営業教育

報連相ができない人と上手い人の違い 営業提案力と比例する

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報連相(ほうれんそう)という言葉があります。少し、古い言い方のように感じますし、あまりやりたくない作業と思う人もいると思います。しかし、企業では報告、連絡、相談は今でも基本業務です。そこで、報連相ができない人・下手な人と上手い人の違い、報連相の意味や報告、連絡、相談の定義を整理していきます。調べてみると、報連相ができない人の共通点、報連相が上手い人のスキルが見えてきました。

報連相の意味とは?報告、連絡、相談の違い

報連相とは、報告、連絡、相談の略語で目標達成のための業務執行と、チームや上司部下の信頼関係構築に欠かせないコミュニケーションの手法です。報連相の意味はこのような内容ですが、もうひとつの意味は‘ほうれん草’にかかっています。従って、ビジネス用語のとして覚えやすく、「報連相ができていない!」と昔から使われる言葉ですね。

ここからの報連相の意味は、営業担当者の視点で、営業マネージャー向けに実践するシーンを中心に解説していきます。報連相は、営業と営業マネージャーの信頼関係を築き、チームワークを高め、業務効率を向上させてくれます。報連相は、報告、連絡、相談の3つの活動から構成されていますが、さらに分解するとどのような違いがあるのでしょうか?

報告、連絡、相談の違いと目的をわかりやすく整理してみます。

報告とは

営業の先輩や営業マネージャーだけでなく、顧客にも商談の状況や結果だけでなく、対応策を伝えることを目的とします。つまり、関係者に対して、営業が遂行すべき活動責任に関する結果を伝えます。

報告は関係者に状況を簡潔にかつ正確に伝え、指示やサポートを得るための手段と言えます。

連絡とは

営業チームだけでなく、プロジェクトチーム、顧客に必要な情報を共有することを目的とします。つまり、関係者に対して、営業が遂行している活動の情報を共有します。

連絡は関係者に情報を共有し、商談を円滑に進めるための手段です。

相談とは

営業の先輩や営業マネージャーに意見やアドバイスを求めることを目的とします。つまり、関係者に対して、営業が遂行している活動の解決策を求める行為です。

相談は上司や先輩の経験やスキルを活用し、問題解決のヒントをもらうための手段です。

報告では状況を説明し、連絡では共有し、相談では問題解決のヒントをもらうことを意識していきましょう。

報連相は営業の先輩や営業マネージャーに対して行います。ここで大事なポイントは報告、連絡、相談をゴチャマゼで実践しないことです。報告は報告、共有は共有、相談は相談と、話やメール文を分けて説明したり、フェーズを分けて話したりしていくのです。では営業の報告、連絡、相談のフェーズや例をご紹介していきます。

報告、連絡、相談のフェーズと例

報連相は報告、連絡、相談をしっかりと分けることが大事なポイントです。もちろん、作業としても分けますが、営業のアタマの中でも報告、連絡、相談を分かれていないとよくわからない報連相になってしまいます。営業の報告、連絡、相談のフェーズや例をご紹介していきます。

報告のフェーズや例

  • 営業活動で訪問した顧客数、獲得した受注数、提案内容
  • 商談化の進捗状況、スケジュール、課題
  • 顧客との商談内容、顧客ニーズ、競合状況、市場状況

連絡のフェーズや例

  • 顧客とのアポイントメント日時、場所、議題
  • 資料の完成、共有
  • イベント開催情報、参加案内

相談のフェーズや例

  • 顧客との商談で行き詰まったり、遅延したりした場合の解決策
  • 顧客へのプレゼンに向けた提案内容のレビューと改善策
  • 営業活動やスキルアップに関するアドバイスの要求

報告、連絡、相談にはこのようなフェーズや例があります。報連相の中で、営業に最もスキルが求められるのが報告です。その理由は社内の営業マネージャーだけでなく、顧客にも商談の結果や対応策を伝えるからです。

しかし、報連相ができない人、下手な人がいます。どのような点に問題があるのでしょうか?メール文や報告書ではなく、口頭の報連相のケースにスポットを当て、ご説明していきます。

