ビジネスでは商談や案件化の進捗状況を把握するために、状況確認メールを頻繁に送ります。しかし、見込み顧客も最近は忙しく、なかなか返信が来ないケースが増えています。営業としてはメール返信をもらうことで事実確認をしたいのですが返信がない以上、状況はわかりません。このような問題を解決するために状況確認メールを送り、メール返信がもらえる書き方や送り方の基本、メール返信の確率が上がる例文や文例をご紹介していきます。失礼のないようなメール文はビジネスマナーの基本ですが、実はそこに落とし穴があったことがわかりました。
目次
状況確認メールを送る理由
ビジネスでは状況確認のメールを送るシーンは非常に多くなります。特に営業は商談をするためのアポ獲得のメールを送ったり、商談後や見積提出後の進捗確認のメールを送ったりします。
状況確認メールを送る理由は、見込み顧客の現在の進捗状況を把握し、事実確認をするためです。そして、状況確認をしながら問題点をひとつひとつ解決していき、見込み顧客に納得してもらい受注をするためでもあります。
もちろん、状況確認はメールだけでなく、電話や訪問、リモート商談等で確認するケースもあります。しかし、見込み顧客はリモート会議がビッシリ入っていて、なかなかつかまらないので、どうしてもメールで状況確認する場面が増えてきます。このような背景から、状況確認メールの書き方や送り方は大切な営業活動のひとつだと言われています。
状況確認メールの書き方や送り方の一般的な記事は、数多くあります。件名、本文の書き方、マナーを守り、長文にならず簡潔にポイントを伝える、何度も何度も送らない等、詳しく文例を説明している記事があります。おっしゃる通りですので、そのような記事をぜひ参考にしてみてください。
最近ではChatGPTやGeminiの生成AIでも、ビジネスシーン別のメール文は作成できます。新卒営業の方や営業経験の少ない方は、AIでメールが作成できる記事をご覧いただいたり、生成AIを活用したりしてみてください。
件名 ●●ご提案の進捗状況について/ラシックマーケティング鈴木
本文 宛先 株式会社■■■■
部長 ◆◆様
内容 *****
署名
状況確認メールの書き方や送り方の一般的な記事の中に「失礼のないようにメールを送る」という解説があります。これはこれでその通りなのですが、「失礼のないようなメール」に、実は落とし穴があるのです。
送り方の基本 失礼のないようなメール文も大事だが、無難なスタイルから脱却しよう
状況確認メールの送り方は「失礼のないようなメール文にする」が基本です。営業が見込み顧客に嫌なイメージを持たれたり、怒られたりしていては受注するどころの話ではないので、これは大切なマナーです。見込み顧客に失礼があるメールは避けるようにしましょう。
ぶしつけで、無礼で、礼儀知らずのメール文は送ってはいけません。しかし、「失礼のないような営業スタイル」を貫いても、それは逆に「無難なやり方の営業スタイル」とも言えます。
無難な営業スタイルになると、よそよそしく、控えめ・謙虚なので相談しにくくなります。印象に残らず、いつまでも見込み顧客と関係が深まりません。つまり、平凡なのでも見込み顧客との距離が縮まらず、仲良くなれないのです。
今、「無難なスタイルの営業」が非常に増えています。従って「無難なメール文」も比例して増えていると言っていいでしょう。
見込み顧客に失礼のないようにすることは営業として当然として、「無難なスタイルの営業」の逆は「個性的なスタイルの営業」と言えます。営業が個性的なスタイルになると、親近感がわき、フランクな感じで接してくれるので相談しやすくなります。このようなタイプは見込み顧客と距離をどんどん縮めていくので、短時間で仲良くなる営業が多いと感じます。
本記事ではメールの送り方を中心に説明していきますので、「個性的なスタイルの営業」について、詳しくは下記記事をご覧ください。
馴れ馴れしい生意気な営業は嫌われる?ポジティブに考えてみよう
