情報共有は昨今、ビジネスの効率化に求められる手段のひとつです。どんな企業も情報収集をしっかりして、社員や組織に対し、会議やシステムで情報共有をしたいと考えています。しかし、企業には情報共有ができる人とできない人がいます。情報共有をしない上司と情報共有がされない組織もあります。そこで、情報共有の種類、方法、メリットを整理していきながら、情報共有ができる組織になるための対策を解説していきます。情報共有の仕組みづくりを深掘りしていくと、ある大事なポイントがわかりました。それは「目的」と「コミュニケーション」がヒントです。
目次
情報共有とは?わかりやすくビジネスの種類と方法を整理
情報共有とは、ビジネスの情報や知識を企業・組織・チームで伝え合い、教え合うことです。社員の属人化を防ぎ、組織で情報や知識を活かす仕組みを作り、目的を達成するための手段のひとつが情報共有と言えます。では、ビジネスの情報・知識の種類や方法をまずは整理してみます。
情報・知識の種類
- 企業や経営者が発信したい組織メッセージや方針
- 個人が現場で得た情報や知識 (顧客、市場、競合、製品・サービス情報など)
- 組織が調べて分析した情報や知識 (顧客、市場、競合、製品・サービス情報など)
- 進行している社内・社外のプロジェクトの状況
- 設計・生産などの社内のテクノロジーに関する技術情報
- 業務やキャリアを向上させるスキル情報
情報共有の方法
- 会議やミーティングによる共有
- チームメンバー同士のコミュニケーション
- システム、ツール、メール、チャットなどIT活用
ビジネスではこのような情報・知識の種類や方法をあります。本記事では情報共有がテーマですので、「ビジネスの情報」をどのように共有していくのかをメインに解説していきたいと思います。そして、イメージしやすいように営業を例にご説明していきます。
情報共有をする前に、ビジネスでは情報収集をする必要があります。情報収集の方法には、能動型と受動型の2種類があります。
- 受動型 自分で決めた方法(ツールや会議)を用いて、受動的に情報収集をする
- 能動型 自分の目的を達成するために積極的な姿勢で、能動的に情報収集をする
情報収集の詳しい内容は下記記事を詳しくご覧ください。
ビジネスにおける情報共有の種類と方法を整理しました。では、情報共有のメリットとはどのようなものがあるのでしょう?
情報共有のメリットと大切なポイント
情報共有のメリットは数多くあります。生産性が向上し、新しいアイデアが生まれるといったメリットもあれば、社員と組織の業務効率の向上とスキル習得から得られるというメリットもあります。
たしかに、情報共有のメリットはみなさんもご承知の通り、非常にたくさんあります。しかし、ここで大事なポイントは、情報共有のメリットを個人と組織に分けて考えることです。なぜなら、個人と組織で情報共有の目的が違うからです。
- 個人のメリット 自分自身の行動や体験以外から情報を収集することで、成長できる
- 組織のメリット チーム全体のスキルを底上げできることで、企業の利益向上につなげられる
ここまで何度も「スキル向上」という言葉が出てきました。スキル向上は情報共有だけでなく、研修や勉強会、ロープレ等の教育からも実現できます。本記事では教育からのスキル向上の説明は割愛し、情報共有からのスキル習得や個人・組織の成長についてご説明していきます。
情報共有のメリットは、個人と組織で違うことがご理解いただけたと思います。ここで大事なポイントがあります。それは、個人と組織のどちらが情報共有する、情報共有をされるのかという点です。
情報共有は何かしらの方法で発信されなければ、共有はされません。個人が発信し、組織で共有できる仕組みを作ってこそ、個人に情報共有されるメリットが実現できます。そして、組織のメリットにつながります。ややこしい内容なので、ここで一度、まとめます。
- 個人が情報発信すると、情報共有される
- 組織が情報共有できる仕組みを作ると、情報共有される
情報共有の方法は前述した通り、大きく3つの方法があります。
- 会議 会議やミーティングによる共有
- コミュニケーション チームメンバー同士のコミュニケーション
- システム システム、ツール、メール、チャットなどIT活用
個人同士の情報共有は、商談同行や雑談などのコミュニケーションやメールなどのツールで実現できます。しかし、これでは組織のメリット:チームの全体のスキル向上につながりません。そこで大切なポイントが、組織で情報共有できる仕組みを作るということなのです。
情報共有で効果的な対策 仕組みづくりと目的の明確化
仕組みとは、組織の役割と責任をツールとルールに落とし込んで、目的を達成するため回し続けられるシステムのことです。システムとはSFA/CRMのような営業支援システムやチャットだけでなく、毎週の会議やその中で行われる指示・伝達やコミュニケーションも含まれます。
このような仕組みの中に、情報共有も入れることが効果的な対策になります。個人は自らの意識を持って、情報共有するための日報や案件情報等をシステムに入力します。個人が情報発信をしなければ、システムに情報は溜まらず、仕組みとしてまわりません。
「個人が情報を入力し、発信していくこと」は、情報共有で重要なポイントですので継続していきましょう。入力し発信する作業は個人に負担がかかりますが、社員個人に必ずフィードバックされる仕組みづくりのメリットがありますので、信じて継続しましょう。役割や責任でもありますしね。
情報共有の仕組みづくりは、組織の上司が中心になって実行しなければなりません。IT部門と営業推進部・営業企画・営業課も協力し、ツールやチャット等の環境構築をしていきましょう。そして、環境ができたら組織の役割と責任を決め、会議や報告のコミュニケーションからチームで情報共有をしていくのです。ここで、大事なポイントは、目的を設定することです。
仕組みとは、目的を達成するために回し続けられるものでなければなりません。情報共有をするためには必ず目的があり、共有により情報を伝え合い、知識を教え合います。目的は様々ですが、情報共有には目的がなければ、社員個人は情報発信をしてくれなくなり実現が困難になります。
例えば、情報共有の目的を下記のように定めてみてはどうでしょうか?
