営業スキル

予算感が合わないと言われないために 聞き方を例文でご紹介

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商談がかなり進んだ段階で見込み顧客から「予算感が合わない」と言われたことはないでしょうか?その主な理由は予算感が聞けておらず、商談を進めてしまったからです。お金に関することはなかなか見込み顧客からは聞きづらいものです。しかし、無駄な提案書や見積書を作成する苦労を削減し、最適な提案や見積もりを提出するために予算感を聞くプロセスは重要です。そこで、予算感の聞き方を例文でご紹介しながら、予算感と費用感の違い、営業が予算感を聞きたい理由と聞く方法を解説いたします。

予算感とは?費用感との違い

予算感とは、個人でも企業でも購買時に使用許可が出ているおおよその全体金額のことです。個人であれば家計の財布の中で使ってよいと決められている金額の中で、自動車を購入したり住宅を購入したりします。企業であれば予算取りをしている金額内で、システムを導入したり設備機械を入れ替えたりします。

予算感を定めるということは、一定以上の高額は商品、単価の高い製品・サービスが対象になるケースが多いでしょう。費用感というケースもありますが、予算感と費用感の意味には大きな違いはありません。

本記事では企業向けの予算感の聞き方をご紹介していきます。何回も商談を重ね、提案書や見積書に時間をかけて作成したのに、「予算感が合わない」と言われてケースはないでしょうか?「無駄な時間をかけてしまった・・」とならないように予算感を把握するための方法論を解説していきます。

ちなみに企業向けでは予算取りの商談に入ることがとても重要です。予算取りの意味や時期、予算取りに入るための方法論は下記記事をご紹介していますので、参考にしてみてください。

予算取りの意味と時期を、営業は学んでみよう!予算執行も解説

なぜ営業は予算感を聞きたいの?

大きな投資になればなるほど、企業の予算取りは存在します。担当者が概算予算として確保している金額だとしても、予算感としては持っています。その予算感に入れば、受注できる可能性が高まります。だから、営業は予算感を聞きたいのです。

逆に提案する製品・サービスと顧客の予算感が合わない時には、早めに降りる判断も重要なため、予算感を聞きたいケースがあります。例えば、顧客の予算感が300万のところ、自社の製品・サービスが500万もするようであれば、厳しい商談になるでしょう。どんな製品・サービスにも価値があり、その価値から価格は決まっていますので、大きく価格を下げることは難しいのです。

営業が予算感を聞きたい理由は、「受注する確率を上げるため」と「無駄な商談を避けるため」の2つのポイントに集約されるのです。では次に企業向けの予算感の聞き方をご紹介していきます。予算感が合わないと言われないためのポイントは4つあります。それは1)タイミング、2)伝えること、3)聞き方、4)提案力の4つです。ご紹介いたします。

タイミング)初回訪問時には聞かない!もっと先に聞こう

予算感の聞き方にタイミングはとても重要な要素です。タイミングさえ間違えなければ、必ず予算感は聞き出せます。しかし、なるべく早く聞きたいのが営業の本音です。なぜなら営業は「受注する確率を上げるため」と「無駄な商談を避けるため」と考えているからです。

まず予算感を聞くためのタイミングで大事なポイントは、初回訪問時には絶対に予算感を聞かないということです。初回訪問で「予算感を教えていただけませんか?その予算に合ったご提案をしたいからです」と、平気で言っている営業がいます。これはまだ、聞くタイミングが早すぎます。

「予算を教えてください!というからダメなんだ。予算感は?と聞けば、やわらいだイメージで聞きやすい」と初回訪問時でアドバイスしている営業もいますが、これも間違っています。

なぜ、初回訪問時に予算感を聞かない方がいいかというと、見込み顧客と営業の関係構築ができていないため、顧客側が言いづらいからです。案件型の商談で初めて会った営業に、いきなりお金まわりのことをスラスラ話す見込み顧客はいないでしょう。その理由は、信頼関係がないからです。

また、いきなり初めて会う営業が予算を聞いてくれば、顧客はどんな気持ちになるでしょう?ズバリ、その営業は信用できません。初回訪問時には予算感を聞かず、関係構築ができつつある、2回目の商談以降にしましょう。徐々に見込み顧客と関係構築ができれば、予算感のことを話し出してくれます。

伝えること)最初に価格や概算費用を伝える メールで聞くのはもってのほか

初回訪問時に予算感を聞かない方がいいですが、予算に関して営業が最初に伝えるべきことがあります。それは自社の製品・サービスの価格や概算費用です。ご紹介している製品・サービスは300万なのか、500万なのか、1,000万なのかはハッキリと伝えましょう。

製品・サービスの定価や料金が決まっている企業は伝えやすいですが、見積もりをしてみないとわからないソリューション型のモデルがあります。それでも条件をつけたり、事例で紹介したりしながら「1,000万から1,500万」と概算費用は伝えましょう。

つまり、初回訪問時に予算感を聞けないなら、こちらから価格感や費用感を伝えるのです。ここで、予算について話し出してくれる見込み顧客がいればラッキーです。初回訪問時にお金周りの話は、営業側から価格感や費用感を伝えるまでにしておきましょう。

