RFP(提案依頼書)に対し、提案書作成をしていくためには、どのように書いていけばいいのだろう?提案書の量は?顧客にどのように伝えていけばいいのか、良い提案書のアジェンダや章立ては?みなさんの疑問点は多いはずだ。良い提案書作成とその書き方について解説していきたい。
提案書の書き方とは?
RFP(提案依頼書)を読み込んで、RFPに対して新業務機能記述書、機能要件一覧、質問記入票のやり取りの作業をほぼ終え、いよいよ後半戦の提案書作成のフェーズに入ってきたとする。いよいよRFPに対して具現化できる提案ソリューションを顧客に想像してもらうための提案書づくりに入っていこう。初回訪問以上に顧客に想像してもらい、具体的な提案内容や費用感を納得してもらうことが提案書提出とプレゼンのゴールだ。
提案分野や提案規模にもよるが提案書の枚数は何ページぐらいがよいのだろう?質問記入票の質問は多い方がよいと前ブログで説明したが、提案書も多い方がいいのだろうか?「提案金額1000万につき10ページ」(IT業界)と言う上司が昔いたが、5憶の提案なら500ページになり、そんなに多すぎると顧客は読まない。提案金額と提案書の量は単純には比例しないし、質問と違って提案書のページ数は多ければいいわけではない。顧客が「良い提案書だ」と納得してもらうことがゴールだ。ではどのように提案書を書いていけばいいのだろうか?
提案書の書き方① 読み手によって全体構成を工夫して分ける
良い提案書作成と書き方には、ポイントが2つある。「読み手によって全体構成を工夫する」と「第一章で提案方針を伝え、一貫性を持たせる」、この2点が重要だ。ブログ作成にも構成や章立てのポイントはあるが、提案書の全体構成はちょっと違う。
新基幹業務システム(ERP:エンタープライズ・リソース・プランニング 統合型基幹システム)を例に挙げてみよう。ERPは会社の中心となる大事なシステムなので、業務改善やコスト削減など顧客は大きな期待をしている。利用者は現場の業務担当や営業、管理職だけでなく、経営層もシステムを利用する。役職や役割別に利用範囲が違うだけでなく、管理部や情報システム部を中心に各現場部門や生産管理部門など多くの部門が活用する。
つまり提案書の読み手が多いので、読み手の立場になって全体構成を分けた方がよいのだ。ではどのように読み手によって全体構成を工夫すればいいのだろうか?
全体構成の分け方
(1)経営者層向け提案書(エクゼクティブサマリーと呼ぶ)
A3に1枚~5枚と提案のポイントやToBe、導入効果、費用、経営層の視点で見たいデータや利用する機能を簡単にまとめる。経営者は細かく見ないケースが多いので、短い資料でズバッと伝えたいメッセージを提案書に表現してみよう。A3用紙1枚で表現できればサイコーだ。
(2)管理者・管理部層向け提案書
ERPを管理する情報システム部や債権債務業務や会計業務を担当する経理部の視点で提案書をまとめる。ERPを検討し決裁をする部門向けと言える。「管理部が業務やシステムを統制できますよ」「RFPに書かれているToBe=あるべき姿に近づけますよ」を重点的に記載する。
(3)現場層向け提案書
営業が見積作成をして、業務アシスタントが受注入力など各入力作業をし、管理職が承認をするようにERPを一番利用するのが現場だ。毎日利用する現場層に提案を支持してもらえるよう「現場が便利に使えて、楽になりますよ」というメッセージにしたい。
(4)統合提案書
RFPに対する実現方法がすべて提案されている提案書で、期限までに提出されているもの。(1)(2)(3)の提案書は(4)統合提案書から抜粋されている。統合提案書のボリュームは100ページから300ページぐらいで、10憶提案でも20憶提案でも300ページぐらいまでしか顧客は読めないと思うし、それぐらいの量におさめるべきだろう。まずは100ページ提案書を目指してみよう。
(5)別提案書(別提)
基本紹介資料や細かな明細等の内容が記載されている別紙提案書。提案書に記載するほどの華はないが別紙として提出はしておきたいもの。
