「失念しておりました」と上司や顧客に言う営業がいます。上司や顧客に対して丁寧な言葉使いに聞こえますが、どうも違和感がありますし、あまり使いたくないビジネス語です。なぜ「失念していました」という言葉を好きになれないでしょう?そこで失念とは?を整理していきながら、「失念してしまいました」と言う営業を分析していきたいと思います。すると失念を多用する営業には、共通するポイントが見つかりました。
目次
失念とは?例文で紹介
失念とは書いて字のごとく、正念を失うという意味だそうです。しかし、‘正念’と言われてもちょっとわかりにくいので、失念の意味は「覚えていたことをうっかり忘れること」「物忘れ・ド忘れ」になります。誰でも忘れてしまうことはありますよね。
では「忘れる・忘れました」と言えばいいのに、なぜ「失念しておりました」と言うのでしょう?失念という言葉が存在する理由は、「忘れるを謙譲語に」しているからです。謙譲語は自分から下げ、相手を持ち上げる敬語のひとつです。
つまり「忘れました」を自分から下げることによって、相手も上げる敬語として「失念しておりました」は存在するというわけですね。例文でご紹介しましょう。
失念を例文で紹介
- 上司「営業の鈴木さん、先週お願いしていた報告書はどうなったの?」
- 鈴木「あっ・・、申し訳ありません。失念しておりました」
- 上司「大事な報告書なのに、なんで忘れているんだ!」
- 鈴木「私がスッカリ失念していたからです。すぐに作成します」
「失念しておりました」を例文にするとこのような会話になります。「忘れました」を自分から下げることによって、相手を持ち上げる敬語として「失念しました」が存在すると説明しました。しかし相手を持ち上げるも何も、自分のミスなのですから「忘れていました!スイマセン!」と言えばいいと思います。なのに、なぜ「失念しました」と言うのでしょう?
営業はなぜ「失念してしまいました」というの?その意味
営業の自分が忘れていたミスなのに、自分を下げて相手を持ち上げる必要はなぜあるのでしょうか?その意味には「忘れていました」よりも「失念してしまいました」の方か怒られにくいイメージがあるからです。
「失念してしまいました」は謙譲語や尊敬語のように聞こえるので、上司に対して使う言葉の見本のようにも思えますが、違います。単に少しでもミスを軽減しておきたい思いと、怒りを和らげる方法として使っています。「うっかり忘れていました・・」とハッキリ言えばいいと思います。
このような使い方はダメな営業ほど頻繁に行います。ダメな営業という言い方は失礼かもしれませんし、定義をするのも大変なので本記事では失念営業と表記します。失念営業が使う「失念してしまいました」の意味や背景には、謙譲語のニュアンスのような言葉の勘違いはあるでしょう。
しかし、本質は違います。失念営業はミスが多いため「失念してしまいました」を使う場面が、多くなります。ミスが多いと上司の怒られるケースが増え、顧客に迷惑をかけるケースも増えます。そこで少しでもミスを軽減し、怒られないようにするために「失念しておりました」を多用するのです。
「失念してしまいました」と失念営業が言う意味は、ミスが多いことが背景にあったのです。このような営業を一般的に「失念営業」と呼びます。ではなぜ失念営業になってしまうのでしょうか?
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失念営業にならない方法
失念の意味は「覚えていたことをうっかり忘れること」「物忘れ・ド忘れ」と記載しましたが、「失念しておりました」を多用する失念営業は少し違います。
失念営業は、覚える気があまりないので忘れてしまうのが特徴です。‘うっかり忘れた’‘たまたまド忘れした‘わけではなく、必然として忘れています。なぜ必然的に忘れてしまうのでしょうか?理由は3つあります。
失念営業が忘れてしまう理由
- 計画を立てないから
- ToDoを記載しないから
- メモを取らないから
失念する営業は計画を立てません。今月・今週・今日と大・中・小で営業活動のやるべきことや訪問スケジュールをしっかり立案しません。なんとなくの計画しかなく、営業活動のやるべきことや訪問スケジュールを細かく立案しないため、次に説明するToDoと組み合わせができないのです。
ToDoとは細かなタスク・作業のことです。ToDoの中には見積書や提案書のような営業活動として前向きなやりたいものもありますが、やりたくないものあります。例えば、報告書作成や契約書チェックや受注・出荷指示のような事務処理です。しかし営業であれば、やりたくないToDoでも、仕事ですからやらなければなりません。
できる営業は営業活動や訪問スケジュールの計画に対し、やりたくないToDoも結びつけないと予定が立てられないので、計画とToDoを組み合わせます。従って、仕事を忘れません。
しかし、失念営業は計画とやりたくないToDoを組み合わせないため、「失念しておりました」となりやすいのです。
そのベースに存在することとして、失念営業はメモを取りません。なんとなくノートの端に書いたり、パソコンにただ入力したりしています。メモをしている‘つもり’になっているだけで、結局やるべきToDoもやりたくToDoも忘れてしまい、何度もド忘れを繰り返すのです。そして、少しでもミスを和らげるべく、「失念しておりました」を多く使うのです。
しっかりタスクや作業を覚えている営業は、失念営業の全く逆の体質になります。
タスクや作業を覚えている営業
- 計画を立てる(営業活動や訪問スケジュール)
- ToDoを記載し、計画と結びつける
- メモを取る (手帳やパソコンに整理して残す)
そして仮に上司や頼まれていた大事な仕事を忘れていたとしても、こう言うでしょう。
「申し訳ありません。完全に忘れておりました。私の責任です。すぐにやります!」
このようにうっかり忘れていたとしても、ミスを真摯に認められる営業を目指していきましょう!
まとめ
『「失念しておりました」大事な仕事を忘れない営業になろう』と題して、ご紹介してまいりました。失念とは「覚えていたことをうっかり忘れること」「物忘れ・ド忘れ」」という意味でした。そして「忘れました」を自分から下げて、相手を上げる敬語として「失念しておりました」という言葉を失念営業は使っていました。
失念営業が使う「失念しておりました」の意味や背景には、謙譲語のニュアンスのような言葉の勘違いはあります。しかし本質は違いました。
失念営業はミスが多いため「失念しておりました」を使う場面も同様に多くなっていたのです。ミスが多いと上司の怒られるケースだけでなく、顧客に迷惑をかけるケースも増えます。そこで少しでもミスを軽減し、怒られないようにするために「失念しておりました」を多用していたのです。
失念営業にならない方法はあります。営業活動や訪問スケジュールの計画をしっかりと立て、ToDoを記載し、計画と結びつけるのです。そのためには手帳やパソコンに整理されたメモを取りましょう。「忘れないためのメモ」だけではなく、「立てた計画を実行するためのメモ」を取るのです。やりたい仕事も嫌な仕事も営業ですからあります。ToDoを見える化し、計画を遂行するための仕事をしていきましょう。
できる営業でも「失念しておりました」を使っている人は、さっそく明日からやめましょう。言葉の使い方を間違っているだけでなく、できないダメな営業に見られてしまうかもしれません。大事な仕事を忘れていた時でも、正々堂々と「忘れておりました!」と言いましょう。顧客にも社内にも、大事な仕事を忘れない営業を目指しましょう!
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