提案営業

予算取りの意味と時期を、営業は学んでみよう!予算執行も解説

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営業は売上を増やすために顧客の予算に入ることを狙いたいものです。そして年々、顧客が予算取りをしてくれないと受注できなくなってきています。今の時代の予算取りの意味と、会社や自治体の予算取りの時期はどのようになっているでしょう?営業が学んでおくべき、予算取りの意味と時期、そして予算管理、予算編成、予算案、予算獲得、執行予算ついて、解説していきます。 営業のみなさんのために、予算取りについてまとめた、珍しい記事がここにあります。

予算取りとは?営業としてその意味を理解しよう

営業に予算取りの大切さを説明しようと思い、記事を書くことにしました。なぜ予算取りの重要性を伝えたかったかというと、予算取りのしくみを理解しないと受注できない時代に入ってきたからです。つまり会社のルールとして、予算管理の中で承認された事案だけが執行される(発注される)のです。営業のみなさんの立場で言い換えれば、「予算獲得ができていなければ、受注できない」のです。このような想いから、予算取りの大切さとその意味について理解してほしいと考え、記事を書いてまいります。

背景には企業の「コンプライアンス重視の経営」があります。「コンプラ重視」と聞くとパワハラやセクハラをしないこと・・?などがイメージされますが、広い意味ではコンプライアンスとは「法令遵守」のことです。企業には必ずステークホルダー(利害関係者)が存在します。株主、顧客、従業員・経営者がそうです。ステークホルダーの利益のために社会道徳や社会規範を守り、実行できるコーポレートガバナンスや内部統制を、取締役が構築する義務があります。

‘コンプライアンス’と聞くと営業には難しい感じがします。そこでもっと営業のみなさんにわかりやすく説明すると「ステークホルダーの利益のために、会社のお金を計画的に有効に使えていますか?」という点を理解して欲しいのです。上場企業だけではなく、非上場企業も「コンプライアンス重視(法令遵守)の経営」に変わってきています。創業社長や部門長が予算取りもできていないのに、「会社に必要だから発注する!」と言って、勝手に発注していてはステークホルダーのためにならないのでNGなのです。

このような背景から企業は予算取りのための予算編成や予算会議を、年々重視しています。そして予算取りは毎月行われているわけではありません。会社の前期決算日の前に行われ、承認されたのち、今期に入っていきます。つまり半年から1年以上前に今期の予算取りは完了しているため、新規営業が「すぐに予算を取ってほしいです!」「今、決めてもらえませんか?即決してほしいです」というお願いはできないのです。今の時代から言えば、とても失礼な営業スタイルと言えます。当たり前ですよね・・。

営業のみなさんの立場で言い換えれば、 「見込み顧客の予算取り時期を把握し、計画的にみなさんの提案を予算に入れていくこと」が、売上を増やしていくための重要な要素 となります。では会社の予算取りの時期や予算に入れてもらうためには、どんな種類や方法があるのでしょう?計画的に自社の提案を、予算に入れてもらうための営業について学んでみましょう!

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予算取りには時期がある1)一般企業編

会社は事業を成長させるために製品・サービスを開発し、採用を増やし、人材育成などの新しい投資をしていきます。新しい投資だけでなく、社員の人件費やオフィスの経費などの費用も必要になっていきます。そして、売上や利益の計画を策定していきます。これらすべてを事業計画に盛り込み、年度ごとに適切な売上・原価・経費・利益の予算案を立案し、予算会議で決めていくのです。

この予算会議で提出される原価や経費の中に、みなさんが提案する製品・サービスを入れてもらうことが予算取りに大切な作業なのです。では公共自治体や官公庁を除く、一般企業の予算取りはどのような時期に行われるのでしょうか?

