第4章 営業・マーケティングのやり方(新規営業・訪問編)

オンライン営業とは?研修から新規開拓のコツを抜粋

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オンライン営業が新規開拓の手法として定着してきた。リピート商談であれば何度も会っている顧客なのでオンライン営業がしやすいが、全くの初回商談でのオンライン営業はどんな点に気をつければいいのだろう?初回商談を成功させるために、オンライン営業の新規開拓コツ編として、研修から抜粋し詳しく説明していきたい。「やってはいけない〇〇営業」と題して、オンライン営業のNG営業についても解説する^^

オンライン営業とは?新規開拓のやり方がわからない

 新型コロナが猛威をふるっている。2020年春には不要不急の外出禁止の要請、非常事態宣言でビジネスが中断し、第2破、第3破がきている。今はビジネス優先ではなく、国民全員が感染リスクを下げることに努力し、安全と経済を両立させることが優先だ。新型コロナウイルスに感染された皆様に心よりお見舞い申し上げると共に、医療従事者の皆さまには感謝しかない。早く新型コロナの感染者数が減るようにワクチンや治療薬が完成し、平時に戻ることを心から祈りたい。

 このような異常事態の時、営業はどうなっているか、振り返ってみた。潮目が変わったのは2020年2月3週目からである。1週ごとにどんどん環境が悪くなり、3月に入ると展示会やセミナーのリアルイベントは中止や延期が相次いだ。3月までに広告宣伝費を使いたかった営業・マーケティングチームがリアルイベント費用を、Webセミナー開催費やEブック作成費、インバウンドマーケティング費に急きょ転換していった。リアルイベントのベンダーは相次ぐキャンセルに疲弊し、苦しい状況だった。一方、バーチャルなビジネスに関するベンダーは特需に沸いたと言えよう。また在宅勤務が増え、VPN接続によるネットワーク負荷向上から、ITインフラ関連のビジネスも忙しい。IT業界はDX対応や基幹業務システム刷新で受注している案件のシステム開発は粛々と進んでおり、大きな中断は見られない。インバウンドマーケティングビジネスは空前の活況となっている。

 しかし全体的にビジネスは低調だ。夏場から回復傾向にあるものの、在宅勤務やリモートワークは続いており、営業はリアルな訪問は断られている。しかし前述した多忙なビジネスのための打ち合わせは必要だ。ところが営業も顧客も在宅勤務になっており、訪問しようにも顧客に断られている。つまりオンライン営業の新規活動が増えてきているのだ。

 営業はリアルな訪問をすることが身体に染みついている。バーチャルな初回商談をしたことはほとんどないだろう。コロナ禍になり私に「オンライン営業で初めて会う顧客とのオンライン商談のやり方がわかりません」という相談が非常に多かった。

 私は拠点がない地方の場合は、Web会議ツールでオンライン営業:初回商談を行っている。このやり方を10年間、チームで継続してきた。理由は問合せをもらっていきなり地方訪問をすると、コストが合うかどうかわからないため、失礼ながら地方の顧客にはWeb会議のオンライン商談をお願いしてきたのだ。

 リアルな初回訪問も、バーチャルな初回商談も、本ブログで説明してきたように、顧客に想像してもらい、次のアクションにつなげなければならないことは同じだ。だがオンライン営業の初回商談は顧客の反応がわかりにくいので、手応えが感じづらい。また自分自身の説明もしっかり伝わっているのか不安になる時もある。結局、モワモワっとしながら商談が終了してしまった営業は少なくないだろう。オンライン営業がまだまだ続きそうな今だからこそ、Web会議ツールを使ったオンライン営業:新規開拓コツ編としてお伝えしたい。リアルな訪問しか経験のない営業は10年間、培ってきたオンライン営業の製品・サービスの伝え方を研修から抜粋してご紹介していくので、ぜひ習得してみてほしい。

Web会議はツールによって、とにかく準備と確認が多い

 「顧客としっかり接続して打ち合わせをする」Web会議ツールを使った初回商談が原則である。ところが最初になかなか接続できず、打ち合わせが開始できないことは誰でもあるはずだ。原因は準備不足、テスト不足がほとんどだろう。自社主導ツールの場合、顧客環境のツールを使う場合など様々なケースがあるが、チェック項目を箇条書きにしてみたので本番前に見直してみてほしい。とにかく確認事項が多いので、事前準備をしっかりしていこう。

