最近、「話し続ける営業」が増えています。これはこれで製品・サービスの説明をしっかりしてくれているのですが、顧客はどう思っているのでしょう? また、話し続ける営業の気持ちやリモート時代との関係性はどうなのでしょうか? 逆に「話させる営業」もいますが、顧客との会話はできているのでしょうか? そこで、話させる営業と話し続ける営業を比較しながら、聴くための方法、会話のキャッチボールや続け方をご紹介していきます。整理してみると、どちらが顧客にとって有益なのか? 見えてきました。
目次
話し続ける営業の気持ちとは?
商談中にずっと話し続ける営業がいます。1時間の商談時間をもらったら、50分ほど製品・サービスの説明をして、さいごに「ご質問はないですか?」と聞く営業です。営業としては丁寧に製品・サービスを説明しているつもりですし、途中途中で「ここまででご質問はないですか?」と聞いています。
しかし、顧客は「そんなに話し続けないで、顧客側の話も聞いてほしい。1時間の中でもっと話す機会を与えてほしい」と思っています。これが顧客の本音です。では、製品・サービスの説明は30分ぐらいでまとめて、残りの30分は顧客の声を聞く時間にすればいいわけですが、最近の営業は実行しません。それはなぜでしょう?
その理由は、会話が続かないのが怖いからです。「30分の説明で切り上げて、その後、質問がなかったらどうしよう? 早く商談が終わってしまったら、次に進めないし、案件化できない」と思っています。話し続ける営業の気持ちはこのような状態なのです。
このような背景にはリモート商談が増えたことがあります。リモート商談ではどうしても画面越しで顧客を見て・聞く情報しかないため、リアルに商談するような様々な感じ方ができません。顧客が複数人に渡り参加しているケースだと、顧客同士が商談中に話し合っている反応が把握できますが、リモート商談では音声をオフにしているためわかりません。
リモート商談だからこそ、「質問がなかったら会話が続かない」と思い、話し続ける営業が増えていると言えます。しかし、リモート商談は時代の流れでもあり、顧客が要望すれば避けて通ることはできません。これからは、リモート商談の中で会話を続けていかなければならないので、これは言い訳になりません。
では、話し続ける営業をやめるには、どのような方法があるのでしょうか?そのためには、商談における、質疑応答と会話の意味や目的を理解する必要があります。
話させる営業は会話のキャッチボールを意識している
商談において、質疑応答と会話は違います。質疑応答とは、顧客からの質問に答えたり、やり取りをしたりすることです。質疑応答はどんな営業でも実践していると思います。
一方、会話とは、顧客が抱えている問題を製品・サービスで解決できるか? を営業と顧客が向かい合って、話し合うやり取りのことです。
質疑応答もやり取りがありますが、これは質問に対して答えているだけです。会話とは質疑応答から始まるケースもありますし、営業からの質問で始まる場合もありますが、顧客と営業の話し合うケースです。つまり、会話には顧客と営業の言葉のキャッチボールをするということです。
顧客から質問があったら答える、そして少し話す、これは会話でありません。ただの質疑応答です。質疑応答から派生したり、営業から質問したりして、顧客が抱えている問題解決に対して、営業と顧客が会話のキャッチボールをして話し合うことが重要なのです。そのためには、顧客に‘話させる’シーンを営業は増やさなければなりません。
「ここまでで何かご質問はありませんか?」だけの聞き方では話させる営業には、なれません。
つまり、‘聞く営業’から、‘聴く営業’にならなければならないのです。
ここまでで一度まとめます。「話させる営業と話し続ける営業 会話が続かないのはどっち?」 の答えを言いますと、話し続ける営業になります。そのためには会話のキャッチボール、つまり会話が続けられて、聴く営業になる必要があります。では、どのようにすればなれるのでしょうか?
