している提案書ぐらいは提出した方がよいでしょう。いずれにしても「提案」と聞いて「提案書をたくさん作らなければ・・」と、余計な提案書づくりに時間を割くことはやめましょう。

提案書を作らない場合、打ち合わせの中で提案をするときにはひとつ意識してほしいことがあります。それは「自社製品・サービスの業種と業務について、我々には圧倒的なノウハウがあります」という情報を多めに発信していくことです。

「弊社はこの分野の専門なので当然理解しています」というムードと説明で製品・サービスの価値を伝え、圧倒的な顧客事例からたくさんの同じ業種の課題を知ってます!と顧客に教えてあげるような提案スタイルです。そして「さすが、その分野でTOPクラスの製品・サービスですね」と顧客に評価をしてもらえることを目指してみましょう。

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提案のゴールとは?

そして、提案のゴールとは何でしょうか。顧客が「この提案により課題が解決できて、導入効果が期待できる」と思ってもらい、「あとは社内で検討しお返事します」と言うまでの作業が、提案のゴールだと思います。

競合他社が存在するケースは当然ありますので、自社をメインに検討してくれている状態を保ちつつ、このゴールを目指してみましょう。 提案手法は様々なやり方で良いですが、提案のゴールには見積書は必要です。理由は、費用がいくらかかるのか? 顧客は把握できないと最終選定はできないからです。

みなさんの製品・サービスによって1プライスの価格体系もあれば、カスタマイズ型で個別見積になるケースもあるでしょう。イニシャル費用とランニング費用で5年間総額はどれぐらいの費用になるのか?、資産計上するものとしないものはどれなのか?など導入費用は検討に密接に関係してきます。

そして、見積書は提案のゴール直前で提出しましょう。概算費用は初回訪問で伝えるとしても、商談の序盤戦で見積を提出しない方がいいです。理由は、見積は提案のゴールで必要であり、最終のタイミングで正式見積を提出するべきだからです。

提案する「型」は業種・業態によって違う パターンと方法を紹介

本サイトの全体記事は営業・マーケティング向けですが、対象となるの業種や業態、スタイルは限定していません。どんな営業スタイルでも、本記事のやり方は当てはまるはずです。ただし「提案する」となると業種・業態別に少し変わってきます。

私はIT業界なので、他の業種はみなさんの方が業種・業態別の提案パターンについては詳しいと思いますが、どんな営業スタイルと提案パターンがあるのか?、関連性を少し整理してみました。業種・規模・エリアは数多くの種類あるので割愛させていただきます。では、営業スタイルから「提案の型」と方法をご紹介いたします。

ルート型

業種 →食品、飲料、日用品、家電メーカー/卸:小売・量販。

提案 →定番商品にするための棚割りシーズンの提案や特売提案・企画提案を行う。

案件型

業種 →金融、派遣、事務機、IT、警備:エンドユーザー。

提案 →顧客に個別の提案を行う案件型タイプが多い。

物件追跡型

業種 →建設系、ゼネコン、設計事務所、設備メーカーは施主にアプローチをする。

提案 →物件が特定できたら図面や見積などの個別提案を行う。

開発営業型      

業種 →精密機器、装置、化学のサプライヤー(部品)メーカー。

提案 →技術営業が試作品を作り試作提案から本作に進み、量産できるよう提案する。

コンシューマー型(BtoC)

業種 →自動車販売、保険、住宅の個人が直接購入する単価の高い商品。

提案 →製品・サービスの実物で提案と見積をし、個人(BtoC)に提案していく。

サブスクリプション型 

業種 →サブスク契約(一定定額で付加価値が年々上がっていくサービス)はサービスや物販など広がっているがサブスクはビジネスモデルであり業種は問わない。

提案 →BtoBであれば提案が必要だが、BtoCであれば製品ページや広告から提案していく

このように様々な「提案の型」があると言われています。私はBtoBで営業・マーケティングを実践してきました。BtoCの対象企業に本記事の提案手法は少し違うことはご容赦いただきたいと思います。

しかし、基本的な提案手法には共通点は多いと感じます。営業スタイルの提案の型がわかったところで、次は実際に提案の2つの種類と、やり方について説明していきます。特に詳しく伝えたいことはRFI(情報提供依頼書)・RFP(提案依頼書)から始まる提案です。提案書を作るためのやり方についてまとめていきたいと思います。

「案を提ずる=提案する」と「良い提案書を作る」を両立させる提案営業

顧客に対し、ベストな案を提じ、その案をしっかりと文章と図解で説明した提案書を作成する方法があります。ダイジェスト版をサマリーしてみると下記のようなポイントが挙げられます。

提案営業という、膨大な量の提案書を作らなくても、顧客に提案ができる手法がある

→顧客に「提案してほしい」と言われると、すぐにたくさんの提案書を作成する営業がいますが、それは間違っています。膨大な量の提案書を作成しなくて、顧客に提案できる手法があります。

なぜRFI・RFPが顧客から出てくるのか?

 →RFI案件やRFP案件にはできればしたくないが、顧客が使う理由があります。まず理解しましょう。

RFI(情報提供依頼書)RFP(提案依頼書)への提案手法とは?

 →RFI案件への提案マナー、RFP案件への提案ルールの基本を習得しましょう。

RFP案件の提案方法は、まず作業分担から

 →RFP案件への対応は相当な提案書作成ボリュームになります。社内メンバーで作業分担をしすぎると提案にバラツキが出るため、提案の一貫性を持たせるための作業分担方法があります。

RFP案件の前半戦は、質問記入票がポイント

→良い質問の聞き方、悪い質問の聞き方を理解しないと顧客に嫌われます。そして、質問の量はどれぐらいすればいいのでしょう?

良い提案書の書き方とは?

→読み手によって、全体構成を工夫して分ける方法を実践してみましょう。そして、提案書の第一章で提案方針を伝え、一貫性を持たせると提案書がグッと締まります。

やってはいけない提案書作り ダメなことを先に理解しておくと作業効率が上がる

→RFPから逸脱したシナリオになっている提案書は、自己満足になりがちです。製品画面の貼り付けオンパレード提案になってしまうのにも理由があります。

提案書の作り方とは? 

→提案書で使わない方がよい文章、使うべき文章があります。理解するかしないで伝わり方が全然違ってきます。提案書の書き方のフレームをいくつか持っておきましょう。

詳しくは提案書フレーム(テンプレート)や見積書の作り方も記載した、「提案書作成・書き方ブログ」このブログの下にリンクに続いています。全部読んでいただき、良い提案ができ、良い提案書が書ける営業になれるよう祈っております。

「提案営業」になれるよう本記事と資料から習得し、実際の案件から学び、成長していきましょう。

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