今期、つまり‘期’のはじめにはキックオフミーティングを開催する企業が増えています。社長・事業部長・マネージャー・営業別にキックオフミーティングで作成する資料は違います。伝えたいメッセージも違うでしょう。そこで、それぞれのビジネスの立場でキックオフミーティングについて考えてみたいと思います。本記事では特に営業がやるべき目的や目標策定、キックオフ資料の作り方、進め方、準備、プレゼン方法に焦点を絞り、解説していきます。キックオフミーティングで営業がやるべきことには、基本的なポイントがあったのです!
キックオフミーティングとは?目的とその意味
3月が期末の企業は4月から新年度が始まります。3月決算の数字を追い込みながら、来期の計画策定や組織変更・人事考課を行う事業部長は大変でしょう。ご苦労さまです^^ しかし事業部長として来期1年間の予算策定を行い、予算を達成するための施策を考えていくのは、仕事の醍醐味を感じるものです。事業部長のこの時期の仕事は、一番、面白いかもしれません。
4月に入るとまず全社員を集めて社長が今期のキックオフミーティングを実施します。社長から前年度を振り返り、中期経営計画の〇年目の途中経過を共有し、今期の事業基本方針や重点ビジネス施策、予算目標などの説明があります。企業としてあるべき姿であるビジョンやミッション、行動指針の共有もここでしっかり行います。もちろん事業に関することだけでなく、採用やIR強化についても話します。社員が働きやすい環境づくり、投資計画や提携・協業状況なども社員と共有するのです。
社長からのメッセージを受け、事業部門メンバーを集めて、事業部長がキックオフミーティングを行います。事業部長や本部長は社長の言葉や方針を事業レベルに落とし、事業部の基本方針、重点施策、予算計画など、より具体的な方針を事業部メンバーと共有していきます。こうして今期の予算や目標を達成するためにチームでスタートするのです。
社長や事業部長(役員)が主体となるキックオフミーティングだけでなく、その後、営業が今期1年間をどのように取り組んで、どんな目標で営業活動をしていくかを、個人で発表するスタイルのキックオフミーティングが増えています。
社長や事業部長(役員)が発信するキックオフミーティングの目的は、事業を成長させるための現状や今後の方針を共有することです。共有できたら社員や事業部メンバーと同じ方向を目指し、1年間頑張っていけるような「シンボル」を作るのがキックオフで重要なポイントです。そのシンボルとは、キックオフ資料の中にある中計や基本方針かもしれませんし、キックオフミーティングで発したスローガンやメッセージ、プレゼンそのものでもいいでしょう。
社員が「今期の会社はこのように進んでいくのか。今年も1年間、自分自身も成長して会社に貢献できるように頑張ろう!」と思えるシンボルと作ることが、キックオフの理想的な姿であり、キックオフミーティングを開催する意味なのです。
営業がプレゼンするキックオフミーティングも同じです。自分自身の1年間の営業活動のシンボルになる方針や施策、スローガンやメッセージを作らなければなりません。ではキックオフ資料の作り方はどのようにすればいいのでしょう?キックオフミーティングの営業の進め方と合わせ、資料の作り方のコツも説明していきたいと思います。
キックオフ資料の作り方と営業の進め方
企業はコンプライアンスが年々、強化されています。上場企業であれば、3月決算数字や来期計画が投資家に発表する前に、具体的に社員に漏れてしまうとインサイダー情報になることもあります。「会社や事業部の売上・利益の数字や、来期計画がわからなければ、キックオフ資料なんて作れない・・」という営業の声が聞こえてきそうです。しかし大丈夫です!社員へのインサイダー対策の教育を企業はしっかりしていますし、適時開示しなければいけない正確な決算情報や投資情報まで共有されないように会社が進めてくれます。
キックオフ資料の作り方、営業の進め方について説明していきます。バラバラなフォーマットで営業のキックオフ資料が出てきたら、プレゼン内容を聞く事業部長やマネージャーも大変です。会社が共通のキックオフ資料フォーマットを用意してあげましょう。一般的には下記のようなイメージで作っていきます。
【営業キックオフ資料フォーマット テンプレート】
1. 昨年の営業数字結果、振り返り(良かった点、改善したい点)
2. 今期目標をひとことでメッセージ「 」※今年のスローガンや今年の漢字
3. 今年の営業予算・目標数字 (受注残状況や達成見込み)
