第5章 営業・マーケティングのやり方(提案・クロージング編)

提案書の作り方

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RFP(提案依頼書)に対し、提案書は具体的にどのような点に気をつけて作成していけばいいのだろう?提案で使ってはいけない文章、使うべき文章、提案フレームのテンプレート、導入効果の表現など、提案書の作り方について、様々なポイントについて解説していきたい。

提案書の作り方とは?

 提案書の作り方は「読み手によって全体構成を工夫する」と「第一章で提案方針を伝え、一貫性を持たせる」を2つのポイントをベースとして、より細かな提案書作成のやり方を説明していきたい。プレゼン資料のベースになるものが提案書であるが、プレゼン資料は提案書とは別に作るべきだ。プレゼン資料の作り方については後のブログで説明するので、まずは提案期限に向けての提案書作成に絞り、いくつかの手法をご紹介していきたい。

文章と図と表のバランスに気をつけよう

 ひと昔前の提案書はすべて文章だった。本提案書をワープロソフトで書いて、別紙で表や絵を添えるという時代があったのだ。今でも「提案とは文章だ」と言う人もいるが、表計算ソフトやPowerPointがここまで一般的に普及すれば、文章だけの提案書をもらっても、顧客は提案イメージを想像できないであろう。つまり文章と図と表はバランスよく配置して提案書を作っていってほしい。図や絵ばかりで文章が少なく、読めない提案書はダメだし、文章が多すぎて読み疲れる提案書もダメだ。

資料のサイズはワイド(16:9)に変えていこう

 デザインが古臭い提案書であれば最新の背景テンプレートにしてほしい。最近はほとんどPowerPointで提案書を作成し、提案書が修正されてプレゼン資料にもなっていくわけだが、画面のサイズ(スライドのサイズ)が昔の標準(4:3)になっている資料は意外と多い。提案書もプレゼン資料もサイズは、ワイド(16:9)に変えた方がいい。新しさが伝わることも理由だが、顧客が若い担当者だった場合、「標準サイズ(4:3)の資料だった時点で、見たくなくなる(古い提案と感じるから)」という人がいるからだ。良い提案書とは、読んでいる顧客に提案内容をイメージしてもらうための最善の配慮ができているので、良いと思うことに気づいたら、どんどん提案書に取り入れてほしい。

提案書で使わない方がよい文章

 提案書には図や絵、表の説明文として文章が入る。もちろんできる限り肯定する文章にするべきだが、提案書の文章の語尾で使わない方がよい文章と、使うべき文章を紹介したい。

使わない方がいい文章の語尾「~が可能です。」「~ができます。」

→理由は自社製品・サービスを導入することで「可能です」「できます」提案書になりすぎてしまい、押しつけが強い提案書になってしまうからだ。 もちろん自社製品・サービスを解決策として提案をするわけだが、 「できます営業」「可能ですSE(技術・開発)」、なりすぎないよう、次のように記載した方がいい。

提案書で使うべき文章

使うべき文章の語尾「 ~このように変わります。」「~これが実現できます。」「~こうなります!」

→自社製品・サービスを導入すると「可能」だし「できる」わけだが、顧客は現在の業務を変えて新システム導入により目指したい姿がある。だから目指すべき姿に対して、自社製品・サービスを導入していただくと「変わります」「実現できます」「こうなります」と提案書に書くと、顧客視点の言葉なので顧客の望むイメージに近い。文章の語尾にも気をつけて提案書を記載してほしい。

第一章には「ご提案内容サマリ」を入れること

  「ご提案内容サマリ」は第一章・提案方針の中で、提案の結論であり、一番に伝えたい内容だ。「本提案には〇〇自社製品・サービスをご提案します」「導入スケジュールはご希望通り〇〇日に稼働です」「導入費用の総額はイニシャル費用□□円、ランニングコスト△△円です」「RFPに記載されていた××は本ご提案では実現できません。なぜなら・・」とRFPに記載されている顧客の要求に対して、本提案では実現できます!とまず総括をすることから始めてみよう。  
 そしてRFPに要求で実現できない大項目もあるはずだから、実現できない要求も理由を添えてサマリに入れてみよう。「最初に結論」をアピールすることはどんな提案書にも効果的だ。

提案書の書き方のフレームをいくつか持とう

 提案をするということは、顧客に何か問題点があるからである。その問題点を課題整理とすると課題解決をするためのソリューションが必要になるし、導入目的も明らかにしなければならない。顧客はこのような論理的な考え方の中で、ソリューションを決定し、投資をして、費用対効果を測定していくことになる。これらを提案書のフレームにうまくまとめていく作業が必要だ。提案書の書き方のフレームはRFP案件のような大きな提案書の第一章・提案方針でも使えるし、ベンダー中心で提案を任せられる時(競合無しの場合)でも使うことができる。いくつか提案書フレームをご紹介したい。

提案書フレーム(テンプレート)

(1)現状の問題点ー 仮説ー 課題の整理ーご提案ポイント         

(2)現状の課題ー あるべき姿ー 対応方針ー ご提案のポイント   

(3)背景・目的ー プロジェクトのポイント(業務要件+システム要件ポイント)ー 提案方針 

(4)事実(現状)ー 貴社対応方針(仮説)ー 事業課題(弊社推測含む)ー システム要件ポイント 

(5)現状認識ー 対処すべき課題ー ご提案のコンセプトー ご提案ソリューションの骨子ー 具体的な施策 

 いろんな提案書フレームのテンプレートがあるが、提案書を作成する側の基本的な考え方はこうだ。問題点を解決するためにソリューションを提案したいために、課題を整理し、提案ポイントをまとめ、論理的に説明していくのだ。RFP案件はこの流れの中に「あるべき姿」や「要求事項」がハッキリ書かれているので、提案書の書き方フレームに入れていかなければならない。