情報共有の目的(例)
1.組織の目標達成のため
・売上目標の数値レビューをするための案件情報・進捗確認
2.営業活動の生産性向上と業務効率化のため
・市場動向を把握するための競合他社情報や顧客情報
・営業個人の提案事例、成功事例・失敗事例の情報
・新製品につながるアイデアや雑談
3.チームが進んでいく方向を合わせるため
・経営会議や責任者会議で発信された、会社のメッセージや方針
・上司やマネージャーからチームの計画と実績、具体策や指示
このような情報共有の目的を明確にして仕組みにしていくことは、非常に効果的な対策です。多くの営業組織で1.組織の目標達成のためと、2.営業活動の生産性向上と業務効率化のための情報共有はできていると感じます。
しかし、意外にできていないのが3.チームが進んでいく方向を合わせるための情報共有です。つまり、上司が経営会議や責任者会議に出席しているのに、チームメンバーに共有されていないケースです。なぜ、このようなことが起きてしまうのでしょう。情報共有をしない人、情報共有ができない人のダメな例も見ていきましょう。
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情報共有をしない上司、できない人、情報共有されないのは自分だけ?と思っている人の傾向
私の上司にOさんという部長がいました。Oさんは経営会議にも出ていますし、部長として組織の責任者でもあります。もちろん経営会議で発信された情報は、チームが進んでいく方向を合わせるために、Oさんは上司としてチーム会議で情報共有していました。社内システムも隅から隅まで見ていて、情報収集もしっかりできている人でした。
しかし、Oさんの口ぐせは「私には情報共有されていません」でした。経営会議で発信されていなかったことや、社内システムで知らないことは「私には情報共有されていません」というのです。「なぜ、私が知らないのですか? 共有しない人が悪いです」という感じで、Oさんはもう堂々と言っていました。
情報とはすべてが会議やシステムで共有できるものではありません。会議やシステムに漏れてしまう情報は、コミュニケーションで補っていくしかありません。つまり、目的を達成するために積極的な姿勢で、能動的に情報収集をして、組織に共有をしていかなければならないのです。ビジネスでは能動型で自ら動かないと、社内や社外の情報は取得できません。
Oさんは完全な受動型の情報収集スタイルで、社内も社外もコミュニケーションができない部長でした。毎日、ずっと席に座っている人で会議とシステムで情報収集をするしか方法を持っていない人でした。上司としてチームメンバーとのコミュニケーションはできるのですが、他の部門の社内メンバーに情報収集にいかず、社外の情報は皆無だったのです。
つまり、受動的なものにしか情報共有をしない上司、情報共有ができない上司だったわけです。「私には情報共有されていません」という人の傾向には、受動的すぎてコミュニケーションが苦手な人が多いように感じます。会議やシステム以外のコミュニケーションにも情報収集をしていきましょう。
まとめ
「情報共有とは?できる人・組織が考えるメリット 方法と対策」と題して、ご紹介してまいりました。目的がしっかりしていて、組織で情報共有できる仕組みを作れていれば、必ず情報共有できる人が増え、情報提供できる組織になれると思います。
本記事で記載されてきた情報提供の種類や方法、メリットや対策を参考にしていただき、情報共有の目的と仕組みづくりを頑張ってみてください。情報共有は組織全体の目標達成に不可欠な活動であり、大きな成果が期待できますよ。
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