第2章 営業・マーケティングのやり方(企画編)

集客できる自社イベント・セミナー企画のやり方とは?

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集客できる自社イベント・セミナーは誰でも企画し実行したい。しかし新規顧客が集まる自社イベント・セミナーの企画は簡単ではない。でも集客できている会社はある。ではどのように企画していけばいのだろう?コロナ禍の中、重要な新規プロモーションである「Webセミナー(ウェビナー)」の企画方法もご紹介していきながら、一緒に考えていきましょう。

集客できる自社イベント・セミナー企画はなぜ必要なのか?

 インバウンドマーケティングで重要なコンテンツづくりは、新規活動に入るので第3章ブログで述べていくが、現在の第2章:企画段階で考えなければならないことがもうひとつある。それは入口を増やすことだ。入口とは「新規見込みになるきっかけ」のことだ。インバウンドマーケティングはWebの世界で製品・サービスを見つけてもらう、言わばバーチャルの出会いから始まっていく。このバーチャルな出会いはインバウンドマーケティングが入口となり抑えられるが、これだけでは予算達成のための入口が足らない。

 つまりリアルなきっかけも必要になるということである。きっかけはなるべく量が多い方がいいが、リアルなきっかけには自社イベントやセミナーが効果的だ。そして集客=客が集まるものを企画しなればならない。外注先の展示会ベンダーが企画運営する入口もあるがそれは次のブログで述べるとして、まずは自社で企画するイベント・セミナーから考えていきたい。イベント・セミナーにはどんな種類やネーミングがあるのだろうか?いろんなイベント・セミナーがあるが、一度整理してみたいと思う。

集客できる自社イベント・セミナーの種類とネーミング

自社イベント・セミナーを企画するにあたり、その種類とネーミングを整理してみた。それぞれのイベント・セミナーのネーミングに様々な想いがあるだろうが、一般的な種類とネーミングを整理してみた。△△は製品・サービス名や会社名、業務やテクノロジーのジャンルがはまりやすいと思うので、みなさんの会社に当てはめてみてほしい。少額の有料イベント・セミナーよりも、ここでは無料のイベント・セミナーを想定して記載していきたいと思う。

【種類及びネーミング】

△△セミナー 

→自社の製品・サービスの課題解決につながるテーマがよく、かつ学べるセミナーがよい。顧客は勉強のために出席しているケースが多いので、課題解決ができる製品・サービスを全面に出し過ぎるとよくない。製品・サービスはチラ見せさせるぐらいがちょうど見込みにつながりやすいだろう。ガッツリ製品サービスを見せるセミナーでは集客できないのだ。講師や会場を工夫すれば、コストを抑えられ費用対効果は高い。

△△フォーラム

→自社、会社の取り組みや製品・サービスを紹介する大きなイベントになることが多い。エンドユーザーや販売店・パートナーを呼んで大規模に開催するべきだろう。午前の部は基調講演の講師選定がポイントになり、午後の部は製品・サービスを具体的に紹介する。最後に懇親会や交流会を行うこともある。1年に一度の会社の大きなイベントなのでカネがかかる。会社名+フォーラムのイメージでネーミングするといいだろう。  

△△DAY

→自社の製品・サービスに関係する業務やテクノロジーを中心に据えて、製品・サービスの課題解決について考えたり、製品・サービス紹介をしたりするイベント。製品・サービス又は、業務やテクノロジーの課題解決名+DAYのイメージでネーミングするといいだろう。

△△カンファレンス、 △△シンポジウム

→学術的な要素が強いイベント。業界団体が開催し、アカデミックな顧客アプローチを得意とする会社が開催する。団体名+カンファレンスでネーミングするケースが多い

△△フェア、・△△展・博

→展示の要素が強いイベント。展示会を中心に据え、セミナーを開催しながら展示ブースに集客をするパターンが多い。前述した自社セミナーを中心に展示の要素を加えるパターンもある。

△△ユーザー会、 △△パートナー会

→新規顧客がターゲットでなく、既存ユーザーや販売パートナー限定で開催するイベント。ユーザーには製品・サービスをもっと活用してもらうためのソリューション紹介やアップセル・クロスセルを仕掛け、売上向上につなげる。販売パートナーには顧客事例などの販売促進のための紹介をしてもらい、開発パートナーには技術情報を紹介してもらう。既存ユーザーやパートナーに「今後も付き合っていきたい会社だ」と思っていただけることを目的にするといいだろう。