それと初回訪問時の御礼メールや資料送付メール時に、予算感をメールで聞く営業がいます。メールで聞くなんてもってのほかですので、絶対にしないようにしましょう。悪いマナーであり良いイメージを受けないこともあります。しかし、やめた方がよい本当の理由は、予算に関することがメールというエビデンスに残るのを顧客が嫌がるからです。メールで予算感を聞いた時点で、選定先から脱落しますので注意しましょう。

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聞き方)YES・NOで答えられるシンプルな方法

タイミングを守り、伝えるべきことを伝えたら、次に予算感を聞きます。予算感を聞くためには聞き方があります。「予算感はおいくらぐらいですか?」と見込み顧客に数字を言ってもらう聞き方は、良い聞き方とは言えません。その理由は、顧客はお金まわりに関することをあまり言いたくないからです。

会社で承認をもらえた予算を守り、会社に効果をもたらす製品・サービス・ソリューションを導入していきたいのですが、お金にガツガツなりたくないのが顧客側の本音です。獲得した予算が提案を受ける製品・サービス・ソリューションに合っているのかどうかも自信がないのも背景にあるかもしれません。

つまり、「予算は1,000万までです」などと金額はハッキリ言いたくないのです。そこで、YES・NOで答えられるシンプルな聞き方が効果的です。しかし、「ご予算は1,000万ですか?」とズバリ聞いてはいけません。

予算の聞き方 例文1

営業「ご予算ですが、1億は出していただける感じですか?」
顧客「はい」
営業「1.5億までは出しすぎですよね」
顧客「はい」

この2つぐらいまでにしておきましょう。営業の尋問ヒアリングのようになってしまうからです。「いくらまで」「いくらからいくらの範囲」というYES・NOで答えられる聞き方がよくて、ズバリ予算を言いたくない顧客の心理に合っている聞き方です。

予算の聞き方:例文1のように近い線を突くのもいいですが、小さめに聞いてみるのも方法のひとつです。小さめに聞いてみたのが例文2です。

予算の聞き方 例文2

営業「ご予算は5,000万ぐらいまでですかね?」
顧客「さすがに、もうちょっとは予算を取っています」 =いいえ
営業「では1億ぐらいですかね」
顧客「それぐらいです」 =はい

このように小さく振ったあとに、大きく振るとお客さんのプライドを守りながら予算感をうまく聞けるので、けっこう気軽に話してくれます。

逆に高く振ったあとに、低い金額になると「相場はそんなにするのか・・。知らなかった!恥をかくのは嫌なのでこれ以上、予算のことに触れたくない」とプライドを傷つけ、お金まわりに関して話してくれなくなるので注意しましょう。

また、IT業界のシステムであれば、「イニシャルとランニングコストの5年総額」で予算取りがされているケースがあります。特に公共自治体・行政は多いですね。初期ハード・ソフト費用、導入費用、保守費用、クラウド費用などの、予算の総額を確認することも忘れないでおきましょう。

提案力)価値を増やしていく提案をしよう

案を提じ、自社の製品・サービス・ソリューションの価値を伝えていくのは営業の基本です。最適な提案をすることが理想ですが、例えば「これはオプションですがこんなことができます」「これは追加費用が発生しますが、こんなこともできます」という風に、見込み顧客が求めるもの以上に、提案をしていきます。

どんどん付加価値が増える提案をしていくと、見込み顧客が「予算に収まるのかな・・?」と疑問に思ったり、心配になったりします。そうすると「一応、予算があるのですが大丈夫ですかね?」と見込み顧客から予算について切り出してくれるケースがあります。

営業から予算感などのお金まわりのことには触れにくいですが、見込み顧客が触れてくれたら、話題を予算感の方に変えやすいでしょう。そうなれば、「ご予算はおいくらぐらいまでなのでしょう?」と一気に切り出せば、答えてくれやすいものです。 

予算感を把握する方法は、1)タイミング、2)伝えること、3)聞き方のフレームワークでほぼ聞き出せます。しかし、4)提案力も4つ目の方法として、持っておくと便利です。

まとめ

「予算感が合わないと言われないために 聞き方を例文でご紹介」と題して、ご紹介してまいりました。予算感と費用感には大きな違いはなかったですが、営業が予算感を聞きたい理由は、「受注する確率を上げるため」と「無駄な商談を避けるため」であることがわかりました。

そして、予算感を把握し、聞き出すためには4つの方法がありました。

1.タイミング)初回訪問時には聞かない!もっと先に聞こう
2.伝えること)最初に価格や概算費用を伝える メールで聞くなんてもってのほか
3.聞き方)YES・NOで答えられるシンプルな方法
4.提案力)価値を増やしていく提案をしよう

1)タイミング、2)伝えること、3)聞き方のフレームワークさえしっかりしていれば、予算感の把握はなんとかなりますので、営業は自身のスキルに実装してください。

いずれにしても、予算感だけでなくお金に関することはデリケートなテーマですので、営業は十分に注意して聞いていきましょう。

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