しかし、見込み顧客と初めて会う前のアポメールは、無難に失礼のないような丁寧なメール文にしましょう。理由は、まだ見込み顧客と顔合わせをしていないため、営業自身の個性や人物像を伝えきれていないからです。初めて会う前の人には無難な営業スタイルのメール文で接し、初回訪問が終わった後、2回目以降の商談からのメール文は、徐々に個性的なスタイルの文章にしていきましょう。
つまり、メールの送り方の基本は守りつつも、失礼のないようなメール文をずっと続ける無難な営業スタイルから脱却をしてほしいのです。何事も「無難な姿勢」からは、あまり良い結果は生まれません。
「個性的な」というニュアンスがわかりにくいのであれば、「破天荒な」「ハヤメチャな」「型にはまらない」というような感じの営業を目指していきましょう。そちらの方が良い結果が出るかもしれませんよ。いずれにしても「無難な営業」からは脱却していきましょう。
では、状況確認メールの送り方として、ビジネスで進捗状況がわかり、見込み顧客が相談しやすくなる例文を2つご紹介していきます。
7つのやり方に売上向上のヒントが隠されている
営業・マーケティング 7つのやり方 サービス基本ガイド
「さん付けメール」は失礼ではなく、親近感がわく
本文の最初には、必ず宛先を入れます。初めて会う前のメールは下記のように送りましょう
宛先 株式会社■■■■
部長 ◆◆様
内容 *****
しかし、何度も会っているのに上記のような宛先で何度もメールを送ってくる営業がいます。これはこれで失礼ではないのですしマナーを守っているのですが、ずっと親近感がわかず、仲良くなれないケースが多いと感じます。▲理由は何度も言います。「無難だから」です。
私は部下に対して「役員や部長でも、一般職でも関係なく、‘さん付け’で見込み顧客の責任者や担当者を呼んだり、メールの宛先に記載したりしても失礼ではない」と逆に「さん付け」を推奨しています。理由は見込み顧客の責任者や担当者との距離を縮め、親近感を持つ狙いもありますが、一番の理由は「ビジネスで対等な関係性を保つため」です。
営業側が下で、見込み顧客が上という関係性は絶対に存在しません。敬意は払いつつ、マナーも守りながら、見込み顧客の役員や部長を「◆◆さん」と呼ぶのは、親近感と関係性を良い方向に導くことに有効な方法だと思います。
私は学校の先生や病院の先生も「◆◆先生」とは呼ばず、「◆◆さん」と呼びます。理由は、★社内でも社外でも社会でも、「社長」「専務」「部長」「先生」「教授」と呼び続けることが、関係性の上位下位を徐々に構築していってしまうからです。
呼ばれる方が上位に感じて、徐々に関係性が確立してしまうのは今の時代には合っていません。軍隊の時代からの悪い習慣だと私は思っています。
「ビジネスで対等」とは言っても、見込み顧客に失礼に当たらないように配慮しなければなりません。そこで、下記メール例文を送ってみてはいかがでしょうか? 私も部下も顧客に対し数十年、「さん付け」でメールを送っていますが、一度も怒られたり、クレームになったりしたことはありません。むしろ、案件化や受注の良い結果に向かっていきますよ。
「さん付け」 メール例文
宛先 ◆◆さん (会社名も不要でいいと思います)
内容 *****
「◆◆さん」から始まるメールを試してみましょう。良い関係構築につながっていくと思いますよ。また、ビジネスでもSNSのメッセージを使えば、「◆◆さん」も不要できます。いきなり要件に入ることもできて、自然にやり取りができて便利だと思います。
メール返信の確率が上がる例文1 「下記の件、その後いかがでしょうか?」
見込み顧客からのメール返信は誰でもして欲しいものです。営業であれば、状況確認メールを送って返信がないと残念に思いますし、何度もメールを送ることもためらってしまいます。
そんな時にメール返信の確率が上がる方法があります。一度、状況確認メールを送って1週間程度、返信がない時に送る方法です。一度送った状況確認メールから全返信ボタンを押し、1週間前に送ったメール本文を下記に読めるようしておき、次のように記載します。
メール返信率が向上する例文1
宛先 ◆◆さん
内容 ラシックマーケティングの鈴木です。
下記の件、その後いかがでしょうか?
