社内営業にはコツはあるのでしょうか?その前に社内営業と聞くと上司にゴマをするような悪いイメージがありますが、組織に必要なのでしょうか?その答えになるヒントとして「良いイメージの社内営業」と「悪いイメージの社内営業」を理解してみましょう。 社内営業のコツを紹介しながら、社内営業は必要なコミュニケーションなのか?無駄な作業なのか?についても、触れていきたいと思います。
社内営業は必要なのか?上手い人のやり方
社内営業と聞くと、なんだか後ろ向きな悪いイメージがあります。社内営業とは、顧客に製品・サービスを売りにいくのではなく「社内の上司に媚びて自分をアピールすること」、これが悪いイメージの社内営業 です。一般的な社内営業のイメージですね。しかし、逆に良いイメージの社内営業もあるのです。
一方で良いイメージの社内営業とは、社内の上司だけでなく同僚や部下、組織メンバー全員にコミュニケーションを取ることです。例えば、顧客がインターネットから取得するたくさんの情報に対応するためには、営業だけで大変です。マーケティングチームに支援してもらうために社内営業をするケースがあります。その他にも顧客からの要望に対しサポートが必要な場合は、技術部門に支援してもらうために社内営業をします。業務・アシスタントや人事総務経理の管理部門に支援を求めるために、社内営業をするケースもあるでしょう。プロジェクトで動く仕事であれば、プロジェクトメンバーがひとつになって協力しなければ、成功に向かっていきません。
このように良いイメージの社内営業をする人は、社内営業を必要なコミュニケーションと考えているのです。 ビジネスは営業ひとりでは完遂できません。営業が持っているプレゼン力、コミュニケーション力、提案力などを顧客だけでなく、社内のメンバーに社内営業をかけるところが社内営業の上手い人のやり方なのです。
つまりいろんな社員の人を巻き込むために、営業自身が持っている力を社内営業に使うのです。これが良いイメージの社内営業をする人のコツです。このような社内営業であれば、顧客と会社のためになる活動なので、いいですよね。しかし社内営業の大半は、悪いイメージの社内営業が圧倒的に多いのです。本記事の今後の定義は「悪いイメージの社内営業」に対して、改善策を考えていきたいと思います。
社内営業の無駄なのか?くだらないと思う人の思考
しかし 悪いイメージの社内営業は、顧客に製品・サービスを売りにいくのではなく、社内の上司に媚びて自分をアピールします。良いイメージの社内営業も上司に対して、交渉をしたり媚びたりするケースはあります。ところが良いイメージの社内営業が上司に了承を取る時は、顧客の要望やプロジェクトの成功のためです。向いている方が、顧客やプロジェクトなのです。
悪いイメージの社内営業は顧客やプロジェクトメンバーの方を向かず、なぜ上司だけに向いているのでしょうか。その理由は自分自身を評価してもらう手段が社内営業しかないからです。
営業や技術、管理部門にはそれぞれの仕事があり、その仕事内容の実績によって社員は評価されます。しかし実績の評価とともに、会社には能力の評価があります。人事考課や人事査定で上司が部下の能力を評価するので、「人が人を評価」することになります。上司も人間なので、自分に従う可愛い部下を高評価するケースはあります。悪いイメージの社内営業は、業績の評価よりも、能力の評価の方にパワーを割いていると言えるでしょう。
「普通は能力よりも業績評価でしょ?ならば社内営業は無駄な作業じゃないですか?」という声が聞こえてきそうですが、企業には様々な評価基準があります。業績評価よりも、能力評価の方がウェートは高い企業もありますし、会社には業績評価しにくい仕事もあるのです。
悪いイメージの社内営業が考えていることは正確にはわかりません。しかしこのような社内営業は無駄であり、くだらないと私は思います。そのパワーを顧客やプロジェクトに使うべきです。顧客やプロジェクトに直接関与しない仕事であっても、社員の企業活動は企業価値を上げるために使うべきであって、上司の評価を上げるために使うべきではないです。上げる場所を完全に間違っています。しかし、このような悪いイメージの社内営業をする人はどんな会社にも存在します。その傾向は何なのでしょうか?
