営業スキル

値上げ交渉のコツ 成功させる営業は取引先の気持ちになる

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為替変動や人件費・採用費・外注費・原材料費・光熱費の高騰を受け、企業の各種コストは上昇しております。このような背景から企業はコストの価格転嫁と赤字販売へならないように、取引先や顧客に対し値上げ交渉をしなければなりません。そこで値上げ交渉のコツや成功させるためのテクニック、価格交渉のご案内文:テンプレートをご紹介していきます。

値上げ交渉は辛い商談 応じない取引先はあたり前

営業にとって値上げ交渉は辛い商談です。理由はこれまで販売していた価格を上げると取引先にも顧客にもイメージが悪く、販売不振に陥ってしまう可能性があります。値上げにはいくつかのパターンや商流があります。少し整理してみましょう。

【値上げ前 例】

顧客(消費者) ←1,000円で購入 ←小売店1,000円で顧客に販売 ←卸業者業者800円で小売店に販売 ←メーカー700円で卸売業者に販売 ← 原材料メーカー400円でメーカーに販売 ←原材料元業者 300円で原材料メーカーに販売

値上げと言っても、顧客(消費者)に商品が届くまでたくさんのパターンや商流があるのです。主には海外の原材料元業者が原材料費・光熱費・人件費の高騰や為替変動を受け、原材料メーカーに値上げ交渉と始め、あとは連鎖式に値上げされていくパターンが多いでしょう。値上げ前と値上げ後を比較すると、次のようなケースになります。

【値上げ後 例】

顧客(消費者) ←1,100円で購入 ←小売店1,100円で顧客に販売 ←卸業者業者900円で小売店に販売 ←メーカー600円で卸売業者に販売 ← 原材料メーカー500円でメーカーに販売 ←原材料元業者 400円で原材料メーカーに販売

このような値上げ後の例では一律に100円ずつ上がっていますが、実際にはそう簡単にはいきません。その理由は取引先が値上げに簡単には応じないからです。取引先は理由をつけてなんとか値上げを阻止しようと動きます。だから値上げ交渉は営業にとって辛い商談なのです。

値上げに応じない取引先は当然の姿勢と言えますが、なぜこのように値上げに抵抗するのでしょうか?

値上げ交渉のコツ 取引先の気持ちになってみよう

値上げに応じない取引先は当たり前の姿です。なぜなら小売店が商品を値上げすると、サイフの紐に厳しい顧客(消費者)は、買い控えをしたり、もっと安い商品を他店に探しに行ったりするからです。

商品単価が上がるとBtoCモデルの小売店だけでなく、BtoBモデルのメーカーや卸売業も販売不振になり、顧客から支持されなくなります。しかし、原材料費・光熱費・人件費の高騰や為替変動の影響から、このままの価格で販売していると赤字になってしまいます。

そこで営業は値上げ交渉を取引先にしなければなりません。どのようにすれば値上げ交渉がスムーズに進むのでしょうか?

その答えは「スムーズに値上げ交渉が進むコツはありません」と言うしかありません。すべての商流の会社の売上が低下する可能性がある以上、「はいはい!OKですよ」とすんなり了承してくれる企業は存在しないでしょう。

しかし値上げ交渉は必須の状況だとすると、まず営業がやるべきことがあります。それは取引先の気持ちになって値上げした後の状態を考えることです。

取引先も顧客も「この商品・製品・サービスは安い」とは常日ごろからまず思っていません。そんな商品・製品・サービスを値上げしようとしているのですから、価格が上がると「取引先や顧客は怒る」と営業が思うことが、意外と重要です。

営業志向で「値上げは仕方がない」と思って交渉すると、上から目線になりがちで商談がうまくいきません。顧客志向で「値上げのお願いは取引先が怒ってやむなし」と思い、交渉に臨むと営業志向の一方的な説明ではなく、顧客の気持ちになって値上げの経緯を説明できるようになります。

当たり前にように思えますが、実は当たり前にできていない値上げ交渉のコツ「取引先の気持ちになってみよう」をぜひ実践してみてください。

「取引先や顧客は常日ごろから、自社の商品を安いとは思っていない。だから値上げの連絡はまず怒るに違いない」と考えて、商談に望んでみてください。取引先や顧客は敏感ですから、そんな気持ちが届くかもしれません。

では値上げ交渉をもっとうまく進めるためのテクニックをご紹介していきます。

値上げ交渉のテクニック1) 値上げと言わず、価格改定と言おう

意外に営業は「値上げします」と言ってしまいます。値上げと言わず「価格改定」と言うようにしましょう。値上げは値上げで間違っていないのですが、口頭で言うシーンと書面で送るシーンがあります。特に書面で連絡がいく場合に「値上げのご案内」と書いているものと、「価格改定のご案内」と書いているものを比較すると、どちらが感情的にならない可能性が高いでしょう?