報連相ができない人の例文 報告の順番が逆です

報連相ができない人や下手な人にはどのような共通点があるのでしょうか? 報連相の目的を理解せず、適切なタイミングで実践しないケースがあります。そもそも、報連相を忘れている営業もいるかもしれませんが、これは論外です。すぐに意識から改善していきましょう。

営業に最もスキルが求められる報告を中心にご説明していきますが、報告ができない人や下手な人には2つの大きな共通点があります。それは、長々と話してしまいがちで要点がまとまっていないことと、現状に対しどのように進めていくかの解決策がない点です。2つの共通点をご紹介します。

報告の順番が逆であり簡潔ではない

報告ができない人や下手な人は、報告の話が長くなります。なぜ長くなるかというと、小学生の作文スタイルだからです。「朝起きて朝食を食べて、集合場所に集まり、バスで動物園に行って、みんなと楽しい1日でした」というような時系列で報告するのです。営業から営業マネージャーへ報連相の悪い例文でご説明します。

報連相 悪い例文

「初回訪問で製品を説明しました。見込み顧客は2名参加し、製品の良さを理解してもらいました。見込み顧客側からまた連絡しますということで商談は終了しました。お礼メールはその日のうちにしておきました。C見込み案件になると思います!」

事実に基づいた正確な情報かもしれませんが、経緯を順番に説明しているだけの報告です。また、相手が理解しやすい内容とは言えず、簡潔とは言えません。しかし、このような報告で一番下手なところは、報告の順番が逆であることです。

報告はまず結果から話しましょう。その次に経緯を簡潔に説明する報告の方が、相手がイメージしやすくなり、内容がしっかり伝わります。営業から営業マネージャーへ、報連相の良い例文でご説明します。

報連相 良い例文

「先週、初回訪問に行ってきた見込み顧客ですが、2回目に進める良い商談になりました。2名参加し、うちの製品で見込み顧客の数多くの問題解決ができそうだ!と言ってもらえました。次回は、関係者を更に集めるのでもう一度、詳しく説明してほしいと依頼いただいたので、お礼メールにも記載しておきました。C案件になると思います!」 

→ そして、報連相として連絡や相談したいことがあれば、共有しアドバイスを求める

このように報告はまず結果から話し、要点をまとめ、簡潔に実践していきましょう。「結論から切り出す」それが良い報連相の例と言えます。

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報連相が下手な人 5W1Hの大事な部分がない

報連相が下手な人のもうひとつの共通点が、現状に対しどのように進めていくかの解決策がない点です。これは報告能力にも関係してくる部分と言えますが、ロジック的な観点でご説明していくと、5W1Hの大事な部分がないということです。

5W1H(ゴダブリュー・イチエイチ)とは、5つのWと1つのHから構成されます。5Wは「When=いつ」「Where=どこで」「Who=だれが」「What=何を」「Why=なぜ」になります。そして、1H「How=どのようにして」を総括したビジネスコミュニケーションの言葉が5W1Hです。

報連相の中で、連絡は主に「5W」を共有し、状態を知っておいてもらうために実践します。相談は「How=どのようにして」がわからないため、関係者に5Wを説明しながら解決策のヒントを求めます。

報告とは関係者に対して、営業が遂行すべき活動責任に関する状況や結果、対応策を伝えることです。そのため、報告は5W1Hがすべて揃わなければなりません。特に大事なポイントは1H=Howです。

受注したケースであれば、契約後作業のHowはありますが、営業報告のほとんどは受注前のケースです。つまり、状況を報告するだけでなく、「How=どのようにして」商談を進めていき受注につなげるかを必ず報告しなければなりません。

報連相が下手な人は5W1Hの大事な部分、「How=どのようにして」が欠けていることが多いと感じます。営業は新規開拓、初回訪問、提案、クロージング、そしてクレームもありながら、受注というゴールに向かっていきます。すべての営業活動に「How=どのようにして」が必要です。そして、すべての営業活動に報連相が求められます。つまり、「How=どのようにして」は、報連相の大事なポイントになるわけです。