またお手すきの時に教えてください。
よろしくお願い申し上げます。
**********
1週間前に送ったメール本文が記載されている
非常に短いメール文で「下記の件、その後どうなっていますか?」と記載されると、見込み顧客側のタスク漏れだったり、落ち度があったりするように感じて、1週間前に送ったメール本文を読んでくれます。
そして、見込み顧客側が返信していないことが悪いように感じてくれるのか、かなり高い確率でメール返信がもらえます。1週間前のメールと合わせて2回送ることになり、手間な作業のように感じます。しかし、見込み顧客が返信をくれないのであれば、いずにせよ連絡をしないといけないので効率は同じです。
一度、状況確認メールを送っているのは事実ですし、全く失礼なメール文ではありません。見込み顧客も忙しいですし、メール文を全件見ていないこともあります。シンプルに要件を伝わりますし、見込み顧客のミス? と感じてもらえるようなイメージがあるので私はよく使います。ぜひ、みなさんも実践してみてください。
メール返信の確率が上がる例文2 「お互いのためにクローズしましょうメール」
見込み顧客に何度もメールをしたり、電話をしたりしても数ケ月間、返信がないケースがあります。このような背景には商談をしていた数ケ月前は検討の優先順位が高かったけれど、その後、低くなり検討を中断していたり、忙しくて検討が進んでいなかったりしている事情が考えられます。
このようなケースは結局、商談が進んでいないので受注を期待することできません。しかし、進捗状況を事実は確認したいので、「お互いのためにもクローズしていいですか?」というようなメール文を送るとメール返信の確率は上がります。例文2をご覧ください。
メール返信率が向上する例文2
宛先 ◆◆さん
内容
ラシックマーケティングの鈴木です。
以前、ご提案した●●提案の進捗状況につきまして、何度もご連絡を差し上げまして申し訳ございませんでした。
◆◆さんに状況確認をしたかったこともありますし、私も企業で活動をしているので、メールや電話を何度もしてしまいました。このようなメールや電話のやり取りは◆◆さんにご迷惑をおかけしますし、お互いに効率も悪いと感じております。
従って、また再検討する時期がきたら、ご連絡をいただくということで、いったんクローズとさせてもらってもよろしいでしょうか?
もちろん、検討再開の時にはぜひお打合せをしたいですし、今後も製品やセミナー情報は定期的にお送りいたします。
私も組織に報告する必要もあるので、ぜひ、ご返信をいただける幸いです。
お手数ですが、よろしくお願い申し上げます。
このように「お互いの効率のためにもクローズ(いったん中断)していいですか?」というニュアンスでメールを送ります。ところが、言葉の裏側には「連絡をもらえないのであれば、こちらからサヨナラする選択肢も視野に入れるしかありません」という想いも発信しています。
人間は思いもよらず相手から別れを告げられると「いやいや、そういうつもりではなかったので、中断しないでほしい」という反応を見せたり、「中断とは言いづらかったけど、このようなメールをもらったら、正確な状況を説明しておこう」と中断理由のメールをくれたりと、かなりの確率で反応してくれます。
「営業側から見込み顧客を突き放す」というほどの高飛車な方法ではありません。「爽やかに健全なカタチでいったん終了し、良いタイミングで商談を再開しましょう」というメールを送るのです。
このようなメール送信は勇気が必要ですが、‘連絡が取れなくなりました’と営業が良く言うような商談には有効な方法ですので、ぜひ、試してみてください。
「決まらない商談は健全に中断させて、次の新しい商談に向かう」、こちらの方が営業に取って有益な活動だと思います。
まとめ
「状況確認メールの送り方 進捗状況がわかるビジネス例文を紹介」と題して、ご紹介してまいりました。状況確認メールを送る理由や背景は、しっかりと進捗状況の事実確認をするためであることが理解いただけたと思います。
メールの送り方は失礼のないようなメール文がマナーの基本ですが、無難な営業すぎても成果がでません。思い切って個性的な営業を目指し、「さん付けメール」で親近感を持ってもらい仲良くなりましょう。
そして、例文にあったような「下記の件、その後いかがでしょうか?メール」や「お互いの効率のためにもクローズ(いったん中断)していいですか?メール」のような方法も使いながら、メール返信の確率を上げていきましょう。
ビジネスでは今の時代、電話や訪問よりも、メールやリモート商談のスキルを上げることが求められます。メールに変わる手段もチャットやSNS等が台頭してきていますが、文章を書きメールを作成するスキルはこれからも同じです。見込み顧客が反応してくれるメール文が作れるスキルを目指し、見込み顧客と仲良くなれる営業を目指しましょう。
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