競合他社と競合するのは、誰でも嫌なものです。できれば、競合はしたくありませんよね。しかし、見込み顧客が比較検討し、競合状態にしてしまっては受けるしかありません。では、自社の製品・サービスが競合優位に立つためにはどうすればいいのでしょう? そこで、競合他社に勝つ3つの施策をご紹介していきます。競合調査や分析方法、競合対策の資料やトーク、プレゼン時の例文もご説明いたします。みなさんも競合排除するための方法を学んで、ライバルに差をつけてみましょう。
目次
競合他社と競合するのは嫌だが、顧客から見れば当然のマナー
競合他社とは自社の製品・サービスと同じ業界や市場で、競争関係にある他社企業のことです。企業は自社の製品・サービスを見込み顧客に提案し、受注を目指します。見込み顧客の課題解決や業績向上を実現するために導入後もサポートをしていきます。
自社の製品・サービスを見込み顧客に提案し、競合他社に勝つことを競合勝ちと言います。一方で、自社の製品・サービスを見込み顧客に提案し、競合他社に負けることを競合負けと言います。企業は競合勝ちをしたいのは当然ですが、見込み顧客が選定する以上、機能面、サービス力、価格等で競合負けするケースは当然出てきます。
企業は競合他社と競合するのは嫌です。しかし、見込み顧客から見れば当然のマナーになります。なぜなら、企業同士を競合させることでより良い製品・サービスを選べますし、コストも安く導入できるからです。また、コンプライアンス強化や企業の法令尊守を実行することが優先されている現状からも、競合他社を比較検討し、相見積もりを取って1社に選定しているケースが増えきています。
「より良いものを安く買う」、これは見込み顧客の心理やコンプライアンス等の規定やルールからは当然のことと言えるでしょう。なぜなら、ステークホルダー(利害関係者)である株主、顧客、従業員・経営者の利益のために、会社のお金を計画的に有効に使うことが求められているからです。
そこで、提案する企業は自社の製品・サービスを見込み顧客に選んでもらうために、競合他社に勝つことを目指します。ところが、競合他社は自社と同じ領域で製品の差別化や見込み顧客の獲得、そして市場シェアの拡大を狙ってきます。
競合他社を理解するためには、自社の製品・サービスの位置づけを明確にするために市場調査は重要です。新規参入のビジネスを企画したり、新規事業を立ち上げたりする時に自社の製品・サービスの「競合はどこ?」「自社の製品・サービスのポジションは新規参入後も確率できる?」という視点で市場調査をします。
市場調査から競合他社を研究して、自社の競争優位を築く方法も必要と言えます。市場調査の重要性も理解しつつも、本記事では競合他社に勝つ方法にスポット当て、3つの施策をご紹介していきたいと思います。
競合調査と分析は基本のキ
日本企業は世界で有数の「競合調査をしない国」と言われています。もちろん、競合他社を全く知らないわけではなく受注した後に見込み顧客から競合先の提案内容を聞いたり、協業先との連携から情報を集めたりしています。
しかし、日本の企業は徹底的に競合他社を調べ尽くすような競合調査はやりません。敵のことを悪く言わない国民性もあるかもしれませんし、競合調査をしなくとも競合他社に勝てると思っている傾向もあるのかもしれません。
ところが海外では、徹底的に競合他社を調べ尽くす競合調査は当たり前です。覆面調査企業を使って、競合他社の製品・サービスの説明を聞き、資料をもらい、深く調べていきます。
そして、集めた競合調査の情報をマーケティング部門が徹底的に分析し、競合A社が出てきた場合の戦術や劣る点の整理や、競合B社がコンペに参加したケースの営業トークや資料を作成していきます。代理店・パートナー販売が強いのか、直販が得意なのか販売手法も調査します。競合他社が自社をどのように見ていて、どんな営業トークで説明しているのかも聞き出しているのです。
その競合調査の分析結果を営業部門と共有し、営業現場を支援し、競合になった時でも優位に商談や案件化へ進められるようにしています。
まさに海外企業では競合調査と分析は基本のキと言えます。日本企業も「覆面調査企業を使って競合先の情報を集めるなんて、マナー違反だ」とか、「競合情報がなくても、見込み顧客は自社の製品・サービスを選んでくれるし、勝てる」と思い込まずに、競合調査をやってみましょう。実際にみなさんの競合相手が、競合調査や分析を徹底的にやっているかもしれませんよ。
