営業教育

営業予算の組み方や立て方とは?作り方までやってみよう!

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営業予算には組み方、立て方、作り方という様々な言い方がありますが、違いは何なのでしょうか?また予算案は会社が作るのか、組織や現場で作るのか、どちらが一般的なのでしょうか。そこで経営者と経営企画部門・管理部門と組織・現場の3つの立場から、営業予算の作り方について解説していきます。営業予算にはトップダウン型とボトムアップ型があり、どんな組織に向いているのかも合わせてご紹介します。

予算案はまず会社が作るもの

会社は事業を成長させるために、経営戦略や事業計画を立て数年先を見て投資をします。製品の研究開発費はわかりやすい投資と言えるでしょう。そして経営するためには製品やサービスの製造原価や、人を採用する人件費等の原価が必要になります。開発や人件費の原価だけでなく、オフィス賃料、マーケティング費用、人材育成・教育費用等の経費もかかってきます。事業の成長と経営のために、会社は原価や経費を算出して、売上や利益の計画を策定していきます。

このように事業の成長と経営のために計画を策定し、年度ごとに適切な売上・利益・原価・経費を立案することを予算と言います。 事業予算や会社予算という呼び方も企業ごとに様々ですが、本記事では予算と表記いたします。

予算は事業部や部門で作成できません。なぜなら会社の原価や経費、経営戦略や事業計画は、会社の経営者である取締役や執行役員しか把握していないからです。企業活動をするための会社全体のことを把握している経営者にしか、予算は策定できないのです。すでに今期、達成に向けて各部門が活動しているものを予算と言い、来期に向けて事業計画をしていくことを予算案と言います。間違いなく、予算案は会社が作るものです。

来期の予算案を策定する時期は大手・中堅企業や中小企業によって様々です。詳しくは下記記事「予算取りの意味と時期を、営業は学んでみよう!予算執行も解説」:予算取りには時期がある1)一般企業編をご覧ください。

予算取りの意味と時期を、営業は学んでみよう!予算執行も解説

予算取りの時期に、見込み顧客に対してやるべきことがわかる記事です。営業は予算取りの時期に何をすべきか整理しました。



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ややこしくなるので本記事では、予算案のことも予算と表記して解説していきます。そして会社全体の予算と営業予算ではどのように違うのでしょうか?

営業予算と予算の違いとは?事業部と機能別部門がポイント

まず営業予算と予算の違いについて解説いたします。まず、ひと言でお伝えすると、営業予算の定義とは会社によって様々です。理由は会社の組織によって営業予算のスタイルが変わるからです。「図1 予算策定のための組織図(例)」をご覧ください。例えば、事業部制の組織は営業と開発部門がひとつの部門の中にいますので、事業部予算と営業予算は同じ意味になるケースが多いでしょう。その営業予算に管理部の管理費やマーケティング部門のような横断的な間接費が入ってきて、営業予算が立案されます。

しかし会社によっては事業部制のような事業独立採算型の組織になっていないケースがあります。営業部門、開発部門、技術部門、生産部門、サポート部門のような組織の機能によって分かれているケースです。このような組織を本記事では機能別部門と呼ぶことにします。機能別部門では営業部門は売上・利益責任を担い、開発部門等は原価責任を担います。機能別部門のケースでは事業計画から会社全体の予算があって、営業予算とは営業部門の予算のことになります。

開発部門は原価や経費の予算だけだと採算性の意識に欠けるため、開発部門にも売上予算や実行予算を持たせ、管理会計上で予算と実行を見ていく企業も増えています。

事業部と機能別部門の組織体制によって営業予算と予算の違いがありますが、営業予算とは主に売上と利益を担当すると言えるでしょう。それではいよいよ、営業予算の組み方、立て方、作り方にはどのような違いがあるのか解説いたします。

営業予算

営業予算の組み方、立て方、作り方の違いを定義

営業予算の組み方、立て方、作り方にはどのような違いがあるのでしょう。図1を中心にここまでご説明してきた会社と組織体制によって違いがありますが、まず「誰がやる」という視点から営業予算の組み方、立て方、作り方の違いを整理しておいた方がよさそうです。こちらもひと言でお伝えすると、誰がやるのかは会社によって様々です。一般的には次のようになるのではないでしょうか?

営業予算の組み方とは

中期経営戦略の実行年度と事業計画に沿って、経営者が次年度の営業予算を組むケースが多いでしょう。市場環境や競合企業調査、そして事業の成長計画から、経営者が受注金額や売上・利益金額から考えていく方法が、営業予算の組み方です。

営業予算の立て方とは

経営者が組んだ営業予算に対し、大手・中堅企業であれば経営企画部門、中小企業であれば管理部門が営業予算を立てるケースが多いでしょう。経営者が組んだ大枠の売上・利益案に対し、経営企画部門や管理部が、会社全体の組織に原価予算や経費予算を立てていきます。そして次年度、会社が達成するための売上予算と利益予算を考えていく方法が、営業予算の立て方です。

営業予算の作り方とは

経営者が営業予算を組み、経営企画部門・管理部門が営業予算を事業部と機能別部門が作るケースが多いでしょう。事業部であれば事業部の営業部が考え、機能別部門の営業部が考えていく方法が、営業予算の作り方です。

営業予算の組み方、立て方、作り方の違いを定義すると、一般的にはこのような定義になるのではないでしょうか?営業予算を経営者が組んで、経営企画部門・管理部門が立てて、営業部が作っていくという流れになります。 しかし、営業予算は営業が関与せず、経営企画部門や管理部門が作っていくケースもあります。なぜ営業予算の作り方は会社によって違うのでしょう?その理由は会社の風土や文化、ルール・制度によっても違いますが、事業部と機能別部門の組織体制にヒントがあるようです。それでは次に営業予算の作り方をご説明していきます。

