提案営業

やってはいけない提案書作り

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RFP(提案依頼書)案件は、顧客が期待する提案で応えなければならない。ところが顧客の期待に応えるどころか、顧客を失望させるような提案書がある。「やってはいけない提案書作り」と題して、これだけはやってはいけない悪い提案について、解説していきたい。

やってはいけない提案書作りとは?

RFP案件でよく負けてしまうベンダーは、前ブログで説明した「良い提案書作成と書き方」のポイントを考えながら、提案書作りができてないことが理由かもしれない。

  • 業務要件と機能要件をSE(技術)と営業がバラバラで作成している。
  • 質問数が少なく、質問のレベルも低い。
  • よって顧客が会ってくれない。
  • 提案書の構成がひとつしかない。提案方針に一貫性がない。

このようなことがないようにぜひ良い提案書作りを実践し改善していってほしい。そして提案書作りで気をつけて欲しい細かなポイントがある。やってはいけない提案書作りと題して、IT業界でいくつか例をあげて説明していきたい。

やってはいけない提案書作り① RFPから逸脱したシナリオになっている提案書

現状の問題点や課題(AsIs)や、今後こうありたい!あるべき姿(ToBe)はRFPにしっかり記載してくれている。このようにゼロからヒアリングして要求を定義しなくてもいいので、RFP案件は楽だし、提案書作りがやりやすい。ところが顧客が定義してくれているにもかかわらずに、提案書の最初から的外れなアプローチをしてくるベンダーがいる。

例えば「御社と取り巻く業界の外部環境から考察すると、××な今後の課題が想像され、▲▲のような困難が待ち受けている・・・」と、RFPから全く離れたシナリオで提案書が展開されていく場合だ。コンサルタント気取りのコンサルチックなアプローチが好きなベンダー、自己満足型提案と言える。

RFPから逸脱している提案内容は、顧客から見ても良い印象は感じないだろう。また顧客の方が業界を取り巻く環境については詳しいわけで、「そんな事は言われなくてもわかっています」という感情を、聞き手が抱いてしまうかもしれない。RFPは外部にお金をかけて作成しているケースが多いので、顧客が本当に望んでいるソリューションの姿がきっちりと描かれている。提案書はRFPから逸脱したシナリオにならないようにしてほしい。

やってはいけない提案書作り② 製品画面の貼り付けオンパレード提案書

図の第1章の「本システムに対する取り組み方針」の提案方針はとても大事だ。ところが提案方針が「とにかく課題解決のためには自社製品・サービスが一番なのです」になっている提案書がよくある。これは提案になっておらず、プロダクトや製品・サービス中心のダメな提案と言える。

このような提案になると製品・サービス紹介資料や製品・サービスの入力や出力画面ばかりの提案書になり、製品画面の貼り付けオンパレードになる。提案の「案」が製品・サービスなりすぎていて、読み手の顧客からすると「自社製品・サービスの押し売り」と感じてしまう。

自社製品・サービスで課題を解決できます!と提案書で展開していくのはOKだが、提案書に製品画面の貼り付け資料が多すぎては、提案に聞こえなくなってくるので注意してほしい。画面サンプルではなく、業務視点で分析して、具体的な解決案を提示していこう。その解決策が提案している製品・サービスになるシナリオが提案書作りの基本なのだ。

やってはいけない提案書作り③ 顧客が実現したい言葉を提案書に連発している提案書

IT業界でRFPによく記載されている言葉に「可視化」「統合化」「共有化」「効率化」などがある。これらを顧客は実現できず困っていて、RFPをベンダーに出して提案を求めている。ところが提案書にはRFPに実現したい言葉「可視化できます」「統合化ができます」「効率化できます」と同じ言葉を連発している提案書がよくある。例えば顧客は「効率化」するための具体的に実現方法を提案してほしいのに、その具体策が書かれておらず、「効率化できます」では納得しないだろう。AsIsをクリアし、To―Beを実現したい顧客に対して、どのように解決していけるのか具体的に案を提ずることを心掛けよう。それが提案だ。

やってはいけない提案書作り④ 顧客が望んでいない資料で、やたらとページ数を稼ぐ提案書

図の第1章から第5章までが業務要件のメインであり、顧客は提案書に対して一番期待しているはずだ。ところが第6章以降の提案ボリュームがやたらと多い提案書がある。例えば会社案内・保守サポート体制・ハード・ネットワーク資料などの量がやたらと多い提案書だ。

更に悪い提案書は、業務要件について製品・サービスの標準的な業務フロー図がたくさん貼り付けられている場合がある。顧客の新業務とは関係ない業務フローだ。量が多ければよいと思っている人の提案書は、「顧客が望んでいない資料」でページ数を稼ごうとする。提案書づくりに時間を割かず、「ありものの説明資料」で提案書を構成しようとするパターンだ。これはやめた方がいい。提案書づくりは量ではなく質だ。しっかり作成すれば、質の高い資料が相当数の量になるはずだ。

また営業とSE(技術)の作業分担をやりすぎると、作り手の想いが統一されていないため、同じような資料が何枚もできてしまい、重複してしまうことある。だから提案書の単純作業資料を営業とSE(技術)で分担することとし、提案書づくりの中心になる営業1名が魂をこめてすべてを作成した方がよいと感じている。

いずれにしても提案書づくりをしていると、自分で「手を抜いているな」「良い提案書になっていないな」と感じることはあると思う。ズバリ言うと、そう感じた時が「やってはいけない提案書づくり」の瞬間だろう。次回のブログで提案書の作り方について、解説していきたい。

本日の「やってはいけない〇〇提案」 

営業はやるべきことよりも、やってはいけないことの方が早く身につくと言われている。〇〇提案と称するので、こんな提案にはならないように気をつけてほしい。

「RFPから逸脱提案」 →RFPをしっかり読み込まず、「業界を取り巻く課題・・」などコンサルチックなアプローチを多投する提案書で、自分の思い込みが強い。RFP作りに時間をかけた顧客のことを考えず、顧客の期待を大きく裏切っている。

「案を提じていない提案」

画面貼り付けのオンパレード、会社案内やプロジェクト体制・サポート体制の資料ばかりで量を稼ごうとする提案書。顧客が期待している具体的な提案はなく、「うちの製品・サービスが一番です!」という紹介提案になっている。

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