 Web会議ツールでアプリケーションをインストールやプラグインするタイプは要注意だ。顧客のセキュリティポリシー上、「NG」になっているケースが多く、当日その事実が判明したら、Web会議は開催できず、集まった皆さんのその日は台無しになる。このタイプは事前確認をして、前日に接続確認をしておこう。最近はURLリンクのタイプがシェアを伸ばしているので、こちらのタイプの方が接続トラブルは少ない。しかしブラウザによっては接続できないこともあるので、会社で利用できるブラウザを確認しておこう。(Internet Exprolerしか利用が認められていない会社は、最近のWeb会議ツールの標準ブラウザはGoogle ChromeやFirefoxが多いため)

 マイク・カメラは最近のノートPCには標準装備だが、準備に慣れていな一般企業は用意するのも一苦労だ。マイクは複数人数(5名ぐらい)が集まっても声を拾えるマイクスピーカタイプのものを用意してもらおう。カメラは全員を映せるタイプを用意してもらい、共有する画面の上の取り付けてもらい、参加者全員を映してもらえるようにしよう。

 ネットワークの環境が悪く、途中で画像や音声接続が切れたりすることがある。Wifi接続よりも有線LAN接続の環境がいいのだが、会議室に有線LANがない場合が多い。できる限り、有線LAN接続できる会議室を選んでもらおう。

 初回商談だと携帯番号を知らないケースが多いが、顧客担当者と携帯電話でつながるようにしておこう。接続トラブル時には会議室に固定電話がないことがほとんどだ。接続するPCに顧客担当者のメール配信ができることも確認したい。どうしてもWeb会議が接続できない時のバックアップ案は、資料をメールで送り、携帯電話をスピーカーオンにして説明するしかない。

 Web会議ツールを使った初回商談はとにかく確認することが多いので、チームで事前に顧客にメールできるマニュアル化をしておくことが重要だ。オンライン営業の初回商談の標準化につながるし、接続トラブルも少なくなる。

 また、前日に接続確認しておくのがBESTだが、「準備をパターン化し効率化する」に反するので悩ましいところだ。重要な初回商談や大勢集まる場合、顧客の環境準備に不安のある場合は、前日に接続確認をしておき、それ以外はマニュアルの精度を上げて、当日接続をしよう。これらの準備は顧客だけでなく、皆さん自身も同じように準備しておくことも当然なので忘れないように。

 コロナの影響でWeb会議ツールを使った打ち合わせが一般的になり、顧客も環境に慣れてきたことは追い風だ。ツールや機器・インフラの環境も整い、顧客も「Web会議・オンライン打ち合わせは当たり前」のムードになってきている。やっとオンライン営業が市民権を得た元年と言えるだろう。営業もリアル訪問だけでなく、オンライン営業へ意識を変えていかなかえればならない潮目だと感じている。

事前確認 自分のパソコンをデスクトップ共有できること

 特に顧客環境の専用テレビ会議システムやWeb会議システムを使う場合に確認しておきたいことだ。パワーポイント資料の共有だけで説明する場合は顧客が「事前にお送りください」と要求してくる。それでは顧客のパソコンで操作をすることになり、演出がやりにくい。そしてソフトウェアのデモを行う場合、営業のパソコンにデモ環境は作れない。

 画面やプロジェクタは営業側で支配しておきたいので、営業が訪問し他の在宅顧客とつなげる場合も、自分自身もWeb会議に招待してもらおう。「自分のパソコンの画面共有をできること」これはとても重要なことだ。

オンライン営業・Web会議には大切なマナーがある

 初回商談に限らず、社内会議でも同じだがWeb会議には最初にやらなければならない大切なマナーがある。それは「各拠点の参加者の確認」である。リアルな訪問であればロケーションは1ケ所だし、名刺交換をすれば参加者確認は完了である。Web会議ツールを使ったオンライン営業:新規商談は多拠点になり名刺交換ができないので、参加者がわからないのだ。
 例えば、皆さんはリモートワークで自宅から、顧客は東京と大阪から参加するならば、自己紹介の後に「東京と大阪で参加されている皆様をご紹介ください」と言うことを忘れないでおこう。リアルな1つの会議室に集まっていないため、集団的な参加意識になりづらいのがオンライン営業の特性だ。主催者側=営業が率先して各拠点の顧客に声がけをして、「みんなで打ち合わせをしていますよ」というムードづくりを心掛けていこう。社内会議でも東京本社の主催者は多拠点だったとしても参加メンバーの確認をして参加意識を高めていこう。

反応がわかりづらいオンライン営業で、多めにいれるものとは?

