マーケティング部門と営業部門は、「質の良いリードや問合せ」を数多く獲得したいと思っています。なぜなら、質の良いリードや問合せが案件化や受注につながる可能性が一番高いからです。マーケと営業はウェビナーを開催したり、展示会に出展したりしますが、なかなか質の良いリードが獲得できていません。そこで注目されているのがインバウンドマーケティングです。
ブログやダウンロード資料とうまく活用して新規リード獲得を増やし、見込み顧客に認知してもらいやすいマーケティングの仕組みが構築できます。本記事ではインバウンドマーケティングのメリットとデメリット、インバウンドマーケティングとアウトバウンドマーケティングの違い、インバウンドマーケティングとオウンドメディアの違いも解説いたします。日本の企業90%がいまだ、導入できていないインバウンド型サイトの作り方をご紹介していきます。
目次
インバウンドマーケティングとは? 正しい意味を知っておこう
インバウンドマーケティングとは顧客ニーズに合ったコンテンツを提供することで、見込み顧客から見つけてもらい、製品・サービスを認知する手法のことです。
Google(グーグル)等の検索エンジン、Instagram(インスタグラム)等のSNS、YouTube(ユーチューブ)等の動画配信で「見込み顧客が検索して、自然と内側(自社サイト)に入ってきてくれる」という意味からインバウンドマーケティングと呼ばれています。
外国人観光客のインバウンドとは意味が違います
「インバウンド」と聞くと、訪日される外国人旅行の方をイメージされ、外国人観光客に認知してもらうためのマーケティング手法と思う人がいます。こちらも間違ってはいないのですが、外国人観光客向け施策の最近の言葉と言えます。
図1にあるようにビジネスのインバウンドマーケティングでは、これから本記事でご紹介する意味が元祖です。そのためには、アウトバウンドマーケティングとインバウンドマーケティングの違いを理解する必要があります。
インバウンドマーケティングとアウトバウンドマーケティングの違い
インバウンドマーケティングとアウトバウンドマーケティングの違いを知っておきましょう。書いて字のごとく、インバウンドは「引く・プル」、アウトバウンドは「押す・プッシュ」という意味になります。マーケティング用語でインバウンドマーケティングとアウトバウンドマーケティングの違いを説明すると次のようになります。
インバウンドマーケティング
意味
見込み顧客に興味があれば、自らウェブサイトまで来ていただく手法
- 具体的な施策
- コンテンツSEO
- SNSマーケティング
- インバウンドマーケ連動型のウェビナー
- インバウンドマーケ連動型のインサイドセールス
アウトバウンドマーケティング
意味
見込み顧客に対し、自社からアピールして積極的に働きかける手法
- 具体的な施策
- 電話・メール
- ウェビナー
- 展示会
- リスティング広告
- 交通広告・屋外広告・テレビCM等
インバウンドマーケティングもアウトバウンドマーケティングもそれぞれに特徴と良さがあります。図2にも記載されている通り、双方の違いを理解して、みなさんの会社で効果的な施策を実践していきましょう。いずれにしましても、外国人のそれとは違います。
認知度を上げるマーケティングの種類 ビジネス5選
企業は自社の製品・サービスの認知度を上げるために、様々なマーケティング施策を実施します。数多くの施策がありますが、認知度を上げることのできるマーケティングの種類をビジネス向けで5選、ご紹介いたします。
1. マス広告
2. 交通広告・屋外広告
3. デジタル広告(リスティング広告等)
4. 展示会 すべてアウトバウンド
5. コンテンツマーケティング・SEO
認知度を上げるマーケティングの種類:5選にはこのようなものが効果的と言われています。しかし、みなさんあることに気がつかないでしょうか?