4. 予算達成するための重点施策
5. 具体的な活動方針と活動目標(KPI)
6. 引合い状況・市場環境、競合情報
7. 個人でチャレンジしたいと思っていること(資格取得や社内改善作業)
8. 将来の成長した自分自身の姿や展望(どんなスキルや経験からキャリアアップしたいか)
9. 会社へ要望・リクエスト(マーケティング施策への要望、製品力強化、ローテション希望)
予算は下期に修正されるケースが多く、営業個人もその状況によって変わるので上期と下期にキックオフ資料は分かれる場合が多いでしょう。予算に関してはまずは上期に対して、どのように達成するかを、まとめていきます。
このようにキックオフ資料をPowerPointやExcelで作りながら、キックオフミーティングに向けて営業は準備を進めていきます。いつも現場で感じ、考えていることを今期の活動内容にまとめていけばいいと思います。引合い状況や市場環境、競合情報に関しては営業が現場から一番わかっているはずです。キックオフ資料の作り方とコツ、営業の進め方が理解できたところで、次はキックオフミーティングで発表になります。プレゼンでは何に気をつければいいのでしょう?それはとても基本的なことだったです。
営業はやり方と目標を自分の言葉でプレゼンしよう
営業のキックオフ資料ができたら、キックオフミーティングで各営業が発表していきます。今期の取組みに対して、具体的で論理性のある内容を資料にまとめているか?を上司や同僚は見ています。資料にできるスキルや提案力を注視しているのです。そして営業としてプレゼン力も見ているでしょう。
プレゼン力の向上については様々な方法があります。明るく元気に話すは基本中の基本です。後ろ向きの内容は言わない、聞き手を見て話し、よくうなずく人をペースメーカーにして自分もノッて説明していきましょう。結論やゴールから先に話し、プレゼン時間を守るなど、プレゼン力強化にはたくさんのポイントがあります。しかしキックオフミーティングの営業が気をつけるべきポイントは、とても簡単で基本的な部分にあるのです。
それは今期の目標や活動方針を「自分の言葉でプレゼンする」ということです。自分の大切な1年なのですから、どこかの本やインターネットから拝借してきたような言葉で話しても人には伝わりません。ましてや自分のためにもなりませんよね。
そしてもうひとつ大切なポイントがあります。「そんなの当たり前じゃないですか!」と言われそうですが、実は意外に多い落とし穴があるのです。その答えは「キックオフミーティングで言った内容を忘れない」ということなのです。
キックオフミーティングは基本的には半年に1回しかありません。プレゼン中にはカッコいいことを言っていても、半年間の活動中に「これをやります!」と言った内容を忘れていては、結果に結びつきません。結果だけでなく営業として、自分自身の成長のためにもなりません。キックオフミーティングで宣言したメッセージ、目標、活動内容は半年から1年間、しっかり覚えておきましょう。
つまり今期の営業活動が始まれば、忙しい現場で仕事に追われ、だんだん「「キックオフミーティングで言った内容」を忘れていくものなのです・・(泣) キックオフミーテティングで営業やるべきことは資料づくりや進め方を習得するだけでなく、自分の言葉でプレゼンし、自分の言った内容を忘れずに営業をしていくところが重要だったのです。
まとめ
キックオフミーテティングで営業やるべきことや資料の作り方について、お話してまいりました。キックオフミーティングやキックオフ資料というものが登場してはまだ間もないですから、どのように作成しどのように進めていけばいいか、やり方がわからない営業も多いかもしれません。
しかし大事なことは「キックオフミーティングのためだけ」に何かよそ行きな対応はしなくていいのです。営業として1年間「この目標に対して、こんな活動をして、予算達成をする。自分自身の成長のためにやる」という基本的な計画を、営業が立てればいいということです。 その内容を資料に落とし、プレゼンするという作業は、いつもみなさんが営業現場で顧客に行っているので簡単でしょう。キックオフミーティングというお偉いさんが集まる場所だから特別な対応はせず、自分自身の計画をしっかり立てて、いつも営業でやっていることを普通にやっていきましょう。それがキックオフミーティングで営業がやるべきことなのです。
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