営業は見込み顧客に対し、商談中のどこかで価格や料金を提示しなければなりません。費用を見積もりして、見積書を提示するケースもあります。ならば、営業が価格や料金を提示するタイミングは商談の後半、さいごの方になってしまいますが、これで良いのでしょうか?本記事では価格や料金を知りたがっている顧客に対し、営業はどのように商談を進めていくべきなのかを解説し、営業が価格や料金を提示する良いタイミングの答えを提示いたします。
顧客は価格や料金を知りたがっている
営業が新規開拓して、見込み顧客に初めて訪問することはよくあります。初回訪問や初リモート商談にあたるケースですね。まず営業は自社の製品・サービスの価値や良さを伝えることに集中するべきです。見込み顧客の問題点をヒアリングしながら、自社の製品・サービスで問題を解決できるメリットを伝えていきましょう。「この会社の製品・サービスであれば、うちの課題を解決できそうだな」と見込み顧客に思ってもらえば、初回訪問や初リモート商談はひとまず成功です。
製品・サービスの特徴によって、2回目以降の商談の進め方は変わってきます。2回目以降は技術者が同席してヒアリングしたり、営業がもっと深くデモやプレゼンをしたり、見積書を提示したり、進め方は様々です。しかし、見込み顧客は価格や料金を知りたがっています。なぜなら、「製品・サービスで課題解決ができて導入効果は出せそうだけど、費用対効果による」と思っているからです。
製品・サービスが良くても非常に高い価格や料金であれば、費用対効果は低くなりますし、予算オーバーになることもあります。製品・サービスの価格や料金が思った以上に安い場合は、費用対効果も高く、予算内で決裁が通りやすいですが、昨今なかなか安いものはありません。
営業としては「まずは自社の製品・サービスの価値を伝えてから、価格や料金を提示したい」と思うのは当然です。これはセオリーな進め方と言えます。しかし、見込み顧客は導入効果が期待できても、価格や料金が高いようであれば商談を進めても無駄になるケースがあるので、早く知りたがっています。では、早めに価格や料金を見込み顧客に営業から伝えればよい!と思うかもしれませんが、BtoBの商談では、すぐに価格や料金がわからない業界の製品・サービスやソリューションがあるのです。それはどんな業界なのでしょうか?
営業だけでは見積もりができない業界とは
すぐに価格や料金がわかる製品・サービスがあります。これは製品・サービスサイトの価格ページに記載されているので、見込み顧客はおおよその費用感はわかります。しかし、すぐに価格や料金がわからない業界の製品・サービスやソリューションがあります。それは営業だけでは見積もりができない業界です。
公開している製品・サービスの価格や料金に加え、導入支援費用や保守費用などを算出して営業が見積もりをするケースであれば、2回目には見積書を提示できます。しかし営業だけでは見積もりができない業界・分野があります。つまり、技術者や開発者が商談に参加し、見込み顧客の要件をヒアリングして、細かく算出しなければ見積書を提示できないのです。一般的にどんな業界が上げられるのでしょうか?
