第1章 営業・マーケティングのやり方(準備編)

営業・マーケティングにツールは必要か?

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営業・マーケティングがより効率的に動けるために様々なツールがあります。分析をするツール、ITやクラウドツールにはどんなものがあるのでしょう?またそれぞれの導入効果や導入する優先順位にも踏み込んで考えてみましょう。

営業・マーケティングを分析するためのツールは必要か?

様々なマーケティングツール・分析手法があるが、結論から言うとマーケティングツール・分析手法の活用はどんどんやって方がいいし、必要だ。マーケティングのやり方を整理して戦略を作成するので、表現はPowerPointや表計算ソフトでいい。マーケティングの戦略を練っていくための伝統的なやり方として、4Pの手法(製品・価格・プロモーション・流通)と4Cの手法(価値、コスト、利便性、コミュニケーション)がある。4Pは企業側の視点で考え、4Cは消費者側の視点で考える分析テンプレートのようなツールだ。どちらのやり方も売る側から見ても買う側から見ても、自社の製品・サービスは市場ではどのような位置づけなのか分析できる。4Pと4Cを対にして一緒に見ていく手法をマーケティングミックスという。顧客にとってまだ解決できていないことがあるのがどうか対にして見ていき、そのポテンシャルを判断していく手法だ。製品-価値、価格-コスト、プロモーション-利便性、流通-コミュニケーションを対にして見ていくことで企業側と消費者側の矛盾を見つけられる。  

 また3C分析では顧客や競合他社や自社のそれぞれの分析を行うことで、差別化できるポイントなどが分析できるのでぜひやってみてほしい。マーケティングツール・分析手法はこの他にもSWOT分析やSTP分析などたくさんあるので、ぜひ製品・サービスの位置づけを整理するためにも試してみてほしい。  BtoBの消費行動モデルをベースにする手法としてはAISAS(A=認知・注意)(I=興味・関心)(S=検索)(A=行動)(S=共有)をベースに考える。SからいきなりAには行かないAISUAS(AISまで同じ)(U=理解)(ASも同じ)などもある。 ここで押さえておきたいポイントは、(S=検索)(A=行動)にいきなり顧客はいかないということだ。営業・マーケティングの発想では顧客は調べたらすぐに行動に移ると思いがちだが、腹落ちするまで理解する時間が必要なことを覚えておこう。インサイドセールスですぐに電話するのはではなく、リマインド広告で接点を保ちながら関係を続けたり、次の学べる資料をオファーしたりしていくべきだろう。 

営業・マーケティングを管理するためのツールは必要か?

MA(マーケティング・オートメーション)はブログ登録をした人、資料ダウンロードをするためにコンバージョンをした人、と細かく見ていける。同じ人が何回サイトに訪れたか見る指数がセッション数と言うが、MAは製品サイトのセッション数を見たいときも、鈴木さんが30分置きに3回訪問したら3セッションと正確なカウントをする。

GA(Google Analytics)は非常に高機能なツールだが、Webの専門的な知識とスキルを持った人が扱うツールだし、直帰率や流入経路などのアクセス分析を細かくやっていくには向いている。だが人(アカウント)ではなくページで見ていくGAの性質は営業・マーケティングのチームで活用していくには不向きと言える。MAが導入できない企業(予算面やリソース面)はGAで見ていくしかないが、それでは営業・マーケティングがチームで簡単に活用することはできないだろう。後のブログで述べるインサイドセールスがMAを見て、人の動きをキャッチし行動に移す時にはGAでは無理だ。

 MAは製品ページに訪れる人の行動をトラッキングして見えるだけでなく、プロセス設計図にあったサブスクライバーやリードの顧客が様々なコンテンツを情報収集し、資料ダウンロードして、スコアリングでMQLに上がっていくまでのプロセスが管理できる。何よりもMAが一番強いところはインバウンドマーケティングの検索上位表示の実現のため、Google検索エンジンのアルゴリズムに対応できることだ。これはGAではとても無理だし、人海戦術でなんとかなるような作業ではない。MAが有効に活用される重要なポイントだ。