答えは「価格改定のご案内」と書いている方です。ただでさえ、値上げに怒っている取引先や顧客です。結局は「値上げなんでしょ?」となりますが、少しでは感情をやわらげるためにも「価格改定」と言うようにしましょう。

値上げ交渉のテクニック2) 最初にメールでしない

価格改定の案内が先か後かはありますが、最終的には書面で提出しなければなりません。メールでの価格改定の連絡が多いと思います。しかし、営業はメールで値上げ連絡を‘最初’にしないようにしましょう。

なぜなら「価格改定のご案内」と書いているとはいえ、いきなりメールで値上げ連絡がくると、「一方的な会社だ!」と取引先や顧客は感情的になってしまうからです。

最終的に書面で提出するにしても、まずは営業が取引先や顧客に「価格改定のご連絡がいきます」と電話や訪問面談で連絡しておきましょう。人がまず介入してから嫌な話があると、感情は緩和されます。そこが営業の値上げ交渉の見せ場とも言えますので、ファーストアプローチは営業が直接、取引先や顧客に連絡しましょう。

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値上げ交渉のテクニック3) 筋を通す

この数年は原材料費・光熱費・人件費の高騰や為替変動の影響から、値上げが認められやすくなってきました。「まあ、いろいろと値上がりしているから、仕方がないな」と取引先や顧客が容認してくれたら、交渉は成立です。

しかし、「いろいろと値上がりしてきたから、値上げしてもいいですよね!」というようなトーンで営業が伝えてはいけません。大事なポイントは「値上げを回避するために、これまでいろいろと企業努力をしてきましたが、限界になりました。その理由は3点ありまして・・・」というように、筋を通して説明することです。

原材料費・光熱費・人件費の高騰や為替変動があっても、値上げを回避すべく企業で吸収してきた経緯をまずは説明するのです。実際にみなさんの会社は企業努力で値上げ回避をしてきたと思います。

いろんなものが高騰している背景を伝える前に、企業で価格を据え置くための活動努力をしてきた背景をまずは説明しましょう。それが値上げ交渉のテクニックで最も重要な「筋を通す」なのです。

値上げ交渉のテクニック4) 関係構築

どんな交渉でも取引先や顧客と関係構築ができていなければ、うまくはいきません。険悪な関係になっていたり、営業が約束や頼まれ事を忘れていたりすると、よい関係が築けているとは言えません。

営業が取引先や顧客の仲良くなっていて筋を通した説明ができれば、昨今の値上げ基調からも、きっと取引先や顧客は認めてくれます。。仲良くなっておくこと、営業が信頼されていることが値上げ交渉を成功させる重要ポイントです。

値上げ交渉に限らず、営業は取引先や顧客とは常に良い関係を築いておきましょう。営業の基本のキですね。

価格改定・値上げのご案内のテンプレートをご紹介

値上げと言わず、価格改定と言いましょうとお伝えしてきました。メールでの案内が行く前に、営業が取引先や顧客に価格改定の連絡をしておかなければなりません。しかし、企業対企業ですから、書面で価格改定のご案内をお送りしなければなりません。

そこで価格改定・値上げのご案内のテンプレートをご紹介します。ぜひ参考にしてみてください。

価格改定・値上げのご案内 件名・本文のテンプレート

●●商品、製品・サービスの価格改定について

ご挨拶文 簡略
弊社におきましても数多くの企業様と同じように、為替変動や人件費・採用費・外注費・原材料費・光熱費の高騰を受け、各種コストが上昇しております。特に■■コスト高騰の影響が大きく、顧客サービス維持へのインパクトが大きくなってきております。

弊社は10年間の価格維持の努力をしてまいりましたが、2024年4月1日より●●商品、製品・サービの価格を改定させていただくことといたしました。今回の価格改定を今後の顧客サービスや製品の品質レベルの向上につなげ、お客様にご満足をいただけるよう社員一丸で努めてまいります。何卒ご理解の程をお願い申し上げます。

まとめ

「値上げ交渉のコツ 成功させる営業は取引先の気持ちになる」と題して、ご紹介してまいりました。値上げ交渉は辛い商談であり、「安い」といつも思っていない取引先や顧客は応じないのは、当たり前であることがわかりました。

値上げ交渉のコツとして、まずは「値上げは売上へのインパクトが大きく、嫌だ!」と思っている取引先の気持ちになってみましょう。営業志向ではなく、顧客志向で交渉に臨んでみることは、意外に重要です。

値上げ交渉のテクニックは4つありました。値上げと言わず、価格改定と言い、いきなりメールでは案内はしないようにしましょう。そして、各コストの高騰よりも、自社で値上げ防止の努力をしてきた活動内容を丁寧に説明し、筋を通すしましょう。

そして大事なポイント、取引先や顧客と仲良くなっている関係構築がベースにないと、スムーズに値上げ交渉は進みません。

営業が会社の先頭に立って、値上げの背景と企業努力を説明し、交渉をまとめましょう。値上げ交渉を成功させる営業を目指して、頑張ってください。

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