【営業だけでは見積もりができない業界】
- 建設 →ビル、マンション、住宅、工場などの見積もり
- 土木工事 →公共工事、民間工事などの見積もり
- 住宅設備 →風呂、キッチン、トイレ・衛生機器などの見積もり
- 生産設備 →工場の生産ライン設備機械、工作機械などの見積もり
- メーカー →自動車や家電などの製品が完成するまでの見積もり
- IT・システム開発 → ERPカスタマイズやシステム受託開発などの見積もり
このような業界の見積もりは、営業だけでは算出できません。営業を支援するシステムエンジニアや技術営業が参加して細かい打合せを重ね、見込み顧客に見積書を提出していきます。プレ商談と呼ばれ、営業だけでは見積もりができない業界はどうしても全体費用がわかるのが商談の後半になってしまいます。このケースでは早く価格や料金を知りたがっている見込み顧客に、正式に見積算出ができるまで待ってもらうしかありません。
しかし、正式見積もりまで時間がかかるとしても、その費用は1,000万なのか、1億なのか、10億なのか、おおよその費用がわからないと見込み顧客は不安です。でも「費用がわからない」ものは営業としても伝えようがありません。では営業が見込み顧客に費用を提示するベストなタイミングは、どうすればいいのでしょうか。
営業が費用を提示するベストなタイミング
BtoCのビジネスは消費者がエンドユーザーであり、単価は抑えて数量でビジネスをしていくので、価格や料金はわかっています。消費者が価値を考え、購入の判断をしていきます。
BtoBでも「すぐに費用がわかる製品・サービス」は、クラウドサービスやサブスクモデルの普及とともに増えています。しかし、製品・サービス費用に加え、導入支援や保守費用を加えて、正式見積書を提出するモデルであれば、すぐに費用がわかるわけではありません。前述した「営業だけでは見積もりができない業界」は費用がわかるのは商談の後半です。
ところが見込み顧客は価格や料金を早く知りたがっていて、費用対効果を見ながら商談の進め方を決めていきたいと考えています。見込み顧客は「いくらなの?」、営業は「まだわかりません」という状態と言えます。こうなると営業が費用を提示するベストなタイミングは、商談の後半としか言いようがありません。
しかし、営業が費用を提示するベストなタイミングは初回訪問や初リモート商談の時、つまり最初に会った時にするべきだと私は思います。なぜなら、見込み顧客が費用を早く知りたがっているからです。昨今の見込み顧客はインターネットでどんどん情報を集めています。営業が思っている以上に情報を持っています。
ただし費用に関しての情報は、インターネットに出ていないケースがBtoBでは多いです。見込み顧客はその費用だけがわからず、営業との初回訪問や初リモート商談で知りたがっています。ならば、見込み顧客の期待に応えるために、製品・サービスの費用一式を概算で伝えてみましょう。
しかし、最初の商談時に「概算ですよ」と営業が伝えた費用でも、正式見積もりの時に高くなってしまっては「話しが違う!」と見込み顧客は怒ります。「概算費用ですが、おおよそ○○円~○○円ぐらい」という幅を持たせて伝えましょう。営業だけでは見積もりができない業界であれば、建物や機械の見積もり事例で「このケースでは、約○○円ぐらいでした」、見込み顧客がイメージできる費用を伝えてはどうでしょうか。
営業も見込み顧客の予算と見積もりが、大きくかけ離れていては非効率な商談の進め方になります。製品・サービスの価値を伝えることが最優先ですが、初回商談時に「概算費用」を伝え、見込み顧客の反応や予算感を確認しておけば、案件の見極めにつながります。このように営業が価格や料金を提示する良いタイミングとは、はじめと、さいごのどっちなのかというと、はじめに伝えるべきなのです。
まとめ
「営業が価格や料金を提示する良いタイミングとは?はじめと、さいごのどっちなの?」と題して、ご紹介してまいりました。顧客は価格や料金を早く知りたがっていますが、BtoBではすぐに費用を出せないケースが多いですし、営業だけでは見積もりができない業界があります。
しかし見込み顧客が営業を呼んで初回商談をしたい背景には、インターネットでたくさんの情報を集めたけれど、ここから先は営業に説明して欲しい!という期待があります。大事なことは、見込み顧客の期待に応える初回商談にするために、まずは製品・サービスの価値を伝え、課題解決できるイメージを感じてもらい、価格・料金・費用を概算でいいので提示してみましょう。何度も言いますが、初回商談の1時間でできる限り、やってみてください。それが現在の売れる営業の基本スタイルなのです。
材料費や光熱費の高騰、為替の変動、物価高や人件費アップなど、営業は価格・料金・費用をすぐに伝えにくい時代に入りました。正式見積書はしっかりと提示するにしても、見込み顧客の期待に応え、質のよい商談化や案件化を増やしていくためにも、営業ははじめに価格・料金・費用を提示することを心がけてみてください。
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