 ではSFA(セールスオートメーション)ツールはどうだろう?最近ではセールスクラウドと呼んだり、昔からCRM(カスタマーリレーショナル)ツールという位置づけだが、ここではSFAと呼ぶ。SFAツールを導入しない場合の対抗はメールと表計算ソフトになるだろう。これはGAとMAの比較ほどの対象にはならない。理由はGAとMAはお互いマーケティングの専用システムなのに対し、メールと表計算ソフトは専用のシステムではなく、汎用ソフトだからだ。SFAの役割は営業の訪問先を共有したり、電話や訪問の活動報告を履歴に残したりする。マーケティングがイベント獲得する名刺や、営業が訪問でもらう名刺管理もSFAの役目だ。私はSFAの一番よいところは名刺と活動履歴の共有により、新卒や中途入社の新しい営業が早く戦力化できるところだと思っている。

その他に案件リストを確度管理したり、営業活動を分析したり、マーケティング部からきたMQLをSQLに変えてMAと共有することもできる。このようなSFAの役割をメールと表計算ソフトで実現したらどうだろう? 皆さんのイメージ通り、営業の予定はメーラー機能で共有、活動報告はメール報告か表計算ソフトで共有ファイル、名刺にいたっては表計算ソフトにリスト入力する、どれも大変な作業が待っている。表計算ソフトはとても便利で使いやすい。リスト集計表などのアウトプットにたくさん利用されていて、組織に欠かせないツールだ。しかしチーム連携するための活動を入力していくことには向いていない。どの状態が最新なのか、誰が入力していて利用状況がどうなのか、さっぱりわからないからだ。

MAとSFAのどちらかひとつだけ、営業・マーケティングで導入するとしたら?

MA導入とSFA導入はどちらもあった方がいいという考えが私の結論だ。理由をまとめると顧客・人の現在の状態を示し、顧客のプロセスに対し、営業・マーケティングチームが迅速に動いていけるメリットがあるからだ。費用も最近ではさほどかかるわけではない。しかし予算面やリソース面でMAとSFAの双方を同時に導入することはできないという企業もあるだろう。どちらを先に導入するべきか優先順位をつけるならば、私は渋々、MAと答えるだろう。理由はリアルな営業人数の規模が少なければ、情報の共有はまだ表計算ソフトでなんとかなるからだ。一番のポイントはMAとSFAの入力件数になる。営業が1週間、頑張って訪問しても10件から15件ぐらいの訪問履歴入力であり、月間にすれば50件ぐらいが限度だ。名刺も月間で50枚から100枚ぐらいだろう。その件数なら表計算ソフトでも管理できなくはない。しかしMAの製品ページに訪れる顧客の数やコンバージョン入力数はこんなものではない。セッション数だと月間10万や20万セッションを超えてくる。ブログ申込や資料ダウンロードをしてくるコンバージョン数は月間2000件や3000件以上になる。Webからの問合せだけを待つ時代なら数十件だが、顧客が欲しい情報を自ら探し体験していく時代では、リードやMQLの数は2ケタ違う。このような顧客プロセスに対応していくために、MA導入はすでに必須の時代になっていると言えるだろう。 

営業・マーケティングを管理するためのツールは必要か まとめ

営業・マーケティングのやり方の準備としてツールについて触れてみた。私はツール導入至上主義ではないが、ツールは便利だと心から思っている。現場の生産性と効率を大幅に上げてくれる。これは忙しい営業・マーケティングにはとても助かる。だから一度ツールを使うとメールと表計算ソフトには戻れない。私自身、MAもSFAも比較検討して自社に導入したこともあるし、営業として提案し売っていたこともある。第二章以降はMAとSFAツールは導入する前提でブログを書いていくが、ツール導入ガイド本ではないので、ツールの細かな機能や導入手順については割愛させていただきたい。それともう一つ伝えておきたい大事なことは、ツールは便利だがツールが導入されればすべてが解決されるわけではない。ツール導入と共に、チームの構築や組織のやり方を標準化しなければツールは活用できない。活用ができて始めて売れる営業・マーケティングが実行していけるのだ。そのための営業・マーケティングのやり方を第2章:営業・マーケティング(企画)のフェーズ以降も説明していきたいと考えている。

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