それは、1.マス広告、2.交通広告・屋外広告、3.リスティング広告等、4.展示会までは、すべてアウトバウンドマーケティングであり、5.コンテンツマーケティング・SEOだけがインバウンドマーケティング であることです。
認知度を上げるマーケティングの種類には、アウトバウンドマーケティングが多いという現状がご理解いただけたと思います。ちなみにコンテンツマーケティングはインバウンドマーケティングだけでなく、アウトバウンドマーケティングにも含まれます。
コンテンツマーケティングはその名の通り、顧客ニーズのあるコンテンツを作成してユーザーに届けるわけですので、アウトバウンドマーケティングもインバウンドマーケティングにも必要です。従って、最近の傾向としてコンテンツマーケティングは横軸で存在している施策になります。今の時代、必要な施策ですね。
インバウンドマーケティングが注目されている理由
インバウンドマーケティングが注目されている理由は、やはり見込み顧客の行動の変化に企業が対応するためです。2023年 日本の広告費のレポートから読み取れるポイントがあります。
2023年 日本の広告費から
2023年総広告費 7兆3,167億円(前年比103.0%)となり、過去最高を更新。
マスコミ4媒体広告費合計 2兆3,161億円(前年比96.6%)となり、テレビメディア広告費、新聞広告費、雑誌広告費、ラジオ広告費は前年を下回っている。
インターネット広告費 3兆3,330億円(前年比107.8%)となり、デジタル化社会の背景から見ても堅調に伸長し、総広告費に占めるインターネット広告費構成比は45.5%に達した。
インターネット広告費の中で伸長しているのが、前年に続きコネクテッドTVの利用拡大から、テレビメディア関連動画広告費が443億円(同126.6%)と増加している。また、物販系ECプラットフォーム広告費も2,101億円(同110.1%)と増加している。
出典元 2023年 日本の広告費 https://www.dentsu.co.jp/news/release/2024/0227-010688.html
デジタル広告の変化からインバウンドマーケティングへ
2023年 日本の広告費レポートを総括すると、デジタル広告全般でインターネット広告費は前年を上回っているものの、コネクテッドTV向け広告やEC向け広告が大きく伸びています。つまり、従来のウェブマーケティングのリスティング広告やDSP広告は大きな伸長をしていないということです。
デジタル社会へ変わり、リモートワークが推進される中でリスティング広告の信頼性が乏しく、リード獲得に効かなくなってきていると言えるのではないでしょうか? GoogleのChromeブラウザーによるサードパーティcookie廃止の方向性も二転三転しており、DSP広告はこの先は不透明な状態です。アウトバウンドマーケティングは厳しい状況下に置かれていて、効果が出にくくなっていると言えます。
このような状況ですが、やはり見込み顧客の行動の変化が最大のポイントです。図3にあるように、企業担当者は業務や現場に何か問題があり、解決のヒントが欲しいと思えば、GoogleやInstagramやYouTubeで検索して、自ら探します。信頼できる記事はデジタル広告ではなく、検索順位上位の記事やフォロワーの多いインフルエンサーの動画を見るはずです。
そこで、見込み顧客の行動の変化に企業が対応するためには「インバウンドマーケティングが良いのではないか?」と企業が気づき始めているのです。ではインバウンドマーケティングにはどのようなメリットやデメリット・課題があるのでしょう?
インバウンドマーケティングのメリットとデメリット・課題
インバウンドマーケティングは見込み顧客が自社サイトの製品・サービスを見つけてもらう手法です。そのためには様々なコンテンツ作成やSEO(Search Engine Optimizationの略:検索エンジン最適化の意味)が必要です。ではここで一度、インバウンドマーケティングのメリットとデメリット・課題を整理してみましょう。
メリット
- 質の良いリードが獲得できる
- 24時間365日、ウェブサイトからリード獲得するための自動化ができる
- マーケティングコストを抑えられる
デメリット・課題
- コンテンツづくりが大変
- コンテンツを更新し続けていかなければならない
- 専門的なノウハウが必要
見込み顧客が自らの問題点を解決するために検索して、自社のサイトに訪れてくれ、ニーズに合っていれば資料をダウンロードしてくれます。すなわち、アウトバウンドマーケティング(展示会や広告)よりも質の良いリードが集まるのが、インバウンドマーケティングの最大のメリットと言えます。
デメリットや課題はマーケティング施策には当然、存在します。これらのデメリットや課題は知見のある外部企業を入れて費用をかけて構築しないと、時間短縮やスピードアップにつながらないと言えるのではないでしょうか。
一方で、オウンドメディアという施策もあります。インバウンドマーケティングとオウンドメディアはどのように違うのでしょうか?
