営業が雑談力を高めることに今、注目が集まっています。商談を進めていくためにはプレゼン力や提案力がベースになりますが、雑談力も商談を優位にするひとつのスキルと言われています。なぜ雑談力営業が求められているのでしょうか?そこで、雑談上手な営業を参考に雑談の基本、入り方、広げ方をネタや例文を解説いたします。雑談が苦手な人にも雑談力を高める方法を学んでみましょう。
雑談力とは?営業が雑談力を高めておきたい理由
「雑談力」という言葉が広がってきました。雑談力とは世間話やアイスブレイクなどの営業トークの力をつけることです。営業が販売する製品・サービスの商談や提案には関係のない話を、営業と見込み顧客でキャッチボールするのが雑談ですが、なぜ商談への必要性が高まっているのでしょうか?
営業には、製品・サービスの価値や良さを伝えるためのプレゼンや営業トークが求められます。プレゼン力や営業トークには「明るく前向き話し、わかりやすく質疑・応答をすること」が重要です。理由は製品・サービスを見込み顧客に理解してもらうためです。見込み顧客の抱えている問題を解決できる製品・サービスであれば、商談化や案件化につながります。そして受注するために、営業はプレゼンや営業トークで商談を進めていくのです。
雑談にも「明るく前向きに、わかりやすく」の要素は求めれます。しかし雑談は直接的には、商談や提案を進めていくためのものではありません。ではなぜ雑談が商談に必要なのでしょうか?雑談は商談前、休憩中、商談後にされるものです。商談中にも少しはするかもしれませんが、見込み顧客と営業が真剣に商談をしている中では、あまり雑談はしないでしょう。
受注するために必要な基本方針として、営業側は「営業を好きになってもらう」、見込み顧客は「嫌いな営業からは買わない」が挙げられます。いくら良い商談や提案をしても、人間的に好きになれない営業は、見込み顧客からはマイナス評価になります。「ずっとビジネスで付き合っていけるのかな」と不安にもなります。もしかすると商談や提案が悪い競合他社の営業でも「好きだがら」という理由で発注するかもしれません。
プレゼンや営業トークは商談や提案を進めていくに使われます。プレゼンや営業トークも「営業を好きになってもらう」という人間性の理解は高まります。しかし製品・サービスに関する話が中心になりますので、なかなか営業自身を理解してもらうための話はしにくいでしょう。
そこで必要なことが雑談です。雑談を重ねることでより営業の人間性を理解してもらえ、見込み顧客と理解し合えるツールになります。プレゼンや営業トークは商談や提案を進めるために強化します。そして営業の人間性を理解してもらい、営業を好きになってもらうために雑談力を強化します。もっとシンプルに言うと「営業と顧客が仲良くなるため」、これが営業の雑談力を高めておきたい一番の理由です。
いらない雑談、やってはいけない雑談ネタ
雑談というツールを使い、営業の人間性を理解してもらうことが雑談力のメリットです。そのために雑談力を身につけるのですが、最初に‘いらない雑談、やってはいけない雑談’をご紹介します。営業は「これをやろう」よりも「これはやってはいけない!」の方が早く身につくと言われています。理由は、禁止ルールの方が覚えやすいからです。
‘いらない雑談、やってはいけない雑談‘には下品なネタ、ハラスメント系のネタ、一般的ではないマニアックな専門的なネタがあります。このような‘いらない雑談、やってはいけない雑談‘は誰もわかると思います。「好きになれない営業」に陥りやすいのでやめましょう。
‘いらない雑談、やってはいけない雑談‘の大原則をご紹介します。それは「止める雑談」です。「止める雑談」とは、営業が雑談をしようと思い、雑談を開始したら見込み顧客のひと言目で「止まる雑談」のことです。営業が雑談をしようとしたのに「止める可能性のあるネタの雑談」と言えます。雑談がすぐに終了してしまうものは、いらない雑談でありやってはいけません。例をあげて説明いたします。
【いらない雑談、やってはいけない雑談】
<例1>
営業「今日は寒いですねー」
見込み顧客「私は暑がりですし、うちのオフィスは駅直結なので寒いとは感じませんでした」
営業「・・・」
<例2>
営業「ワールドカップは見ましたか、日本戦、よかったですね」
見込み顧客「私はサッカーが嫌いなので、観ませんでした」
営業「・・・」
<例3>
営業「花粉症は大丈夫ですか?私は花粉症でして、先週から花粉が飛び始めて大変です」
見込み顧客「私は花粉症ではありません」
営業「・・・」
例1はお天気の話、例2・3は時事ネタの話から雑談を始めており、営業は良い雑談をしていると言えます。お天気や時事ネタの話も雑談のセオリーであり、やってはいけない雑談ではありません。そしてどちらも「止める雑談」になりやすい、悪いポイントがあります。
それはお天気や時事ネタの話は広がらないケースがあり、「止める雑談」になりやすいので、次の雑談ネタを用意しておくというポイントです。
「いい天気ですね → そうですね。(終了)」
「サッカー勝ちましたね → 勝ちましたね。(終了)」
と広がりにくいネタなので、私はあまりしません。もしするとしても雑談がすぐに止まることを想定して、営業「・・・」のところで、まず自分の思いを話す準備をしておきます。そして次の雑談ネタを考えておきます。
‘いらない雑談、やってはいけない雑談‘である「止める雑談」の対策は簡単です。広がりにくいお天気や時事ネタを選ばないことと、止めてしまった後にすぐに次の違うネタを用意しておくことです。では止めない雑談、つまり広がる雑談はどうすればいいのでしょう。