会話の続け方 顧客に話させる営業になるために
自然に耳に入ってくる‘聞く’とは違い、積極的に顧客の声に耳を傾け、その商談のゴールまで得たい情報を収集することが‘聴く’になります。これが聴く営業、聴ける営業です。
しかし、最近の営業の傾向は顧客に話すチャンスを与えておらず、聴けていません。その理由はリモート商談という背景もありますが、リアル商談だったとしても、「質問がなかったらどうしよう? 顧客が話してくれなかったらどうしよう?」と思っているからです。
会話が続き、顧客に話させる営業になるためには、2つの大きな方法があります。細かな点やテクニックは数多くあるのですが、本記事ではこの2つの方法を覚えて実践してほしいです。
業務と業種の話をする
図1をご覧ください。ここまでご紹介してきた商談の時間配分や聴けていない理由が記載させています。話し続ける営業は製品の説明で、製品に対する質問を聞きます。「ここまででご質問はないですか?」の質問は、製品の機能に関するもので、このパターンが50分間も続くケースが多いと感じます。だから、聴けないのです。だから、話し続けてしまうのです。
製品の話ばかりをしようとするから「聴けない・顧客が話さない・会話が続かない」のであれば、どうすればいいのでしょう? 話させる営業は前半の30分で製品の話を伝えたら、後半の30分で顧客の業務と業種の話をする時間を作ります。
あくまで製品の機能は顧客の課題を解決するためのものです。前半の30分で製品のイメージづくりをして、次は顧客の業務のお困りごとや問題点を聴いてみれば、顧客は話し出します。業種に関することも顧客の方がプロですし、業務にも詳しいので課題解決したいポイントも知っています。
機能の話ばかりしていては、商談の主導権は営業から離れません。業務・業種の話をすれば、主導権は顧客に移ります。業務と業種の話をすれば、顧客に話させることができますし、会話が続きやすくなります。
「業務と業種に詳しくなくて、自信がない」という営業の声が聞こえてきそうですが、顧客の方がプロですから、商談で勉強させてもらうぐらいの心がまえで臨んでいいと思います。
逆に製品の方は営業がプロですから、顧客の業務のお困りごとや問題点を製品で課題解決できるイメージをつけてもらう商談を目指しましょう。
顧客が黙ったら、自分が話せばいい
顧客に話させる営業になる方法を説明しているのに、「顧客が黙ったら、自分が話せばいい」と言うと、話し続ける営業のように聞こえるかもしれません。
話させる営業は「機能」と「業務・業種」について聴くべき情報を分けて収集しています。ある程度、 1時間の商談で情報収集できています。それでも、顧客が黙ってしまって、会話が続かないケースはあります。会話が続かない沈黙は嫌なものですよね。
そんな時にこそ、ここで話し続ける営業になりましょう。顧客が黙ったら自分が話せばいいのです。「他の顧客ではこんな課題解決の事例があります」「製品の機能を活用して、このような効率化を実現できています」と情報収集した業務のお困りごとや問題点を、製品の機能で解決できるイメージしてもらうために、話し続けるのです。ここで初めて、話し続ける営業になるべきと言えます。
顧客は「この分野ではノウハウを持っているな」「業務を知っている製品だな」と感じます。そうすると、また顧客が口を開き、質問が出てきて会話が続きます。ここまでくると、会話は盛り上がり、「この製品はいいな!検討するべき製品にしよう」となりやすく、2回目以降の商談に進めます。
これ以外にも聴き方のテクニックなど、まだまだ習得するべき手法は数多くあります。しかし、まずは会話が続き、顧客に話させる営業になるための2つの大きな方法をぜひ、実践してみてください。リモート商談時代に対応できるスキルとテクニックを身につけましょう。
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まとめ
「話させる営業と話し続ける営業 会話が続かないのはどっち?」と題して、ご紹介してまいりました。話し続ける営業の気持ちはリモート時代の背景からも、「質問がなかったらどうしよう?」と会話が続かないのが怖いからという理由でした。
しかし、顧客が抱えている問題を、製品・サービスで解決できるか? を営業と顧客が向かい合って、話し合う会話は大切です。話させる営業は会話のキャッチボールを意識していて、そのために業務と業種の話を聴いていました。
最近の営業は「機能」を真ん中において顧客と話したがりますが、機能はひとつの解決策にすぎません。製品の機能だけでなくサービス提供が必要かもしれませんし、顧客側のルールや制度、企業文化を変えてもらうことも解決策かもしれません。
企業の課題解決策は年々、複雑になっています。このような背景からも「機能」を真ん中において話すのではなく、「業務と業種」を真ん中において、顧客が主導で話せる時間を、営業が与えてあげてください。そうすれば、顧客と営業で解決策が見てくるはずです。
‘話させる営業’の方が会話は続くとお話しましたが、情報収集した後に‘話し続ける営業’を実践すれば、更に会話が盛り上がります。最近の傾向としては、‘話し続ける営業’が商談の前半に登場していて、後半に‘話させる営業’の登場が少ないのかもしれません。
製品・サービスの機能紹介をしっかりした後、後半に‘話させる営業’を実践し、顧客の声を聴いてあげる時間を作りましょう。‘話し続ける営業’はさいごのさいごに繰り出し、顧客の課題解決ができる事例紹介を連発するといいと思います。
まずは「話させる営業」を目指して、業務・業種について聴けるようになり、会話が盛り上がる営業を目指してみてはいかがでしょうか。誰でも、意識して実践すれば、「話させる営業」になれると信じています。
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