報連相ができない人や下手な人は、「まず結果から話す」「How=どのようにして、は必須」を意識してみましょう。劇的に報連相の質が上がると思いますよ。

報連相が上手い人は提案と同じ方法で実践する

報連相が上手い人は「まず結果から話す」と「How=どのようにして、は必須」は当然のスキルとして持っていますし、普通に実践しています。これらのスキルだけなく、報連相が上手い人は提案力があります。提案と同じ方法で報連相を実践しているのです。

提案とは、案を提示することです。そして、なりたい姿を一緒に描いてあげた「あるべき姿」や「こうなります」という業務改善後の導入効果が、提案書の前半に記載されています。その他にも提案には様々なテクニックがあります。つまり、表にまとめますと次のようになります。

報連相のポイント提案のポイント
まず結果から話す あるべき姿や導入効果を示す
How=どのようにして、は必須解決策や改善案を提示する
相手が理解しやすい言葉を使う図解や図表を活用する
タイミングを逃さない プレゼン力を磨き、プレゼンで勝負する
伝わることが目的伝わり、受注に向かうことが目的

このように報連相が上手い人は 営業提案力と比例すると言えます。もちろん、意識をしてこれらのスキルやテクニックを使っていますが、報告能力や提案力を持っているからこそ使えるスキルやテクニックです。

スキルとテクニックの違いとは、スキルは勉強や営業経験により積み上げられた能力であり、テクニックは必要な場面で発揮される手法のことです。スキルは報連相の上手い人の大きな能力として存在していて、報告時に実践するトークや文面がテクニックと言えます。

報連相と提案の関係性や報連相が上手い人は、営業提案力と比例することが理解いただけたと思います。報告能力と提案力のスキルを身につけ、テクニックとして発揮していきましょう。「社内の報連相」と「提案」には同じスキルが必要だということがわかれば、順調に受注に向かう商談が増えていくはずです。

まとめ

「報連相ができない人と上手い人の違い 営業提案力と比例する」と題して、ご紹介してまいりました。報連相の意味や報告、連絡、相談の違い、それぞれのフェーズや例もご理解いただけたと思います。さいごに、報連相ができない人と上手い人の違いをまとめます。

報連相ができない人・下手な人

  • 報告の順番が時系列すぎて、長くてわかりづらい。まず結果から話し、次に経緯を説明しましょう
  • 5W1Hの大事な部分がない。特に「How=どのようにして」が抜けているケースが多いので、意識しましょう

報連相が上手い人

  • 「まず結果から話す」と「How=どのようにしては必須」で実践しています
  • 提案力があり、提案と同じ方法で、報告を実践しています

報連相は目的を理解し、適切なタイミングで適切な方法で伝えることが大事です。要点をまとめ、事実に基づいた正確な情報を伝えることも意識しましょう。もちろん、相手の反応を見ながら、双方向のコミュニケーションを取りながら、臨機応変に対応していきます。

「報連相は無駄な作業で、会議ではできれば短くしてほしいし、報告書も簡潔にしてほしい」
と思っている営業は少なくないと思います。私も以前、そう思っている時期もありましたが、今は時代が変わってきました。

リモート勤務やリモート商談などの働き方が変わってきたり、コンプライアンス重視になってきたりしている背景もあります。しかし、報連相が重要な最大のポイントは、「営業の案件はプロジェクトで進めていく」ケースが増えたからです。

営業だけで受注できる商談や案件は減ってきています。技術チームに支援してもらい、管理部門には契約書やセキュリティチェックを手伝ってもらい、営業マネージャーにはプロジェクトが円滑に進むようにサポートをしてもらいます。それが顧客に伝わり、顧客に選んでもらうベースになるのです。

このような背景から報連相が今の時代、もう一度、重要になってきていることを営業は理解してほしいと思います。「チームで戦わなければ顧客からの受注はない! だから報連相は重要な営業活動だ」という意識を持って実践すれば、様々な難局を乗り越えられると思います。

目標設定に対しチームで報連相をスムーズに実践して、目標達成に向けて効果的に取り組みましょう。

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