仮説検証型営業とは仮説検証ができる営業のことです。しかしすべての営業ができるわけではありません。そして営業シーンで使う仮説検証とはどのような種類があるのでしょうか。そこで仮説検証できる営業とできない営業の違いを整理してみます。知ってみたいと思いませんか? 仮説検証ができる営業チームになるための取組みや活動ポイントも解説 いたします。
仮説検証型営業とは?
仮説検証という言葉はビジネスシーンでよく使われます。仮説に対し、定説(ほぼ間違いのない説)や、仮説思考に対し網羅思考(たくさんの情報を集めて分析する)など、様々な意味があるようです。
本記事では仮説検証に絞ってみましょう。 仮説検証とは「仮説が正しいのか間違いなのか、情報や事実に基づいて実際に確かめること」という意味だと考えます。では仮説検証できる営業とは、何なのでしょうか?まず仮説検証型営業を考える前に、仮説に焦点を当ててみましょう。営業活動に仮説はどんな時に必要なのでしょうか?
【営業に仮説が必要なフェーズ】
- 新規営業活動をする時に、見込み顧客の行動を想像し、新規リード獲得の施策を考える。
- 初回訪問時、2回目以降に進めていくために有効な次のアクションを考えて、見込み顧客と合意していく。
- 商談化や案件化された見込みが、どのような提案メリットや課題解決案が担当者に評価されるのか想像し、推進していく。
【仮説を営業シーンで使う場合】
仮説1)最も確率の高いと思われる仮の答え = 経験やスキルからの仮定
仮説2)獲得できた情報に基づいた仮の答え = 事実からの仮定
このように仮説1)と仮説2)を使い分けながら、仮説を営業に役立てているのです。そして、仮説の次は検証です。仮説検証とは「仮説が正しいのか間違いなのか、情報や事実に基づいて実際に確かめること」ですから、仮説1)と仮説2)が「新規営業」「初回訪問後」「案件提案」など様々な営業シーンで合っていたかどうか、確認することが検証です。これらの活動をしている営業が仮説検証型営業、仮説検証できる営業と言えるでしょう。
仮説検証ができる営業がやっていること
では仮説検証ができる営業がやっていることは何でしょうか?「仮説1)=経験やスキルからの仮定」は、長年の営業やマーケティング体験したことが経験であり、習得した営業力がスキルになります。つまり営業の勘・経験で判断している部分は多いでしょう。これはベテラン営業になるほど有利な手法です。
しかし時代も大きく変化し、古い営業の考え方が通じなくなる場面も増えています。仮説検証ができる営業がやっている大事なポイントは「仮説2)=事実からの仮定」になります。シンプルに言うと、事実を集めるために見込み顧客に素直に質問しています。
営業の勘・経験に頼る「仮説1)=経験やスキルからの仮定」も仮説検証しながら、営業自身の中で、「仮説2)=事実からの仮定」のために、し っかり聞いて、事実を集めているのです。その聞くべきことは、「新規営業」「初回訪問後」「案件提案」など様々な営業フェーズで、営業自身が決めている質問もありますし、その場その場で判断して聞いているケースもあります。 そして営業フェーズを前に進めていくために、フェーズごとの活動プロセスで仮の答えを検証しきます。だから、商談をフェーズごとに詰めていけるのです。
【仮説検証ができる営業がやっていること 総括】
仮説1)最も確率の高いと思われる仮の答え = 経験やスキルからの仮定
仮説2)獲得できた情報に基づいた仮の答え = 事実からの仮定
<体系化できていること>
「新規営業」「初回訪問後」「案件提案」など様々な営業フェーズで、営業自身が聞くべき内容を決めていたり、その場その場で判断して聞いている。フェーズごとの活動プロセスで検証していて、商談をフェーズごとに詰めていける。
このように仮説検証ができる営業はやっていること体系化させています。だから結果が出る営業なのです。仮説検証型営業は営業の基本であり、このような能力と気づきがないと顧客志向で営業はできないでしょう。素晴らしい取組みだと思いますので、ぜひ皆さん身につけてましょう。しかし、仮説検証ができない営業もいます。そんな営業を「詰められない営業」と呼びます。