△△コミュニティ、 △△ミートアップ

→クラウド・サブスクリプション企業やスタートアップ企業が開催する新しいカタチのイベント。コミュニティは顧客が主体となり自発的に運営し、顧客同士の活用向上やコミュニケーションをはかる。製品・サービスの良さを顧客が伝え、紹介につなげればサイコーのイベントだ。ミートアップとは一般社員が外に出て、社外の人と交流することで知見や人脈を広げていくイベントのこと。自己紹介や簡単な自社の製品・サービスをPRすることをライトニングトークという。コミュニティやミートアップは、顧客にもっとクラウドサービスを活用してもらうことが目的なので、活用促進の専門組織、カスタマーサクセスチームがイベント担当することもある。

 種類やネーミングを上げればキリがないが、上記の内容を参考し、企画してみてほしい。なかなかここまでイベント・セミナーを整理する機会もないと思うので、計画時の予算獲得と相談しながら営業・マーケティングチームで話し合って企画していこう。

集客できる自社イベント・セミナーには共通点がある

 自社イベント・セミナーの良いところは、ニーズのある人がきてくれるので質がいいということだ。ニーズとは購買レベルが「学び・興味・関心」の人だ。「学び」の情報収集レベルの人は製品ページから資料をダウンロードし勉強中の人なので、わざわざ会場に足を運んでくれるか微妙だが、もっと学びたいのであれば集客できる可能性はある。「興味・関心」のステータスの人は「学び」のモードからもう一歩ステージが進んでいるので、会場まで足を運んでくれるやすいだろう。「自社イベント・セミナーは既存顧客しか来ないからダメだ」という営業がいる。インバウンドマーケティングを軸に自社イベント・セミナーと併用すれば、新規リードの人をバーチャルからリアルの場に連れ出せる。つまり新規顧客が集まる、立派な新規セミナーなのだ。

 学び・興味・関心のステータスの顧客に重要なことは、顧客の「ためになるセミナー」にするということだ。いきなり製品・サービス説明全開の自社セミナー・イベントになってしまっては集客ができないし、なによりも長続きしない。売り込みは抑えつつ、新規顧客や既存顧客を集めて「あそこのイベント・セミナーはいい」というためになるコンテンツを繰り返していくことが重要なのだ。私の経験からは「あのイベント・セミナーは商売っ気がない」と顧客に言われるぐらいでちょうどいい。そうなっていくと本人だけでなく、上司・先輩が社内メンバーや他のお客さんを紹介してくれる。その人達は顧客内新規と呼ばれる、新規顧客だ。このように少し控えめ、抑えめに、製品・サービスの情報発信をしていってほしいと思う。 総括するとインバウンドマーケティングのWebコンテンツと同じで、自社イベント・セミナー・も顧客の課題解決のためのよいコンテンツを考えることが重要だ。製品・サービスを全面に出すのではなく、みなさんの製品・サービスに近い「業務やテクノロジー」の課題解決からイベント・セミナーを企画してみよう。

顧客の4つの購買活動パターンから、自社イベント・セミナー企画を考える

皆さんの製品・サービスの購買活動パターンは様々だが、私は自社イベント・セミナーを「顧客の4つの購買活動パターン」をよく使って企画している。つまり顧客の購買活動から考え、顧客が興味のあることを自社イベント・セミナーのタイトルや内容にしてしまうのだ。

更新型
期間切れが間近に迫り、購買活動を始めていくパターン(例=リース・レンタル・ローン・保守サポート切れ、償却期間終了、ハード・ソフトの製品サポート期限終了など)
最近ではWindows7のサポート切れから、パソコンやWindows10が売れていった。

義務型
各制度や企業の義務が変わるため、期限を決めて購買活動を始めていくパターン(例=消費税対応法改正・減税対応、2000年問題、内部統制対応、マイナンバー対応など)
最近では消費税と軽減税率対応が挙げられる。

業務改善型
企業の競争力向上の業務改善や効率化をはかる。そのための購買活動を始めていくパターン(例=各業務の見直しからの売上向上やコスト削減、見える化、働き方改革、グローバル対応、業務の自動化、モバイル活用など)
過去にはERPやSFA/CRM導入がブームになったことがある。

イノベーション型
新しい技術を使い新規事業やビジネスモデルを変えていくために購買活動を始めていくパターン(AI、IoTを活用した業務改革や新規事業、キャッシュレスモデル、データマネジメントビジネス、既存ビジネスを壊し変革するなど)
最近ではDX(デジタルトランスフォーメーション)であろう。