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インバウンドマーケティングとオウンドメディアの違い
オウンドメディアは2015年前後に登場した時には、画期的なコンテンツマーケティングの手法でした。企業のホームページ内ではどうしても企業情報や採用情報、上場していればIR情報を発信し、その中で製品・サービスの情報を発信していくために専門性が高まりません。
専門性が高まらないということは、Googleの検索エンジンが評価する「このサイトはどんなメッセージを専門としていて、何を発信したいのか」というアルゴリズムの項目を上げることができません。そこで製品・サービスの顧客ニーズにマッチしたコンテンツを発信し、Googleの評価を高め、リード獲得をしていくための専用サイトがオウンドメディアでした。
オウンドメディアは企業の内部メンバーで構築し運営していくのは大変であるため、外部のベンダーに委託し運営するスタイルが一般的です。外資系企業は本社である本国のウェブサイトのガイドラインが厳しいため、オウンドメディアにサイトを切り出し、製品・サービスにあったリードを獲得するスタイルは、現在でも正攻法のマーケティング施策です。
しかし、日本の企業は海外企業のような厳しいルールはありません。サブドメインのURLで製品・サービスサイトを切り出し、サイトにコンテンツ機能を搭載すれば、インバウンドマーケティングが実現できるサイトが自社で運営できます。
そして、オウンドメディアの最大の弱点は「リードは獲得できるが、製品・サービスサイトまでユーザーが流入してくれない」という点です。ここがインバウンドマーケティングとオウンドメディアの違いであり、メリットとデメリット面では大きなポイントと言えます。
インバウンドマーケティングとアウトバウンドマーケティングの違いやメリットとデメリット、
サブドメインで構築するために方法を記載して記事があります。詳しくは下記記事をご覧ください。
見込み顧客に認知してもらいやすいインバウンドマーケティングの構築方法
インバウンドマーケティングを構築する方法にはいくつかの手法があります。まず、インバウンドマーケティング3点セットをご紹介します。
- ブログ
- ダウンロード資料
- CTA
ブログの書き方
検索する見込み顧客が調べるキーワード別にブログを書き、ブログを使って検索順位を上げます。ブログは一話完結のページとして作成しやすく、キーワード別に書きやすいのでSEOを上げることができます。詳しいブログの書き方は下記記事をご覧ください。
ブログを書けばインバウンドマーケティングと思っているあなたに
~その事例と、まずやるべきことを解説~
どうすればインバウンドマーケティングと呼べるのか? 企業で使うための意味と手法を解説
ダウンロード資料の作り方
ブログは誰でも無償で読めますが、それだけだとリード獲得ができません。そこで、ブログの内容に合ったダウンロード資料を用意し、見込み顧客に企業情報や個人情報を入力してもらい、コンバージョンすることで新規リードを獲得できます。詳しいダウンロード資料の作り方は下記記事をご覧ください。
リード獲得できるウェブサイトを、営業が考えよう!学べるダウンロード資料の作り方
CTAの作成方法や配置
ブログを書いてダウンロード資料を用意したとしても、ブログを読んでいる見込み顧客に、「もう少し詳しい内容が記載されたダウンロード資料がありますよ」ということを知らせる必要があります。その代表的な手法がCTA(コール・トゥ・アクション)です。
CTAには様々な種類があります。詳しいCTAの作成方法や配置のやり方は下記記事をご覧ください。
リード獲得できるウェブサイトを、営業が考えよう!CTAボタンが問合せを増やす方法
サブドメイン対応