詰められない営業の共通点
詰められない営業はその名の通り、「新規営業」「初回訪問後」「案件提案」など、どの営業フェーズでも詰められず、あいまいな状態で前進させられません。仮説も立てられず、検証もできません。詰められない営業から「仮説は立てていますよ」と言われたことがありますが、「それは仮説ではなく、想像ですよ」と指導したケースがあります。
前述した通り、仮説には「経験やスキルからの仮定と、事実からの仮定」の2つの要素が必要です。詰められない営業は経験やスキルが乏しい、若手営業が多いと感じます。経験やスキルが乏しいのは仕方がないならば、情報と事実を集めなければなりません。しかし、情報と事実を獲得できないので、想像が中心になっているのです。
「製品・サービスのここを、たぶん気に入ってくれました」「次のアクションはヒアリングになります」などと、聞いている情報や事実もあるのに、想像をまぜて報告するので商談を詰めていけません。 妄想癖が強すぎる詰められない営業もいるぐらいです。こうなるともうどの報告を信じたらいいのか不安になりますし、主観だけで商談を進めていこうとしているのか?と疑いたくなるくらいです。
組織で聞くべきことが決まっていても、なぜ情報を獲得して事実から仮説をしようとしないのでしょうか?詰められない営業には共通点があります。その共通点は「気が利かない・気がつかないから、仮説が思いつかない。よって事実を知る意識が低く、聞けない」だと思います。そしてフェーズ別にも商談は進みません。そして、詰められない営業がさいごに言うお決まりのセリフが「(顧客と)連絡がつかなくなりました・・」。
もう詰められない営業を超えた、想像営業と名付けたくなります。
仮説検証型営業と想像営業の違い
仮説検証型営業:仮説検証ができる営業と、想像だけで詰められない営業:想像営業の違いとは何なのでしょうか?もうここまで読んでいただいたみなさんにはおわかりいただけたと思います。
仮説検証型営業 = 仮説1)2)をベースに仮説が正しいのか間違いなのか、情報や事実に基づいて、顧客に聞ける営業。そしてフェーズ別に実際に確かめている。
想像営業 = 気が利かない・気がつかないので仮説を思いつかず、顧客に聞けない営業。確かめる作業をしないので、商談は中途半端に消えていく。
もっとシンプルに言うと「気がついて、聞ける営業かどうか」、これが仮説検証型営業と想像営業の違いとも言えます。仮説検証できる営業は商談を前進させていくために、どんどん気がついていきます。気がついたことに対し、「仮説1)最も確率の高いと思われる仮の答え = 経験やスキルからの仮定」を考えながら、「仮説2)獲得できた情報に基づいた仮の答え = 事実からの仮定」をぶつけていくので、商談も進んでいきます。
こうして仮説検証型営業もどんどん成長していくのです。「気づいて、聞く」という営業スキルは、組織で取り組んでいける要素だと思いますので、営業・マーケティングチームでぜひ一度話し合ってみてください。
まとめ
「仮説検証ができる営業と、想像だけで詰められない営業の違い」と題しまして、仮説検証型営業がやっていることがご理解いただけたと思います。「新規営業」「初回訪問後」「案件提案」など様々な営業フェーズで、営業自身が聞くべき内容を決めていますし、その場その場で判断して聞いているのがよくわかりましたね。フェーズごとの活動プロセスで検証できているので、結果にもつながりやすいのです。
「詰められない営業=想像営業」とは失礼な言い方をしてしまいました。気分を悪くなれた方にはお詫び申し上げます。しかし実際に複数の営業チームで、最近あった話でして、マネージャーの方はとても困っていらっしゃいました。マネージャーと営業、そして私で話し合った結果がこのような内容になり、営業にフィードバックすることで改善ができました。
仮説検証型営業になるために組織で標準化する取組みに加え、仮説検証ができない営業とは話し合って、改善点をフィードバックしてあげれば、必ず成長できます。ぜひ営業・マーケティングで取り組んでみてください。
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