【大手企業 3月決算の場合】

  • 5月~9月 情報収集 → 打合せ・提案(営業) →概算見積提出(営業)
  • 11月 予算案提出1回目・第1回予算会議
  • 12月 修正のための打合せ・概算見積再提出(営業) →予算案提出2回目・第2回予算会議
  • 1月  修正のための打合せ・概算見積再提出(営業) →予算案提出3回目・第3回予算会議
  • 2月~3月 役員会議や取締役会で予算を承認され、来期計画が決定する

【中堅・中小企業の場合】

  • 10月~12月 情報収集 → 打合せ・提案(営業) →概算見積提出(営業)
  • 1月 予算案提出1回目・第1回予算会議
  • 2月 修正のための打合せ・概算見積再提出(営業) →予算案提出2回目・第2回予算会議
  • 3月 役員会議や取締役会で予算を承認され、来期計画が決定する

※(営業)以外の作業は、営業は関与できず、会社が主体で進める
※もちろん会社により決算月は違います。もし12月決算であれば、上記期間は同じですので、このサイクルを適用してみてください。株主には株主総会で承認されなければなりません。

このように大手企業と中堅・中小企業では予算取りに動き出すタイミングが大きく違います。大手企業は会社規模が大きく、予算承認までのプロセスが複雑ですので、予算案提出の時期が非常に早いです。上記例で言えば下期(10-月ー3月)が始まったらすぐに来期の予算準備が開始されています。下期の売上を追っかけ始めたら、もう来期の予算の話・・という感じですね(笑)。大手企業は規模が大きいため、予算と実績で動いていきます。つまり計画策定がとても重要なのです。経営企画部と管理部門が連携して進めていく予算管理専門のチームがあるぐらいです。

中堅・中小企業は決算月の3ケ月前後から、来期の予算準備が始まります。予算立案の専門チームがなく、今期の事業予算の執行を追いながら、計画していくのです。今期予算の達成と来期予算の立案の双方を追っていくため、現実的な時期から、来期の予算会議が始まっていくのです。

予算取り時期について営業のみなさんに抑えてほしいのは、「情報収集」の時期です。 予算取りのための情報収集をするのは経営企画部門だけではありません。事業予算を持っている事業部門や管理部門が、情報取集をするケースが多いと言えるしょう。会社の課題解決ができて、事業を成長させるための「必要な投資」を行う情報収集をするのです。この「情報収集」の時期に、営業がアプローチできていれば、予算取りに入れる可能性が高まります。「上記の情報収集」の時期は最短のタイミングと言えますので、2年越しや3年越しで予算に入れることもあります。予算取りの情報収集の時期を把握するだけでなく、会社の問題点や課題解決のために常に営業・マーケティングチームはウェブサイトやリアルのプロモーションで、自社の製品・サービスの情報を発信していきましょう。

このように予算取りに、みなさんの会社の製品・サービスが入れば、受注につながる可能性が高まるのです。会社によって言い方は違いますが、 「予算取り」と「予算執行」と2つに分かれるケースがあります。「予算取り」と「予算執行」では予算の取り方が大きく違ってきます。 下記のケースであれば会社の担当者は情報収集や打合せ・提案(営業)、概算見積提出(営業)をしなくても予算取りができます。製品・サービスを持つベンダーと接触しなくても、予算取りができてしまうのです。どういうカラクリなのでしょうか?

【予算取り】

製品・サービスを持つベンダーから正式な見積を取らなくても、予算金額を超えないように計画すれば、来期の予算に入れられる。そして予算会議で承認され、来期予算として執行できる。

【予算執行】

予算会議で承認された予算内であれば、事業部門や管理部門の責任者の決裁で、予算が執行できる。又は予算取りは予算会議、予算執行は経営会議で承認されるケースもある。すべての予算執行予算、又は一定金額以上の予算執行は、毎月開催される経営会議で承認される。

