新規営業の正解とは何でしょう?と問われると「受注につながる新規営業のやり方」という答えになるのでしょう。しかし新規営業は効率が悪く、「これ!」と言った正解はなかなかありません。しかし確率の高い新規営業の答えはあるはずです。新規営業と既存営業の違いから考え、売れている営業の時代の変化への対応、そして時代に合った新規営業について、解説していきたいと思います。新規営業の答えがここにあります。
新規営業と既存営業の違いとは?
新規営業とも新規開拓営業とも言いますが、本ブログでは新規営業と呼ぶことにします。新規営業とは全く取引のない顧客に対し、新規取引をすることです。新規取引というよりも新規受注をする、と言った方がイメージはつきやすいでしょう。新規受注は新規顧客からの受注ですので、初めて会う顧客(人)からの新規受注がほとんどです。個人やチームの営業目標・予算達成のためには必ず新規受注は必要であり、新規営業とは完全に新規の顧客に対し、新規の受注を取ることと言えます。受注には様々なパターンがあるので新規顧客に対する新規営業の整理をしてみましょう。
【新規顧客に対する新規営業の整理】 ※IT業界の例で説明
<新規受注>
・新規顧客に対して基幹業務システムの受注1憶、保守サービス300万/年額
・新規顧客に対してクラウドサービスの受注3万/月額
IT業界を例にしていますが、これらが新規顧客に新規営業をした新規受注の例です。
そして既存顧客は営業にとって非常に重要です。既存顧客に対して受注を取りにいくことを既存営業と言います。既存営業の受注には、既存受注や新規受注(アップセルやクロスセル)等の様々なパターンや種類があります。リピート受注や追加受注とも言いますが、少し整理してみたいと思います。
【既存顧客に対する既存営業の整理】 ※IT業界の例で説明
<既存受注> リピート受注
・既存顧客に対して保守サービス300万/年額、2年目更新を受注
・既存顧客に対してクラウドサービスの受注3万/月額、2年目更新を受注
<新規受注 アップセル> 追加受注
・既存顧客に対して、スタンダード版クラウドサービス3万/月額から、プレミア版クラウドサービス7万/月額にバージョンアップしていただき、ストックを増やした
・追加カスタマイズ開発の発注をいただき1000万を受注する
<新規受注 クロスセル> 追加受注
・既存顧客 A部門に利用していただいていたクラウドサービスの受注3万/月額の評価が高く成果が上がっているので、B部門にも新規でクラウドサービス3万/月額を受注できた
IT業界を例にしていますが、これらが既存顧客にアップセル・クロスセル規営業をした既存受注の例です。
このように新規営業と既存営業の違いはありますが、営業は新規営業と既存営業で数字を作り、予算を達成しなければなりません。そして売れている営業はずっと予算達成を続けています。では売れている営業は、どんなポイントを意識しながら活動をしているでしょうか?どのように時代の変化に対応しているのでしょうか?
売れている営業は時代に対応し続けている
私は30年営業・マーケティングに携わっていますが、2020年は営業・マーケティングの対応に最も大変だった年だと感じています。理由としては「営業が顧客と会えない」という現象は過去30年間、一度もなかったからです。(マーケティングチームは顧客と会えないことありますので別とします)
過去30年に自分自身の営業活動や市場で起きた変化について、図1のように時代変遷型で記載してみました。振り返れば、営業は手書きの見積やカタログだけでビジネスをしていた時代から、パソコンや携帯電話、インターネットやSNS・モバイル対応と、ここまで顧客接点のための変化を繰り返してきたと言えます。しかもAIやDX(デジタルトランスフォーメーション)等の企業のデジタル対応はこれからが本番であり、売るための顧客接点の変化はまだまだ続きます。
しかしひとつ言えることは、売れている営業は市場の変化に柔軟に対応し続けているということです。顧客が求める対応に対し、潮目を敏感に感じ変化するのです。現場から潮目を感じ、常に顧客起点で動いているのでしょう。逆に潮目に乗り遅れ、脱落していったトップセールスも何度も見てました。
時代の潮目とは何でしょうか?インターネットにより顧客が情報武装していった時、購買プロセスが複雑化した時、顧客が購買価値をたくさん感じたくなった時、これらがまさに潮目であり時代の変化と言えるでしょう。つまり時代の変化に柔軟に対応できる営業が、売れ続けていると言えるのではないでしょうか。しかし、2020年のコロナ禍への対応はこれまでの時代の変化とはちょっと違っています。何が違うのかと言うと「生命の危機」への営業対応は、過去30年間、一度もなかったのです。
「コロナ禍」の時代に対応した新規営業でできているか?