(6)プレゼン資料
1時間のプレゼン時間の時間配分と構成を考えること。45分のプレゼン+質疑応答15分アジェンダならば、200ページの提案書は説明しきれない。45分で提案ポイントを強烈にアピールできるプレゼン資料を提案書とは別に作成しよう。プレゼンで補足しきれない内容は「統合提案書を後ほど見てください」とプレゼンを進行していこう。
(7)フラッシュ型 提案書
まず金額を最初に見せる提案書やプレゼン資料がある。プレゼンの最初に「1億の提案を聞いてください!」と全メンバーの反応を見て、提案を進めていくやり方だ。「費用が高い提案」の場合に効果的かもしれないが、最初に「1憶出すと実現できます!」という始まりの提案も意外に評価されることもあるので、一度試してほしい。
提案書の書き方② 第一章で提案方針を伝え、一貫性を持たせるアジェンダ
図の「ご提案書のアジェンダ」は提案書の書き方として、見本になるアジェンダなので参考にしてほしい。提案書作成は相当量の大変な作業になる。営業数名やSE(技術)数名で分担して作業を進めていくことになるが、量が多いの章立てごとに分担しすぎると統一感がなくなってしまう。そうすると読み手の顧客から「こっちの章では箇条書きで読みやすいのに、こっちの章では文章の固まりで読みにくい」や「表現やデザインのタッチも違う」となりがちだ。
提案書の量が多いため、章立て別に作業分担をしすぎたことが理由であるが、これは起きてしまう現象だ。解決策としては、提案書の単純作業資料だけを分担し、提案書作成は営業1名が魂をこめて、中心的に作成することをおすすめする。
提案書の統一感以上に大事なことが、提案書に提案方針の一貫性を持たせることだ。提案方針はまず第一章でしっかりと伝えよう。「RFPに記載されている貴社要件を実現するために、弊社ではこのような提案方針でご提案いたします」ということを宣言する。RFPに沿ったシナリオで提案方針を決めて、顧客の課題解決のために自社の製品・サービスが最も適しています!というシナリオで説明を開始していきたい。
提案方針とは本提案の結論をまず言っているようなものだ。その後に細かなポイントの説明に入っていく。もし第一章に提案方針がなく最後になってしまったら、顧客は読んでいても提案の結論がわからないので想像しにくいだろう。第一章で提案方針を伝えても、その後の章立てで提案方針がバラバラになってしまってもいけない。「こっちの章ではこう書いているのに、こっちの章では違うことを書いている」と読み手の顧客が感じると、部分部分では良い提案をしているのに、全体としては良い提案とは評価されないだろう。統一感だけでなく、一貫性を持たせるためにも、一人の営業が中心になって作成していこう。
良い提案書作成のまとめ
ご提案書のアジェンダの提案方針では費用を先に提示しているが、本来はプレゼンをした最後に見積を提出する方が良い。つまり「素晴らしい提案だった!でいくらなの?」と先に価値を伝え、金額は最後に!が営業のセオリーだ。たがRFP案件では提出期限が決まっており、すでに提案書も見積書も提出している。検討チームは一通りすべての提出資料に目を通して金額も知っている。10社コンペの提案一覧表を作成し、プレゼン終了後に点数をつけている顧客もあるぐらいだ。
つまり、すでに提案内容や提示金額については知っているので、ならば経営者が参加しているプレゼンで、資料の最初に「弊社の提案はいくらかかります」と宣言した方がわかりやすいと思う。良い提案書作成・書き方のポイント「読み手によって全体構成を工夫する」と「第一章で提案方針を伝え、一貫性を持たせる」を抑えながら、より細かな提案書作成作業に入り、提案書を書いていく。次のブログでは初回訪問の時と同じように、「やってはいけない提案書作成」を説明していきたい。営業はやってはいけないことは早く身につくからだ(笑)
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