第5章 営業・マーケティングのやり方(提案・クロージング編)

RFP案件の提案方法とは? 質問記入票がポイント

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RFP(提案依頼書)案件には業務要件記述書や機能要件一覧、質問記入票など、顧客が決めた提案方法が存在する。顧客の提案ルールである以上、従わなければならない。RFP案件に対応し、受注するための提案手法はどのようにすればいいのだろう?RFP案件の進め方について、解説していきたい。

RFP案件の提案方法は、まず作業分担から

 図のRFP(提案依頼書)例と、提案までの作業分担を見てほしい。一般的によく出てくるIT業界のRFPから抜粋したサンプルだ。IT業界ベースに説明をしていくが、他の業種でもやり方は似ていると思うので業種に関係なく参考にしてもらいたい。

 「1.本紙」にはAsIs(現状の課題)やToBe(あるべき姿)、求める要件や要求仕様など、提案依頼内容が書かれている。まず「1.本紙」の内容を理解するために、提案メンバーで読み込む作業から始まる。RFP提案に対応する提案メンバー全員で読み込まなければならないが、作業分担の担当を決めて、担当別に深く読み込んだ方が効率的だ。

 RFP前半戦は作業分担と質問の聞き方が勝負だ。そして提案書を作成するのは後半戦だ。なぜなら図にある「2.新業務機能記述書」と「3.機能要件一覧」は顧客が求めている統一フォーマットに記載して完成させなければならないからだ。そしてわからない不明な点は「5.質問記入表」で聞いていくという流れだ。「2.新業務機能記述書」「3.機能要件一覧」「5.質問記入票のやり取り」が終了して、提案書作成の後半戦に作業が移っていく。

まず作業分担の担当だが、すべてSE(技術者や開発者)に任せるのはよくない。営業も積極的に提案作業に入っていこう。作業ボリュームが多すぎてSEだけでは効率が悪いことも理由だが、営業要素を入れたいからだ。技術者は「できる・できない」を論理的に判断する。だから正確に記載できる。しかし論理的にハッキリしすぎていて受注するための気の利いた表現が少し欠けることがある。

 営業は「できた方がいい、できないとまずい」と受注するための配慮や気配りの営業視点を提案書に入れることができる。できないことをできるように記載するはダメだが、論理的な技術者視点と営業視点のバランスを取って提案していこう。後述するが質問記入票のやり取りでは、「質問しながら提案をしていく」という営業活動も必要になってくるので、営業の提案書作成参加は必須だ。 企業によっては技術営業やプレ営業・コンサル営業の提案専門のチームがある企業がある。それはそれで組織体系がしっかりできていて素晴らしいが、それでは営業が存在している意味がない。提案書作成は技術営業、プレ営業・コンサル営業に任せて、営業はカバン持ち・プロジェクタ持ち・資料印刷担当をしているようではダメだ。営業の提案レベル向上のためにも営業を提案書作作成の担当に入れてほしい。

RFP案件の提案 新業務機能記述書、機能要件一覧、質問記入票に対応する

 このような提案体制にできれば、新業務機能記述書の担当はSE(技術者や開発者)、機能要件一覧の担当は営業、質問記入票のやり取りは営業がよいだろう。まず機能要件一覧とは、要求する機能の一覧表があり表に対し自社製品・サービスで実現できるかどうか機能毎に「◎〇△×表」を作成していく内容のものだ。ここでも前ブログで記載した初回訪問の「会話」で必要なスキル「「〇△×トーク」を思い出してほしい「この機能要件は△でできませんがこのように運用すれば〇に近づきます」という回答のように、機能要件一覧は必ず肯定文で終わることがとても重要だ。このようにして「肯定文」で「〇以上」をとにかく増やしていこう。

 新業務機能記述書と機能要件一覧は営業とSE(技術者や開発者)で相談しながら進めてほしい。その理由は新業務機能記述書(業務要件)と機能要件一覧が密接に連携していくからである。機能要件一覧は自社製品・サービスに対して「◎〇△×表」を作成していく作業が中心になる。新業務機能記述書は業務要件毎に「必要な工数」+「その割合(大・中・小)の表」を作成していく。最後にSE(技術者や開発者)が見積書を作成する時にベースになってくる表と言える。

 新業務機能記述書の業務要件ごとに工数を算出していくと、機能要件とかぶってくることが多くなり、見積金額が高くなる。ではどうすれば削減できるかと言うと、提案するソリューションが自社製品・サービスであれば、機能要件と新業務要件を入力画面で集約すると工数が減っていくのだ。

 例えば基幹業務システム(ERP)RFP提案の新業務機能記述書の業務要件に、「受注業務にはAが必要」 と「受注業務にはBが必要」と記載されていれば、AとBの双方で工数を算出してしまう。ところが受注業務A・Bともに、標準機能から見れば受注入力機能で実現できているので、営業とSE(技術者や開発者)が相談しながら進めていけば、工数が減るというわけだ。このように新業務機能記述書と機能要件一覧はSE(技術者や開発者)と営業が作業分担をしながら連携して、見積算出をするSE(技術者や開発者)に機能要件の情報を集めてほしい。