コーポレートサイトでインバウンドマーケティングを構築したとしても、Googleに対して専門性を伝えにくいためブログを検索上位にできないケースがあります。そこで、コーポレートサイトのドメインパワー(ドメイン年齢の長さや信頼性の高さ)を活用するために、サブドメインで製品・サービスサイトを作ります。
詳しいサブドメインの作り方は下記記事をご覧ください。
サブドメインのわかりやすい作り方 SEOの影響と独自ドメイン取得のいばらの道を徹底解説
インバウンドマーケティングの構築方法は、その他にも内部リンクや外部リンク(発リンクや被リンク)を正規化したり、獲得したりする必要もあります。生成AIが普及してきているため、Googleが推奨するGemini (ジェミニ)とインバウンドマーケティングの関係性への理解も求められます。
インバウンドマーケティング3点セット:ブログ、ダウンロード資料、CTAに加え、サブドメイン対応、内部リンクと外部リンク、生成AI:Geminiを、インバウンド型サイトに取り入れていきましょう。
しかし、最難関の2つのポイントはGoogleのアルゴリズムを理解してSEOを上げることと、見込み顧客が求めるコンテンツを作成することです。この2点をクリアして、インバウンドマーケティングを成功させた事例をご紹介いたします。
成果を出したインバウンドマーケティング事例をご紹介
成果を出したインバウンドマーケティング事例をご紹介いたします。
株式会社電通総研 SAP SOLUTIONサイト
SAPは2025年/2027年問題を迎え、SAP S/4HANAへ 移行をしていかなければなりません。グローバル展開をする日本の大手企業2,000社が対象となり、SAP移行費用は最低で3億から、100億を超えるSAP S/4HANAプロジェクトもあります。
つまり、価格や案件規模が非常に大きいため、簡単にはリード獲得を望めない状況でした。そこで、2021年にインバウンドマーケティング施策を導入し、SAP SOLUTIONサイトを再構築しました。
SAP移行に関する専門的なブログを自社社員だけで100本以上も書き、ダウンロード資料も自社で企画・作成することにより、同サイトに訪れる見込み顧客アクセス数を数十セッションから、数万セッションに伸長させました。
受注に大きなハードルがあるとされるSAPソリューションでも、数多くのリード獲得を実現し、問合せからSAP移行案件の受注を実現しています。「SAPソリューション関連の検索では、電通総研がGoogleに高頻度で表示されるので、実績を信頼して問合せをした」という見込み顧客もいたそうです。
「インバウンドマーケティングの効果は絶大」と電通総研様から評価をいただき、ラシックマーケティング社では同社のインバウンドマーケティングを複数サイトで構築しています。詳しくは「SAP とは」と検索いただき、電通総研様のSAP SOLUTIONサイトのインバウンドマーケティング対応例をご覧ください。
まとめ
「インバウンドマーケティング 認知される最強施策を事例で解説」と題して、ご紹介してまいりました。インバウンドマーケティングのメリットやデメリット、インバウンドマーケティングとアウトバウンドマーケティングの違い、インバウンドマーケティングとオウンドメディアの違いがご理解いただけたと思います。
見込み顧客に認知してもらいやすい新規施策であり、最強の施策がインバウンドマーケティングです。その仕組みはブログ、ダウンロード資料、CTA、サブドメイン、各リンクから構成されていますが、専門の企業にアドバイスをもらい、一緒に構築していかないとインバウンドマーケティング対応はできません。
認知度を上げるマーケティング手法のインバウンドマーケティングに興味・関心のある企業様はお気軽に右のCTAボタンからお問い合わせをください。みなさんの質の良いリード獲得に貢献でき、成果を出せるプロモーション施策です。
- インバウンドマーケティング 認知される最強施策を事例で解説
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