社内営業ばかりで疲れる、めんどくさい組織の傾向
先日、私の知り合いが15年務めた会社を辞めました。彼はとても優秀な営業で、営業責任者になってからも、関西、福岡、名古屋の各事業所でトップの成績を出し続けていました。部下からも信頼されており、理想の上司として満を持して東京にやってきました。しかし、2年後に辞めてしまったのです。彼がさいごに言った言葉がこれです。
「社内営業ばかりで疲れました。なぜ、こんなめんどくさい組織なのですか、東京は?」
彼は、前述した良いイメージの社内営業ができる人で、悪いイメージの社内営業とは、ほぼ無縁でした。そこに目の当たりにしたのが、「東京の社内営業の嵐」だったそうです。顧客やプロジェクトに全く目を向けていないわけではないのですが、各事業部門の責任者は上司(役員)に媚びを売り、アピール合戦が続きました。彼も繰り返されるそんな社内営業にも対応し、ほどほどにはやっていたのですが、決定的な現象にぶつかりました。
上司(役員)が業績評価から、社内営業の良し悪しからの能力評価をするようになったのです。言うことを聞く、可愛い部下を評価しました。業績評価はありますが、上司(役員)の裁量で能力評価とのウェートをコントロールしました。このような理由で優秀な営業責任者の彼は辞めることを決意したのです。
ここで誤解のないように整理しておきたいことがあります。「社内営業ばかりで疲れる、めんどくさい組織の傾向のポイント」には2つあります。
まず1つ目は「東京だから社内営業が多いわけではない」という点です。東京のすべての会社がこのような社内営業だらけの組織であれば、日本の経済は終わってしまいます。彼の考え方として「東京は社内営業が重要視される傾向があるのですね」と言っているということを誤解しないでください。
ただ、私も同じように感じる時はあります。九州、関西、中部などの地方部門では悪いイメージの社内営業は上司から求められませんし、組織にも社内営業が重要!という風土は存在しません。理由は地方部門が案件や仕事が少ないため、顧客やプロジェクトを向いて、忙しく活動するしかないからです。そんな悪いイメージの社内営業をしている時間があれば、業績につながる仕事を自ら考えて、動き出すという文化が地方部門にはあります。
しかし東京は案件や仕事が豊富になります。数多くある情報の処理やたくさんの社員数に対応する仕事は、地方部門とは大きく違うポイントです。東京は本社・本部でコントロールできる顧客やプロジェクトが多いため、業績は安定しています。よって情報の処理や社内に費やす時間が増えていく傾向があり、東京は社内営業が多くなるのかもしれません。
2つ目のポイントは東京も地方部門も関係ありません。業績評価よりもイビツな能力評価が企業文化に根づいており、そんな評価制度のウェートが高い組織が、社内営業ばかりで疲れ、めんどくさくなっていくのではないでしょうか。
働いている以上、人間ですから評価されたいものです。しかし、上司の裁量で決まっていくイビツな能力評価であれば、社内営業をして気に入られようと社員は動き出します。このよう悪いイメージの社内営業に向かってしまう評価項目ではなく、業績評価と能力評価、社会貢献度評価などのバランスの良い評価項目を企業は持つべきです。
評価されるために社員が社内を向くのではなく、顧客やプロジェクト、社会貢献に目が向いていく評価制度としくみづくりがこれから必要とされるのではないでしょうか。
東京が悪いのではなく、このような評価制度としくみがあれば、彼も辞めていなかったのではないかと思います。悪いイメージの社内営業は組織をダメにしますし、営業としては特に見たくない無駄な作業と言えるでしょう。
まとめ
「社内営業のコツ 必要なコミュニケーションなのか?無駄な作業なのか」と題して、ご説明してまいりました。「良いイメージの社内営業」と「悪いイメージの社内営業」の2種類が存在することがわかりました。社内営業は必要であると考え、上手い人のやり方は、顧客を向いてプロジェクトの成功ために社内営業を使っていました。
無駄なくだらない社内営業をしている人は、顧客やプロジェクトの方を向かず、上司の方だけを向いて、自分自身の評価のためだけにやっているのです。
社内営業ばかりで疲れる、めんどくさい組織の傾向は、業績評価が低く、上司の裁量でなんとでもなるようなイビツな能力評価が横行している会社でした。
業績評価と能力評価、社会貢献度評価などのバランスの良い評価項目を企業は持つべきです。そして社員が顧客やプロジェクト、社会貢献に目が向いていく評価制度としくみづくりをしていきましょう。そうすれば、みなさんも見たくない「悪いイメージの社内営業」は減っていくはずです。
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