苦手を克服!雑談上手な営業の基本、入り方、広げ方、例もご紹介
「雑談が苦手なので克服したいです!」と若手営業からよく相談を受けます。そこで、雑談上手な営業の雑談の基本、入り方、広げ方を、わかりやすくご紹介したいと思います。
【雑談の基本】
見聞を広げ、いろんな知識を身につける
雑談のネタはヤマのようにあります。理由は営業自身が「このネタで雑談をしよう!」と思っても、見込み顧客から様々な雑談ネタがきたり、雑談が広がったりするからです。雑談上手になるためには、営業が見聞を広げ、いろんな知識を身につけることが大事です。見聞を広げ、いろんな知識を身につけるためには、自分が好きなSNSやTV、YouTubeのような「自分の好み」だけを倍速で見ても習得できません。雑談上手な人は新聞やニュース、雑誌やネットメディアのような「自分の好み以外のもの」をしっかり見て、習得しています。顧客との雑談はひらめきの連続で盛り上がっていきます。ひらめくためには見聞と知識が必要なのです。
【雑談の入り方】
質問から入る
雑談は営業が見込み顧客に質問をするスタイルから入りましょう。営業がいきなり雑談ネタを数分話すのもいいかもしれませんが、これではキャッチボールにはなりません。雑談で大事なポイントは製品・サービスの提案に関係のない話を、営業と見込み顧客でキャッチボールすることです。営業よりもむしろ、見込み顧客にたくさん話してもらった方が盛り上がります。雑談の切り出しは営業の質問から入ってみましょう。
<例A>
営業「オフィスの前はラグビーワールドカップの日本代表パレードがあったところですよね?」
見込み顧客「そうなんです。うちのオフィスの前がスタート地点でして、社員全員で会議室から見ました!それから大手町の人が・・・」(と盛り上がる)
ニュースでラグビーワールドカップの日本代表パレードが大手町であったことを知っていて、見込み顧客のオフィスに入る前にこの場所だ、とひらめき、雑談を質問から切り出した例です。
見聞と知識からひらめき、質問から始まった雑談の例です。
【雑談の広げ方】
共通点へ導く
雑談は商談前、休憩中、商談後にされます。ビジネスの商談前であれば数分ですし、懇親会やキックオフ打ち上げのような時であれば数時間の雑談になります。雑談は短くとも長くとも営業自身を好きになってもらい、人間性の理解は高めてもらうという目的は変わりません。雑談で営業と顧客が仲良くなりましょう。そのためには、雑談を盛り上げる必要があります。このポイントはズバリ、共通点に導くということです。
営業が切り出した雑談ネタから、見込み顧客を共通点に導いていくのです。人間は共通点があれば親近感が沸き、仲良くなっていきます。例えば、次のような共通点に導いてみてはどうでしょうか。
【見込み顧客を共通点に導く 例】
- 知っている共通の人が会社にいた
- 出身地域や住んでいる場所が同じだった
- 趣味が一緒だった
このような雑談から見込み顧客との共通点に向かっていくと、どんどん会話が盛り上がっていきます。知っている人や出身地や趣味は話しているうちに共通点になったので、狙って共通点に導いたわけではありません。SFA/CRMで知っている人を調べたり、訪問するまでの沿線の話をしてみたりしましょう。
もっと簡単に共通点に導くやり方があります。それは、最初に共通点のポジションから話を始めていく方法です。最も一般的な方法は「見込み顧客のオフィスのまわり」に関する雑談ネタです。オフィスのまわりは見込み顧客がよく知っており、営業からそのテリトリーに飛び込んでいけば、共通点になります。
<例B> ※前述の<例A>「ラグビーワールドカップパレードの雑談の続き・・」
営業「大手町はオフィス街として日本一働きやすい、良い環境ですよね。いつも目の前のお店の喫茶店で、商談の間の時間をつぶしています」
見込み顧客「実はあの喫茶店は18:00になると1,000円で1時間呑み放題になるので、うちのメンバーがよく利用しているのです。あのビールとあのパスタが美味しくて・・」
営業「あのパスタはよく私もランチで食べています。今後、夕方来ますので、ぜひ一緒に行ってみましょう」
見込み顧客「ぜひ!となりチームの部長も好きなので、今後紹介しますよ。それから・・(と盛り上がる)
共通点に導く方法は雑談に盛り上がりによって、反響度は変わってきます。しかし、営業が自ら見込み顧客のオフィスのまわりの話から雑談を始めることは、共通点に導ける簡単な方法です。ぜひとも、雑談が苦手な人は克服して、雑談上手な営業の基本、入り方、広げ方を実践してみてください。
まとめ
「雑談力を営業が高めるために 入り方やネタを例でご紹介」と題しまして、ご紹介してきました。営業が雑談力を高めておきたい理由 は「営業を好きになってもらう」という人間性の理解は高め、顧客と仲良くなるためでした。
いらない雑談、やってはいけない雑談ネタは「止める雑談」です。止める可能性のある雑談ネタは振らないようにし、もしすぐに止まってしまっても次のネタを用意しておきましょう。
雑談が苦手な人は雑談上手な営業の基本、入り方、広げ方で克服しましょう。例から学んだことは、基本は見聞を広げ、いろんな知識をつける、入り方が質問から入る、そして広げ方は営業と顧客の共通点へ導くということでした。雑談力を高め、商談を優位に進めていきましょう。
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