わかりやすく言うと 「予算取りはバックリと担当者が獲得しておいて、予算執行時は経営会議で承認を受けなければならない」というケースがあるのです。会社の担当者は、予算金額を超えないように計画すればよいので、費用さえわかれば営業を呼ばないのです。費用算出が複雑な製品・サービスであれば、営業を呼んで見積提出をしてもらう必要があります、いずれにしましても、予算が取れていないのに受注できるケースは少なくなっているのです。

営業のみなさんに覚えてほしいこと、1つ目は一般企業の予算取りの時期は大手企業と中堅・中小企業に違うということです。2つ目は、会社によって呼び方は違いますが【予算取り】と【予算執行】があることを理解して、営業活動をしていきましょう。

予算取りには時期がある2)公共自治体、官公庁・役所編 

一般企業の予算取りの時期について説明してきましたが、公共自治体、官公庁、役所向けの製品・サービスを提供しているベンダーもあるでしょう。公共自治体、官公庁、役所の予算取りはどのような時期に行われるのでしょうか?

公共自治体や官公庁、役所(以下、自治体)は、国民や住民から集めた税金、つまり富の再配分を最適に使うための団体です。 予算を考え、予算を使うことは自治体の仕事そのものなのです。一般企業の予算取りと違い、自治体では「予算作り」と言われます。 予算の提案は、国民・住民選挙で選ばれた国会議員や都道府県知事・市町村長(首長)が行い、議会で決めていきます。

細かな予算づくりの作業は自治体の職員が策定していきますが、どのような時期に次年度の予算策定が行われるのでしょうか?

【自治体の場合】

  • 10月 予算編成方針を部・課長へ通知し、予算要求開始 →総合調整会議で議論
  • 11月 予算要求締切、財政担当の査定、行政評価委員会で評価
  • 12月 予算第1次案(事務局案)を各部・課へ内示
  • 1月  市長査定、都道府県の状況反映(最終確認) →予算(案)決定
  • 2月  予算案を公表、プレス発表する
  • 3月 予算(案)の議会審議  →予算(案)の議決(可否採決)
  • 4月  新年度開始(新年度の予算執行)

このような流れで自治体の予算作りは進んでいきます。自治体予算の案件に入るためにも、自治体職員の予算要求を開始する10月以前に、営業はアプローチする必要があります。同じように情報収集をするタイミングを逃さないことと、予算要求の仕様に入ることが重要です。みなさんの製品・サービスの仕様が予算に入れば、次年度に入札される案件の条件になるため、受注がしやすくなります。

入札案件は、官公庁や自治体などの公的機関のウェブサイトに公示されます。大型入札案件で仕様や条件がすでに決まっていて、受注しにくい案件もあれば、入札に勝てば簡単に受注できる案件もあります。前述した一般企業の「予算執行」は、自治体でも「次年度執行」は同じです。自治体の予算作り・仕様に入るためには、自治体職員に早めに提案する活動が大事です。予算執行時は随時契約を除き、基本的には入札案件で提案できるので、公示をしっかり見ていくことを心がけましょう。

予算取りに入るための営業とは?見積もりと資料がなくとも予算獲得ができる方法

見込み顧客の予算取りに営業は入りたいですし、入らなければなりません。予算取りに入るための様々な方法がわかる記事です。



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まとめ

予算取りに入るためには、営業は様々なアンテナを張り、繊細に気を配る時代になってきています。コンプライアンス重視になってきている予算取りの意味と、大手企業や中堅・中小企業の予算取りの時期を把握し、営業は活動をしていきましょう。営業のみなさんの製品・サービスが予算獲得できたとしても、一般企業の予算執行や、自治体の次年度予算執行で、更に経営会議承認や入札案件があることも理解しておきましょう。

では、予算取りに入るための営業にはどんな方法があるのでしょう。会社や自治体の課題解決をしっかり提案するのは基本ですが、見積や資料がなくとも予算獲得できる方法があります。次の記事「予算取りに入るための営業とは?見積もりと資料がなくとも予算獲得ができる方法」をご覧ください。

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