このように顧客の購買活動パターンは4つあると言われている。この4つのきっかけから事業を競争優位に立たせるために顧客は動いていくと言われている。そうすると必ず課題が出てくる。そして課題を解決するための手段を顧客は考えていく。それは社内改善チームで改善できるかもしれないし、社内教育が改善策になるかもしれない。いきなり製品・サービスではなく、コンサルや教育が改善策にはなることもあるし、一気に製品・サービスで課題解決しようとするかもしれない。

購買活動パターン、つまりきっかけから顧客の課題を考え、自社の製品・サービスのイベント・セミナーを考えていくのが、集客できる企画なのだ。この中で更新型と義務型が一番、投資につながりやすいと言われている。その理由は簡単だ。必ずやらなければならないので、経営者が承認してくれやすいからだ。更新型と義務型でその年の旬なテーマがあれば、企画は考えやすいだろう。業務改善型とイノベーション型も新しい業務やテクノロジーで旬なテーマがあれば、考えやすい。しかし全然ビジネスにつながらないお門違いなセミナーをやっても仕方がない。 みなさんの製品・サービスと自社イベント・セミナーのタイトルが課題解決策につながる企画をすることは絶対条件だ。4つの購買活動パターン・きっかけを使って、どんなペルソナを狙うのかを検討し、できれば管理職や経営者も来てくれるような自社イベント・セミナーをうまく企画していってほしい。

集客できる自社イベント・セミナー企画のやり方とは? 

 インバウンドマーケティングで獲得したリードに加え、リアルの名刺獲得もナーリャリングメールにのせられるメリットを前述した。逆の発想で、自然検索でコンバージョンしたリードの顧客は、リアルの自社イベント・セミナーに参加させることもできる。これらはすべて新規顧客でありバーチャルから、顧客のためになる自社イベント・セミナーを続けていれば、リアルの機会に持っていくことができる。会場で会え、セミナーフォローで初回訪問できる可能性もあるわけだ。自社セミナー反対派は、自社イベントやセミナーに参加している顧客は既存顧客と認識し、新規顧客ではないので開催を嫌うことがある。すでに何度か来場している顧客でもその時のセミナー・イベントのテーマにより、自社の製品・サービスで課題解決できろと感じ、一気にランクアップすることも期待できる。インバウンドマーケティングと併用する新規集客と、ランクアップ顧客になるメリットを、自社セミナー反対派にぜひ教えてあげてほしい。

 自社イベント・セミナーは企画が大変だが「あのイベント・セミナーはいい!」という良い企画をすれば、おのずと集客は良くなる。逆に言えば、企画が悪いから集客が悪くなるのだ。悪い企画を続ければ、自社イベント・セミナーでは新規開拓の入口を持てなくなる。そうならないように、その年の旬なテーマを顧客の4つの購買活動から考え、コンテンツの章立てや講師候補を決めるところまでは、営業部の力を借りてマーケティング部が立案していこう。

 自社イベント・セミナー企画が決まれば、その後の準備・集客・運営はマーケティング部が主体で進めていく連携がよいだろう。集客できる自社イベント・セミナーは、企画が大きなポイントだ。タイトルや企画内容で成否は8割決まる。忘れないで欲しい。 

集客できるWebセミナー(ウェビナー)の企画はどうすればいいのか?

 コロナ禍の中で、現在Webセミナー(ウェビナー)しか企画できなくなっている。これは仕方がない状況である。Webセミナー(ウェビナー)の実行や運営では、リアルセミナーとやり方はかわってくるので、第3章で話していきたいと思う。しかし企画段階では、Webセミナー(ウェビナー)やリアルセミナーも基本的には同じである。少し違うところは、顧客の4つの購買パターンの‘業務改善型’に「テレワーク」「リモートワーク」「在宅」勤務「非対面型」のコロナ対応が入ってきていると考えればいいだろう。「リアルに動けない課題を解決したい」「自宅から利用したい」と自社の製品・サービスをいかに対応させていくかを考え、セミナー企画にしてほしい。

 何度も言うが、Webセミナー(ウェビナー)でも企画のやり方は同じである。ただし、開催時間は短くした方がよい。Webセミナー(ウェビナー)で人間が集中できるのは1時間ぐらいと言われている。長くでも1.5時間ぐらいにおさまる自社イベント・セミナーにしていく方がいい。短い分、回数を多くしていくべきだろう。

 コロナ禍の中で、新規プロモーション、営業の新規活動は制限されている。Webセミナー(ウェビナー)は新規活動の数少ない手法だ。Webセミナー(ウェビナー)の企画には全力を注いでほしい。

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