図2のコロナ禍の年表を見てください。ご承知の通り、コロナ対応や自粛の中、観光宿泊、飲食小売、サービス業(一部)の産業は、厳しい状況が続いています。モノの動きが大きく変わり、製造業も苦戦しています。これまで忙しかった産業:IT、建設業、人材ビジネスは平常の忙しさに戻ったとも言えますが、先行きの不安を感じている企業はあるでしょう。これらの産業はデジタル化、新都市開発や建物の老朽化対応、人手不足と顧客ニーズは高いですが、油断せず今後の変化には注意したがいいでしょう。巣ごもり需要関連の業種や流通業やEC、テレワーク・インバウンドマーケティング関連など、好調な産業は、しばらく継続して忙しくなるでしょう。
しかしここで考えてみてください。厳しい産業はコロナ禍で手の打ちようがなく、どうしようもなかったかもしれません。ここが踏ん張りどころなのでぜひ頑張ってほしいです。しかし好調な産業は、たまたまコロナ禍で当たったのでしょうか?厳しい産業はコロナ対策のために、本当にもうやれることはないのでしょうか?厳しい企業、好調な企業に関係なく「コロナ禍だからこそ、市場ニーズに合う新規営業の対応をした」という変化した企業を紹介していきます。
◆回転寿司店 スシロー
厳しい外食産業だが、2020年9月に過去最高売上を達成した(GoToEAT売上反映前)。いち早くテークアウトに着手に、アプリ予約や自動土産ロッカーを設置し、来店客減を補った。
◆米ウーバー
ウーバーイーツが前年220%増を達成し、ライドシェア事業53%減をカバーした。配達事業シェアは前年20%から50%へ伸長し、全事業の半分を補った。
◆動画制作会社 H社
動画制作会社はスポーツや音楽ライブ撮影が激減し、大打撃を受けた。しかしH社は動画制作だけでなく「制作と配信」をセットにした事業を伸ばした。IT業界向けのウェビナー:ライブ配信やオンデマンド配信で、配信事業:前年比1200%を達成。
厳しい産業なのですが、新しいビジネスに挑戦し、新分野を伸ばした企業を紹介しました。本当に素晴らしいビジネスモデルと共に、新規営業を工夫して実践できている企業と言えます。ですが皆さんからこんな声が聞こえてきそうです・・。
「大手企業だからですよ」
「資金調達できているからでしょ」
「それは経営陣が考えることで私には権限がないのです」
豊富な人材がいる大手企業はうらやましいですし、資金はあった方がよいに決まっています。これらの企業は特殊な条件や特別なやり方で結果を出したわけではなく、コロナ禍の苦境を脱出するために、考え抜いた工夫があることを理解してほしいです。
しかし「私には権限がない」と言う人には一言申し上げたい! 新しいビジネスモデルを作る権限は、あなたにはないかもしれません。しかしこのコラムを読んでいる人は、営業やマーケティング部門のはずです。であれば、新ビジネスの創出は担当ではないかもしれませんが、売り方はあなたの権限や、チームの力で変えられるのではないでしょうか?
時代にあった売り方に変えてみよう!
売り方はその時代にあった売り方に変えていかなければなりません。売り方を変える理由は、市場と顧客に対応するためです。市場が厳しいなら、厳しい市場に合ったメッセージを出さなければなりません。顧客が求める製品・サービスに変化が起きているのであれば、製品・サービスのを変えなければならないはずです。これまで過去にも厳しい市場になったり、市況が悪くなったことは何度もあります。私はIT業界が長いですが新製品でなくとも、既存製品で何度も時代に合った売り方にしてきました。顧客に対して、「今の時代に必要なことですよ」と新規営業として「押し出す」事例をいくつかご紹介します。
【過去、時代に合わせて売れた事例】
1)更新しなければならないことを押し出す
→Windows7のサポート終了、保守更新期限が迫っていることを伝える
2)義務である制度に対応することを押し出す
→消費税増税と軽減税率へのシステム対応が必要なことを伝える
3)新しい業務改善による効率化を押し出す
→働き方改革を実現し長時間労働を削減する、CRMやERP導入による業務効 率化が効果をあげることを伝える
4)新しいテクノロジーがこれからのビジネスに大事であることを押し出す
→DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、AI等のデジタル技術を使い、新ビジネス創出や新しい業務改革を実現し、競争力強化や事業の戦略立案を実行することであることを伝える
時代にあった売り方とは、「ブームにのる」という軽いノリではありません。その時代に企業が対応しなければならないビジネスの課題に対し、提案する製品・サービスで課題解決できることを、押し出すことなのです。BtoBビジネスでは特に押し出すことが重要です。
まとめ
もちろん、そのために時代にあった製品・サービスを開発し新製品としてリリースする必要もあります。しかし、既存製品・サービスでも時代に対応できていることを顧客に魅せて、押し出すという売り方は営業・マーケティングチームでできるはずです。景気の良い時代も、厳しい時代も 顧客を中心おき、顧客が求めることを常に考えましょう。時代にあった売り方にすることは、営業・マーケティングチームみんなで考えれば、できるのはないでしょうか?。これが新規営業のひとつの答えです。では具体的に新規営業はどのような手法があるのか?は次回のコラムでご説明いたします。
- 2024年マーケティング・営業トレンドBtoBの手法や施策が変わる
- 2023年マーケティングと営業のトレンド 3つのやるべきこと
- 営業スキルが上がる7つのポイント 売れる営業マンの特徴プラス1とは?
- ハイタッチ営業とは?直販営業とパートナー営業の違いから理解しよう
- 営業・マーケティングのトレンドとは?2022年 4つのポイント
- 問い合わせフォーム営業は大迷惑!「突然のご連絡失礼いたします」から始まる謎に迫る
- ウェビナーに飽きた顧客を集客する方法とは?
- 伝わる製品キャッチに変えて新規開拓営業をやってみよう!
- 新規営業の答えとは? 新規営業と既存営業手法の違いも解説
- お礼メール’だけ’は送らない! 新規アポ訪問後にやるべきこと
- やってはいけない初回訪問 新規営業編
- 営業の初訪問のヒアリング項目はこれだ!質問方法やヒアリングシートの作り方・テンプレートをご紹介
- 初訪問とは? 営業準備編
- 新規営業の初回訪問とは?
- 懇親会営業のやり方とは?