 IT業界に限らず、技術と営業が連携しなければならないRFPの対応はあるはずだ。顧客が求める技術要件を、提案するソリューションの機能や仕様に統合していく。そうすればRFP提案の前半戦作業を、後半戦に作成する見積費用削減につなげていけるのだ。

質問記入票で提案するポイント① 質問はたくさんする

 新業務機能記述書と機能要件一覧を作成しているとRFPから読み取れない内容があり、たくさんの不明点がでてくる。この不明点を質問で文章にするのはSEと営業、それぞれでいいと思うが、質問記入票のやり取りの担当は営業がしてほしい。顧客は質問記入票でベンダーからたくさんの質問を受け付けるが、実はすでにここから提案が始まっていると言えるからだ。

 RFP案件の一般的なルールでは、プレゼンまでの顧客とのリアルなやり取りは質問記入票しかない。顧客はベンダーの業務知識レベルを質問記入票のやり取りの中から感じていくのだ。「熱心に提案作業をしてくれている」や「RFPの内容からここまで考えてくれているのか」と好意的に感じてもらえれるように努力していこう。だから質問記入票の担当は、受注するための配慮や気配りができる営業がいいのだ。このように顧客から評価してもらうための、質問記入票のやり取りのポイントを紹介したい。

 質問が多いと「熱心によく考えてくれている」と顧客は感じる。「RFPを読めばわかるだろう」というレベルの低い質問はダメだが、RFPは結局文章で伝えているだけなので、読み取りにくい箇所もある。質問の量にもこだわりながら、「このようなイレギュラーな場合の〇〇業務要件は・・?」と、「こんなケースも想定してよく考えてくれているな」と顧客に感じてもらえる質問を出していこう 。 プレゼンまでにはベンダーとの個別打ち合わせはしないとRFPに書いている。だが質問数には制限はない。つまり質問が多いと顧客も回答作業に困り、「会って説明した方が効率的だ」と判断し、個別に会ってくれることがある。これは熱心によく考えている質問をたくさん出したための特別対応であり、競合先よりも一歩先に出れる手法だ。打ち合わせの場では質問回答だけでなく、製品・サービスの特長や提案するベンダーの長所や営業・SEのメンバーの質もアピールしよう。顧客と会えば、文章から読み取れない実際の顧客の声も聞け、提案書作成に役立てることも可能だ。このように質問記入表を単なる質問回答のやり取りだけに使わず、提案営業をすることに使えるので、たくさん質問をして、訪問できる展開に持っていこう。

質問記入票で提案するポイント② 質問の聞き方に気を配る

 質問はたくさんする方がいいと書いたが、自社の製品・サービスであれば「実現不可能な方向に寄っている質問」は避けた方がいい。製品・サービスの標準機能で実現できなければカスタマイズ開発をしてコストがかかってしまい、見積で不利になるからだ。質問の原則は「提案する製品・サービスの標準機能に寄せる質問」にしてくように心がけよう。

 質問の聞き方は基本的に「YES or NO」で回答できる質問形式にしていこう。回答する顧客側も文章で回答していくことは大変である。コンサルティング会社が質問に対し、代行回答をしている時も同じである。「手がかかるベンダーだなあ」と思われるのは、印象的にもよくない。そこで下記の質問形式の良い聞き方を◎、手のかかる悪い質問の聞き方×、の記載例を見てほしい。

◎良い質問の聞き方◎

「~この理解で合っていますか?」「~と考えてよろしいでしょうか?」「〇〇ですか?」

(◎例)「リベートは、月次単位に特定商品の売上実績に一定率を乗じる計算ですか?」

×悪い質問の聞き方例×

「~の場合はどうですか?」「~の時、どんなことがありますか?」

(×例)「リベートの計算方法(種類)について教えてください。どんな種類がありますか?」

 RFP案件の提案に限ったことではないが、営業が顧客とのやり取りで顧客側の効率を下げるような行為はNGである。このような×例の質問を繰り返していては非効率だし、まず自社を好きになってくれないだろう。良い質問や良い聞き方をたくさんしていると、QA(質問回答)のやり取りが増える。顧客の回答に対してまたベンダーが質問をして、また顧客から回答があるという好循環になる。ベンダーが理解を深めてくると「では〇〇機能は△△機能と統合できるのではないですか」と「質問をしながら提案をしていくこと」もできる。これはかなり高度なQA(質問回答)だが、質問記入表のやり取りから顧客に価値を感じてもらうことも忘れないで欲しい。
 RFPの提案規模にもよるが、最低100個の質問は投げてみよう。「提案書作成と提出で忙しいから、そんな100個も質問をあげる時間はない」というみなさんの声が聞こえてきそうだが(笑)、顧客の印象を上げると共に、次の提案書作成の精度向上にもつながっていくので。ぜひ実行してみてほしい。

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