提案書の導入効果の表現で注意すること

 提案の中で「導入効果」については少し注意が必要だ。コスト削減型提案や更新型提案(保守・サポート終了など)であれば導入効果はわかりやすい。しかし業務改善型の提案では、コスト削減ではない導入効果を期待していることが多い。

 例えば、顧客が書いたRFPの導入目的に「〇〇業務体質からの脱却」「市場変化に柔軟に対応できるシステムの構築」「企業リソースを全体最適できる体制へ」と書かれていたら、どうすれば導入効果として測定できるのかは提案しづらい。理由は導入システムだけでなく、企業体制や風土、ルールや制度も変えていきながら導入効果を出していく必要があるからだ。業務改善型の提案書には導入効果はハッキリと書きづらいので、導入システムを中心に、両社(顧客と提案ベンダー)で協力し目的達成を目指していきましょう!という表現を入れてみよう。

業務フローと連動する提案書はわかりやすい

 どんな提案書も「現状から導入後はこう変わります」をいかにわかりやすく伝えるかが勝負だ。RFPの中に現状の業務フローがあれば、うまく活用していこう。自社製品・サービスを導入した場合、現状の業務フローがこのように変わり、この点が業務改善できて効率化できます!という新業務フローにできやすいはずだ。提案段階なので推測も含みながらの提案となるが、読み手の顧客は非常にわかりやすいだろう。

 そして業務フローは1枚の提案書にはまとまらないので複数の説明資料に分散してしまうことがある。その時はフロー説明の絵を、提案書に添えてあげるとよい。今は「受注」のフローを説明しています!をわかりやすくするために、説明資料の上に→「売上」→「出荷」→「請求」と説明時点の業務を記載する。顧客は「この業務を説明している資料なのか」と理解しやすいはずだ。

提案書の作り方 まとめ

 提案書作成の作り方はまだまだ細かいテクニックがたくさんある。本ブログでは書き切れないし、提案書の書き方を説明している専門の本も参考にしてみよう。よい提案の技術を身につけるために、本を読んで勉強するのはとてもよいことだ。

 また社内にはたくさんの営業やSE(技術・開発)が提案書を書いているはずだ。社内同士で同じ部署であれば、良い提案書はチームで使っていいだろう(顧客の個別情報の取り扱いには注意すること)。

 つまりルールを守れば良い提案書はどんどん社内でパクっていい。「パクること」は、提案書作成の効率を上げてくれる。会社で提案書のひな型を作って標準化し、再利用すればもっと効率的だ。

 だが良い提案書を作るためには、ある程度の経験が必要だ。本ブログを読んだら突然、提案書作りがうまくなることはない。自分で考えて、たくさん提案して、提案して提案しまくる! そういった提案書作成の作業を繰り返していかなければ、良い提案書が書けるようにはなれない。提案終了後、顧客が「課題が解決できて、大きな導入効果が期待できる」と思ってもらえる提案書を、いつかきっと作成できるようになるために、営業が案件から学び、自分自身に提案書作成スキル実装していこう。

 提案で一番言いたいことを最後にみなさんに伝えたい。それは「提案する」と「提案書を作って提出する」全く違うということだ。ベンダー中心で提案を任せてもらえるよう、先手の営業・マーケティングを仕掛けていこう。そうすれば「提案する=案を提ずる」の展開に持ち込めるはずだ。顧客主導でRFP案件になる場合は、顧客のルールに従い、良い提案書を作成していこう。この場合は「良い提案書を作って提出する」しかない。

見積書の作り方

 見積書作成と提示のやり方については本ブログでは詳しい説明はしない。各企業により見積算出の方法は違うし、技術者の単価も様々なので、チームで連携してベストな見積書を提示してほしいと願う。

 IT業界であれば積み上げ型見積で、どんどんコストが含まらないよう注意が必要だ。RFPに記載されている新業務機能記述書と機能要件一覧の「業務要件と機能要件」の重複部分をSE(技術・開発)と営業で連携して工夫すれば、見積コストを抑えることができる。他の業界でも技術・開発と営業で連携して削減できる方法があるはずなので、チームで工夫を忘れないでほしい。

 RFP案件の見積書で脱落しやすいパターンをご紹介しておきたい。それは「一番高い見積と一番安い見積は1次選考で落とされやすい」というケースだ。できる限り安く導入したい顧客はやはり高いベンダーは採用したくない。でも一番安いベンダーも脱落しやすい。それはなぜかというと「信用できない」からである。しっかりとRFPを読み込み、理解して見積を提出していないのではないか?と判断されやすいからだ。もちろん提案書の中身も顧客はしっかり見て判断するので提示金額だけでは判断はしないと思うが、10社以上の提案ベンダーが参加する大型コンペは、まず振るいにかけるために、このような手法で2社を落とすことはあると言われている。自社が一番高いか安いかは提出してみないとわからないが、一般的に「このRFPの内容であれば〇〇億ぐらい?」という感覚はチームで話し合いながら見積書作成にあたってほしい。次回は提案書のメッセージを顧客に魅力的にわかりやすく伝えるためのプレゼンのやり方やプレゼン資料の作成について説明していきたい。

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