 リアルな初回訪問は1時間で商談するべきと前述した。オンライン営業は接続作業や参加者確認、会話はリアルよりワンテンポ遅く、リアルの時よりも思った以上に時間がかかる。様々な作業の積み上げのために、1.5時間の確保をお願いしておいた方がいい。進め方は前ブログで説明した通り、説明+会話で進めてほしい。

 リアルな説明の30分では「今からまず30分ご説明をしますので、ご質問は説明の後でお願いします」と皆さんに教えたが、オンライン営業の初回商談では、あえて営業から途中で質問を入れて進めた方がいい。理由はオンライン営業の場合、顧客の反応がわかりにくいからだ。たくさんうなずいている人やこのページで共感を持ってくれている人の反応が本当にわからない。画面共有をしていれば、顧客の画像も更に見えにくく、声もミュートにしているはずだから聞こえない。前半30分の説明で顧客の反応がよくわからなければ、後半30分の会話もしづらいのがオンライン営業の特長だ。

 そこで説明の30分が単調になりすぎないように、少し刺激を入れてみながら双方向で進めてみよう。一番有効的なのが営業からの質問だ。説明の合間に「この業務はどうされていますか?」(しばらく説明して・・)「御社ではどんなシステムを使用されていますか」と簡単な質問を少しずつ入れながら、顧客の反応をみていこう。リアルな初回訪問に近い一体感を演出するためにも、対話型の質問を多く入れ、双方向商談を意識して進めてみよう。

オンライン営業の初回商談は、次のアクションが決めやすい 

 リアルな初回訪問と同じように、正しい次のアクションを決めて終了してほしい。オンライン営業でも「また追って連絡します」とフワッと終わってしまう時はあるが、実はリアルな初回訪問よりも、オンライン営業の初回商談の方が次のアクションを決めやすいのだ。様々な工夫をして伝えてもオンライン営業の初回商談は結局反応が、わかりにくい。その、わかりにくいポイントを次回商談で詳しく説明することにしてはどうだろう。

 しかし「Web会議では伝わりづらかったので、今度はご訪問してご説明します」では、また同じ内容をリアルでやるだけじゃないか!と思われる。そこで、Web会議では伝えづらかったポイントを会話の中で把握し、そこにフォーカスを当てるための次のアクションにするのだ。リアルな商談でも伝えづらい機能などはあるはずなので、あらかじめをその部分を狙ってもいい。会話で質問が多かった機能を更に詳しい事例を交えながら、深堀りするための次回訪問にすることもできるだろう。「オンライン営業のため伝えづらかったポイント」+αを次のアクションにしてみよう。

まとめ

 オンライン営業は「気配りと演出」がしっかり伝えるためのポイントになる。リアルな初回訪問と同じような進め方では、顧客には伝わらない。前ブログで説明してきた「聞く標準化シート」や「会話シート」と同じように「Web会議ツールを使ったオンライン営業:新規営業マニュアル」を作ってみよう。私はこれを作ってからは驚くほど接続トラブルが減り、オンライン営業の初回商談でうまく顧客に伝わり、2回目以降のリアルな訪問につながるようになった。地方商談の接続だけでなく、訪問できる地域でもオンライン営業を増やしてみよう。オンライン商談がこれからの営業の効率化向上のひとつのやり方になることは間違いない。

 また最近ではWebセミナー(Webinar:ウェビナー)が増えている。「リアルセミナーをオンラインセミナーに変えれば開催方法は同じ」と思っていたら、大きな落とし穴がある。その落とし穴とは「アンケート回収とフォロー」ができないのだ。私は400名から600名規模のオンラインWebセミナーを5年間開催してきた。講演資料がダウンロードできるWebアンケートのURLを、開催前と開催直後に送ってきたが、Webセミナーのアンケート回収率は上がらない。デモ希望アンケートの顧客に営業がフォロー電話をしても「そんなアンケートは書いていません」や、参加しているのに「私、参加してましたか?」と参加意識が低い時もある。どのようにアンケート回収率を高め、セミナーフォローをリアルな訪問や、オンライン営業の初回商談につなげるか工夫が必要である。

 オンライン営業は完全に市民権を得た。営業がうまく活用すれば、これほど効率の上がる手法はない。ぜひオンライン営業のやり方を習得し、量と質を両立できる新規営業を実行してみてほしい。

本日の「やってはいけない〇〇営業」 

※営業はやるべきことよりも、やってはいけないことの方が早く身につくと言われている。〇〇営業と称するので、こんな営業にはならないように気をつけてほしい。

「オンライン商談 オタオタ営業」→ Web会議に必要な顧客環境を確認できておらず、接続トラブルになり、最初からオタオタする営業のこと。そして自分自身もWeb会議ツールの使い方がよくわかっていないため、接続後も操作性の悪さが続くオンライン営業のこと。

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