トップダウン型とボトムアップ型で営業予算を作る方法

営業予算の作り方には、経営企画部門や管理部門が作る方法と、営業部が作る方法があります。経営企画部門や管理部門が作る方法がトップダウン型、営業部が作る方法ボトムアップ型と言えます。図1に記載されているように事業部とは営業部と開発部が同じ組織にいるケースで、機能別部門とは、営業部や開発部等が別々の組織にいるケースです。トップダウン型とボトムアップ型で営業予算を作る2種類の方法には、この組織体制が重要なポイントになってきます。

トップダウン型で営業予算を作る方法

トップダウン型で営業予算を作る方法のメリットは、経営者が立てた事業計画を実現するために、経営企画部門や管理部門が計画しやすい点です。会社全体が目指す方向に営業予算をリンクさせやすく、会社が進むべき道へ導きやすいと言えるでしょう。予算確定もトップダウン型は早く決まるケースが多いので、経営者から経営企画部門や管理部門、そして各組織にスピーディに落としやすいのです。各組織に按分する原価・経費、研究開発費計画や投資計画の費用等も営業予算に組み込みやすいので、予算立案時に計画がしやすいのが利点です。

しかし、トップダウン型デメリットは、トップダウンで各組織に営業予算が落ちてくるので、一方的な責任を各組織に与えてしまいます。よって最近では予算達成のモチベーションが上がらないケースが出てきていますので注意しましょう。またトップダウン型ですので事業成長ための計画を各組織は策定しません。よって原価予算や経費予算を立案しないため、営業利益計画を立てる力がつかず、経営視点で各組織の責任者が運営できません。売上予算の達成ばかりを各組織の責任者が追求し、利益の出し方、原価の抑え方、経費の使い方等の経営力が身につかず、時期経営者候補が育ちにくいというデメリットがあります。

トップダウン型で営業予算を作る方法は、営業部と開発部が別々の組織にいる機能別部門に向いていると言えるでしょう。その理由は機能別部門が事業部のように部門の適切な原価や経費を把握していないからです。トップダウン型で営業予算を作る方法は、経営企画部門や管理部門が機能別組織に売上予算・利益予算を与えて、現場を達成するという組織風土の会社向きかもしれません。

ボトムアップ型で営業予算を作る方法

ボトムアップ型で営業予算を作る場合でも、予算の組み方と立て方でご説明した受注金額や売上・利益金額の大枠のガイドラインは、トップダウンで示されている状態から作成していきます。

ボトムアップ型で営業予算を作る場合は、事業成長のために事業部長が中心になって計画を策定し、売上・利益・原価・経費のすべてを立案していきます。一般的には事業部予算を事業部長が立てて、営業部長が営業予算を考えていきます。開発部長は開発予算を担当します。よって事業部長や各部長が経営視点で計画でき、経営思考で事業予算の達成を考えていけるのがメリットです。

将来の経営者候補を育てられるのが事業部という組織の大きなメリットです。採用計画は原価計画に密接に関係してきますので、事業部の来年度の採用人員計画を考えて予算を作りましょう。事業部メンバーの職位ランクやジョブグレード別で人員計画をしていきます。メンバーは昇格をしますので、リーダーや主任、部長・課長やマネージャーへの成長や昇格時期も考えます。事業部予算を考えながら作っていく思考が、幹部として成長させるのです。そして、ボトムアップ型で営業予算を作っているので、事業部のメンバーも、予算達成のモチベーションが高まるでしょう

ただし、ボトムアップ型で営業予算を作る場合、経営者から経営企画部門や管理部門、そして事業部が営業予算を計画するので、予算会議が多くなり、予算案がいったりきたりします。よって営業予算が決まるまでに時間がかかるのはデメリットと言えます。

また事業部が達成しやすい低い営業予算を出してくる可能性もあり、各組織会社全体が目指す方向に営業予算をリンクさせにくい場合があります。ボトムアップ型で営業予算を作る場合は、このようなデメリットに対しての対策を、経営者と経営企画部門で考えましょう。

まとめ

「営業予算の組み方や立て方とは?作り方までやってみよう!」と題しまして、営業予算についてご説明してまいりました。予算案は経営戦略や事業計画を立てる経営者、つまり会社が作るものです。予算と営業予算の違いとは、事業部では予算や事業部予算、機能別部門では営業予算が一般的に使われますが、営業予算とは営業部門の予算のことです。

営業予算の組み方は経営者、営業予算の立て方は経営企画部門や管理部門が実施します。営業予算の作り方はトップダウン型であれば経営企画部門や管理部門が作成し、ボトムアップ型の営業予算を作る場合は、事業部算や事業部予算の各組織で策定するのが一般的です。

いずれにしましても企業は「コンプライアンス重視の経営」に舵を切っています。コンプラ重視?と聞くとパワハラやセクハラをしないことというイメージがあります。しかし、大きなとらえ方としてコンプライアンスとは「法令遵守」のことです。法令遵守の中に、適切な予算の立て方・作り方があります。ステークホルダー(利害関係者)、株主、顧客、従業員・経営者が納得でき、ステークホルダーの利益のために社会規範を守っている予算立案を求められているのです。

本記事では営業予算の達成のやり方は説明しませんでした。営業予算の立て方・作り方を組織でしっかりできるようになって、その次に営業予算の達成に向けての取組みが必要と言えるのではないでしょうか?

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