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競合優位性を確立できる競合対策の資料を作る
競合調査と分析をした競合他社のマーケティング部門は、競合優位性を確立させるために自社の製品・サービスの「競合他社別の資料」を作ります。競合A社が出てきた場合の営業資料、競合B社がコンペに参加したケースの営業資料、というように3社から5社の競合対策の資料を作成していくのです。
IT業界ではアメリカの製品が多いため、競合対策の資料は、競合他社別にしっかりと決まっています。私も実際に見たことがありますが、例えばマイクロソフトが出てきたらM資料、オラクル社が出てきたらO資料、Salesforce社がでてきたらS資料というように、競合他社別の営業手法が違います。
もちろん営業がどこの競合先と競合になっているのか聴き出すスキルも必要ですし、ある程度、競合他社を想定して資料を見せたり、説明したりするケースもあります。営業が商談中に「競合A社は●●機能がありません」「競合B社は●●市場でシェアを落としています」というような競合対策トークやネガティブキャンペーンをハッキリと見込み顧客に伝えるのです。
日本の国民性の逆であり海外の国民性かもしれません。しかし昨今では、海外製品と競合する日本企業の製品・サービスも増えています。競合調査をして分析した後に、競合対策の営業資料を作成してみることも、今の時代は求められている施策と言えるのではないでしょうか。
競合排除するための商談・プレゼントークを例文で紹介
競合調査後、分析をして競合他社別に劣る部分を把握し、営業向け競合対策トークや競合対策資料を作成します。つまり、企業で競合戦術を作っていきます。このような競合調査・分析・対策は大事な作業であり、商談で営業が競合対策されたトークや資料を商談・プレゼンで使っていきます。
しかし、ずっと「競合の悪口ばかり」を商談・プレゼン時に言っていては見込み顧客も嫌がります。競合排除するためには商談・プレゼン時に時々、触れるぐらいの競合トークが良い効果を生むと言われています。
例えば、IT業界では最終プレゼン時には、見込み顧客にソフトウェアが実際に動くところを見せるデモを行います。そのプレゼンのデモ中に競合他社ができないことを時々、触れるのです。
例文1
プレゼンのデモ中に〇〇機能を説明した後に
営業「競合A社では、この機能はありません。できると言っている競合A社の営業もいますが、できませんね」
例文2
プレゼンの前半の市場シェア時に(競合B社と自社で迷っている状況のケース)
営業「企業名は書いていませんが、この市場シェア3位の企業は、昨年の2位から3位に落ちた競合B社です。一昨年、バージョンアップした新機能に不具合があり、多くの顧客からクレームがきたのが原因と聞きましたね」
このように競合対策トークは、プレゼンやデモで時々、触れる程度が競合排除に効果的です。もちろん嘘はいけませんので、競合他社の事実を伝えていきましょう。
見込み顧客も日本人ですから、あまり相手を悪く言い続ける企業も嫌がられます。資料もトークもここぞ!というタイミングで時々、数回程度、触れることを意識して使いましょう。
まとめ
「競合他社に勝つ3つの施策 調査・分析・資料・プレゼンで差をつけよう」と題して、ご紹介してまいりました。競合他社と競合するのは嫌なものですが、見込み顧客から見れば当然のマナーであり、コンプライアンス強化の時代からも避けて通ることはできません。
競合調査と分析は基本のキです。覆面調査企業を使って競合他社の情報を集めて、競合優位性を確立できる競合トークや競合資料を作っていきましょう。そして、競合排除するために商談やプレゼン時に少しだけ触れるやり方を実践してみてください。
しかし、最も良い戦い方は競合しないブルーオーシャンな製品・サービスを作ることです。競合他社が追随することができないぐらいの機能を持ち、先に大きな市場を作れる製品・サービス、マーケティング手法、営業力、サポート力が一番良い競合対策の施策と言えるかもしれません。
競合他社に勝つ方法や、差をつけるための手段を考えるだけでなく、ブルーオーシャンな市場を作り、製品・サービスを投入し、一気に市場シェアトップを狙ってみることを忘れないでください。私の経験上も、この施策が競合対策の最も効果があり、楽しく業績が向上し実績が作れました。
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